桜（サクラ）とは？育て方・栽培方法｜植物図鑑
- 植物名
- 桜（サクラ）
- 学名
Cerasus
- 英名
- Cherry blossom, Sakura
- 和名
- 桜
- 科名
- バラ科
- 属名
- サクラ属
- 原産地
- 日本、中国、朝鮮半島、ヨーロッパ、北米
桜（サクラ）の特徴
桜は、バラ科サクラ属の落葉樹です。美しい花や雄大な樹形は、多くの人から愛される、日本の春を代表する花木です。庭木、公園、街路などに植えられ、早咲き種は2月くらいから、それに続くように3月～4月にかけて多くの種類が次々と咲き続け、さらに秋に咲く品種もあります。
野生種は9種類、交雑種も含め日本に自生している品種は、沖縄で野生化した寒緋桜（カンヒザクラ）をはじめ100種類以上、さらに園芸種を合わせると300種以上とも言われています。桜は違う品種同士で交雑しやすいという特徴があります。 人為的に作られた園芸種だけでなく、自然の中で異なる品種同士が交雑し、新しい品種が生まれることがあります。
花色は非常にバリエーションが豊富で、白、淡いピンク、濃いピンク、薄黄、グリーンなどがあります。咲き方も、一重咲きから八重咲まで多様です。サクランボが実る西洋実桜（セイヨウミザクラ）も桜の1種です。
春のお花見シーズンに華やかに咲く桜は、染井吉野（ソメイヨシノ）という品種です。染井吉野は若木でも花を咲かせるという特徴があり、戦後日本各地に植えられました。今では日本の桜の代名詞のようになっています。
桜（サクラ）の詳細情報
| 園芸分類 | 庭木、落葉 |
|---|---|
| 草丈・樹高 | 2～20m |
| 耐寒性 | 強い |
| 耐暑性 | 強い |
| 花色 | 白、淡いピンク、濃いピンク、薄黄、グリーン |
| 開花時期 | 春咲き種2月～4月頃、秋咲き種10月頃 |
桜（サクラ）の種類
寒緋桜（カンヒザクラ）
- 学名：Cerasus campanulata
- 花期：1月～3月
寒緋桜は、濃いピンクの釣鐘型の花が美しい早咲きの品種。耐寒性が弱く、暖地を好む品種です。
河津桜（カワヅザクラ）
- 学名：Cerasus × kanzakura ‘Kawazu-zakura’
- 花期：2月～3月
河津桜は、静岡県河津町で発見された自然交雑種。明るいピンク色の花が美しく、あまり大きくならないこともあって庭木として人気があります。染井吉野より一足早く、2月頃から咲き始めます。
大島桜（オオシマザクラ）
- 学名：Cerasus speciosa
- 花期：4月
大島桜は、伊豆諸島に分布する日本固有種。多くの桜の親となっている品種です。花色はほぼ白、葉に芳香があるのが特徴で、桜餅に使用されるのは大島桜の葉です。
染井吉野（ソメイヨシノ）
- 学名：Cerasus × yedoensis
- 花期：3月～4月
染井吉野は、街路樹、公園や寺社などに植栽されている品種。日本でもっとも愛されている桜です。江戸彼岸と大島桜の交雑種だといわれています。
枝垂れ桜（シダレザクラ）
- 学名：Cerasus spachiana
- 花期：3月～4月
枝垂れ桜は、糸桜（イトザクラ）とも呼ばれる、江戸彼岸の枝が枝垂れる品種。染井吉野と同じころにピンク色の花を咲かせます。花色が濃いピンクの紅枝垂れ（ベニシダレ）や、八重咲きの八重紅枝垂れ（ヤエベニシダレ）があります。
御衣黄桜 （ギョイコウザクラ）
- 学名：Cerasus lannesiana ‘Gioiko’
- 花期：4月中旬～下旬
御衣黄桜は、里桜（サトザクラ）の1種で、淡いグリーンの八重咲きの花を咲かせる品種です。染井吉野の後に咲き始めます。
里桜とは、大島桜を親に交配された園芸品種群のことです。
十月桜（ジュウガツザクラ）
- 学名：Cerasus × subhirtella
- 花期：10月～12月、3月～4月
十月桜は、名前の通り秋から咲き始める品種。秋から咲き始め、冬の厳寒期を休み、また春に開花します。花びらが10枚程度と多いのも特徴です。
桜の花言葉
国の天然記念物になっている「日本三大巨桜」
日本には桜の名所と呼ばれているところが多数ありますが、なかでも国の天然記念物に登録されている「日本三大巨桜」は有名です。
三春滝桜（ミハルタキザクラ）
福島県田村郡三春町の「常楽院」にある紅枝垂れ桜（ベニシダレサクラ）は「三春滝桜（ミハルタキザクラ）」と呼ばれ、国の天然記念物に登録されています。樹齢が1000年以上あると推定されています。
山高神大桜（ヤマタカジンダイザクラ）
山梨県北杜市武川町山高にある「山高神大桜（ヤマタカジンダイザクラ）」も国の天然記念物に登録されています。品種は江戸彼岸（エドヒガン）。「日本三大巨桜」の中では最も古木の桜であり、樹齢が1800年から2000年と推定されています。
淡墨桜（ウスズミザクラ）
岐阜県の本巣市内にある淡墨公園内に植えられている「淡墨桜（ウスズミザクラ）」も国の天然記念物に登録されています。樹齢が約1500年以上と推定されている江戸彼岸の古木です。
桜（サクラ）の育て方カレンダー
| 時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | ||||||||||||
| 植え替え | ||||||||||||
| 開花（品種により異なる） | ||||||||||||
| 肥料 |
桜（サクラ）の栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所を好みます。大きくなる品種が多いため、地植え向きの樹木です。
用土
水はけが良く、肥沃な土壌を好みます。
桜（サクラ）の育て方のポイント
水やり
地植えは、根付いてからは特に水やりの必要はありません。夏期など乾燥が続いた時にはたっぷりと与えるようにしましょう。
鉢植えは、鉢の表面の土が乾いたら、たっぷりと水やりを行います。
肥料
肥沃な土を好むため、植え付け時に元肥を混ぜ込みながら植え付けます。
元肥以降は、冬の落葉期に寒肥、花後にお礼肥を与えます。樹冠の下にぐるっと一周まくようにしましょう。
病害虫
病気
テング巣病にかかりやすい樹木です。枝が細く糸状にほうきのように枝分かれしている部分を発見したら、この病気に感染しています。テング巣病は剪定で使うハサミでも感染するので、剪定作業をする前にハサミ等の消毒が必要です。
害虫
コスカシバの幼虫やモンクロシャチホコなどの食害に注意が必要です。コスカシバの幼虫は幹の中に入って樹木を食べるので、幹の皮からヤニが出ていたら食害を受けています。出来るだけ樹木の根元はきれいにして、雑草などは取り除きます。モンクロシャチホコは主に葉を食べてしまうので、日頃から注意して観察し、見つけたら駆除しましょう。
桜（サクラ）の詳しい育て方
選び方
株や枝がしっかりしていて、病気や害虫が付いていない苗木を選びます。
数多くの品種があり、それぞれ花の色、咲き方、花の大きさ、樹高などが違います。植える場所に適した品種を選ぶとよいでしょう。果実の収穫を楽しむのであれば、西洋実桜（セイヨウミザクラ）や、その園芸品種にします。
植え付け
樹高が高くなる品種は、年月が経つと地中に広く根を張り、ときには舗装した道路などから根が突出してしまうこともあります。植え付け場所は数十年後をイメージして決めましょう。隣家との境界付近や地下にライフラインが通っているような場所への植え付けは避けます。
真冬を除いた落葉期が植え付け適期です。根鉢のサイズの倍程度の幅と深さの穴を掘り、元肥として腐葉土や堆肥（もしくは緩効性肥料）を土に混ぜ込んで植え付けましょう。
植え付けたらたっぷりと水やりを行います。植え付け直後はぐらつきやすいため、しばらくは注意深く様子を見るようにしましょう。支柱を添えるのもよいでしょう。
剪定・切り戻し
桜の剪定は、落葉期に混み合った枝を整理する程度にしましょう。切り口から菌などが侵入して病気になることがあるので、切り口には癒合剤を塗布してください。
植え替え・鉢替え
鉢植えの桜は数年に1度、冬の落葉期に一回り大きな鉢に植え替えましょう。
花
桜は、春咲き種は2月～4月頃、秋咲き種は10月頃から咲き始めます。
冬越し
冬は落葉し休眠します。特に必要な冬越しの作業はありません。落葉前の紅葉の美しさも楽しんでください。
増やし方（株分け、挿し木、葉挿しなど）
接ぎ木や挿し木で増やすことができます。
