イングリッシュガーデンって何? お庭の作り方や植物の種類などをご紹介

森野陽子
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一年を通して花を楽しめるイングリッシュガーデンは、ガーデナーの憧れです。イングリッシュガーデンの作り方やお花の選び方などを簡単に紹介します。
目次
イングリッシュガーデンって何?
イングリッシュガーデンとは、ガーデニングが盛んなイギリスでよくみられる自然美をたたえる庭のことを言います。田舎の風景が庭で楽しめるように作られるコテージガーデンやカントリーガーデンといった言葉も似たような意味合いです。18世紀~19世紀に始まったイギリス式庭園(風景式庭園)の流れを汲んだもので、イタリア式庭園やフランス式庭園の幾何学的な様式とは異なり、自然のままの植物や花を楽しめる庭です。
イングリッシュガーデンの作り方
イングリッシュガーデンは自然な雰囲気を楽しむ庭です。自分の好きな花をどのように植えようか、自由な発想が楽しい庭です。しかし、自然なままと言っても、植物の特性を知り、バランスなどを計画することも必要です。それをしないと、荒れ果てた庭になってしまいます。手入れをしているのに、自然風に見せるところにイングリッシュガーデンの醍醐味があります。イングリッシュガーデン作りの3つのポイントをご紹介。
1.ボーダーガーデンを作ってみよう
イングリッシュガーデンの代表的なスタイルにボーダーガーデンがあります。これは建物の塀や小道に沿って手前から奥にかけて高くなるように植物を配置して作ります。こうすることで、庭に広がりや奥行きをもたせ、自然な雰囲気をつくることができます。ボーダーの幅は1~2mあれば大丈夫です。
2.イングリッシュガーデンは色彩が大切
あなたの好きな花の色は何色ですか?イングリッシュガーデンは、自然を感じる庭。どんな花を植えてもOKです。しかし、そこで大切になるのが植物の色です。色合いを同系色でそろえて配植すると、まとまりのある庭になります。また、花が咲く時期が1か所にまとまらないよう、季節ごとにずらして境界を作りながら配植することで、1年を通して花を楽しむことができます。
3.エクステリアは自然素材を使おう
イングリッシュガーデンには自然素材が似合います。小道にはレンガやテラコッタタイルを据えたり、庭に置くベンチやテーブルも木製で。また小物もブリキやアイアンなどなるべく自然素材で統一するとよいでしょう。
イングリッシュガーデンにおすすめの植物
1年を通して庭を彩るよう、様々な種類の花(宿根草・球根・1年草)を植えてみましょう。
ボーダーガーデンの手前には華やかな種類の1、2年草(キンギョソウやパンジー、ビオラ、ストック、カンパニュラなど)を。その後ろにはチューリップやガーベラ、アリウム、クリスマスローズといった球根や宿根草を植えます。
一番高い場所に植える代表的な植物には、デルフィニウムやルピナスやコニファーといったものがあります。
日陰にはギボウシのような存在感のある葉っぱを植えておくと、庭の景観をぐっと引き締めてくれます。
しかし、ジキタリスやデルフィニウムなどのイギリスの花は日本の夏に耐えられないものも多いので、ワレモコウやツバキ、ボタン、山野草など日本の植物を植えてみても意外と似合うものです。
イングリッシュガーデンにおすすめ!バラやハーブを植えてみよう!
バラはイングリッシュガーデンの代名詞ともいえるものです。絶対に植えなければならないというものではありませんが、華やかな印象が庭のシンボル的なものとなるので植えてみると楽しいかもしれません。その時、なるべく1本で主張の強い花でなく、野に咲くような小ぶりのオールドローズやスプレータイプのバラ、モッコウバラなどを選ぶのもよいでしょう。
▼モッコウバラについてはこちら
モッコウバラ
- モッコウバラは中国原産の常緑低木、一季咲きのつるバラです。モッコウバラは非常に強健で、病害虫の被害の少ない育てやすいバラです。 モッコウバラの開花期は4~5月です。花色は白かカスタードクリームのような淡い黄色で、咲き方には一重と八重咲きがあります。直径2~3cm程度の小ぶりな花を、枝の先に5~10輪くらい房のようにたわわに咲かせます。春に枝先が花の重みで弓なりにたわんで開花している姿は美しく、道行く人の目を捉えます。 モッコウバラは強健であると同時に生育も旺盛で、10mくらいにまで生長します。花が終わったら早めに剪定を行い樹形を整えることと、適宜誘引を行い枝が暴れないように管理する必要があります。
相性のよいつる性のクレマチスもそばに植えておくとより華やかな庭になります。また、ラベンダーやチェリーセージなどのハーブは目にも色彩がやさしく、香りはアロマ効果をもたらしてくれます。バラは病害虫がつきやすいのが悩みの種ですが、病気に強い品種もありますし、防虫効果のあるスプレーを定期的に撒いておくとよいでしょう。
▼ラベンダーについてはこちら
ラベンダー
- ラベンダーは地中海沿岸原産の常緑低木。ハーブの女王とも呼ばれ、癒しのフローラル系の香りが人気のハーブです。ヨーロッパでは古くから栽培され、お風呂や衣類の香りづけなど日常の暮らしの中で利用されてきました。花の色は薄紫や濃い紫、白があり、葉には芳香があります。ハーブとして蒸留して得られたオイルは香水などの成分となり、花を乾燥させたものはポプリやハーブティーとして利用できます。 ラベンダーの語源は、lavareという「洗う」を意味するラテン語だと言われています。その精油はリラックスや精神安定にも使われており、とても人気があります。「万能の精油」ともいわれ、アロマテラピーでもっとも広く利用される精油です。ラベンダーにはイングリッシュラベンダーやフレンチラベンダーなど種類がたくさんあり、種類ごとに精油が作られているため、ラベンダーと名のつく精油はたくさんあります。 ラベンダーは地中海沿岸が原産地のため、高温多湿を嫌う性質です。風通し良く、蒸れないように世話をすれば次第に大株になり、良い香りのする花を毎年咲かせて楽しませてくれます。
イングリッシュガーデンの管理ポイント
バランスよく作られたイングリッシュガーデンは管理もしやすいものとなります。庭を作る際、植物は春に植え始めることがよいでしょう。そのときには、種類ごとに間隔をあけて植えます。秋に追肥をしてあげて、冬に剪定や球根の株分けをします。根本にはウッドチップを置いたりすると、雑草がしげらずにすみます。リュウノヒゲやハナニラのようなグラウンドカバープランツを植えてもよいでしょう。
水やりは必要ですが、あげすぎると根腐れを起こしてしまうので、水はけのよい土をつくることが大切です。水をあげる時間も夏場は水が煮立たないよう夕方にあげます。冬は土が凍らないように夜に水をあげるのはさけましょう。また、植物が病気になっていないか、害虫がいないかなど、こまめにチェックしてあげてください。
▼ハナニラについてはこちら
ハナニラ(イフェイオン)
- ハナニラは、3月~4月に星形の花が開花する球根植物です。葉がニラの香りがすることが名前の由来ですが、葉に触れない限りは匂いません。 秋に球根を植えると翌春開花し、開花後の球根は植えっぱなしにできます。庭や花壇などに地植えにした場合は、球根を植え付ければその後の管理は不要です。植え付けた球根は分球し、年を追うごとに花数が増えていき、群生させると目を引きます。植えっぱなし球根の中でも最もほったらかしで管理できるので花壇や落葉樹の足元、空いているスペースなどに植えておくと重宝します。 ハナニラは光に反応する性質で、夜や曇り、雨の日は花が開きません。太陽に向かって花を咲かせるため、朝は東、午後は真上、夜は西を向き、時間帯によって花の向きが動く特徴があります。 基本種の淡い紫色をはじめ、さまざまな園芸品種があり、白、紫系濃淡、ピンクなど花色が豊富です。主な開花時期は3月~4月ですが、少し早い2月~3月に咲く黄花ハナニラや12月頃から咲き始めるイフェイオン・パルビフローラなどもあります。
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