エディブルガーデン12か月|4月の作業

古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
今年から家庭菜園を始めようとしている皆さんと一緒に楽しいエディブルガーデン作り始めましょう。
さあ、エディブルガーデン12か月の始まりです!
目次
二十四節気〜4月は清明・穀雨
〜清明〜
春の陽ざしを受け、天地万物が清らかな明るさに輝く季節です。本格的なエディブルガーデンのスタートです。より多くの種類の種をまくことができます。
〜穀雨〜
春の雨が降る頃です。作物の生長を助ける天からの雨です。4月末から5月5日の立夏頃に春夏野菜の苗を植え付けましょう。
※春分、夏至、秋分、冬至などでおなじみの季節をあらわす二十四節気。季節と共に生長する植物たちにとってもゆかりの深い昔ながらの暦です。
3月のおさらい
・畝立て
・肥料について
・種まき
・寒冷紗
家庭菜園〜4月の作業
illustration:小野寺 葉月
見ているだけで楽しくなってしまうようなプランツタグを作りましょう。
プランツタグを作ろう!
手作りで簡単に出来る「プラバンとト-スターで作るプランツタグ」や「木製のプランツタグとハンダゴテで可愛いプランツタグをDIY」。みなさんのエディブルガーデンを素敵に飾りましょう。
種まき後の間引きの方法
3月に種をまいた後の次の作業は間引きです。
間引きをする目的
・密植状態をなくす
作物が密植状態だと、害虫の住みかになりやすく、蒸れることで病気にもかかりやすくなります。作物が元気に育つためには、日当たり・水分・風通しがとても重要です。充分な日当たりと風通しを良くするためにも、適度な間引きを行いましょう。
・根の生長を邪魔しない
それぞれの作物の性質として、根が深く下に伸びる根菜類などの直根性のものもあれば、根が浅く横に広がっていく散根性の植物もあります。特に散根性の植物が、充分な株間を保てず隣同士でぎゅうぎゅう詰めになっていると、作物が良好に生長できない状態に陥ります。根を十分に生長させるためにも間引きは必ず行いましょう。
すじまきの間引きの方法
illustration:小野寺 葉月
・1回目
本葉1~2枚の頃、葉が触れない程度で間引いてください。間引いた葉は、幼葉すなわちベビーリーフです。サラダなどで召し上がってください。その際、種が薬剤加工してあるものは気になるようでしたら、双葉を取り除き、本葉から召し上がってください。
illustration:小野寺 葉月
・2回目
本葉3~4枚の頃30~50cm間隔が目安ですが、植物の種類ごとに異なります。それぞれの作物に合った株間をとりましょう。
点まきの間引きの方法
illustration:小野寺 葉月
・1回目
何粒かまいた種が生長し、本葉1~2枚の頃生育の遅いものを1~2本間引き、2~3本立ちにします。
illustration:小野寺 葉月
・2回目
2~3本立ちで本葉3~4枚の頃まで生長したら、また生育の遅いものを1本間引いて1本立ちにします。
30~50cm間隔が目安ですが、植物の種類ごとに異なります。ちなみに、オクラやインゲンなどは2本立ちのまま育てる作物もあります。それぞれの作物に合った本数、株間をとりましょう。
野菜の苗を選んで植え付けるポイント
illustration:小野寺 葉月
茎が太い・葉の色が濃く厚い・節間がつまっている苗を選びましょう。
連作・病気に強い接ぎ木苗がおすすめです。購入したらしっかり水分を与え植え付けに備えましょう。
植え付けのポイント
花の植え付けと違い、野菜の苗は根鉢を崩すことはしません。静かに育苗ポットからはずして植え付けましょう。
illustration:小野寺 葉月
1. 株間をしっかりと取り、苗のポット分の穴を掘る。
※野菜の種類や品種によって株間の大きさは異なります。
illustration:小野寺 葉月
2. 苗を軽く手で押さえ根鉢を崩さないように植える。
illustration:小野寺 葉月
3. 苗を支えるために割りばし等の支柱を苗の少し離した場所に刺す。
植えたばかりの苗は土に活着するまでに少し時間がかかります。その際根が乾燥してしまわないためにも、植え付けから1週間位はしっかりと水を与えます。苗の周りを少し凹まして、苗にしっかり水が浸透するように植え付けてあげると乾燥しずらいでしょう。
割り箸などの支柱をすることで、小さな苗が風で折れるのを防ぐことができます。苗と支柱を麻ひもなどでゆるめに結びましょう。
4月にまける野菜やハーブの種
セロリ・パセリ・ニンジン・バジル・パクチー・スイスチャードなど、4月はまくことの出来る種の種類がたくさんあります。
4月に植えられる苗
いよいよ苗ものの植え付けです。気温がグンと上がる4月下旬のゴールデンウイーク頃が植え付けの最高のタイミングです。
トマトの苗の選び方のポイント
illustration:小野寺 葉月
花が咲き始めたころの苗を用意しましょう。節のしまった徒長していない、葉が大きく、濃い緑色のしっかりとした苗がよい苗です。病害虫に侵されていない、健康で元気な苗を選びましょう。
トマト
- 夏野菜の代表ともいえるトマト。現在様々な品種が改良され青臭さもなく、まるでフルーツのように甘いトマトの品種もあります。トマトは緑黄色野菜の1つで、トマトの栄養に含まれるクエン酸は疲労回復効果があり、その他にもリコピン、グルタミン酸など栄養も豊富で、健康や美容にも効果があることも人気の理由です。調理方法も生のままいただくサラダから、煮込み料理、ソース、スイーツなど様々な料理に使えます。 このトマト、じつは植物学者たちの調査によりトマトの原種は大玉トマトではなく、チェリートマト(ミニトマト)ということが分かっています。大玉トマトの方が突然変異として、チェリートマト(ミニトマト)よりも後に生まれました。アンデス高原に自生していたトマトの野生種は、いずれもチェリートマトの種類だったようです。 トマトは原産地では多年草ですが、日本のような温帯で育てると一年草として栽培されます。この野生種のトマトは、メキシコから北米に伝わり、実際に栽培されるようになったのは19世紀に入ってからです。ヨーロッパへ伝わるのは、コロンブスの新大陸発見が大きく影響し、ヨーロッパでトマトを食べるようになったのは、18世紀以降といわれています。 当初、ミニトマトやトマトは観賞用として育てられ、食用とされることはありませんでした。というのも、新大陸からヨーロッパに伝わった時に、トマトの実がとても赤いために有毒植物と信じられていたからです。 日本に伝わったのは17世紀の江戸時代ですが、同じように観賞用として伝わってきました。「赤茄子」としての価値しか見出せず、しばらくの間観賞用としてのみ育てられていました。 トマトの赤い実は毒性ではありませんが、じつはトマトの苗自体には有毒物質が含まれています。完熟のトマトにはほとんど含まれていませんが、「トマチン」といって、花・葉・茎などに多く含まれているため、トマトの葉は食べることができません。
ナスの苗の選び方のポイント
illustration:小野寺 葉月
茎が太く、葉が厚くて、色の濃いものを選びましょう。ちょうど一番果が咲き始めるくらいが植え付けに最適です。ナスは連作障害をうけやすいので、接ぎ木苗がお勧めです。
ナス(茄子)
- ナスの原産はインドです。日本には奈良時代に中国から伝わり、古くから日本人に親しまれた野菜のひとつです。ナスの形は、丸や卵、中長、長形など様々な品種が栽培されています。幅広く料理にも使えるので和洋中問わず、味を楽しむことができます。 みなさんがよくご存じの縁起の良い初夢の順番「一富士、二鷹、三茄子」ですが、江戸時代の初物のナスは1個がなんと1両。そのため庶民が正月に初物のナスを食べることは、夢のまた夢…叶わぬ夢でした。初夢にナスが登場すると縁起が良いとされるのもこのことからうかがえます。 現在のようにハウス栽培がない江戸時代で、冬に高温作物のナスを作るためには、油紙障子でハウスのようなものを作り、馬糞や麻屑(あさくず)などを踏み込んだ発酵材でエコに温度を上げるなどして、手間暇かけて栽培していたそうです。
苗を植え付けた後は寒冷紗
種をまいた後も寒冷紗が重要と3月の作業でもお伝えしましたが、苗を植え付けた後も寒冷紗はおすすめです。植えたばかりの幼苗は、害虫・強すぎる光・急激な水分の蒸発・防風・防寒のためにも寒冷紗で守ってあげることが大切なんです。
いかがでしたが?
4月末から5月初めは苗を植え付けるベストシーズンです。みなさんも引き続き楽しんで4月のエディブルガーデン生活をお送りください。