睡蓮|花咲く時期、種類、蓮との違いを紹介
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睡蓮について、花咲く時期、種類、蓮との違いと見分け方について紹介します。
目次
睡蓮とは?基本情報
- 学名:Nymphaea
- 科名:スイレン科
- 属名:スイレン属
- 分類:水生植物
睡蓮の特徴
睡蓮は、スイレン科スイレン属の水生植物。、世界各地の熱帯、亜熱帯、温帯に約40種類が分布しています。耐寒性が強い温帯性と、耐寒性が弱い熱帯性があり、温帯睡蓮は日本の公園や庭園など屋外でも咲いているのを見かけます。
睡蓮は、放射状に広がった花びらと、水に浮かぶような丸い葉が印象的。花色は白、黄色、ピンク、赤、紫、青紫、青など、豊富です。花は早朝に開花し、昼過ぎには閉じるというサイクルを数日繰り返し、花首を水に鎮めるようにして萎れていきます。夜になって閉じた花が朝にまた開花することから再生を象徴するとして、古くから諸外国で神聖な花として扱われてきました。学名 Nymphaea はギリシャ神話の水の妖精の名前 Nympha(ニンファ)に由来します。
水面に花を咲かせる様子から、水草のように水中に根を伸ばしている姿を想像しがちですが、実際は、花や葉から伸びた柄が長く水の底の根茎へと続いています。
睡蓮の英語の名前
睡蓮は、英語で Water lily(ウォーターリリー)です。混同されやすい蓮の英名は Lotus(ロータス)です。
睡蓮の花咲く時期
睡蓮の花咲く時期は、5月~10月頃。品種によって差がありますが、概ね初夏から秋です。温帯睡蓮のような、屋外の池や水辺などで育てられている品種は、ショウブややカキツバタが咲く頃に咲き始め、秋まで花を楽しめます。温室で育てられている睡蓮も、夏から秋にかけてたくさんの花を咲かせます。
睡蓮の種類を熱帯と温帯に分けて紹介
睡蓮には大きく分けて、耐寒性が弱い熱帯睡蓮と、耐寒性が強い温帯睡蓮があります。それぞれの種類と特徴を紹介します。
熱帯睡蓮の種類
熱帯睡蓮の花色は、白、赤、ピンク、黄色、紫、青紫、青、複色と非常に豊富です。水面から少し飛び出すように花茎を伸ばして、その先に花を咲かせるものが多いのが特徴。昼咲き種と夜咲き種があります。越冬に15℃以上の温度が必要なことから、日本では通常温室で育てられています。
アメリカン・ビューティー
アメリカン・ビューティーは、昼咲き園芸種。ピンク色の花を咲かせます。
アフリカン・ゴールド
アフリカン・ゴールドは、昼咲き園芸種。鮮やかな黄色の花を咲かせます。
シルバースター
シルバースターは、夜咲き園芸種。白い花が美しい品種です。
レッド・フレアー
レッド・フレアーは、夜咲き園芸種。鮮やかな赤が印象的な花です。
温帯睡蓮の種類
温帯スイレンの花色は、白、赤、ピンク、黄色、複色など。耐寒性があるので、冬は落葉しますが、戸外で越冬が可能です。草丈短く、水面に葉や花を浮かべるように咲かせます。
ヒツジグサ
日本在来種の睡蓮です。公園や庭園、個人のお庭の池など、身近な場所で見かけます。花色は、白や淡いピンクなどです。
アトラクション
アトラクションは、赤に近い、鮮やかな濃いピンクの花を咲かせる園芸種です。
アルバ・カンディディシマ
アルバ・カンディディシマは、真白な花を咲かせる園芸種です。
スルフレア
スルフレアは、明るいクリーム色がかった黄色の花を咲かせる園芸種です。
睡蓮と蓮の違いと見分け方
睡蓮の特徴
- 科名:スイレン科
- 花:水面に浮くように、あるいは少し水面から立ち上がって咲き、花後は水中に沈む。
- 葉:水面に浮いているように見える。表面に光沢があり円形で、切れ込みがある。水を弾かない。
蓮の特徴
- 科名:ハス科
- 花:水面から1m以上高く茎を伸ばした先に咲き、花びらが散る。花の直径は20cmくらい(チャワンバスは10cm程度)
- 葉:水面から高く伸びた先に葉を広げる。光沢はなく水を弾く。丸く大きな一枚の葉。
睡蓮と蓮の見分け方
草丈の違い
睡蓮は水面に浮かべるように、あるいは数10cm伸ばして、葉や花を付けるのに対し、蓮は水面より1m以上高く茎を伸ばしその先に葉や花を付けます。水面に近いところに花や葉があるかどうかで見分けられます。
花のサイズの違い
品種にもよりますが、睡蓮の花の直径は10~20cm程度、蓮の花の直径は20~40cm程度です。花の大きさで見分けることができます。
花の色の違い
睡蓮の花色は、白、黄色、ピンク、赤、紫、青紫、青などがあります。蓮の花色は、ピンク、白、黄色です。青や紫の花が咲いていたら、睡蓮だと見分けられます。
葉の違い
睡蓮の葉は、表面に光沢があり円形で、葉の切れ込みから水を落とすので、水を弾きません。蓮の葉は、薄くて大きな円形で、光沢はなく水を弾いて落とします。花が咲いていない時期でも、葉に切れ込みがあれば睡蓮だと見分けがつきます。
モネの庭に咲いているのは睡蓮
睡蓮は、印象派の画家クロード・モネの描いた絵画でも有名な花です。クロード・モネは、フランスのジベルニー村にある、自宅の庭の池に咲く睡蓮をモチーフとした作品を何十枚も描きました。モネの庭に咲いているのは水に浮かぶように咲く睡蓮の花です。
睡蓮の育て方
植え付け、用土
30cm以上の深さのある桶や、ある程度の水深のある池などに植え付けます。用土はあまり選びませんが、植え付けてすぐに株が浮いてきてしまうようであれば、石や砂利などを周りに置いて安定させます。
置き場所
開花には日照が必要です。日当たりの良い場所で管理しましょう。
水やり
水生植物なので、常に水を貼った状態にしておくことが必要です。水が汚れてきたと感じたら、新しい水に取り換えるようにしましょう。
肥料
肥料をよく吸収するので、植え付け時に元肥を少し多めに施すようにします。施肥は植え付け時と株が小さいうちや、花付きが悪くなってきたときで十分です。過肥は病害虫が発生する原因になります。
病害虫と対処法
被害にあいやすい病害虫はアブラムシです。水面に出ている葉や茎を確認して、見つけ次第捕殺します。数が多いときは薬剤を散布するようにしましょう。
剪定
葉の剪定
黄色く変色している葉を根元から切り取るようにします。水の中に手を入れて、できるだけ地際から切り取ります。変色した葉を取り除くことで水中の日当たりをよくし、新芽の生長を促します。
花の剪定
咲き終わった花も剪定しましょう。咲き終わった花をそのまましておくと種子を作ろうとして栄養を使ってしまい、全体の花数が減ったり、株が弱る原因になります。花茎を辿り水中の地際から切り取ります。
つぼみと咲き終わった花の見分け方
これから咲くつぼみと咲き終わった花の見分け方は、つぼみは上向きについているのに対して、咲き終わった花は水中に頭を下げるようについているので見分けがつきます。判別が難しい時は、軽く指で押してみて、弾力があるのがこれから咲くつぼみ、中から水が出てくるのが咲き終わった花です。
冬越し
秋になり気温が下がってくると葉が枯れてきます。枯れた葉や茎は水中の地際から刈り取りましょう。バクテリアの繁殖を抑えて水を清潔に保つようにします。
屋外で越冬させる温帯睡蓮は、土中の株が凍らないように、軒先などに移動させるようにしましょう。熱帯睡蓮は15℃を下回らないような室内に取り込んでおきます。冬の間は休眠しているので、日光は特に必要としません。どちらも水は切らさないように管理してください。
睡蓮を株分けで増やしてみよう
睡蓮は、株分けで増やすことができます。春の植え付け時に根茎を手で割って、株分けします。または熱帯睡蓮は近くに子株ができていれば、分けて植え付けるようにします。どちらも無理やりに切り分けるようなことはせず、自然と分けられるくらい生長していたらにしましょう。
睡蓮は比較的丈夫で育てやすい植物。根付いてしまえば毎年花を咲かせてくれます。神秘的で可憐な花を自宅で育てて楽しんでみませんか。
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