どんぐりとは?何の木?食べられる?種類や見分け方、育て方
山田智美
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どんぐりって何の木の実?身近で見られる種類や見分け方、食べられるかどうか、育て方など。どんぐりについて詳しく紹介します。
目次
どんぐりとは?基本情報
どんぐりとは、ブナ科の帽子のような殻を被った硬い木の実の俗称です。植物学上でどんぐりという分類があるわけではありません。
どんぐりは秋になると雑木林や公園などで見かけます。帽子をかぶったように見える実がかわいらしく目を引きます。子供のころに拾って集めた方も多いのではないでしょうか。
どんぐりの硬い実のことを堅果(けんか)、どんぐりの帽子のような殻の部分を殻斗(かくと)と言います。
堅果(けんか)とは、木のような固い果皮の中に種子を含み、裂けない果実のこと。植物学上の分類用語です。柔らかい果肉部分がないので果実と言われてもピンとこないかもしれませんが、立派な果実です。
どんぐりとクリ(栗)の違いは?
クリ(栗)のイガ
クリ(栗)はブナ科クリ属の落葉樹。イガと呼ばれるチクチクと尖った殻斗に包まれています。広義にはクリ(栗)もどんぐりですが、通常はどんぐりとは区別して扱われています。
どんぐりの木とは?
どんぐりの木とは、どんぐりを実らせる樹木のこと。ブナ科の樹木で、常緑から落葉、高木から低木までたくさんの種類があります。コナラやクヌギ、マテバシイなどがどんぐりの木です。
どんぐりの種類|身近で見かける7種
日本でどんぐりを実らせるブナ科の樹木は22種類あると言われています。なかでも身近な場所で見かけるどんぐり6種類を紹介します。
コナラ
コナラのどんぐりは、秋に公園や雑木林で見かけます。楕円形で長さ1.5~2cm、鱗片のあるベレー帽のような殻斗を被ったどんぐりらしいどんぐりです。
クヌギ
クヌギのどんぐりは、秋に公園や雑木林で見かけます。ほぼ球形で直径2~3cm程度、殻斗はもじゃもじゃとしたカツラのようです。これは伸びた鱗片がこのような形になったものです。アベマキのどんぐりとの見分け方は殻斗が反り返っているところです。
アベマキ
アベマキのどんぐりは、秋に公園や雑木林で見かけます。球形から卵形で直径2~3cm程度、殻斗は伸びた鱗片が実を包み込むように内側に向いています。クヌギとの見分け方は、殻斗が内側を向いていたらアベマキです。
シラカシ
シラカシのどんぐりは秋に公園、庭園など身近な場所で見かけます。楕円形で長さ1.5~2cm、横縞模様のあるベレー帽のような殻斗を被ったどんぐりらしいどんぐりです。
アラカシ
アラカシのどんぐりは、秋に公園や庭園など身近な場所で見かけます。ふっくらとした楕円形で長さ1.5~2cm、横縞模様のあるベレー帽のような殻斗を被ったどんぐりらしいどんぐりです。
マテバシイ
マテバシイのどんぐりは、秋に公園や庭園など身近な場所で見かけます。円形で長さ2~3cm、鱗片のあるベレー帽のような殻斗を被ったどんぐりらしいどんぐりです。
スダジイ
スダジイのどんぐりは、秋に公園や雑木林で見かけます。長さ1~1.5cm程度、先端の尖った円錐形と卵形の間のような形をしています。殻斗はチューリップ帽のような形状で3~4つに裂けています。木の下に落ちている実には殻斗がついていないものを多く見かけます。
どんぐりの木の見分け方7種
どんぐりの木には落葉樹と常緑樹があります。落葉樹、常緑樹に分けてそれぞれの木の特徴を紹介します。
落葉のどんぐりの木4種
コナラ
- 学名:Quercus serrata
- 科名・属名:ブナ科コナラ属
コナラの葉は縁が波打ったような形状の長い卵形で長さ7~10cm。新芽のころは全体に白い産毛のような毛がありますが、生長すると白い毛は裏面だけになります。稀に10mを越すこともありますが、多くは低木で、横に枝を広げるような樹形です。見分け方は葉の縁が波打ったような長い楕円形で裏に産毛があるところです。
クヌギ
- 学名:Quercus acutissima
- 科名・属名:ブナ科コナラ属
クヌギは樹高15m程度まで大きくなる高木です。葉の形は縁が波打ったような長い楕円形で8~15cm、先端が尖っています。枝を上へ伸ばすような直立した樹形です。見分け方は葉裏です。コナラに似ていますが、クヌギの葉裏には毛がありません。
アベマキ
- 学名:Quercus variabilis
- 科名・属名:ブナ科コナラ属
アベマキのどんぐりはクヌギによく似ていますが、葉が違います。見分け方は葉の幅が広いことと、葉裏に細かい毛があること。クヌギには毛はないので葉裏を確認すれば区別がつきます。
常緑のどんぐりの木5種
シラカシ
- 学名:Quercus myrsinifolia
- 科名・属名:ブナ科コナラ属
シラカシは公園や庭園、街路樹などに多く利用される常緑高木。葉は細い楕円形で光沢があり、縁には鋸歯があります。
アラカシ
- 学名:Quercus glauca
- 科名・属名:ブナ科コナラ属
アラカシはシラカシと同じく、公園や庭園、街路樹などに多く利用される常緑高木。葉の長さは7~12cm。葉裏は白い粉がついたような白緑色をしています。シラカシとの見分け方は、葉裏を見れば確認できます。白っぽいほうがアラカシです。
マテバシイ
- 学名:Lithocarpus edulis
- 科名・属名:ブナ科マテバシイ属
マテバシイは非常に強健なことから、公園や街路樹などに多く利用される常緑高木。葉は大きな楕円形で15cm程度、表面には光沢があり、葉裏は白っぽい緑をしています。マテバシイの葉は大きく、先端の方が広がった楕円形をしているので、アラカシやシラカシと区別がつきます。
スダジイ
- 学名:Castanopsis sieboldii
- 科名・属名:ブナ科シイ属
スダジイは高さ20mを越すこともある常緑高木。葉は厚みがあり、長さ5~15cmほどの楕円形、表面には光沢があります。
どんぐりは食べられる?
スダジイの実
どんぐりの多くは渋みが強く生食には向いていません。
どんぐりのなかで食用に向いているのは、マテバシイとスダジイです。渋みが少なく、加熱して食用にすることができます。硬い果皮ごと炒って果皮を割って種子を食べます。
スダジイの実は生食できることでも知られています。子供のころに食べたスダジイは、硬い果皮の中の白っぽい種子がほんのりと甘く、おいしかったように記憶しています。
どんぐりの育て方
どんぐりを植えて育てる方法です。大きな木になるまでには時間がかかりますが、自宅で発芽させて育ててみるのも楽しいのではないでしょうか。
場所・用土
日当たり、水はけ共に良い場所を好みます。市販の園芸用培養土で問題ありません。
準備
どんぐりを一晩水に浸けておきます。沈まないものは、中が虫食いの被害にあっているどんぐりです。植える前に処分しましょう。
植える
鉢にネット、鉢底石、培養土をセットし、どんぐりを寝かすように並べたら上から土をかぶせます。鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをしましょう。必ず発芽するとは限らないので、間隔を空けて数個植えておくとよいでしょう。
秋に植えたどんぐりが発芽するのは春。冬の間も忘れないように表土が乾いて白っぽくなったら水やりを行ってください。
発芽したら
どんぐりの発芽が確認できたら、一つずつ鉢に植え替えてください。いきなり大きな鉢に植え替えるようなことはしないで、小さな鉢に植え替えましょう。どんぐりの生長に合わせて大きなサイズの鉢に植え替えていくとよいでしょう。
水やり
表土が乾いて白っぽくなったらたっぷりと水やりしましょう。
肥料
植え付け時に元肥を入れておけば、特に必要ありません。
秋になると公園や道端で見かけるどんぐり。拾って集めた子供のころを思い出します。そんな童心をくすぐるどんぐりを改めて大人の目線で眺めてみませんか。帽子のような殻斗の違いを確認するだけでも楽しめます。秋のお散歩がもっと充実しますように。
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