エディブルガーデン12か月|2月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
今年から家庭菜園を始めようとしているみなさんと一緒に楽しいエディブルガーデン作り始めましょう。
さあ、エディブルガーデン12か月の始まりです!
目次
二十四節気〜2月は立春・雨水
〜立春〜
二十四節気は太陽の動きをもとにしています。この二十四節気の始まりが立春。
立春以降初めて吹く南寄りの強風を「春一番」といい、暦の上ではもう春です。
〜雨水〜
氷が解け始め、雪が雨に変わる頃です。春一番が吹き荒れ、草木が芽生える兆しが見えはじめ地域によってはウグイスが鳴きはじめます。
※春分、夏至、秋分、冬至などでおなじみの季節をあらわす二十四節気。季節と共に生長する植物たちにとってもゆかりの深い昔ながらの暦です。
家庭菜園〜2月の作業
家庭菜園で一番大切なのは、植物にとって土質・水はけ・酸度の3つが揃った良い環境を作ることです。
寒ざらし~耕す
晴耕雨読…1~2月にかけて晴れた風のない暖かい日を選び、寒ざらしといって土をざっくりと荒おこししましょう。
スコップで20~30㎝ほど掘り返し、1ヶ月ほど寒さに当て、土中の水分の凍結・解凍を繰り返すことで土が団粒化し、通気性の良い土に改良されます。同時に害虫・病原菌を除去することができます。
土質チェック
illustration:小野寺 葉月
〜手で握る〜
・固まらない…砂の割合が多い
・おにぎり位に固まり、指で押すともろく砕ける…良い土、団粒構造
・固まる(指でおして凹む)…粘土質、単粒構造、通気のない土
illustration:小野寺 葉月
〜指で押す〜
・フワッと指がめり込む…良い土
・カチカチに固まっている…有機物が少なく、通気不足
illustration:小野寺 葉月
〜目で見る〜
乾いた状態の物を一つかみ手に乗せてみる
・荒い砂状?
・団粒構造?
・粘土質?
illustration:小野寺 葉月
土にとって大切な「通気」「排水」「保水」を維持するためには、団粒構造のように大小の団子状の塊であるときに成り立つのです。
※団粒構造とは…土は元々とても小さい粒で出来ていて、その土がくっついて大小の団子状の塊(かたまり)になったものを団粒(だんりゅう)と呼びます。団粒が集まってできている土を団粒構造の土といいます。反対に単粒構造は、それぞれの土の粒がぎゅうぎゅう詰めになった状態で、空気があまり通ることが出来ず、根の呼吸が妨げられているような状態に陥っています。
水はけチェック
illustration:小野寺 葉月
〜水はけの良い土〜
雨がやんだ1~2日後に足を踏み入れてもめり込むはない。1~2日後土を掘っても土がほぐれる。
〜水はけの悪い土〜
2~3日後でも、ぬかるんで足がめり込む。2~4日後でも掘り上げた土がネバネバしてほぐれない。
近所の畑観察で水はけチェック!
例えばご近所の農家さんの畑の畝を観察してみてください。その畝は高畝ですか?それとも低い畝で育てられていますか?
家庭菜園の土壌改良
寒ざらしが終わったら、次は作物がより育ちやすい環境づくりのための土壌改良です。
酸性土壌の改良
illustration:小野寺 葉月
特に日本は雨が多く、土壌中のカルシウムやマグネシウムが消失しやすく、酸性に傾きがちと言われているので、酸性土壌の改良には石灰を投入する必要があります。
※酸度とは…単位はph(ペーハー)、酸性・中性・アルカリ性。土の酸度は環境により変わります。ほとんどの野菜はpH6.0~6.5の弱酸性の土を好みます。PH測定に挑戦
土壌の酸度測定
準備するもの
・蒸留水…バッテリー補充液1ℓで200円前後、なければ水道水でもある程度の精度で測定できます。
・測定液…700~2000円、もしくはph試験紙…300~800円
測定する土は、地面から5~10㎝の深さを移植ゴテで採取し、土:蒸留水=1:2.5の割でよく混ぜ、30秒後上澄み液で測定液やph試験紙で測定します。
その他に酸度を測定する機器もありますので、お近くのホームセンターでお買い求めください。
畑の雑草で酸度を見分ける
酸度を測るのはちょっとハードルが高いと感じている方には、下記の雑草が生えていると酸性に傾いていることが考えられるそうなので、ご自身のお庭に生えている雑草に注目してみてください。
スギナ
オオバコ
ハハコグサ
どれも無理!酸性に傾いているかよく分からないという方は、通常の土壌改良のための目安は1㎡当たり100g位の石灰を投入しましょう。
酸性土壌の改良
illustration:小野寺 葉月
さて、いよいよ酸性に傾いた土壌を改良するために石灰を投入します。この時注意したいのは、くれぐれも消石灰や苦土石灰の入れすぎには気を付けましょう。例えば、ジャガイモはアルカリ性に傾きすぎると「そうか病」にかかりやすくなります。極端な入れすぎには注意しましょう。
スコップ・クワ・レーキを使って30㎝ほど土を掘り返します。通常の目安は1㎡当たり100g位の石灰を投入します。phを1上げたい場合、1㎡当たり150~200gの石灰を投入すると良いでしょう。
分量に自信のない方は牡蠣殻のような有機石灰をおすすめします。有機石灰は多少入れすぎてもアルカリ性に傾きすぎることなく、それ以上は土壌中に溶け出さない性質を持っているので初心者の方に安心です。
また、有機石灰以外の石灰は肥料・堆肥(肥料込)と一緒になると窒素がアンモニアガスとなって消失してしまうので、遅くとも肥料・堆肥(肥料込)を投入する1~2週間前には石灰を入れ土に馴染ませておきましょう。
堆肥による土壌改良
illustration:小野寺 葉月
先ほどの土質チェックで問題のある土壌を堆肥などの土壌改良材を入れて改善します。堆肥の投入は土が適度に乾いているときに行うとすき込みやすいでしょう。
粘土質改良
堆肥や緑肥、パーライトの投入します。パーライトは多孔質の構造となっています。そのため、通気性と水はけの改良が期待できます。
砂質土壌改良
堆肥や緑肥、バーミキュライトやゼオライトの投入します。バーミキュライトは層の隙間が大きいため、乾燥した状態では空気が入り通気性に優れ、その層の隙間に水が入ると保水機能が高いので水持ちのよい土壌になります。
土壌改良材以外の水はけ改良
水はけの悪い場所にさ30cmほどの溝を掘って地下に設ける水路「暗渠(あんきょ)」を作ります。土中に小石などを入れ、水の通り道を作ることです。他の方法として、畑となる地面の上に盛り土をして畝を高くすることにより、排水性を高める方法です
家庭菜園はじめてさんの土・プランター準備
illustration:小野寺 葉月
初心者さんには断然用土と肥料がバランスよく配合されている市販の培養土がおすすめです。酸度も調整されているか確認しましょう。
培養土を選ぶポイント
・メーカー名、所在地が明記されていること
・土に混ぜてある主な原材料を確認
・PHの値の確認
・適用植物の項をチェック
・肥料の有無の確認
土が同じ容量(ℓ)なら軽い方の土を選ぶと作業しやすいでしょう。
自分で土を配合するなら
赤玉土、腐葉土、バーミキュライト、パーライト等を作物の特性に合わせて配合します。
ベテランさんは昨年度から使用している土などを良質な「団粒構造の土」目指して、赤玉土などをご自身で配合して土づくりを楽しんでください。
プランターの準備
あくまで目安です。ご家庭で使用しているもので構いません。
プランターの大きさは作物の大きさによって決まります。根菜類などはある程度プランターの深さが欲しいですね。
プランターの大きさの目安
・葉物類・ミニ野菜~プランター5ℓ(27×14×高さ13㎝)
・果菜類~10号鉢(30㎝)8.4ℓ、プランター22ℓ(48×32×高さ26㎝)
・根菜類~プランター40ℓ(73×41×高さ26㎝)(根の長さに応じたもの)
春にまく種の準備
種苗店、園芸店、ホームセンターに種やガーデニンググッズが出始めます。
同じ野菜の種類でも、品種によって栽培スケジュールが異なるものです。しっかりと種袋の裏面を確認しましょう。
家庭菜園はじめてさんにもおすすめ~2月にまける種
いずれも時期は目安です。種袋の裏を見て品種や地域ごとの違いを確認してください。種まきは厳寒期を避けるか、出芽まで室内で育てるようにすると成功しやすいです。
ベビーリーフ
ラディッシュ
いかがでしたが?
二十四節気とともに始まるみなさんの2月からの菜園のスタートが素晴らしいものになりますように!
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