ハナミズキとヤマボウシの違いと見分け方。花や葉、実、幹の違いも

山田智美
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よく似ているハナミズキとヤマボウシの違いと見分け方について。在来種と外来種の違いから、花、葉、実、幹、大きさの違いの説明、簡単に見分けられる4つのポイントまで。これを読めば、もうハナミズキとヤマボウシを混同することはありません。
目次
- ハナミズキとヤマボウシとは?基本情報
- ハナミズキとヤマボウシの違いは?
- ハナミズキとヤマボウシ花の違い
- ハナミズキとヤマボウシの葉の違い
- ハナミズキとヤマボウシの実の違い
- ハナミズキとヤマボウシの樹皮
- ハナミズキとヤマボウシの大きさの違い
- ハナミズキとヤマボウシの見分け方ポイント4つ
- ハナミズキとヤマボウシは庭木になる?
ハナミズキとヤマボウシとは?基本情報
ハナミズキとヤマボウシについて、まずはそれぞれの基本情報を紹介します。
ハナミズキ基本情報
- 学名:Cornus florida
- 科名・属名:ミズキ科サンシュユ属
- 分類:落葉高木
- 開花時期:4月~5月
ハナミズキの特徴
ハナミズキは、ミズキ科サンシュユ属の落葉樹。春に花を咲かせ、秋には赤く色づく果実と紅葉が美しい樹木です。
- ハナミズキはミズキ科の落葉樹で、桜(ソメイヨシノ)が咲き終わるころ、白やピンクの美しい花が開花します。北米原産でアメリカを代表する花のひとつで、別名「アメリカヤマボウシ」とも呼ばれています。 昔は桜やイチョウなどが多かった街路樹ですが、令和4年4月現在、東京都内の街路樹で一番多いのがハナミズキです。樹齢が古くなると10m以上まで生長しますが、桜やイチョウほど大きくならないのも最近の街路樹として利用される原因かもしれません。現在は全国各地に分布し、極端に寒さの厳しい地域以外なら栽培可能です。寿命は桜と同じく80年程度と言われています。 花だけでなく、花が終わった後に出てくる葉も美しく、枝は横に広がるように生長します。 秋になると赤い実がなり、紅葉した後に落葉します。落葉樹の中では、色づきだすのと葉が落ちるのが早いほうです。自然樹形が美しく、花、葉、実、紅葉、樹形と、一年を通して見どころの多い樹木なので、街路樹のほか庭木にもよく利用されます。
ヤマボウシ基本情報
- 学名:Cornus kousa
- 科名・属名:ミズキ科サンシュユ属
- 分類:落葉高木(一部常緑高木)
- 開花時期:5月~6月
ヤマボウシの特徴
ヤマボウシは、ミズキ科サンシュユ属の落葉あるいは常緑高木。初夏に花を咲かせます。秋にはオレンジ色から赤に色づく果実が美しい樹木です。
- ヤマボウシは、6月~7月に白い花を咲かせる落葉高木。初夏の白い花、美しい若葉や青葉、赤い実、紅葉と四季折々の表情を楽しめる樹木です。本州から九州の山地に自生し、樹高は5~15mほどになります。白い花のように見える部分は総苞 (そうほう)と呼ばれる部分で、ハナミズキ同様、葉が変化したものです。 葉はだ円形で、やや波うっています。基本種は落葉樹ですが、常緑性の常緑ヤマボウシもあります。大きく広げた枝の先に一面に咲く花は、美しく見ごたえがあります。夏は青々とした葉が日陰を作り、常緑種を選べば、お庭の目隠しの役割も果たしてくれます。 自然樹形が美しく手間がかからないヤマボウシは、シンボルツリー、庭木、公園樹、街路樹など様々な用途で利用されています。
常緑ヤマボウシについて
ヤマボウシには、冬でもグリーンの葉を茂らせる常緑ヤマボウシがあります。常緑ヤマボウシも落葉のヤマボウシと同じく、初夏に花を咲かせ、秋には果実を実らせます。
ハナミズキとヤマボウシの違いは?
ハナミズキ
ヤマボウシ
ハナミズキとヤマボウシは、同じミズキ科サンシュユ属の近縁種。ヤマボウシは日本の在来種であるのに対して、ハナミズキはアメリカからの外来種です。その昔、東京がサクラをアメリカへ贈った返礼としてハナミズキが贈られてきたという話は有名です。
ハナミズキとヤマボウシは、花が咲く時期が違います。ヤマボウシは5月~6月に開花しますが、ハナミズキは一足早く4月~5月に開花します。ヤマボウシは花と葉が同時に、ハナミズキは花が咲いた後に葉が出てきます。
花びらのように見えるのは総苞片(そうほうへん)というガクが変化したもの。便宜上花びらと呼ばれています。
ハナミズキとヤマボウシは、花びらのフォルムにも違いがあります。ヤマボウシの花びらは先端が尖っているのに対し、ハナミズキの花びらはへこんでいます。また、果実はフォルムや食用の果皮など明確に違います。
花や葉、実、幹などの細かい違いと見分け方を、一つ一つ説明していきます。
ハナミズキとヤマボウシの花の違い
ハナミズキ
ハナミズキもヤマボウシも、花びらのように見える部分は総苞片(そうほうへん)というガクが変化したもの。ただし、便宜上これを花びらと呼んでいます。本来の花は、総苞片(そうほうへん)の中心にある盛り上がった部分。小さな花が集合してできる集合花です。
ハナミズキの花
- 開花時期:4月~5月
- 花びら:花びらは4片、先端はへこんでいる
- 花びらの色:白、ピンク
- 小花の数:25個前後
ヤマボウシの花
- 開花時期:5月~6月
- 花びら:花びらは4片で、先端は尖っている
- 花びらの色:白、まれにピンク、常緑樹はクリーム色もあり
- 小花の数:30個前後
ハナミズキとヤマボウシの葉の違い
ハナミズキとヤマボウシの葉は、どちらも先端が尖った卵型で色は明るいグリーン、葉脈ははっきりとしています。初夏の新緑から秋の紅葉まで楽しめる点はよく似ています。
ハナミズキの葉
- 葉が出る時期:5月ごろ花の後に葉が出てくる
ヤマボウシの葉
- 葉が出る時期:5月ごろ花と葉が同時に出てくるか、葉の方が先に出る
ハナミズキとヤマボウシの実の違い
ハナミズキとヤマボウシは、どちらも秋に果実を実らせます。ヤマボウシの果実は食用にできますが、ハナミズキの果実は食用にはなりません。
ハナミズキの実
- 実がなる時期:9月~11月
- フォルム:長さ1cm程度の実が集合して実る
- 色:赤で光沢がある
- 食用:食用にできない
ヤマボウシの実
- 実がなる時期:9月~10月
- フォルム:直径2~3cm程度の丸い複合果
- 色:オレンジや赤で光沢はない
- 食用:食用にできる
ハナミズキとヤマボウシの樹皮の違い
ハナミズキとヤマボウシは、よく見比べると樹皮も違います。ヤマボウシの樹皮はざらざらとしているだけですが、ハナミズキの樹皮はざらざらとしている上にひび割れたようにゴツゴツとしています。
ヤマボウシの樹皮
- 樹皮の色:赤みがかった灰褐色
- 樹皮の質感:表面はざらざらとしている
ハナミズキの樹皮
- 樹皮の色:灰褐色
- 樹皮の質感:表面はざらざらとしていて、ひび割れたようにゴツゴツしている
ハナミズキとヤマボウシの大きさの違い
ヤマボウシ
ヤマボウシとハナミズキの花の大きさや樹高は、あまり違いがありません。ヤマボウシは、山林に自生しているものなど10mほどまで大きくなります。対してハナミズキは、ほとんどが人為的に植えられたものなので管理されていることもあり、それほど大きなものは見かけません。花の直径もほぼ変わらないか、ヤマボウシの方が少し小さいくらいです。
ヤマボウシの大きさ
- 花の大きさ:花径3~8cm程度
- 樹高:3~10m程度
ハナミズキの大きさ
- 花の大きさ:花径5~8cm程度
- 樹高:3~5m程度(10mほどまで大きくなることも)
ハナミズキとヤマボウシの見分け方ポイント4つ
ハナミズキの果実
ハナミズキとヤマボウシの違いをまとめました。花の咲く時期、花びら、葉の出る時期、果実のフォルムで簡単に見分けられます。
1.花の咲く時期で見分ける
ヤマボウシよりもハナミズキの方が少し先に花が咲き始めます。花の咲く時期で見分けがつきます。
2.花びらのフォルムで見分ける
ヤマボウシの花びらは先端が尖っているのに対し、ハナミズキの花びらは先端がへこんでいます。花びらのフォルムで見分けがつきます。
3.葉の出る時期で見分ける
ヤマボウシは、葉と花が同時に出るため葉の間から花が咲いている姿を楽しめます。対してハナミズキは、花が先に咲くため花の時期は枝全体に花が浮いているような景色を楽しめます。
4.果実で見分ける
ヤマボウシの果実は外側の硬い果皮を剥いて中の甘い果肉を食べることができます。ハナミズキの果実は食べてもおいしくありません。
ハナミズキとヤマボウシは庭木になる?
ヤマボウシ
ハナミズキとヤマボウシは、どちらも庭木になります。どちらも春から初夏には花、夏はグリーンの葉で日陰を作り、秋には紅葉と果実の鮮やかさと、四季を通じて美しさと心地よさを提供してくれます。 さらに常緑ヤマボウシは冬でも葉を絶やさないことから目隠しとしても人気。
育てやすく、管理も楽、一年を通して美しい姿を楽しめるハナミズキとヤマボウシをお庭に迎え入れてみてはいかがでしょうか。
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