秋植え球根の植え方テクニック・楽しみ方|球根屋さんドットコム・井上まゆ美さん
更新
公開

チューリップなどの秋植え球根のシーズンがやってきます。今年はどんな球根を植えますか? 今回は、通好みのおしゃれで珍しい球根を取り扱うネットショップ「球根屋さんドットコム」代表・井上まゆ美さんに、秋植え球根の植え付けテクニックや様々な楽しみ方を教えていただきました。「一気に豪華に咲かせるコツ」「長く楽しむ工夫」「ダブルデッカー」「花束植え」「アイスチューリップ」「水耕栽培」など、実践的なアイデアが満載です。ぜひ秋のガーデニングの参考にしてくださいね。
取材・写真協力/球根屋さんドットコム 井上まゆ美さん
目次
- 秋植え球根を植えるときに注意すること
- 春に球根の花を一気に豪華に咲かせるには
- 春に球根の花を長い期間楽しむには
- 種まき×球根でつくる春の庭
- 球根の花を美しく咲かせるテクニック
- 秋植え球根を気軽に楽しむには
- アイスチューリップとは
- 井上まゆ美さんのご紹介
秋植え球根を植えるときに注意すること

編集部:
秋植え球根を植えるときに「これだけは押さえておきたい!」という注意点はありますか?
井上さん:
はい、いくつか大切なポイントがありますよ。まず知っておいてほしいのが植え付けのタイミングです。早く植えたくなりますが、まだ暑さが残る時期に植えてしまうと、土の中で球根が傷む原因になってしまうんです。地温がぐっと下がって安定する時期がベストなので、温暖地なら11月頃、寒冷地なら10月頃を目安にしてみてくださいね。
編集部:早く植えたい気持ちをこらえて、しっかり秋めくのを待つのがコツなんですね。他にも注意することはありますか?
井上さん:
あと、チューリップの球根は「皮をむいて」植えるのがおすすめです! 皮をむくと発根が促されて開花時期がそろうんですよ。
編集部:
植える深さや、鉢選びはどうでしょうか?
井上さん:
地植えする場合は、球根の大きさの3倍くらいの深さに植えるのが基本です。鉢植えの場合は、根が伸びていけるように「深さがある鉢」を選んであげることが大切です。
春に球根の花を一気に豪華に咲かせるには

編集部:
春に、とにかく豪華に一斉に花を咲かせるにはどうしたらいいでしょう?
井上さん:
テーマパークみたいな圧巻の景色を作りたいときですね! それなら、開花時期が同じ球根だけを集めて植えるといいですよ。
実は、チューリップをはじめとする球根には大きく分けると、「早咲き」(春の訪れとともに咲く)、「中春咲き」(メインシーズンに咲く)、「遅咲き」(春の後半に咲く)の3つのグループがあります。
この「咲く時期の組み合わせ」次第で、お庭の魅せ方を自由自在にコントロールできるんですよ。例えば「早咲き系だけ」「遅咲き系だけ」と時期を揃えてあげると、同じタイミングで一斉に見事な満開になります。同じ時期の中に「一重咲き」「八重咲き」「クラウン咲き」などの品種を混ぜると、豪華で見ごたえ抜群になりますよ。
春に球根の花を長い期間楽しむには

編集部:
逆に「春にできるだけ長い間、花を楽しみたい!」という場合はどうでしょうか?
井上さん:
そんなときには、開花時期をずらして植える「リレー咲き」がおすすめです。
「早咲き」と「遅咲き」を一緒に植えておくと、早咲きが終わる頃に遅咲きがちょうどバトンを受け取るように咲き始めます。「早咲き・中春咲き・遅咲き」を全部ミックスしておけば、春の訪れから終わりまで、次々と新しい花が咲き誇る表情豊かで飽きないお庭になりますよ。
編集部:
なるほど!「咲く時期の選び方」がポイントなんですね。
井上さん:
そうなんです!なので「球根屋さんドットコム」のサイトでも、開花時期別にお選びいただけるようにカテゴリを分けて掲載しているんですよ。
編集部:
春のお庭をどんな風にしたいか想像しながら球根を選ぶ時間も、秋のガーデニングの醍醐味ですね。
種まき×球根でつくる春の庭
編集部:
球根と他の植物を組み合わせるおすすめのアイデアはありますか?
井上さん:
球根と一緒に「種まき」を組み合わせる方法もありますよ。
秋のうちにネモフィラやイングリッシュデージー、ノースポールといった草花の種を土にパパッとまいておいて、同じ場所に球根を植えておくんです。そうすると春には、可愛い草花のじゅうたんの間から、チューリップが顔を出して咲いてくれるんですよ!
公園やお庭で実際にやったことがあるんですが、本当に華やかで可愛らしくて! 種をまいて球根を埋めておくだけで、春に素敵な景色が完成するので、ぜひ試してみてほしい植え方です。

井上さん:
これは鉢植えの例ですが、秋にパンジー、ナデシコ、ヒューケラの苗とチューリップの球根を植え付け、土の部分に「わすれな草」の種をまいたところです。

井上さん:
春になるとチューリップとわすれな草が咲き、移り変わりを楽しめる華やかな鉢植えになりました!

井上さん:
これは、秋にガザニア「シルバー」、クローバーの苗とチューリップの球根を植え付け、土の部分に「ネモフィラ」の種をまいた鉢です。

井上さん:
こちらも、春になるとチューリップとネモフィラが咲き、ボリュームのある鉢植えになりました!
球根の花を美しく咲かせるテクニック
編集部:
秋植え球根の花を、より美しく咲かせるテクニックはありますか?

井上さん:
それなら、球根の「向き」を揃えて植えるといいですよ!
チューリップの球根を上からよく見てみると、「膨らんだ側」と「平べったい側」があります。実はこの向きによって、葉が広がる方向が決まっているんです。植えるときに向きをそろえてあげると、葉が重なり合うことがなく、すっきりと美しく咲きそろいます。
編集部:
他にも何かテクニックはありますか?

井上さん:
鉢植えだと、ダブルデッカーやトリプルデッカーの植え方がありますね。
イギリス生まれの植え付けテクニックで、一言で言うと「球根の2段植えや3段植え」のことなんです。ロンドン名物の2階建てバス(ダブルデッカー)から名付けられたんですよ。鉢の深さを活かして、土の中に2つの層を作って球根を植えるのが「ダブルデッカー」、3つの層にするのが「トリプルデッカー」です。
開花時期が異なる球根を植えておくと、春には同じ鉢から次々と花が咲く鉢植えがつくれますよ。
編集部:
「花束植え」という植え方もあるとお聞きしたのですが、これは一体どんな植え方なんですか?

井上さん:
はい。球根を倒して、尖った部分を中央に向けて並べて植えると、芽が伸びたときに根元がキュッと一か所に集まって、咲いた姿がまるで花束(ブーケ)のようになるんですよ!

編集部:
鉢の中にぎゅっと花が集まって咲く姿が、まさに「花束」なのですね。素敵です!
秋植え球根を気軽に楽しむには
編集部:
室内で楽しむなど、さらに気軽に秋植え球根を楽しむ方法はありますか?
井上さん:
室内だったら、ヒヤシンスなどでおなじみの「水耕栽培」がぴったりです!土を使わず水だけで育てられるので、キッチンやお部屋で気軽に楽しめますよ。
初心者の方には「芽出し球根」から育てる方法もおすすめです。あらかじめポットなどで芽を出させた状態で販売されている球根のことですが、まだ気温の低い冬の時期から店頭に並び始めるので、芽が伸びて咲き進む姿までゆっくりと長い期間楽しめるのも魅力なんですよ。
編集部:
水耕栽培はインテリアとしても素敵ですね!
芽出し球根なら、これからガーデニングを始めたい初心者の方でも安心して挑戦できますし、「秋にうっかり球根を植えそびれちゃった!」という方でも十分間に合うのが嬉しいですね。
アイスチューリップとは

井上さん:
アイスチューリップって聞いたことありますか?
「促成栽培(そくせいさいばい)」という技術を使って、一足早く冬に咲かせているチューリップのことなんですよ。球根を冷やして「厳しい冬を経験したよ」と勘違いさせておき、そこから外に出すと、球根が「あ、春が来た!」と錯覚して一気に芽を伸ばし、花を咲かせるという面白い仕組みなんです。
編集部:
面白いですよね。家でもアイスチューリップを育てることができますか?
井上さん:
球根を植えて芽が出た状態のアイスチューリップが、11月中旬頃から流通し始めるので、それをそのままお庭や鉢に植えてあげると、12月〜1月頃に見事な花を咲かせてくれますよ。
編集部:
冬にチューリップが咲くなんて、びっくりしますよね!

井上さん:そうなんですよ!本来なら3月下旬〜5月に咲くはずの花ですからね。
しかも、春のチューリップは1週間〜10日ほどで咲き終わってしまいますが、アイスチューリップは気温が低い冬に咲くので、なんと1か月近くもきれいな姿を保ってくれるんです!冬の澄んだ空気の中で長く愛でられるのも、アイスチューリップならではの贅沢な魅力ですね。
井上まゆ美さん、思わず今すぐ秋のガーデニングに取りかかりたくなるような、楽しくてためになるお話をありがとうございました!
球根への深い情熱からこの世界に入られたという井上さん。始終笑顔で魅力を語ってくださる姿に、こちらまで胸が躍ってしまいました。一気に豪華に咲かせるコツや、水耕栽培、アイスチューリップなど、秋植え球根の楽しみ方はまさに無限大ですね!
ぜひ「球根屋さんドットコム」を訪れて、お気に入りの球根や理想の春のお庭をつくるヒントを探してみてくださいね。
【テレビ出演情報】
2026年11月1日放送(11月6日再放送)のNHK「趣味の園芸」に、井上まゆ美さんが「球根の楽しみ方」でご出演されます。どうぞお見逃しなく!
井上まゆ美さんのご紹介

井上まゆ美
園芸家、ガーデンデザイナー、ガーデニングコンサルタント
(株)河野自然園代表取締役 日本ガーデンデザイン専門学校非常勤講師
植物の魅力を活かしきったシックでおしゃれな寄せ植えやハンギングバスケットで定評がある。講習会には全国から受講生が集まり、受講生からは各種コンテストの入賞者を多く輩出し、指導者としても高く評価されている。ガーデンデザインやガーデンコンサルタントとして、個人庭の庭づくりから街の緑化まで幅広く活動。
かわさき緑化フェアでは、市役所前通りのハンギングバスケットの修景、よこはま緑化フェアでは、234番館、象の鼻パークのコンテストガーデン、掃部山公園のハンギングバスケット他の緑化を手掛け、現在まで、山下公園、グランモール公園、ズーラシア、新横浜の駅前のハンギングバスケット緑化他、多くの植栽とメンテナンスを行っている。また、山形県酒田市役所と提携し、街並みの緑化事業を2019年より現在も続けている。

著書
「美しく長く楽しむはじめての花の寄せ植え」
「簡単DIYでできる花壇と寄せ植え」
「長くきれいに楽しむハンギングバスケット寄せ植えの法則」
「ジュエリープランツのおしゃれ寄せ植え」
「小さな球根で楽しむナチュラルガーデニング」他、共著もふくめて多数執筆し、2007年より「園芸ガイド」誌に、2022年より「趣味の園芸」他にも数多く掲載される。
▼井上まゆ美さんのおすすめ記事はこちら









































