アジサイ(紫陽花)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- アジサイ(紫陽花)
- 学名
Hydrangea macrophylla
- 英名
- Hydrangea
- 和名
- 紫陽花
- 科名
- アジサイ科
- 属名
- アジサイ属
- 原産地
- 日本
アジサイ(紫陽花)の特徴
アジサイは、日本原産のアジサイ科落葉低木。日本原産のガクアジサイが西洋に渡り、品種改良を重ね、西洋アジサイとして日本に逆輸入されてきた歴史があります。
最近は、西洋アジサイ、ガクアジサイともに、品種、形、色の種類が豊富にあり、色や咲き方に魅力のある新品種が毎年のように作出されています。
アジサイの栽培は剪定にコツがありますが、基本的には簡単です。一度植え付ければ、長い間楽しめる寿命の長い植物で、年々花数が増えて見事になります。
主な開花時期は梅雨の季節の初夏ですが、種類によっては四季咲き性のあるものもあります。開花したてから咲き終わりまで美しく色が変化するものが多く、雨の多い季節に美しい色どりや表情を見せてくれます。
最近は、切り花としての流通も多く、輸入ものを含めるとほぼ通年出回る花材になっています。
アジサイ(紫陽花)の詳細情報
園芸分類 | 庭木 |
---|---|
草丈・樹高 | 30cm~3m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
花色 | 青、紫、ピンク、白、グリーン、複色、アンティークカラー |
開花時期 | 5月~7月 |
アジサイ(紫陽花)の花言葉
秋色アジサイとは
秋色系アジサイ・長崎の恋
秋色アジサイとは品種名ではなく、通常のアジサイの開花時期である初夏に咲いた花が、気温の変化などによって、時間をかけてアンティークカラーの色あいに変化した状態のことを言います。
マジカル系アジサイ
新しく品種改良されてできたアジサイの中には、西安(シーアン)やマジカル系などきれいな秋色に変化するように作られている品種もあります。
アジサイ(紫陽花)の仲間
アナベル
アナベルはアメリカアジサイやアメリカノリノキの別名を持つアジサイの仲間。初夏に20~30cmの大輪の花が開花し、花の色は最初はグリーン、咲き進むにしたがって白に変化、秋にかけて秋色グリーンへと色が変わります。新枝咲きのため、秋まで花を剪定せずに楽しめる利点があります。
柏葉アジサイ(カシワバアジサイ)
カシワバアジサイは葉が柏の葉に似たアジサイ科の落葉低木で、花はピラミッドの形をしています。咲き始めはグリーンがかった色、そこから徐々に白に変化します。秋の紅葉も美しい花木です。
ノリウツギ
ノリウツギは、別名ピラミッドアジサイとも呼ばれるアジサイ科の落葉低木。ノリウツギの開花時期は、西洋アジサイより少し遅い7月頃から開花が始まります。アジサイと違い新枝咲きのアジサイのため、秋まで花を剪定せずに楽しめる利点があります。
アジサイ(紫陽花)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
剪定 | ||||||||||||
開花 |
アジサイ(紫陽花)の栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりが良い場所から半日陰程度の風通しの良い場所が適しています。
真夏の直射日光が強すぎると、葉焼けする場合があります。真夏以外は日当たりが良く、真夏は半日陰程度の場所が適当です。
用土
アジサイはあまり土壌を選ばない強健な植物です。鉢植えのアジサイは、水はけが良く保水性の高い用土に植え付けましょう。
アジサイの花の色
アジサイは土壌で花色を変えるという性質があり、ピンクの花はアルカリ性の土壌、青い花は酸性の土壌で咲きます。白系のアジサイは、土壌によって変化はありません。
出したい花色によって土壌を酸性にするのかアルカリ性にするのかを選びましょう。最近はアジサイの花色に合わせてブレンドされた専用の培養土も市販されています。
アジサイ(紫陽花)の育て方のポイント
水やり
地植えのアジサイ(紫陽花)
根付いてからは、水やりの必要はありません。乾燥が数日続くような時は、様子を見て与えましょう。
鉢植えのアジサイ(紫陽花)
春~秋は、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。水切れや乾燥は、株が弱ったり、花が咲かない原因になります。
真夏は、土の様子をみて乾燥していたら夕方にも与えましょう。
冬場のアジサイ(紫陽花)
落葉して枯れ木のような見た目になります。見た目は枯れ木でも根は生きているので水やりは必要です。夏場よりは水やりの回数は少なくなりますが、土の表面を見て乾いたらたっぷりと与えるようにします。
肥料
地植えのアジサイ(紫陽花)
与えなくても毎年問題なく咲いているようなら、自然の循環ができているため、特に与える必要はありません。
地植えのアジサイ(紫陽花)は、花後と寒肥として、発酵油かすなどの固形タイプの有機質肥料、もしくは花用の緩効性肥料を与えます。
鉢植えのアジサイ(紫陽花)
花後と、寒肥として3月の芽が動き出す直前に緩効性肥料を与えます。
アジサイ(紫陽花)の詳しい育て方
選び方
葉の色艶が良いアジサイを選びましょう。
アジサイは、咲き始めから咲き終わりの経過中、色に変化がある花です。つぼみや咲き進んだ色を確認して購入するとよいでしょう。
アンティークカラー系のアジサイは、買った時点で色合いが変化している過程である可能性もあります。翌年の咲き始めの色が買った年とまったく違う色になることがあります。
植え付け
植え付け適時は落葉期です。次第に丈、幅とも大きくなるので、隣の植物との間隔は余裕をもって植え付けましょう。
根鉢のサイズの2倍程度の幅と深さの穴を掘り、元肥として腐葉土や堆肥(もしくは緩効性肥料)を土に混ぜ込んで植え付けましょう。
植え付けたらたっぷりと水やりを行います。植え付け直後はぐらつきやすいため、しばらくは注意深く様子を見るようにしましょう。
剪定・切り戻し
アジサイは、自然に散らないので花を取り去る作業が必要です。花が終わった7月の半ばくらいまでには剪定を済ませるようにします。特に鉢植えのアジサイは、少ない土の中で生きているので、終わった花をいつまでもつけておくより早めに切って株をすっきりと風通し良くした方が、次の花にエネルギーがいきやすくなります。
アジサイは剪定しなくても咲きます。むしろ咲かない理由の一番は、切りすぎて花芽まで切ってしまったというのが一番多いようです。ただし、剪定せずに伸ばしていくと背丈が高くなり、花の位置が目線より高くなるため、美しい花を観賞しやすい丈に剪定していくのが一般的です。
アジサイ(紫陽花)の剪定方法・通常
1.花が終わったら、花から2節下の脇芽が出ている上でカットします。花が咲かなかった枝は、切らずに残します。剪定後、脇芽が茎になっていきます。
2.冬から翌年の新芽が動き出すころに完全に枯れこんだ枝があればその部分を剪定します。
アジサイ(紫陽花)の剪定方法・強剪定(小さくしたい方向け)
地植えのアジサイは、通常の剪定をし続けていると次第に丈が高くなります。
そのため、数年に一回、強剪定をして、花が眺めやすいような丈を維持する剪定方法があります。この作業を強剪定と言います。
強剪定は、アジサイの株全体を半分、もしくは三分の一くらいの丈で全体的に切り戻します。ただし、強剪定をした年の翌年のアジサイは、花が咲かない可能性が高いので、最低でも3年はあけたほうがよいでしょう。
毎年行う剪定方法ではありません。アジサイを小さくしたい方は翌年花が咲かないことを覚悟で、強剪定をしてみましょう。
長年経過してたくさんの枝数のあるアジサイは、2年から3年かけて半分または三分の一ずつ強剪定をすると、毎年花を楽しみつつ数年かけて丈を低くすることができます。
植え替え・鉢替え
植え替えの適時は落葉期です。
ただし、運搬などの都合上、株に対して小さな鉢に植えられていることが多いため、購入初年度は花後の剪定の際に一回り大きな鉢に植え替えた方がよい場合もあります。極端に少ない土だと、真夏に水切れを起こすことが多くなるので注意しましょう。
花
アジサイは5~7月にかけて青、紫、ピンク、白、グリーン、複色の花が開花します。
私たちがアジサイの花と思っている部分は花びらではなく装飾花と呼ばれるガク片です。実際の花は、西洋アジサイは中央の小さい丸い部分が本来の花です。
ガクアジサイは、装飾花が額縁のように花を囲んでいる形状をしています。
アジサイ(紫陽花)の花の終わりの目安
アジサイの花はバラや桜のように「散る」ということがないので、剪定をしない限り、枝にずっと花がついている植物です。そのため、どの状態が見頃が終わったのかが、わかりにくい特徴があります。
西洋アジサイの花の終わりは、ガクの中に隠れている小さな花が開き、全体的にガクの色が褪せたころが花の終わりの目安です。
ガクアジサイは花が終わるとガクが裏返ってうつむきます。色も全体的に褪せたアンティークカラーになったころが花の終わりの目安です。
収穫
アジサイの花は切り花として楽しむこともできます。最近は切り花のアジサイは、輸入物を含めると通年出回る花材になりつつあります。
秋色系のアジサイは、ドライフラワーとして楽しむこともできます。
夏越し
アジサイは水分を多く必要とする植物です。鉢植えは、水切れを起こさないように注意しましょう。猛暑日などは、朝の水やりの他、乾いているようなら夕方にもたっぷりと水やりを行いましょう。
冬越し
アジサイは、秋に落葉し、冬は枯れ木のような見た目になります。
地植えのアジサイは、特に必要な冬越しの作業はありません。
鉢植えのアジサイは、冬場も水やりを忘れないようにしましょう。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
アジサイ(紫陽花)の挿し木
アジサイの挿し木の適期は、花後の6月上旬~7月下旬です。梅雨の期間がアジサイの挿し木のベストシーズンともいわれます。
挿し床の準備
鉢、用土、割り箸を用意します。
アジサイ(紫陽花)の挿し木に適した用土
用土は、水はけが良く、清潔で肥料分が無いものを用意します。肥料分があると、挿した枝が発根するまでに腐ってしまうことがあるためです。
アジサイの挿し木の用土には、赤玉土、鹿沼土、川砂、パーライト、バーミキュライトなどが適しています。粒のサイズがいろいろある場合は小粒がおすすめです。用土は混ぜないで単体で使用できるので、新しい用土を袋から出してそのまま使えます。枝を挿す前に、水をたっぷりかけておきます。
アジサイ(紫陽花)の挿し穂の作り方
健康に育ち、勢いのあるアジサイの株から挿し穂をとります。今年花が咲かなかった枝、花が咲いた枝、どちらでも使えます。
今年花が咲かなかったアジサイ(紫陽花)の枝
まず下の葉をすべて取ります。
上の葉は水分の蒸発を防ぐため、半分に切ります。
今年花が咲いたアジサイ(紫陽花)の枝
花をカットし、下の葉をすべて取ります。
上の葉は、水分の蒸発を防ぐため、半分に切ります。
元気にわき目が出始めている枝を使うと成功しやすくなります。
水あげをする
挿し穂は下の部分を斜めにカットして長さをそろえ、すぐに水にさし1時間以上水あげします。
挿し床に挿す
水あげができたら、あらかじめ水をかけておいた挿し床に割り箸で穴をあけ、挿し穂を1本ずつ挿します。葉が隣の挿し穂と重ならないようにします。
挿し終わったら、十分に水を与えます。活力剤などを使って発根を促進させる方法もあります。
発根するまでの管理
直射日光があたらない明るい日陰に置きましょう。暗すぎる場所も良くありません。
挿し木直後の3日間ほどは毎日お水を与えます。それ以降はいつまでも水が多いと発根する前に挿し穂が腐ってしまう場合があるので、土が乾いてきた様子を見て与えましょう。置く場所と水の管理が一番大切です。
根が出るまで心配ですが、引っ張って抜いてしまったりせずにちょっと我慢して様子を見守りましょう。
鉢上げ
挿し木がうまくいくと、1か月くらいで発根します。それ以降は普通の肥料入り培養土に植え替えることができます。
アジサイ(紫陽花)の生長の様子
2月後半~3月上旬のアジサイ
冬場は枯れ木のような状態だったアジサイの枝が割れるようにして新しい芽が出ます。この芽が日ごとに葉っぱへ生長します。
2月後半~3月上旬のアジサイ
4月上旬のアジサイ
小さなつぼみが目で確認できるようになります。
5月上旬のアジサイ
5月中旬以降には花のサイズは実寸になり、開花が早い年は5月後半くらいから色づき始めます。
5月中旬のアジサイ
5月後半のアジサイ
6月前半のアジサイ
6月中旬のアジサイ
色づき始めます。6月いっぱい楽しんで、7月中に剪定作業を済ませましょう。