ホウレンソウ栽培|種の選び方・種まき・発芽の様子

戸松敦子
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ホウレンソウはビタミン・ミネラルを豊富に含み、緑黄色野菜の代表とも言われる野菜。家庭菜園で育てたら、ソテーやおひたしなどの料理にさっと使えて便利ですね。今回は、私が育てているホウレンソウの写真とともに、ホウレンソウの種類や種の選び方、種まき前の畑の準備、種まき方法、発芽の様子をご紹介します!(撮影協力/アグリス成城)
目次
ホウレンソウの種類・種の選び方
東洋種と西洋種
ホウレンソウの葉は、切れ込みが深いものと丸い形のものがあるのを知っていますか?古くからある、葉が薄くて切れ込みが深く根ぎわが赤い東洋種と、葉が丸くて厚みのある西洋種の違いです。東洋種はアクが少ないのでおひたしに向き、西洋種は炒め物などに向いていると言われています。今は、その両方の良い所をいかして品種改良されたものがたくさん出回っています。
本来、東洋種の種は角種や針種と呼ばれ、とがった形をしていています。一方、西洋種は丸種と呼ばれ、丸い形をしています。
加工された種
ホウレンソウの種は固い殻に包まれていて発芽率が低く、発芽時期にもばらつきがあります。そのため、発芽しやすいように吸水性を高める加工をしたり、殻を取り除いて中の種を取り出して加工した種が多く流通しています。ホウレンソウの種があまりにも人工的な色で驚くことがあるのですが、それが発芽しやすいように加工された種です。私がまいた種は緑色でした。ちなみに、色が付いていると、どこにまいたかわかるので実は便利だったりします。
種の選び方
種まきの時期で選ぶ
春にまく場合は、とう立ちしにくい春まき用を、夏にまく場合は耐暑性のある品種を選ぶと育てやすいです。
特性で選ぶ
葉の形や色、生長の速さ(早生・晩生)、ベト病や萎凋病などの耐病性など、こだわりたい特性で選ぶ方法もおすすめです。
種まきする前の畑の準備
ホウレンソウは酸性土壌に弱いため、石灰を施して酸度調整することが必要です。
種まきする2週間前くらいに、畑に石灰(苦土石灰・消石灰)をまいて深く耕します。その1週間後に堆肥と元肥を土に混ぜ込んでなじませます。
石灰(苦土石灰・消石灰)をまいてから、堆肥と元肥を混ぜるまで1週間あける理由は、石灰と窒素分を含む肥料を合わせると、窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうためです。
時間が無くて日数が取れない場合は、有機石灰と完熟堆肥、有機元肥を使うといっぺんに混ぜ込んですぐに種まきをすることもできます。
私が借りている菜園では、スタッフの方が年に一度、土のメンテナンスを行ってくれるので、自分で石灰や堆肥の混ぜ込みはせず、菜園指定の有機元肥を混ぜ込んですぐに種まきすることができます。そのあたりは貸菜園によって規則が異なるので、石灰などを混ぜ込む場合は事前に管理者に確認しましょう。
ホウレンソウの種まき方法
耕した際にでこぼこになった土を、レーキなどで平らに整えます。
畑作業する時に通り道になる場所を掘って畝を作り、再び軽く整地します。
すじまきで種をまく場合は、畝に種をまく溝(まき溝)をつけます。15cm間隔で、幅2cm、深さ1cmくらいの溝がおすすめです。板切れや短めの支柱などを使うと溝が真っすぐにつけられます。
溝にまいた緑色の種が見えますか?種の袋に発芽率が80%以上と書いてあったので、それを信じて1.5cm~2cm間隔でまきました。密にまいてすべて発芽すると間引きする手間がかかります。このくらいだと間引きに手間がかかりません。ただ、有効期限が切れている種は発芽率がぐんと下がるので、古い種は少し多めにまいた方がよいですね。
まき溝を指でつまむようにして土をかぶせていきます。
手のひらで軽く押さえてなじませます。
春の初めはまだ気温が低く朝晩冷えることがあるため、生育を良くするために種まき後は不織布をかけます。虫よけ対策にもなるので、不織布をかけた方が葉が美しく育ちます。
畝に不織布をかぶせて、畝の周りの土を掘って不織布を埋めて風で飛ばないようにします。土に差し込むシート押えを使って固定しても良いですね。
不織布をかけた上からたっぶり水やりをして、種まき完了です。発芽までは、土が乾ききらないように適宜水やりします。
ホウレンソウの発芽の様子
種まきから10日後の様子です。万歳するように芽を出す可愛いホウレンソウ。こんなに小さくても葉の質感がもうホウレンソウですよね!
再び不織布をかけて、土が乾いたら水やりを続けます。
種まきから17日後の様子です。葉茎が少ししっかりしてきました。まだ寒い時もあるので、不織布をかけて水やりを続けます。来週は間引き作業になりそうです。
▼ホウレンソウの間引き~収穫まではこちら
ホウレンソウの種をまこう♪
ホウレンソウは栄養価が高くて美味しい野菜。
種まきは春・夏・秋に行えるので、家庭菜園で年間を通じて育てたいですね。春は生長のスピードが早いので、ぐんぐん大きくなる姿を見るとワクワクします。高温に弱いため、夏は20℃以上では生育が悪くなります。暑さや病気に強い品種を選んで育てましょう。秋にまいたホウレンソウは、寒さで凍らないように栄養を蓄えるため、根ぎわの部分がびっくりするほど甘くなります。家庭菜園ならではのスペシャルな味に驚きますよ。
間引きした小さな葉は、サラダやスープの具に使えるのでとっても便利です。ぜひ、ホウレンソウの種まきをしてみてくださいね。
▼ホウレンソウの詳しい育て方はこちら
ほうれん草(ホウレンソウ)
- ほうれん草(ホウレンソウ)はアカザ科の野菜で、漢字では「菠薐草」と書きます。「菠薐」とはペルシャのことで、ほうれん草(ホウレンソウ)の栽培の起源の場所です。 ペルシャで始ったほうれん草(ホウレンソウ)の栽培が中国に渡り、そこで発達していったほうれん草(ホウレンソウ)は、葉がぎざぎざで株元が赤くなる東洋種になりました。 それとは別に、葉の厚みがあり、丸い形をしている西洋種というほうれん草(ホウレンソウ)の種類があります。この西洋種も東洋種と同じように、ペルシャから西洋へ伝わったものです。 この東洋種・西洋種の両方の長所をいかした品種改良も行われたことで、日本でもほうれん草(ホウレンソウ)が広まりました。 ほうれん草(ホウレンソウ)の種は硬実種子といって固い殻に包まれています。(ちなみに、ほうれん草(ホウレンソウ)の種は、殻の形が角ばった種と丸みのある種とがあります。)そのため、ほうれん草(ホウレンソウ)の発芽率が他の野菜と比べ低いため、ネーキッド種子といって硬い殻を取り除き、中の種を取り出した加工をされた種が売られています。ほうれん草(ホウレンソウ)の種袋を確認してみましょう。 冬に生育するほうれん草(ホウレンソウ)は、放射状に葉を広げて、まんべんなく太陽の光を浴びることができます。吹き付ける寒風にも耐えられるその形は、素晴らしい植物の進化を物語ります。 ほうれん草(ホウレンソウ)の花は、イチョウなどと同じように、雌株と雄株に最初から分かれています。しかし、ほうれん草(ホウレンソウ)は花が咲く前に収穫することから、そのほうれん草(ホウレンソウ)が雄株なのか、雌株なのか判断することは難しいです。中には雌・雄両性の花をもつ株もあるようです。
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