サトイモ(里芋)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- サトイモ(里芋)
- 学名
Colocasia esculenta
- 英名
- taro
- 科名
- サトイモ科
- 属名
- サトイモ属
- 原産地
- 東南アジア
サトイモ(里芋)の特徴
サトイモはとても古くから栽培されている野菜です。日本では稲作以前の縄文後期にはすでに存在していました。山の芋に対して、里で育てられるためサトイモ(里芋)と呼ばれるようになりました。
サトイモは土の中にできる芋を食べるのですが、根のように見えて実は茎が肥大した地下茎を主に食用としています。株の中心に親イモができ、その周りに子イモ、孫イモがつきます。品種によって、親イモを主に食べるもの、子イモを主に食べるもの、親イモ・子イモ両方食べるもの、葉柄(ずいき)も食べられるもの、葉柄(ずいき)のみ食べるものがあります。産地や栽培状況によって草丈の大きさも葉の大きさもかなり変わります。
サトイモは高温多湿を好むため、地上部は霜に当たると枯れてしまいます。そのため、寒冷地である北海道での収穫は困難だといわれています。病害虫に強く日陰でもある程度育ち、土質も選ばないためとても栽培しやすい野菜です。ただ、乾燥にはとても弱いので水切れには注意しましょう。
サトイモは、親イモに子イモがたくさん付くことから、豊作や子孫繁栄の象徴とされ「子宝に恵まれるように」という願いを込めてお正月のおせち料理にも使われます。「八つ頭」という品種は、親イモと子イモがくっついていて、頭が8つあるように見えることからその名が付いていますが、末広がりの「八」が付いていることもあって縁起物とされ、「人の上(頭)に立てるように」という出世祈願としておせち料理に加えられることもあります。
サトイモ(里芋)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
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草丈・樹高 | 80~150cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや強い |
花色 | 黄色(稀に咲く) |
開花時期 | 8月~9月頃(稀に咲く) |
サトイモ(里芋)の種類
土垂(どだれ)
関東地方で多く栽培される里芋。主に子イモを食用とする品種です。
たけのこいも(京いも)
たけのこに似ているためその名が付きました。子イモがほとんどできず、親イモがたけのこのように地上に頭を出します。親イモを食用とする品種です。
八つ頭
親イモと子イモがくっついて1つの塊になっている里芋。親イモと子イモの両方を食用とする品種です。
セレベス
インドネシアのセレベス島から伝わった里芋。芽が赤いことが特徴的です。親イモと子イモの両方を食用とする品種です。
はす芋
里芋の近縁種で、土の中の部分は大きくならず、葉柄部分のみを食用とするために栽培されている品種です。
サトイモの花言葉
サトイモの保存方法
常温保存
サトイモは高温多湿の気候を好む野菜なので冷蔵庫で保存はしません。冷蔵庫に入れて保存すると、低温障害を起こしかえって早く痛んでしまいます。乾燥を嫌う性質も持っているため、土をすべて洗い落としてしまうと乾燥し品質が低下します。サトイモを収穫した後は、土がついたまま新聞紙などにくるんで風通しの良い冷暗所に保存しましょう。
冷凍保存
ゆでたサトイモの皮をむいてから密封袋に入れて冷凍保存するか、生のままサトイモの皮をむいて、軽く塩をまぶしヌメリを取るように水洗いし、水気をしっかりと切ってから密封袋に入れて冷凍保存します。使う時は解凍せず凍ったまま調理に使用しましょう。
サトイモ(里芋)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
収穫 |
サトイモ(里芋)の栽培環境
日当たり・置き場所
サトイモは日当たりと風通しの良い環境を好みますが、日陰にも耐えることができます。
温度
サトイモの生育適温は25~30℃です。高温多湿の環境を好みます。
用土
サトイモは、連作障害が出やすい野菜です。サトイモを栽培した土や同じ場所には、少なくとも3~4年は間をあけてから植え付けましょう。
プランター栽培のサトイモは、野菜用の培養土で育てます。
畑栽培のサトイモは、事前に土中の石などをきれいに取り除き、畑の土が酸性に傾いている場合は、植え付ける2週間前くらいに石灰(苦土石灰・消石灰)をまいて深く耕します。その1週間後に堆肥と元肥を土に混ぜ込んでなじませましょう。雨の多い日本の土は、ほとんどが酸性よりと言われているため石灰をまくことが多いですが、酸度計を使って土のpHを調べることもできます。
石灰(苦土石灰・消石灰)をまいてから、堆肥と元肥を混ぜるまで1週間あける理由は、石灰と窒素分を含む肥料を合わせると、窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうためです。
時間が無くて日数が取れない場合は、有機石灰と完熟堆肥、有機元肥を使うといっぺんに混ぜ込んですぐに植え付けをすることができます。
サトイモ(里芋)の育て方のポイント
水やり
サトイモは多湿を好みます。特に夏の乾燥時期は水を切らさないように、充分な水やりを心がけましょう。
畑でサトイモを栽培する際は、敷き草やわらなどでマルチをして土壌の乾燥を防ぐことも効果的な方法です。
肥料
追肥は、植え付け後1か月毎に1回与えましょう。
サトイモ(里芋)の詳しい育て方
選び方
50g前後の重さで、ふっくらとした形の良い傷がついていない種イモを選びます。
植え付け
サトイモは、気温が15℃以上になった頃に植え付けます。
株間は30cm程の間隔をあけます。深さ10cm程の穴を掘り、種イモの芽を上に向けて植え付けます。種イモに5cmほどの厚みの覆土をします。
中耕
5月下旬~6月上旬にかけて中耕をします。
※中耕とは、作物の生育中に降水などより固まった土壌を軽くほぐすことで、通気性と水はけを改善し根の生長を助ける作業を意味します。
土寄せ
6月中旬頃は土寄せを行います。
※土寄せとは、株元に光が当たると変色してしまう野菜(サトイモ、じゃがいもなど)の株元に土を盛ることをさします。肥料を用土に混ぜ込むことができるので追肥の作業と一緒に行います。また、子イモから出てきた小さな芽をそのままにしておくと、細長くて質の悪い里芋(サトイモ)ができるため、小さな芽は土寄せをするときに株元から外側に倒して埋めておきましょう。
花
黄色いカラーに似た花を咲かせますが、サトイモの花が咲くのはとても稀です。
収穫
気温が下がり、葉が枯れてくる秋頃がサトイモの収穫の時期です。葉と茎を切り取り、土の中のサトイモを掘り出します。
株元のすぐ下にある大きなサトイモが「親イモ」。そのまわりについているサトイモが「子イモ」。子イモのまわりについているのが「孫イモ」といいます。いずれも塊からねじりとるようにしてはずします。
次の年に使う種イモは土の中に保存します。
冬越し
サトイモの地上部は冬越しできませんが、種イモは土の中で冬を越します。