エディブルガーデン12か月|11月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
今年から家庭菜園を始めようとしているみなさんと一緒に楽しいエディブルガーデン作りを始めましょう。
さあ、エディブルガーデン12か月の始まりです!
目次
二十四節気〜11月は立冬・小雪
〜立冬〜
暦の上では冬の始まりです。
天気の良い日中はポカポカ陽気ですが、日が陰ると冬が近付いていることを肌で感じます。
お天気の日は、できるだけ作物にお日様の光を浴びさせたいですね。
〜小雪〜
小雪がちらつき始める季節です。みなさんの暮らす街では初雪は降りましたか?
10月のおさらい
・いちごの苗の選び方
・いちごの植え付けのポイント
・いちごの収穫まで
・いちごにおすすめのコンパニオンプランツは?
・いちごの伸びてきたランナーはどうするの?
・いちごの収穫後
・10月にまける種
家庭菜園〜11月の作業
ベランダや畑で野菜を作っていなくても、ご自宅のキッチンでできる家庭菜園があります。それがスプラウト栽培です。家にあるものを使って、今すぐにでも始められるキッチンガーデンです。
秋が深まり、冬が近付てくるこの季節。なんだか緑が恋しくなりませんか?この機会にみなさんのキッチンでぜひお試しください。
スプラウトとは
野菜や豆類などの種子を発芽させた、新芽の部分を食べる発芽野菜のことです。
これから大きく生育していくために、必要な栄養素を多く含んでいる、栄養価が高いとされている野菜です。
発芽して新芽を出し、本葉が出る以前の双葉の状態で収穫します。
スプラウトの代表的な種類として、もやし、カイワレ大根、ブロッコリースプラウトなどの種類があります。
スプラウトは種さえあれば、ご自宅にある材料で気軽にスプラウトを栽培できるため、キッチンガーデンとして人気の野菜です。
スプラウトの種類
スプラウトは、育て方や、食べる時期で4つの種類に分けることができます。
もやし型
暗室で発芽させてから、出荷するまで、終始暗室で育てる方法。
中間タイプ
暗室で発芽させた後、光に当てて育てる方法(緑化)。
カイワレ大根タイプ
暗室で発芽させ、茎が伸びた頃に光に当てて育てる方法(緑化)。
発芽直後タイプ
発芽させた後、種ごとすぐ食用。(発芽玄米など)
スプラウト栽培の材料
みなさんお家にある材料で構いませんのでご用意下さい。
・種子
薬剤処理がされていない種子を選びましょう(種袋の裏面に薬剤処理の有無が記載されています)。
スプラウト専用の種をホームセンターや園芸店で購入することができます。
・容器
やや深めで、口が広いものでしたらОKです。
・キッチンペーパー
キッチンペーパー以外に、スポンジやバーミキュライト、パーライトなどの清潔な土を用意しましょう。
・アルミホイル
種子を発芽させ、日を遮るために使用します。
・霧吹き
種子に水を与える目的で使用します。
スプラウト栽培
では、スプラウト栽培を始めましょう!今回はカイワレ大根タイプの育て方をご紹介します。
種子に水を吸わせる
種子に発芽のために必要な水を一晩じっくり吸収させます。一晩経つと、早いものは芽を出し始めます。
かいわれスプラウト2日目
ブロッコリースプラウト2日目
ルッコラスプラウト2日目
容器に種子を敷き詰める
容器の底にキッチンペーパーを敷き、その上に種子が重ならないように均一に広げます。
※キッチンペーパーは1枚よりも3枚以上の厚みがあった方が水分調節が上手くできました。
アルミホイルで遮光する
今回は、スプラウト栽培の中でもかいわれ大根タイプの育て方です。こうして光を当てないことで、茎をヒョロヒョロと徒長させます。
朝晩2回の水やり
ここからは毎日1日2回朝晩の水やりを霧吹きを使って与えます。
注意!失敗しやすい水やり~多すぎ編
水の与え過ぎは、種子を腐らせる原因となります。
種が多過ぎて葉が密植状態の時に水を与えすぎると葉が溶け出します。腐ったどうかを判断するには、匂いで確かめましょう。
・腐ると臭い匂いですぐに分かります!
もし、腐れてしまったら迷わず破棄して、もう一度種の吸水から始めましょう。
・水の必要量は、種の大きさに比例します。
種が大きいと多くの水を必要とし、種が小さいほど水をあまり必要としません。種の大きさに合わせた水分量を心がけましょう。どうしても水を多く与えすぎてしまう方は、下に敷くキッチンペーパーやスポンジの厚みを増やすことで、余分な水分をキッチンペーパーが吸い取ってくれます。
3日目(アルミホイルを取り外して撮影)
ブロッコリースプラウト4日目(アルミホイルを取り外して撮影)
ルッコラスプラウト4日目(アルミホイルを取り外して撮影)
温度差による生育の差
かいわれスプラウト4日目(アルミホイルを取り外して撮影)
同じ4日目でも、育てる場所や温度により生育スピードは下の画像のように異なります。見比べてみると、茎の長さが倍以上違いますね。
日光に当てる
ある程度茎が伸びて双葉が開いてきたら被せていたアルミホイルをはずし、日当たりの良い窓辺において緑化させましょう。
みるみるうちに緑色になってきます。
かいわれスプラウト
ブロッコリースプラウト
ルッコラスプラウト
日差しが足りない環境下
かいわれスプラウト4日目(アルミホイルを取り外して撮影)
この状態から、日差しがあまり当たらない環境でアルミホイルを外し緑化させてみました。
日当たりの悪い窓際で育てたかいわれスプラウト5日目
このように日差しが足りない環境下でも、アルミホイルを取り光に当てると緩やかに緑化が進みます。思ったより緑化が進むのであきらめずに日に当ててみましょう。
収穫
双葉が綺麗な緑色になったら、お待ちかねの収穫です。必要な分だけかいわれスプラウトの根元をハサミで切り収穫します。
流水で綺麗に洗い流しましょう。
調理に使用
清潔に管理された工場で栽培するのとは違い、育てる環境により衛生面で個人差が出るスプラウトですので、生食よりもスープに入れたり軽く炒めたりなどして火を通すことをおすすめします。
豆苗のスプラウト栽培からリボベジ栽培へ!
同じスプラウトでも豆苗は収穫後、もう一度わき芽が伸びて再度収穫できるスプラウトです。一度収穫すると栽培が終わってしまうスプラウト栽培よりも、もう少し長い間育ててみたいと思う方にはこちらをおすすめします。
1日目
他のスプラウトと同じ様に、豆苗の種子に発芽のために必要な水を一晩じっくり吸収させます。
2日目
容器の底にキッチンペーパーを敷き、その上に種子が重ならないように均一に広げアルミホイルを被せます。
種子が大きい分、少し厚めにキッチンペーパーを敷くと良いでしょう。
3日目(アルミホイルを取り外して撮影)
芽が出てきました。ここから毎日1日に2回の霧吹きでの水やりを忘れずにしましょう。
4日目(アルミホイルを取り外して撮影)
順調に伸びています。種子を乾燥させないように、しかし水が多すぎて腐らることのないように管理します。
このままある程度茎が伸びてくるまで、アルミホイルを掛けた状態で管理していきましょう。
ある程度茎が伸びたら、アルミホイルを外して光に当て緑化させます。
注意!失敗しやすい水やり~少なすぎ編
豆苗のような大きな種の場合、水が少なすぎる可能性も出てきます。こんなふうに新芽が枯れてしまうなんてことも…
生長と共に必要とする水の量も増えるため、朝晩与える水の量は気を付けましょう。
華やかなエディブルフラワーを食卓に取り入れましょう
季節折々に旬の野菜があるように、花も季節ごとに美しく開花します。野菜と同じように、土や肥料にこだわった花はエディブルフラワーといって食べることができます。記念日のケーキや料理に飾るだけで、野菜や果物にはない花の色合いが、華やかな一品に変えてくれますよ。
エディブルフラワー
エディブル(Edible)とは、「食用に適する」という意味の英語です。食べられる花を意味します。食卓に彩りを加えるために使われるものを指し、ブロッコリーやカリフラワーなど花の部分を食用にするもの全てを含みます。
しかし、全ての花が食べられるというわけではありません。なかには毒性のある花もあるので、食用にならない花は食べることができません。
主に、農林水産省のガイドラインに基づいて食用として安全に栽培された花であれば、安心して食べることが出来ます。園芸用の花には、食用とならない農薬が使われていることもありますので、食用として栽培された花を、エディブルフラワーとしてお楽しみください。」
参考文献:エディブルフラワー専門店 HanaLabo(ハナラボ)
食用として安全に栽培された花がエディブルフラワーであるということがお分かりいただけましたでしょうか?
では、もう少しエディブルフラワーについてご紹介したいと思います。
エディブルフラワーの歴史
エディブルフラワーというものが、つい最近食べられるようになったと思っている方も多いと思いますが、実は約2800年前の古代インディアンがユッカといわれるサボテンの一種を食べていたのがエディブルフラワーの起源といわれています。
日本でも食用菊等の花を食用として食べられてきた文化が根付いています(奈良時代に渡来し食用というよりも薬用として食されてきたようです。実際に菊を食用とすることが記された文献が登場するのは江戸時代以降になるようです)。
この食用菊には抗菌効果・殺菌効果が成分とし含まれているので、お料理にただ綺麗に添えられている存在だけでなく、理にかなった食材といえます。
このことからもエディブルフラワーは、近年私たちの暮らしに欠かせないものとなっている「ハーブ」と同じ効果があるといっても過言ではありません。
11月におすすめのエディブルフラワー
次に、11月に楽しめるエディブルフラワーをご紹介します。エディブルフラワーはお店で購入したスイーツに添えるだけでも、特別な一品になります。誕生日や記念日のケーキに、エディブルフラワーでサプライズ演出してみてはいかがでしょうか。
ビオラ・パンジー
味や香りがあまりしないことから、他の食材の邪魔をすることがありません。
ベコニア
酸味のある味がアクセントになります。食感もシャキシャキとしているため、爽やかな印象のお料理に合います。
プリムラ
花色や模様が多数あるため、いろんな種類を楽しめます。可愛らしいイメージから、大人のイメージまでこなす多彩な花です。
ナスタチウム
ベコニアと同じように味にインパクトのある花です。ピリリと辛い味は、サラダなどのアクセントにぴったりの一品です。花だけでなく、葉はサラダに、種は酢漬けなどにして食用にすることができます。
ローズ
種類や色によって香りの強弱はありますが、見た目の美しさに加え、香りを楽しめる花です。ジャムなどにして芳香と共にお楽しみください。
スナップドラゴン
サクサクとした食感が忘れられなくなるスナップドラゴンは、ほんのり甘い香りがします。花色も多いので華やかに料理を飾ります。
▼その他のエディブルフラワーのことならコチラ
いかがでしたか?
キッチンガーデンを始めるのに特別な道具は必要ありませんので、誰でも・いつでも・どこでも始められる菜園です。スプラウト栽培は育てる種類によって水の量が分ってきたら、何度でも簡単に育てられるようになります。なかでも、かいわれスプラウトは種の大きさ、与える水の量などトータルで考えて一番育てやすいスプラウトです。みなさんもいろんな種類のスプラウトを育ててみてくださいね。
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