「実生(みしょう)」って何?森林や身近な場所にもたくさんあります!
小野寺葉月
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「実生」という言葉を本やインターネットなどで見たことがありますか?「みしょう・みばえ」と読みます。実生とは、種から発芽して生長している植物のことを言います。「挿し木・接ぎ木」に対して使われる言葉です。
目次
実生(みしょう)とは?
「タネから発芽したての状態・子葉などがある状態」を指す言葉です。あまり聞きなれない言葉なのですが実生のことをいろいろと調べてみました。
実生は育つのか
森林ではたくさんの実生が見られますが、日当たりやその他諸条件により、春に発芽したものも大部分は秋までに枯れてしまいます。そこからさらに冬をこえ、生長し、森林の上部に葉が顔を出すようになるまで成長するのはほんの少しなんだそう。
身近にある実生
実はこの実生、街中や公園、お家の鉢植えの中なんかにもたくさんあるんです。ちなみに実生の場合は成木と葉の形なども異なる場合が多いため、図鑑などではわからないこともしばしば。最近実生の問題に上がるのがシマトネリコです。街路樹やマンションの植栽に人気の種ですが、種を鈴なりにつけるので、その種が風に飛ばされてそこここで発芽し、実生となるのです。
土から顔を出したばかりのシマトネリコの実生は、枝ぶりや葉のつき方も成木と変わらず、ミニチュアみたいでかわいらしいのですが、何と言っても生長する勢いが激しく、すぐに背丈が伸びます。
ツツジの植え込みなどで少し背の高い枝が伸び出るな、と思ったら50cm近く伸びているトネリコだった、なんてことも。あまりに実生が激しいため、自治体によっては街路樹や大型マンションには植栽として使用を禁じているところもあるんだとか。たしかにシマトネリコの実生、小さいうちはするっと根まで抜けますが、50cm位になるとまるで「おおきなかぶ」状態。うんとこしょ、どっこいしょ・・・でやっと抜ける状態なのです。種がまかれ、芽吹き育つのは自然のことなので、抜かれるシマトネリコには申し訳ないと思いつつ抜くのですが・・・。
実生は盆栽用語でもある
そんな抜いた実生は、小さいものであれば一から仕立てられる利点があるため、盆栽に使うことも出来ます。
サボテン用語でもある
サボテン用語でもある実生。私はサボテンに詳しくないのでよく知らなかったのですが、なんとサボテンも種から育てることができるんだとか。社内でサボテンを発芽させて育てているライターの峰さんが社内の温室で育てているメロカクタスを見せてくださいました。
メロカクタス、発芽して1ヶ月です!頭には立派なとげをたくわえています。このケースは名刺が入っていたケースを再利用して作られています。
メロカクタス、種から発芽して6ヶ月です。立ち上がり、とげの数も増えました。
種はどこからやってくるのか
種は、それぞれに生存戦略として、普通に落ちるもの(重力散布)、風に乗って飛ぶもの(風散布)や水に流されるもの(水散布)、鳥や動物に食べられてフンに交じってまかれるもの、動物の毛について運ばれるもの(動物散布)、果実がはじけて種子をとばす(自動散布)など様々です。街中にある実生のだいたいはその近辺にありますが、たまに「はて?どこから来たかな?」というものがあります。私の働いていた屋上庭園にも、植えた覚えのないツワブキやヤツデが生えており、おそらく鳥のフンなどから発芽したのでは・・・と思っています。
実生の柚子
一般的に出回っている柚子は、接ぎ木で栽培しているものがほとんどなのだそう。
カラタチの木に柚子を接木して、だいたい4~5年で収穫できるのだとか。本来、柚子の木は植えてから実が収穫できるようになるまで、なんと15年から20年もかかるそうです。
「桃栗3年、柿8年、梅はすいすい13年、柚子は大バカ18年、りんごニコニコ25年、女房の不作は60年、亭主の不作はこれまた一生、あーこりゃこりゃ」
桃栗3年柿8年・・・の続きはこんな長かったのですね!後半は何とも言えない感じですが・・・実生の柚子とは、接木ではなく種から発芽して、15~20年ほどの年月をかけて実を付けた柚子・・・のことなんだそう。大阪箕面市の特産品で、「実生の柚子」をブランディングした化粧品や食品があるそうです。
いかがでしたか?普段見ている街中の植物も実生かもしれない・・・そう思ってみるとちょっと壮大でファンタスティックに見えてくるかも?!
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