【初夏が旬の花】芍薬(シャクヤク)とは?花言葉や季節、種類、育て方、牡丹との見分け方
山田智美
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美しい大輪の花を咲かせる芍薬について、特徴、花言葉や花咲く季節、種類、牡丹との見分け方、育て方など、魅力をたくさん紹介します。
目次
芍薬(シャクヤク)とは?基本情報
芍薬(シャクヤク)の特徴
芍薬とは、ボタン科ボタン属の多年草。日本や中国、ヨーロッパ、アメリカの一部地域などに分布しています。
芍薬は、草丈50cm~1mくらいまで伸ばした茎の先に、花径10~15cm程度の大輪の花を咲かせ、花には芳香があります。
花の色は、白、ピンク、赤、紫など。咲き方も一重、半八重、八重など多様です。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という慣用句があるように、優美な女性の例えにも使われる花。その美しさから、古来より多くの人に愛されてきた花の一つです。元は薬の原料として中国から渡ってきたものが、観賞用として栽培されるようになったと言われています。
芍薬(シャクヤク)の花言葉
芍薬の花言葉は「はじらい」「慎ましさ」です。
華やかな芍薬に楚々とした花言葉が印象的です。
芍薬(シャクヤク)の花咲く季節
芍薬の花が咲くのは、晩春の5月~6月。春が終る気配を見せ始め、初夏の風が吹き出すころに開花します。
幾重にも花びらを重ねた、花径10~15cmほどの大輪の花を咲かせる姿は、とても優雅。花色は白やピンクの他に赤や紫など、いずれも鮮やかな色が印象的です。
芍薬(シャクヤク)の花の香り
芍薬の花には、芳香があります。芍薬と牡丹は、共に「ピオニー」と呼ばれ、香料になっています。
芍薬の花の香りは、明るく華やか。クチナシほどの甘さなく、金木犀のような強さもありません。バラに似た香りと表現されることもあります。また、咲き進むに従って、香りも熟すように甘さを増していくのも魅力です。ずっと楽しんでいたくなるような、女性らしい優しい香りです。
ただし、ピオニーの天然精油というものは存在しません。芍薬や牡丹からは、精油を抽出することができないのが現状。ピオニーと銘打って流通している香りは、人の手で作り出された香りです。つまり、作り出してでも楽しみたいくらい魅力のある香りということなのでしょう。芍薬の香りを楽しむなら、ぜひ咲いている花で確かめてみてください。
実際に部屋のなかに芍薬を1輪飾っているだけで、時折優しい香りがふわりと鼻先をかすめていきます。たった1輪の芍薬がくれるちょっとした幸せです。
芍薬(シャクヤク)の生け方
芍薬の切り花が流通するのは、4月の終わりから6月。生花店などで販売されます。自宅に芍薬の花を生けて飾ってみませんか。
芍薬の花の多くは、つぼみの状態で販売されています。つぼみは柔らかく、先が少しほぐれているくらいのものを選びましょう。あまり硬いつぼみは開かずに終ってしまうことがあります。
また、花びらに付着した蜜が糊のように花びらをくっつけてしまい、つぼみが開かないこともあります。
芍薬の切り花を購入してきたら、下の方の余計な葉を落とし、つぼみを軽く水で洗って、たっぷりと水を入れた花器に生けるようにしましょう。
芍薬(シャクヤク)の種類
日本に自生する芍薬2種
ヤマシャクヤク
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- 学名:Paeonia japonica
ヤマシャクヤクは、日本の山林に自生する種類。草丈30~50cm程度、花径は5~7cm程度と小ぶりです。花色は白く一重咲きで、可憐な姿から山野草や茶花として愛されています。また、花の後に実る果実は、熟すと果皮が割れて中から赤い実が見えます。ヤマシャクヤクの果実も茶花として人気があります。
ベニバナヤマシャクヤク
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- 学名:Paeonia obovata
ピンク色の花を咲かせる種類で、日本や中国などに自生しています。葉の裏ぶ細かい毛があるのが特徴です。
たくさんある芍薬の園芸種
ポーラフェイ
コーラルピンクの半八重咲きの芍薬。花が開くと花芯の黄色いしべが見えるので、花びらとのコントラストが美しい品種です。
コーラルチャーム
コーラルピンクの半八重の芍薬。咲き進むにつれて、色の変化も楽しめる品種です。
サラベルナール(サラベル)
たっぷりとした花びらが豪華な八重咲きの芍薬。ピンク色の優しい印象の花を咲かせます。
エッヂドサーモン
丸みを帯びたサーモンピンクの八重咲きの芍薬。明るい色の豪華な花が印象的です。昔からあるピンクの大輪八重咲きの代表のような品種です。
サツキ
赤紫色の花が美しい芍薬。花色の鮮やかさが印象的な品種です。
白妙
真白な花と豪華な花びらの芍薬。大きすぎない花は1輪だけでも飾りやすいサイズです。
白雪姫
真白でたっぷりとした花びらが特徴の八重咲きの芍薬。存在感がある品種です。
芍薬と牡丹の交雑種の芍薬、ハイブリッドシャクヤク
バートゼラ
黄色の八重咲きの芍薬。明るい黄色の花が印象的です。
オリエンタルゴールド
黄色の八重咲きの芍薬。はっきりとした黄色の大きな花が特徴です。
▼ハイブリッドシャクヤクについて詳しくはこちら
芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の違いと見分け方
芍薬とよく似た花に牡丹があります。どちらもボタン科ボタン属で、花もよく似ています。この2種類の違いと見分け方をまとめました。
芍薬(シャクヤク)の特徴
芍薬
牡丹(ボタン)の特徴
牡丹
芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の違い
芍薬(シャクヤク)は草本類、牡丹(ボタン)は木本類
芍薬と牡丹の大きな違いは、芍薬は草本類であるのに対して、牡丹は木本類であるというところ。木本とは木質化して木になる性質、草本とは木質化しない性質のことです。
芍薬は草本類(多年草)なので木になることはなく、冬は地上部を枯らして越冬します。牡丹は木本類(落葉低木)なので、冬は葉を落とし枝だけの状態になって越冬します。冬の状態を確認すれば見分けがつきます。
芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の開花時期の違い
芍薬の花が咲くのは5月~6月、牡丹の花が咲くのは4月~5月。牡丹のほうが少し先に開花し、追いかけるように芍薬の花が咲き始めます。
開花時期の違いで見分けることもできますが、その年の気候によって開花がずれることもあります。
芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の葉の違い
芍薬
芍薬と牡丹は葉の光沢も違います。芍薬の葉には表面に光沢があるのに対して、牡丹の葉には光沢がありません。
牡丹
さらに芍薬の葉には切れ込みがありませんが、牡丹の葉には切れ込みが入っています。葉の違いで見分けることができます。
芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の英名の違い
芍薬と牡丹の英名は、どちらもpeony(ピオニー)です。香水などでピオニーの香りと表現されるときには、芍薬か牡丹か限定されていないことの方が多いようです。
厳密には、芍薬はChinese peony(チャイニーズピオニー)、牡丹はtree peony(ツリーピオニー)と区別します。
▼芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)の見分け方について詳しく紹介しています。
芍薬(シャクヤク)の育て方
場所・用土
日当たり、水はけが良く、肥沃な土壌を好みます。また日当たりを好みますが、極端な乾燥は苦手なので、株元は日陰になるような工夫をするとよいでしょう。
水やり
植え付け後は根付くまで乾かさないようにします。根付いてからは乾燥が続いたとき以外は降雨に任せます。鉢植えの芍薬は、表土が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。
肥料
花付きを良くするために、春の花芽ができるころと花の後、冬に施肥を行います。
病害虫と対処法
アブラムシやネキリムシの被害にあうことがあります。見つけ次第駆除しましょう。
日当たりと風通しが悪いと、うどん粉病が発生することがあります。混みあった葉は取り除き、風通し良く管理するように心がけましょう。
剪定
花径につぼみが複数できたら、一番上のつぼみを残して他は摘み取るようにします。ちょっとかわいそうな気もしますが、大きくて立派な花を咲かせるための作業です。
開花後は早めに花がらを摘み取るようにすると、株への負担を軽減できます。
冬越し
芍薬は冬は地上部を枯らして越冬します。地際で刈り取るようにしましょう。また、霜や雪が多い地域では根が凍らないように、マルチングを施すなどの工夫も必要です。
大輪で豪華な香りの良い花を咲かせる芍薬。庭で育てても、切り花を部屋に飾っても、存在感のある花です。芍薬の花に詳しくなって、もっと愛でてみませんか。
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