チューリップの球根を植えっぱなしにする方法や保存方法
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チューリップの球根は植えっぱなしで毎年咲くのでしょうか? チューリップの球根を植えっぱなしにするための手入れや保存方法、植え付け時期、植えっぱなしで咲く種類などを紹介します。
目次
チューリップは植えっぱなしで毎年咲く?

チューリップは、植えっぱなしで毎年咲く品種と咲かない品種があります。
簡単な分け方としては、タルダやポリクロマなどの原種系チューリップは植えっぱなしで毎年開花しますが、園芸種のチューリップは咲きにくいようです。ただし、絶対に咲かないとはいい切れません。花が小さくなったり、色が変わることもありますが、開花することもあります。
チューリップの球根を植えっぱなしにするための手入れ

原種系のチューリップを、植えっぱなしで毎年咲かせるには球根に栄養を蓄えさせて太らせることが大切。次の3つの手入れを忘れずに行えば、毎年開花を楽しむことができます。
①花茎を摘み取る
②葉を残す
③光合成をさせる
①花が終わったら葉を残して、花茎を摘み取りましょう。これは、タネを作ろうとして栄養を使ってしまうのを防ぐためです。②③葉を残すことで光合成をさせ、球根に栄養を送ります。葉は黄色くなって自然と枯れるまでそのままにしておきましょう。地上部が枯れたら水やりは降雨に任せて、そのまま植えっぱなしにしておきます。翌春に自然と芽吹き、またかわいらしい花に出会えます。
花茎を摘み取ることで余計な栄養を使わないようにし、葉を残すことで新たな栄養を蓄えるようにする。球根を太らせるために必要な作業です。この3つの手入れを行うことで、毎年開花を楽しめるようになります。
チューリップの球根の保存方法
原種系チューリップの球根は、植えっぱなしでも問題ありませんが、掘り上げて保存しておいて秋にまた植え付けることもできます。
チューリップの球根の掘り上げ方

花の後、残った葉が黄色くなって枯れてきたら、チューリップの球根を掘り上げる時期です。
球根を傷つけないように周囲の土を掘っていきます。金属のスコップよりも移植ゴテを使うと、傷つけずに済む上にスムーズです。球根に傷がつくとそこから傷んでしまったり、花が咲かない原因になります。優しく掘り上げてください。
掘り上げた球根は、茎を切り取り、乾いた布や新聞紙などで余計な土を落とします。水で洗うと水分が付き、そこからカビが生えてしまう心配があります。球根を水洗いした場合は、しっかりと乾燥させてください。
分球しているものは分けて、大きなものだけを選別して保存します。残念ながら、小さな球根からは花は咲きません。
チューリップの球根の保存方法
掘り上げたチューリップの球根は、ネットなどの通気性の良い袋に入れてから、直射日光と雨を避けられる、風通しの良い場所で保存します。余計な水分が付いていると球根が傷んでしまいます。しっかりと乾燥させることが大切なので、雨が当たらないように注意してください。次の植え付け時期まで、この状態で休眠させます。
チューリップの球根を掘り上げないとどうなる?
チューリップの球根を掘り上げないで放っておくと、咲かずに終わってしまうこともあれば、翌年咲くこともあります。球根に栄養を蓄えられなかったチューリップは、翌年花を咲かせることはありません。新しい草花を植える際に邪魔になるようであれば取り除きましょう。
「腐ってしまうのではないか」と危惧する声もあるようですが、腐って周囲の植物に影響が出たというケースは見たことがありません。邪魔になったら取り除き、気にならなければそのままにしておけばよいでしょう。そんなに神経質になることもありません。
チューリップの球根の仕組み

左:チューリップ 右:原種チューリップ
チューリップの球根は鱗茎です。鱗茎とは、短く肥大した葉茎が重なり合って塊になったもののことです。この鱗茎に水分や養分を蓄えておいて、春になると蓄えた養分を使って生長するという仕組みです。球根の下部からわしゃわしゃと細かい根っこを出します。球根というと「丸く太った根っこ」というイメージを抱きがちですが、実は地下にある葉や茎であることも多くあります。
生長の仕組み
チューリップの球根は、地上部にある葉や茎で光合成をして栄養を蓄えます。つまり、地上部の葉や茎がないと球根も栄養を蓄えることができないということです。翌年も花を楽しみたいのであれば、球根に栄養を蓄えさせないといけません。葉や茎を残して光合成をさせ、球根を太らせることが大切です。
チューリップの球根の植え付け時期

植え付け時期
球根の植え付け時期は秋の紅葉の見ごろが適時です。たっぷりと腐葉土をすき込んだふかふかの暖かい土は、球根にとって幸せなベッドとなります。
チューリップの球根は、土の中で冬の寒さを経験して、春のための芽を作ります。しっかりと寒さを経験させるためにも、秋のうちに植え付けるようにしましょう。
植え付けの深さ
チューリップの球根は、ちょっと深植えにしましょう。大きな球根で10cm、小ぶりな球根で5cmくらいを目安に植えこんでください。あまり浅植えだと球根が土から出てきてしまいます。
植え付ける向き
チューリップの球根は、にんにくやラッキョウのようなフォルムをしています。ツンと尖った先端から芽が出てきます。先端を上に向けるようにして植え付けましょう。
植え付け位置
原種系チューリップなど、小ぶりで野花のような趣の品種は、規則正しく並べて植えつけるよりも、自然に咲いているように植えつけた方が咲いたときにかわいらしく見えます。
「この辺かな」という場所を決めたら、球根を数個放るように転がします。くっついているものがあったり、離れているものがあったり。無作為に転がった位置にそのまま球根を植え付けると、野原に自然に生えてきたような仕上がりを楽しめます。
植えっぱなしで咲くチューリップの種類
植えっぱなしで毎年開花する、原種系チューリップの品種を紹介します。
チューリップ・ライラックワンダー

ライラックワンダーは淡いピンクの花びらの中心近くは黄色というバイカラーのチューリップ。花径は開いた状態で4~5cm、草丈低く、野花のような趣があります。
チューリップ・ガーデンオブクルシウス

ガーデンオブクルシウスはすっと伸びた花茎の先に赤と白のバイカラーのチューリップ。華奢な茎を風に揺らせる姿が魅力的です。
チューリップ・ポリクロマ

原種チューリップの中でも草丈が低い品種。白を基調とし、内側の黄色が差し色になる明るい印象です。ぷっくり、コロンとしたシルエットも魅力的。
チューリップ・タルダ

タルダは黄色い花びらの外側にかけて白くなっていくバイカラーのチューリップ。一つの花茎に数個の花を咲かせます。花径は3cm程度、草丈低く、野花のような趣があります。
チューリップ・アニカ

クルシアナ系の原種チューリップ。咲き始めはサーモンカラー、生長とともに花弁の外側が赤みを増し、日々の色合いの変化を楽しめる品種。
チューリップ・トルケスタニカ
トルケスタニカはクリーム色の花びら、中心が黄色のバイカラーのチューリップ。一つの花茎に数個の花を咲かせます。花径は3cm程度、草丈低く、野花のような趣があります。
チューリップとは|特徴や歴史

- 学名:Tulipa
- 科名・属名:ユリ科チューリップ属
- 分類:多年草(球根植物)
チューリップの特徴

チューリップは、春に開花する球根植物。西ヨーロッパから中央アジアまで分布しています。春の訪れを知らせる花の代表ともいえる花で、多くの人が子供のころからよく見かけてきた、とても身近な花です。品種改良が盛んに行われた結果、花の大きさや花色、花びらの数までバリエーションに富んでいるのが特徴で、これもチューリップなのかと驚くようなものもあります。球根を植えつけてから半年程度で花が咲くという手軽さもあり、ガーデニングでも人気の花です。秋の植え付け、春の開花と1年に2回も楽しめます。
チューリップの歴史
チューリップはその昔、トルコからヨーロッパに渡ったといわれています。オランダで熱狂的なチューリップブームが起こり、新品種の球根には高値がついたそうです。チューリップの球根のために億万長者になる人もいれば、破産する人もいたとのこと。嫁入り時の持参金としてチューリップの球根が使用されたという逸話も残っているくらいです。
日本に渡ってきたのは江戸時代の末期、球根が生産されるようになったのは1900年代に入ってからでした。チューリップは日本でも人気となり、今では数百品種が流通していると言われています。
チューリップの球根の保存方法は、そんなに難しいものではありません。植えっぱなしにしても良し、掘り上げて翌年に備えても良し。ライフスタイルにあった方法を見つけて、気軽にチューリップの花を楽しんでみませんか。
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