桃の花とは|特徴、種類、花咲く季節、言い伝えや意味を紹介

山田智美
このライターの記事一覧

桃の花の特徴や種類、花咲く季節、ひな祭りに飾る意味、桃の花と梅、桜の見分け方など。さらに桃にまつわる言い伝えや霊力があると言われる理由などを紹介します。
目次
- 桃の花とは?基本情報
- こんなにある!桃の花の種類
- 桃の花咲く季節
- 桃の花をひな祭り(桃の節句)に飾る意味
- 桃の花の言い伝え|霊力があると言われる理由
- 桃の花と梅、桜の違いは?
- 桃の実のなる時期と食べ方
桃の花とは?桃の基本情報
- 学名:Prunus persica( Amygdalus persica )
- 科名属名:バラ科モモ属
- 分類:落葉高木
桃は、中国原産の落葉高木で、春に可愛らしい花を咲かせ、夏には甘く瑞々しく香りの良い果実を実らせます。花木としても、果樹としても、世界中で愛されている木です。
桃の花の特徴
桃の花の咲く季節は、春3月後半~5月、ソメイヨシノよりも少し早くに咲き始めます。花の美しい品種はハナモモ(花桃)と呼ばれ、観賞用の花木として切り花や鉢植え、庭木として愛されています。3月3日のひな祭りには桃の花を飾るのが慣例ですが、この時期にはまだ露地の桃の花は咲いていません。農家では、ひな祭りに出荷できるように、開花調整をしています。
桃の花は葉が出るより前に咲くので、枝いっぱいに花が咲いている様子が美しく、花を観賞するための桃はハナモモと呼ばれ、多くの園芸種が作出されています。桃の花の咲き方には、一重咲き、八重咲きがあります。花色も白、ピンク、赤、しぼりや複色などがあります。さらに枝垂れる品種や、葉が紫色を帯びたようなもの、1つの木で2色の花を楽しめるものなど、たくさんの品種があります。
こんなにある!桃の花の種類
ハナモモと呼ばれる、観賞用の桃の花の種類は、樹形だけでも大きく4つのグループに分けられます。桃の花の品種を紹介する前に、まず樹形の種類から紹介します。
・立性品種:枝が上向きに生長していくタイプ。
・枝垂れ品種:枝が枝垂れるように下向きに伸びるタイプ
・矮性品種:高さ1mほどの小型
・一才物品種:種子をまいてから1~2年で開花するタイプ。寿命が10年程度と、短いのが特徴
さらに桃の花は、色や咲き方も豊富でたくさんの種類があります。一部ですが、桃の花の園芸品種を紹介します。
源平(げんぺい)
源平は紅白2色の花を咲かせる矮性品種の桃の花です。1つの木に赤と白の花を咲かせることから、源氏と平家にちなんで源平という名前が付けられました。
矢口(やぐち)
矢口は、ひな祭りの桃の花として多く流通される立性品種です。大輪で明るい桃色が美しいハナモモです。
照手ピンク
照手ピンクは、照手桃という木立性品種です。なかでも、ピンク色の花を咲かせる品種を照手ピンクと呼びます。枝があまり横に広がらずないので育てやすく、花付きが良いことから人気のある桃の花です。
源平枝垂れ(げんぺいしだれ)
源平枝垂れは、紅白2色の花を咲かせる枝垂れ品種です。名前は立性の源平と同じく、1本の木に紅白の花を咲かせることに由来しています。
菊桃(きくもも)
菊桃は名前の通り、菊の花のような細い花びらをした八重咲きの品種です。鮮やかなピンク色の花を咲かせます。
羽衣枝垂れ(はごろもしだれ)
羽衣枝垂れは、ピンクの花を咲かせる枝垂れ品種です。花は矢口よりも少し明るいピンク色で八重咲きです。全体的に柔らかくエレガントな印象の桃の花です。
残雪枝垂れ(ざんせつしだれ)
残雪枝垂れは、八重咲きの真白な花を咲かせる枝垂れ品種です。名前の通り、雪を思わせるような真白な花を枝垂れた枝いっぱいに咲かせる姿は、とても美しく優雅です。
寿星桃(じゅせいとう)
寿星桃は、樹高1m程度の矮性品種です。淡いピンク色で八重咲きの桃の花を咲かせます。小ぶりなので、小さなスペースや鉢植えとして育てやすい品種です。
桃の花の見頃
桃の花の見頃は、春の3月後半~5月です。品種により多少異なります。桜より少し早く咲き始め、桜が咲いている間も私たちの目を楽しませてくれる花木です。桃の花は、葉が展開する前に咲くので、枝いっぱいに花が咲く、美しい姿を眺めることができます。
かつては、桜のように桃の花でお花見をしたそうですが、今では名所と呼ばれるところも減ってしまいました。桃の花は、ソメイヨシノのようにあっという間に散ってしまうことはないので、余裕をもってお花見ができます。次の春は桃のお花見をしてみませんか。
桃の花をひな祭り(桃の節句)に飾る意味
旧暦の3月3日の頃に咲いていたから
桃の花をひな祭りに飾る理由は、旧暦のひな祭りの頃にちょうど咲いていたからです。
ひな祭りは多くの地域では3月3日に行われます。旧暦の3月3日は今のグレゴリオ暦とおよそ1か月ずれるため、現在の4月に当たります。野山や畑で鮮やかなピンク色の桃の花が咲き誇っていたのでしょう。
桃には霊力があると信じられていたから
桃の花は、昔の中国では霊力のある木と信じられていました。このことから、邪気を払い、健康を祈願して、桃の花を飾るようになったという説があります。
他にも、桃の果実がお尻を連想させるということから、安産、多産の象徴としてひな祭りに飾られたという説もあります。
桃の花の言い伝え|霊力があると言われる理由
霊力があるといわれる理由
昔の中国では、桃は霊力のある木とされていました。桃の花は強い陽の気で邪気を払い、桃の枝で作った杖や弓は霊力を持ち、桃の果実は不老長寿の果物と信じられ、医療や呪術、まじないに利用されていたそうです。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの神話
イザナギノミコトが、亡くなった妻イザナミノミコトを取り戻そうと、黄泉の国を訪ねた時のことです。
イザナミノミコトから「決して中を見てはいけない」と言われていたのに、イザナギノミコトは扉を開けて中を覗いてしまいました。そこには変わり果てた姿となったイザナミノミコトがいました。
見てはいけない姿を見てしまったイザナギノミコトは逃げ出そうとしますが、黄泉の国の者たちが追ってきます。逃げきれないと思ったイザナギノミコトは、道端にあった桃の木から実をもぎ取って投げつけると、黄泉の国の追手はたちまち逃げ出しました。それ以来、桃は魔除けに使われるようになったと言われています。
桃の花と梅、桜の違いは?
桃の花は、1節に1~2個咲き、花びらがとがっている
梅の花は、1節に1~2個咲き、花びらが丸い
桜の花は、1節に複数個咲き、花びらがクサビ型
春になると咲き始める、梅、桃、桜。どれも日本の春を代表するような花たちです。この3つの花は同じバラ科の花で、咲く時期も花もよく似ています。
桃の花と梅、桜の違いと見分け方を説明します。
桃の花と梅、桜の違いと見分け方
桃の花は花びらの先端が尖っている
桃の花は花びらの先端が尖っています。梅は丸く、桜はクサビ形に切れ込みが入ります。
桃の花の数は1~2個
桃の花は、1節に1~2個咲きます。梅は1節に1個、桜は1節に複数咲きます。梅と数が似ていますが、梅は花柄が無く、枝から直接花が咲いています。桃の花には短い花柄があり、枝から少し浮くようにふわりと花が咲きます。
桃の実のなる時期と食べ方
桃の実のなる時期は、夏です。春の桃の花が終わった後に実ができ始め、6月~9月に食べ頃を迎えます。桃はよく結実するので、たくさんの実を収穫できるのも楽しみの一つです。
桃の食べ頃の見分け方
桃の果実は熟すと甘い香りを放つようになります。桃の果実はお尻の方から熟していくので、桃の果実の上の方を触って柔らかくなっていたら食べ頃です。収穫してから追熟させると、より甘くおいしい桃を楽しめます。
桃の食べ方
桃は柔らかく指で触るとそこから傷みやすい果物です。桃の皮を剥くときはまず縦に包丁を入れて、種に沿ってくるりと回すようにしましょう。そこから軽く捻るようにすると実を半分に分けることができます。
あとは食べやすいサイズにカットしてから表面の皮を剥けば、あまり傷を付けずにきれいに皮を剥くことができます。
ハナモモ(花桃)の実は食べられる?
桃の花を観賞するために作出されたハナモモの実は、残念ながら食用にはできません。実ができても小さく、果実として楽しめるものではないようです。
日本の春を代表するような桃の花。品種も豊富で可愛らしい花です。ひな祭りに飾るだけでなく、日頃からもっと桃の花を身近に感じてみませんか。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「桃の花とは|特徴、種類、花咲く季節、言い伝えや意味を紹介」の記事をみんなにも教えてあげよう♪