睡蓮(スイレン)ってどんな花?開花時期、種類、蓮(ハス)との見分け方
更新
公開

睡蓮(スイレン)について、開花時期や特徴、種類、蓮(ハス)との違いと見分け方について詳しく紹介します。
目次
睡蓮(スイレン)とは?基本情報
- 学名:Nymphaea
- 科名:スイレン科
- 属名:スイレン属
- 分類:水生植物
睡蓮(スイレン)の特徴
睡蓮は、水の上に浮かぶように咲く花が印象的な水生植物です。古くからエジプトでは神聖な花として扱われてきました。花色は白、黄色、ピンク、赤、紫、青紫、青と豊富です。学名 Nymphaea はギリシャ神話の水の妖精の名前Nympha(ニンファ)に由来するとされています。
睡蓮の仲間は約40種類あり、世界各地の熱帯、亜熱帯、温帯に分布しています。耐寒性が強い温帯スイレンと、耐寒性が弱い熱帯スイレンがあり、温帯スイレンは日本の公園や庭園でも咲いているのを見かけます。花や葉は水面上にありますが、柄が長く水の底へと続いていて、水底の泥の中に根茎や塊根があります。
睡蓮(スイレン)の開花時期
睡蓮の開花時期は、5月~10月頃です。品種によって差がありますが、概ね初夏から秋です。公園の池や水辺など、戸外で育てられている品種は、菖蒲や杜若が咲く頃に咲き始めます。
睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)の違いと見分け方
睡蓮(スイレン)の特徴
- 科名:スイレン科
- 花:水面に浮くように、あるいは少し水面から立ち上がって咲く。花後は水中に沈む。
- 葉:水面に浮いているように見える。表面に光沢があり円形で、切れ込みがある。水を弾かない。
蓮(ハス)の特徴
- 科名:ハス科
- 花:水面から1m以上高く茎を伸ばした先に咲く。花の直径は20㎝くらい(チャワンバスは10㎝程度)
- 葉:水面から高く伸びた先に葉を広げる。光沢はなく水を弾く。丸く大きな一枚の葉。
睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)の見分け方のポイント
草丈の違い
睡蓮は水面に浮かべるように、あるいは数10cm伸ばして、葉や花を付けるのに対し、蓮は水面より1m以上高く茎を伸ばしその先に葉や花を付けます。水面に近いところに花や葉があるかどうかで見分けられます。
花のサイズの違い
品種にもよりますが、睡蓮の花の直径は10~20㎝程度、蓮の花の直径は20~40㎝程度です。花の大きさで見分けることができます。
花の色の違い
睡蓮の花色は、白、黄色、ピンク、赤、紫、青紫、青などがあります。蓮の花色は、ピンク、白、黄色です。青や紫の花が咲いていたら、睡蓮だと見分けられます。
葉の違い
睡蓮の葉は、表面に光沢があり円形で、葉の切れ込みから水を落とすので、水を弾きません。蓮は、薄くて丸い大きな葉で、光沢はなく水を弾いて落とします。花が咲いていなくても、葉に切れ込みがあれば睡蓮だと見分けがつきます。
モネの庭に咲いているのは睡蓮(スイレン)
睡蓮は、印象派の画家クロード・モネの描いた絵画でも有名な花です。クロード・モネは、フランスのジベルニー村にある、自宅の庭の池に咲く睡蓮をモチーフとした作品を何十枚も描きました。モネの庭に咲いているのは水に浮かぶように咲く睡蓮の花で、蓮ではありません。
熱帯?温帯?睡蓮(スイレン)の種類
睡蓮には大きく分けて、耐寒性が弱い熱帯スイレンと、耐寒性が強い温帯スイレンがあります。それぞれの種類と特徴を紹介します。
熱帯スイレンの種類
熱帯スイレンの花色は、白、赤、ピンク、黄色、紫、青紫、青、複色と非常に豊富です。越冬に15℃以上の温度が必要です。水面から突き出すように数㎝程度茎を伸ばし、その先に葉や花を咲かせます。熱帯スイレンには昼咲き種と夜咲き種があります。
アメリカン・ビューティー
昼咲き園芸種。ピンク色の花を咲かせます。
アフリカン・ゴールド
昼咲き園芸種。鮮やかな黄色の花を咲かせます。
シルバースター
夜咲き園芸種。白い花が美しい品種です。
レッド・フレアー
夜咲き園芸種。鮮やかな赤が印象的な花です。
温帯スイレンの種類
温帯スイレンの花色は、白、赤、ピンク、黄色、複色。耐寒性があるので、冬は落葉して戸外で越冬が可能です。草丈短く、水面に葉や花を浮かべるように咲かせます。
アトラクション
園芸種。赤に近い、鮮やかな濃いピンクの花を咲かせます。
アルバ・カンディディシマ
園芸種。真白な花を咲かせます。
スルフレア
園芸種。明るいクリーム色がかった黄色の花を咲かせます。
睡蓮(スイレン)の英語の名前
睡蓮は、英語で Water lily(ウォーターリリー)です。蓮の英名は Lotus(ロータス)です。
睡蓮(スイレン)の育て方
睡蓮(スイレン)の植え付け、用土
30㎝以上の深さのある桶や、ある程度の水深のある池などに植え付けます。用土はあまり選びませんが、植え付けてすぐに株が浮いてきてしまうようであれば、石や砂利などを周りに置いて安定させます。
睡蓮(スイレン)の置き場所
開花には日照が必要です。日当たりの良い場所で管理しましょう。
睡蓮(スイレン)の水やり
水生植物なので、常に水を貼った状態にしておくことが必要です。水が汚れてきたと感じたら、新しい水に取り換えるようにしましょう。
睡蓮(スイレン)の肥料
肥料をよく吸収するので、植え付け時に元肥を少し多めに施すようにします。施肥は植え付け時と株が小さいうちや、花付きが悪くなってきたときで十分です。過肥は病害虫が発生する原因になります。
睡蓮(スイレン)の病害虫と対処法
被害にあいやすい病害虫はアブラムシです。水面に出ている葉や茎を確認して、見つけ次第捕殺します。数が多いときは薬剤を散布するようにしましょう。
睡蓮(スイレン)の剪定
睡蓮(スイレン)の葉の剪定
黄色く変色している葉を根元から切り取るようにします。水の中に手を入れて、できるだけ地際から切り取ります。変色した葉を取り除くことで水中の日当たりをよくし、新芽の生長を促します。
睡蓮(スイレン)の花の剪定
咲き終わった花も剪定しましょう。咲き終わった花をそのまましておくと種子を作ろうとして栄養を使ってしまい、全体の花数が減ったり、株が弱る原因になります。花茎を辿り水中の地際から切り取ります。
睡蓮(スイレン)のつぼみと咲き終わった花の見分け方
これから咲くつぼみと咲き終わった花の見分け方は、つぼみは上向きについているのに対して、咲き終わった花は水中に頭を下げるようについているので見分けがつきます。判別が難しい時は、軽く指で押してみて、弾力があるのがこれから咲くつぼみ、中から水が出てくるのが咲き終わった花です。
睡蓮(スイレン)の冬越し
秋になり気温が下がってくると葉が枯れてきます。枯れた葉や茎は水中の地際から刈り取りましょう。バクテリアの繁殖を抑えて水を清潔に保つようにします。
屋外で越冬させる温帯スイレンは、土中の株が凍らないように、軒先などに移動させるようにしましょう。
熱帯性スイレンは15℃を下回らないような室内に取り込んでおきます。冬の間は休眠しているので、日光は特に必要としません。
温帯スイレン、熱帯スイレン、どちらも水は切らさないように管理してください。
睡蓮(スイレン)を株分けで増やしてみよう
睡蓮は、株分けで増やすことができます。春の植え付け時に根茎を手で割って、株分けします。または熱帯スイレンは近くに子株ができていれば、分けて植え付けるようにします。どちらも無理やりに切り分けるようなことはせず、自然と分けられるくらい生長していたらにしましょう。
睡蓮は比較的丈夫で育てやすい植物。根付いてしまえば毎年花を咲かせてくれます。神秘的で可憐な花を自宅で育てて楽しんでみませんか。
▼編集部のおすすめ