ブーケみたいな野菜、プチヴェールとは?食べ方、保存、栽培
金子三保子
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ブーケみたいな野菜、プチヴェールをご存じですか? 特徴や美味しい食べ方、実際に栽培してみた生長過程など、プチヴェールについて詳しくご紹介します。
目次
プチヴェールとは
プチヴェールは、1990年、静岡県にある種苗メーカーの株式会社増田採種場さんが芽キャベツとケールを交配させることによってできた非結球性芽キャベツ。本葉からわき芽まで食べることができて、初冬から春まで収穫できます。
花のような形の部分は、プチヴェールのわき芽です。バラのようと表現されることが多いですが、個人的には小さな葉ボタンみたいと思うのですが、みなさんはどう感じますか。
こちらがプチヴェールの株。野菜として販売されている際は、一口サイズのわき芽がいくつか入って一袋で流通しますが、株は芽キャベツと似て印象的なフォルムをしています。
根菜が多い冬の畑の中では背丈が高くて目立つ存在。冬から春にかけて下の茎にくっついているわき芽をひとつずつ折り取って収穫します。
プチヴェールの名前の由来
プチヴェールは、フランス語(petit vert)で「小さな緑」という意味です。
プチヴェールの味
ケールと芽キャベツを掛け合わせたと聞くと、苦い? と思う方もいるかもしれませんが、苦みはほんのわずかで食べやすく、糖度が11~13度と高い野菜です。かと言って、口に入れたときに甘みがたつわけではなく、くせがなく上品な味。いろいろな味付けで楽しむことができます。
プチヴェールの旬
家庭菜園で育てると、夏に植え付けて収穫を開始できるのが早くて3か月後。以後、春までが収穫時期です。お店に出回るのも11月~3月ごろです。
プチヴェールの種類
グリーン色の基本種のほか、「プチヴェールルージュ」「プチヴェールホワイト」があり、ルージュやホワイトは斑入りの美しい色合いです。
プチヴェールの栄養価
ケールと芽キャベツを掛け合わせているため、栄養価がとても高いプチヴェール。カルシウム、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維、カリウムなどが含まれます。
含まれている栄養を逃さないコツは、茹ですぎないことがポイントです。
栄養価参照サイト 株式会社増田採種場プチヴェール®野菜
プチヴェールの食べ方
左:生のプチヴェール 右2つ:茹でたプチヴェール
プチヴェールの基本の食べ方は、熱湯で1分半~2分茹でるだけという簡単さ。
写真はプチヴェールルージュ。生と茹でたあとでは、ご覧のように色が変化します。
茹で方や茹で時間は、ブロッコリーの食べ方と似ています。売っているときの状態が一口サイズの場合はそのまま、茎が伸びている場合は食べやすい大きさにカットします。包丁を入れたときに茎が固いようなら、先に固い部分をお湯に入れて、茹で時間を調節してください。
私は、茹でてドロッとしたタイプのドレッシングとパルメザンチーズをかけていただくのがお気に入りの食べ方。
塩だけでも美味しいし、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子のペペロンチーノ風、バター醤油、バター塩…… しゃきっとした歯ごたえで、くせのない味は、いろいろな味付けで楽しむことができます。色がきれいなので、ホワイトソース系の料理に入れても見栄えがします。
茹ですぎると食味、栄養価とも落ちてしまうので、スープや炒めものに入れるときは、火を止める直前に入れるか、茹でておいたものを仕上げに入れるのがおすすめです。
わき芽よりは流通量は少ないですが、大きな葉も食べることができます。生ではスムージーの材料としても利用できますが、多少硬さがあるため、千切りなどにして、茹でたり、炒めて食べるのが一般的です。
栽培してみた!プチヴェールの生長の様子
産直野菜のお店で出会ったプチヴェールがとても美味しくて気に入ったので、畑で育ててみました。栽培の様子をご紹介します。
苗の植え付け時期
プチヴェールの植え付け時期は夏で、苗で流通しています。温暖地と寒冷地では、植え付け時期に違いがあるので、お住まいの地域に合わせた植え付け時期に植えます。
秋冬野菜なので、適切な時期に植えて、本格的な寒さが来るまでに立派に生長させることができるかで収穫できる数に違いが出ます。
プランターでも栽培できますが、大きくなるので10号(30cm)以上の大きなプランターに一株植えがおすすめです。
植え付け初期のポイント
プチヴェールは、東京だと植え付け時期は真夏です。植え付け初期の真夏から秋にかけては、病害虫が多い時期。アブラナ科のプチヴェールは、モンシロチョウの幼虫であるアオムシの大好物なので、トンネル栽培でネットをかけました。それでもどこから侵入したのか、数株が虫のご飯に…… あわてて数株を植えなおすという事態に。
夏から秋にかけて何を頑張ったかといえば、虫のパトロールです(笑)
畑にまめに通って、葉の表裏のチェック。アオムシを見つけたら、ひたすら「手でトール」の日々が続きました。
適切な時期に植えて、初期の苗をある程度、害虫から守ることができれば、冬が近づくと上の葉はご覧のように美しい見た目に。花あしらいにも使いたくなる美しい葉です。
下の茎は太く立派になり、少しずつかわいいわき芽が。少しずつわき芽にぶつかりそうな下の葉を取り去る「下葉取り」を行います。ポイントは、上の葉は光合成をする大切な役目があるので、最低でも10枚以上は残すことです。
わき芽は少しずつ大きくなっていますが、まだ花のような形ではありません。本当に花のようになるんだろうかとちょっと不安な頃。
気温が低い時期のプチヴェールルージュ
わき芽が3~5cmほどになったら、親指と人差し指でプチヴェールをつまみながら折り取って収穫開始です!株の状態にもよりますが、一株で50~80個が収穫できます。
3月中旬以降のプチヴェールルージュ
真冬のプチヴェールルージュは、寒さにあたり、赤みが増し、濃いピンク色になります。それが急に気温が緩みだした3月の中旬、数日前とはまったく違った色合いに。とても美しい色の変化を見ることができました。自然って面白いですね。
3月になって気温が上がってくると、日々の生長のスピードが加速します。いっぺんに収穫するのではなく、少しずつ収穫できるのが楽しいし、持てあまさないので私向きでした。
栽培のポイントをまとめると、大切なのは植え付けの時期と害虫対策です。
真夏に植えたものと数週間たってから植えなおした株では、背丈がまったく変わり半分くらいのサイズに。茎の長さが短い分、収穫できるわき芽の数もかなり差がでました。
「秋冬野菜の植え付けが1週間遅れると、収穫は1か月遅れる」と言いますが、まさにその通りの結果になりました。
少しずつ流通量も増えているようです。お店で見かけたら料理に使ってみてくださいね。
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