基本のテラリウムの作り方とコツ!水挿し発根させた植物を使って
山田智美
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テラリウムの基本中の基本の作り方です。これさえマスターすれば、いろんなテラリウムが作れます。今回は水挿しで発根させた植物を使って作ってみました。
「テラリウムって何?」という説明から、水に挿しておくだけで発根させる簡単な「水挿し」の方法までご紹介しています。自分だけの小さな温室のような、テラリウムの基本的な作り方を紹介します。
目次
テラリウムとは
テラリウムとは、広義には蓋をしたガラスの容器の中で植物や生物を飼育することを指します。起源は19世紀のイギリスが始まりと言われています。ガラスの容器の中にその植物に適した環境を作ることで、温室を持たない人々も好みの植物を栽培することが可能になったと喜ばれました。
一般的に園芸用語でテラリウムとは、密閉したガラスの容器の中で植物を育成することを言います。ガラスのなかは温度、湿度共に外部からの影響を受けにくく、病害虫も植え込みの際に入り込まなければ影響がありません。
テラリウムとは、自宅で簡単にできるミニ温室と言ったところでしょうか。
テラリウムの中で起こっていること
自分だけの小さな温室。ミニチュア世界を手に入れたような特別な気分になれます。そんな見ているだけでワクワクするテラリウムですが、あの密閉されたガラス容器の中で、何が行われているのでしょう。どうしてガラス容器の中で無事に植物が育つのか、不思議ではありませんか?
テラリウムの仕組みとは、密閉されたあのガラスの容器の中で一つの世界が出来上がっているのです。テラリウムのガラス容器の中では植物が生きていくために必要な光合成(炭酸同化作用)が行われてます。
容器を密閉することで、中の水分が蒸発することはなくなります。テラリウムの中で、植物が根から水分を吸い上げ、葉から発散し、またその水分を吸い上げ…というサイクルが行われています。
テラリウムは、光と空気と水から栄養素を作り出して生長する、植物のシンプルな仕組みだからこそ出来る世界です。
水挿しとは?水挿しのコツ
水挿しとは?
挿し木の方法の1つです。切った植物の枝を水に挿して水の中で発根させます。発根した植物は、テラリウムにしたり、花瓶などに入れて水耕栽培で育てることが出来ます。水から出して土に植え替えることも出来ます。
水挿しから発根させたばかりの枝は小ぶりなので、小さな容器で楽しむテラリウム作りにちょうどよいサイズです。
水挿しはとっても簡単です。剪定した枝を捨ててしまわずに水に挿しておくだけで、発根させることができます。自宅の植物の手入れをする際に水挿しも楽しんでみませんか。
水挿しのコツ
植物にもよりますが、春か秋の暖かい時期に行うと、植物への負担が少なくて済みます。これは、植物には生長のサイクルというものがあるからです。冬には葉を落として休眠期に入るものが多くあります。夏の暑い盛りは植物にとっても負担が大きく辛い時期です。
冬と夏は、植え替えや植え付け同様、挿し木などエネルギーを必要とすることは避けたほうが無難です。春と秋の植物にとって負担が少なく気候の良い時期に行うと成功率も上がります。
水挿しの方法と発根までの日数
実際に剪定した植物を、水挿しにして発根させました。水に挿してから、発根までの記録です。
水挿しの準備|剪定した枝たち
LOVEGREEN編集部オフィスの屋上にあるテラスで摘んできた植物たちを使いました。どれも剪定したときに出た枝ばかりです。
コリウス
コリウスは、熱帯地方原産のシソ科の植物です。原産地の暖かい地域では多年草とされています。日本では冬の寒さで枯れてしまうので一年草として扱われています。冬期は室内や温室に取り込むなどして、寒さに当てなければ、越冬させることが可能です。せっかくですから、テラリウムで越冬させてみましょう。
アイビー
室内でも屋外でも育てられる非常に丈夫な植物です。葉の大きさや形、グリーンの濃淡や斑入り種など、バリエーションも多様です。
今回はテラリウムを作ることが前提なので、室内で育てられる植物を選びました。テラリウムにして楽しむのなら、ゆっくりとした速度で生長していく植物を選ぶと、手間がかからず管理ができます。
水挿しにチャレンジ!
コリウスは上の4枚くらいを残して、他の葉は取り除きます。コリウスは葉の表面積が広い植物です。葉が多いと、それだけたくさんの養分を必要とする上に葉から水分が蒸発します。葉の枚数を減らすことによって、植物の負担が減り発根しやすくなります。
その他の植物は、水に浸かる部分の葉を取り除きます。葉が水に浸かったままになると、水が腐りやすくなるので、植物に負担がかかるからです。
発根までの日数
8/21水挿しスタートです。今回は、LOVEGREEN編集部オフィスの屋上テラスで剪定した植物を使いました。透明なガラス瓶に茎がしっかりと浸かるくらいの水を入れます。水が腐らないようにこまめに水を取り替えて10日になる8/30、根が出てきました。特にコリウスは発根しやすいらしく、根に勢いがあります。
水挿しの注意点
植物は、茎にある節から発根します。水挿しで発根させる際には、節がしっかりと水に浸かっているかを確認しましょう。空気に触れている部分からは根は出てきません。
基本のテラリウムの作り方
初心者さんでも簡単に作れる、基本のテラリウムの作り方です。
自分だけの小さな温室、あるいは閉じ込められた特別な世界。そんなテラリウムを自分の手で作ってみましょう。水挿しで発根させた植物を使って作ると、愛情も一塩です。
テラリウムの作り方|準備するもの
テラリウムを作るのに必要な材料とその説明です。
- ガラスの容器(密閉できるもの)
テラリウムの容器です。中に雑菌が入らないように、しっかりと洗って、清潔な布で拭いておきます。テラリウムは密閉して管理するので、蓋を閉められる容器にしましょう。 - 根腐れ防止剤
ゼオライトやミリオン等の根腐れ防止剤です。テラリウムは容器に穴が無いので、中の水分が腐らないように容器の底に敷きます。
- 人工用土
今回はセラミスグラニューを使用しました。人工用土を使用することで、テラリウムの容器の中を清潔に保つことが出来ます。
- 発根した小枝を数種類
・コリウス
・アイビー
・プミラ
水挿しから発根させた小枝を使用します。
テラリウムの基礎を作る
ガラスの容器はきれいに洗って乾かしておきます。この段階で雑菌が入らないように注意してください。
容器の中央に根腐れ防止剤を少しだけ入れます。これは、外側から根腐れ防止剤が見えてしまわないようにするためです。根腐れ防止剤を埋めるように、セラミスグラニューを静かに入れていきます。
テラリウムに植物を植えつける
ピンセットや割り箸を使って、発根した植物たちを植えていきます。レイアウトが決まるまで仮置きというイメージで、セラミスグラニューの上に植物を置いていきます。
レイアウトは好みです。テラリウムの容器の上や横から眺めて、好みの配置を決めます。
テラリウムの世界観はレイアウトで決まります。好みのレイアウトが決まったら、根が埋まるようにセラミスグラニューを静かに足します。この時勢いよくセラミスグラニューを注ぐと、せっかく決めたレイアウトが崩れてしまったり、舞った埃でガラス容器が汚れてしまいます。移植ごてやスプーンなどを使って静かに足していきましょう。
テラリウムの出来上がり!
セラミスグラニューを足し終えたら、霧吹きでたっぷりと水を与えます。セラミスグラニューの色が変わるまでしっかりと染み込ませます。それから容器のガラスの内側にも吹き付けます。
この時与えた水分がこのテラリウムの世界の水分になります。多すぎても蒸れてしまうし、少ないと枯れてしまいます。セラミスグラニューがしっかりと濃いレンガ色に変わるまで霧吹きで水をいきわたらせるようにしてください。
最後に蓋をして、出来上がりです。基本のテラリウムが完成しました。
テラリウムの育て方と管理方法
テラリウムは作ってから最初の1週間くらいは、毎朝ガラスの曇り具合をチェックします。朝、ガラスが曇っていなければ、水分が足りない証拠です。霧吹きで水やりをします。曇り過ぎていたら、水分が多いということ。蓋を開けて蒸発させます。
1週間ほど経過して毎朝の曇り具合が安定してきたら、蓋をして密閉します。
植物は日々生長を続けています。テラリウムも日々姿を変えていきます。様子をみて必要があれば剪定をする、大きくなってきたら植え替えるなどしてください。
今回ご紹介した基本のテラリウムの作り方をマスターすれば、色んな植物で応用ができるようになります。ガラスの中に閉じ込めた自分だけの小さな世界は、見ているだけでワクワクします。可愛らしいテラリウムを、自分の手で作り上げてみましょう。
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