花や実、紅葉まで楽しめる庭木!ヤマボウシの育て方から種類や魅力まで
山田智美
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ヤマボウシの木をご存知ですか?実はとっても身近にあるかもしれません。春には花、夏には瑞々しいグリーン、秋には果実と紅葉、一年を通して楽しめる理想的な庭木です。
シンボルツリーにもおすすめのヤマボウシの育て方、種類、花や実の魅力、よく似ているハナミズキとの違いまで紹介します。
目次
- ヤマボウシとは?ヤマボウシ基本情報
- ヤマボウシの花の咲く季節
- 紅葉も美しい!ヤマボウシの葉の魅力
- ヤマボウシの実は食べられる?
- いろいろある!ヤマボウシの種類を紹介
- ピンクの花が咲くヤマボウシとは?
- 常緑ヤマボウシ‘ホンコンエンシス’の魅力
- ヤマボウシの育て方
- ヤマボウシの英語の名前
- ヤマボウシとハナミズキの違いと見分け方
- ヤマボウシはシンボルツリーや庭木にもおすすめ
ヤマボウシとは?ヤマボウシ基本情報
- 学名:Cornus kousa
- 科名:ミズキ科
- 属名:ヤマボウシ属
- 分類:落葉高木
ヤマボウシの特徴
ヤマボウシは日本の本州、四国、九州の山野に自生する落葉高木で、樹高は10mに達します。大きく枝を横に広げる樹形は美しく、葉もよく繁るので庭木にすると存在感があります。
ヤマボウシは古くから私達の生活の中で身近な植物だったようで、ヤマボウシの開花を田植えの目安にしていた地域もあったそうです。
一見ハナミズキによく似ていますが、ヤマボウシとハナミズキは同じ属の別種として区別されています。ヤマボウシとハナミズキの違いについては改めてご紹介します。
ヤマボウシの花の咲く季節
ヤマボウシの花が咲くのは初夏、6月~7月頃です。春が過ぎ、濃いグリーンの葉が出揃った頃に、高木の上の方の枝に白やピンクの花を咲かせます。グリーンの葉の間に浮かぶように咲くヤマボウシの花は、遠くから眺めるととても見事で見惚れるほどです。
ヤマボウシの花の特徴
ヤマボウシの花は4枚の花びらのように見える総苞片(そうほうへん)を四方に広げるように咲かせます。この総苞片の中心に30前後の小花が集まって咲きます。総苞片とは花を包むように存在する葉のことです。
ヤマボウシの花びらのように見える部分は花びらではなく葉ですが、一般的に便宜上花びらと呼ばれています。
ヤマボウシの名前は漢字で書くと山法師。中心に球状に集まって咲く花を僧侶の頭、白い総苞片をその頭巾に見立て、頭巾を被った僧のようだということでヤマボウシ(山法師)という名がついたとされています。
紅葉も美しい!ヤマボウシの葉の魅力
ヤマボウシの葉は冬の落葉期を除き、一年中美しい姿を見せてくれます。春の柔らかい萌黄色の新緑、夏のしっかりとした濃いグリーンの葉、秋の鮮やかな紅葉と、四季を通じて色を変えるのも魅力です。
秋の風が冷たくなってきた頃、ヤマボウシの葉も赤く色付き始めます。ヤマボウシをきれいに紅葉させるには日照と寒暖の差が必要です。ヤマボウシの紅葉を楽しむなら日当たりの良い場所に植え付けましょう。
ヤマボウシの実は食べられる?
ヤマボウシの実は食べられます。あまり好んで食べる人はいませんが、ヤマボウシの果肉は甘く食用になります。
ヤマボウシの実がなる季節
ヤマボウシの実の食べ頃は9月~10月頃です。
開花後、7月くらいから葉の間に小さなグリーンの球体がちらほら見えてきます。このグリーンの実が赤く熟して、食べられるようになるのが秋です。
ヤマボウシの実の食べ方
ヤマボウシの実は熟すに従い赤く色付いていきます。赤と言っても朱に近いような赤です。赤く熟したヤマボウシの実は硬い果皮に包まれています。この外側の果皮を向いて、中の果肉を食べます。果肉には数個の種が含まれていて、噛むとじゃりじゃりと違和感があるので吐き出してください。
ヤマボウシの実は酸味がなく、甘みが強いのが特徴です。マンゴーに似ているかと聞かれたら、食感はマンゴーに近いけれど、マンゴーほどの強い香りはないという感じでしょうか。
今では私達が好んで食べることはあまりなく、森の生き物たちの大切な食料となっているようです。
いろいろある!ヤマボウシの種類を紹介
ヤマボウシは日本や中国の山野に自生する高木です。さらに園芸用に改良された品種など、ヤマボウシにはたくさんの種類があります。ヤマボウシの種類をいくつか紹介します。
ミルキーウェイ
咲き始めはクリーム色、徐々に白に変化していく大輪の花(総苞片)を咲かせるヤマボウシです。花付きがいいのも特徴です。
ベニバナヤマボウシ
ヤマボウシの花(総苞片)は白色が一般的ですが、これは濃いピンクの花が咲くヤマボウシです。
ステラピンク
ピンク色の花(総苞片)が咲くヤマボウシです。ヤマボウシとハナミズキの交配種です。
スノーボーイ
葉に白斑が入るヤマボウシです。
ウルフアイ
ウルフアイはスノーボーイ同様、葉に白斑が入ったヤマボウシです。葉を観賞するために改良された品種です。花(総苞片)色は白、斑入りの葉は明るく柔らかな印象を与えることから庭木として人気がある品種です。
ゴールドスター
黄色の斑が入るヤマボウシです。
ホンコンエンシス
常緑性のヤマボウシです。
ヒマラヤヤマボウシ
中国からヒマラヤに自生するヤマボウシ。花(総苞片)が黄色に見えることからキイロヤマボウシとも呼ばれます。果実が大型なのも特徴です。
ピンクの花が咲くヤマボウシとは?
ベニバナヤマボウシやステラピンクは、ピンク色の花(総苞片)を咲かせる品種です。
ベニバナヤマボウシはピンクの花を咲かせるヤマボウシから改良されて作られた品種で純粋なヤマボウシです。
ステラピンクはハナミズキとヤマボウシの長所を持ち合わせた交配種で、花(総苞片)は丸みを帯びていて、色は淡いピンク色をしています。
常緑ヤマボウシ‘ホンコンエンシス’の魅力
ヤマボウシは一般的に落葉高木に分類されていますが、常緑種もあります。代表的な品種がホンコンエンシスです。
ホンコンエンシスは葉は濃いグリーンで光沢があり、花付きもよいので庭木として人気です。初夏に咲く花(総苞片)は黄味を帯びた白で、開花期が長いのも特徴です。常緑なので目隠しとしても好まれます。
ヤマボウシの育て方
ヤマボウシはあまり手間がかからず育てやすいので庭木として人気です。ヤマボウシの育て方を紹介します。
ヤマボウシの鉢植えでの育て方
ヤマボウシは日照が少ないと花付きや紅葉に影響がでます。ヤマボウシの鉢植えは日当たりの良い場所で管理しましょう。品種にもよりますが、ヤマボウシは葉焼けを起こすことがあります。夏季は強い西日を避けるようにしましょう。
ヤマボウシを苗木から育てるコツ
ヤマボウシの植え付けは厳寒期を避けた落葉している冬の間に行います。日当たり、水はけ共に良い場所に植え付けるようにしましょう。肥沃な土壌の方が花付きがよくなるので、植え付け時に腐葉土を漉き込むとよいでしょう。
ヤマボウシの水やり
庭植えのヤマボウシは根付いてからは特に乾燥が続いた時以外は水やりの必要はありません。
鉢植えのヤマボウシは表土が乾いて白くなってきたら、鉢底から流れ出てくるくらいたっぷりと行います。
ヤマボウシの剪定の時期とコツ
ヤマボウシは自然樹形で整う庭木なので特に剪定の必要はありません。暴れた枝の整理や樹形を整えたい時は厳寒期を避けた落葉期に行います。
風通しをよくするための混み合った枝の整理はいつ行っても問題ありません。
ヤマボウシの病害虫と対処法
長雨が続いた時など、うどんこ病を発生することがあります。傷んだ葉は摘み取り、広がる前に速やかに薬剤を散布します。
ヤマボウシの英語の名前
ヤマボウシの英名を紹介します。
- Kousa dogwood
- Japanese Flowering Dogwood
Dogwoodがハナミズキを指す英語なので、ヤマボウシは近縁種だからということでしょうか。由来はわかりませんが、いずれにしてもDogwoodが付くようです。
ヤマボウシとハナミズキの違いと見分け方
似て非なるもの、ヤマボウシとハナミズキ。それぞれの特徴、違いと見分け方を紹介します。
ヤマボウシの特徴
ヤマボウシ
ヤマボウシは日本や中国の山野に自生している落葉高木です。
- 花の咲く時期:6月~7月
- 花と葉の出るタイミング:葉が先、葉が茂ってから花が咲く
- 花(総苞片)の形状:先端が尖ったように突き出ている
- 果実:表面に凸凹があり、生食できる
ハナミズキの特徴
ハナミズキ
ハナミズキは東京がアメリカに桜を贈った返礼として送られてきた花木です。
- 花の咲く時期:4~5月
- 花と葉の出るタイミング:花が先、あるいは花と葉が同時
- 花(総苞片)の形状:ハート型のように先端がへこんでいる
- 果実:枝の先に数粒付き、食用にできない
ヤマボウシとハナミズキの見分け方
ヤマボウシとハナミズキの見分け方をシンプルにまとめます。
花が咲いている時期に葉が繁っていたらヤマボウシの可能性有りです。さらに近づいて、花びらのように見える総苞片の先端が突き出していたら、それは間違いなくヤマボウシです。
わかりやすいのは開花時期です。ハナミズキは4月~5月、ヤマボウシは6月~7月に開花します。
ヤマボウシはシンボルツリーや庭木にもおすすめ
自然樹形が美しく、手間がかからないヤマボウシはシンボルツリーにおすすめの庭木です。大きく広げた枝の先に一面に咲く花も美しく、見ごたえがあります。夏は青々とした葉が日陰を作り、秋には果実の収穫と紅葉と、一年を通して家族で楽しめる木です。常緑種を選べば、お庭の目隠しの役割も果たしてくれます。
万能選手のようなヤマボウシの魅力を見直して、ぜひお庭のシンボルツリー候補に入れてみてください。
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