香水にも使われる、夏の香りの良いお花4選

山田智美
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香水の原料にもなっている、香りの良い夏のお花を紹介します。せっかくなら香水だけではなく、フレッシュのお花の香りも楽しんでみませんか。お花が咲いている時期だけのとっておきの楽しみです。
目次
香水にも使われる甘く濃厚な香りの夏のお花
一年を通して香りの良いお花はたくさんあります。特に夏は香りの強いお花が多くなる季節です。甘く濃厚で印象的な香りの夏のお花を身に纏ってみませんか。香りの良い夏のお花とそのお花を使った香水をご紹介します。お気に入りの香りを見つけて、香りでお花を選んでみるのも楽しみのひとつになるかもしれませんよ。
官能的な香りのチューベローズ
- 学名:Polianthes tuberosa
- 科名:リュウゼツラン科あるいはキジカクシ科
- 分類:球根植物
- 別名:夜来香(イエライシャン)、月下香(ゲッカコウ)
チューベローズは亜熱帯原産の球根植物です。真直ぐに伸びた花茎に、わずかにピンクがかったオフホワイトのお花を縦に連ねるように咲かせます。ふっくらとしたお花から濃く甘い香りを周囲に放ちます。官能的とも言われるチューベローズの甘い香りは、夜になると強くなるため、「夜来香」の別名を持ちます。
「夜来香」と呼ばれる花は、実は3種類あります。「チューベローズ」、「イランイラン」、「イエライシャン」です。李香蘭が歌った「夜来香」はこのチューベローズのことだったと言われています。
お花は手で容易く茎からもぎとることができるので、紐で繋いでレイにしたり、フラワーバスに浮かべたり、と楽しみ方もいろいろです。切り花を花瓶に生けておくだけで部屋の中がチューベローズの香りでいっぱいになります。
チューベローズが使われている香水
- グッチ:フローラ バイ グッチ グレイシャス チュベローズ
チューベローズ
- チューベローズはメキシコ辺りが原産であると言われている球根植物です。すっと伸びた茎の先に縦に連なるように白いお花を咲かせます。チューベローズという名前は、学名の「tuberosa」の英語読みです。 チューベローズの最大の特徴はその花の芳香です。夜になると香りが強くなると言われていますが、もちろん昼間も素晴らしい芳香がします。夜に強い芳香を放つ特徴から「夜来香(イエライシャン)」という別名をもちます。「夜来香(イエライシャン)」と呼ばれる植物は3つあると言われています。「チューベローズ Polianthes tuberosa」、「イランイラン Cananga odorata」、「イエライシャン Telosma cordata」です。すべて夜になると強い芳香を放つことからこの名前で呼ばれるようになりました。 チューベローズの花は一輪一輪もぎ取ることができるので、ハワイではレイに使用されることもあります。
記憶に残るクチナシの香り
- 学名:Gardenia jasminoides
- 科名:アカネ科
- 分類:常緑低木
クチナシは初夏になると甘い香りを放つ常緑低木。ガラスを思わせるような質感の繊細な花びらが特徴的です。クチナシという和名は熟しても弾けない果実の形状にあります。
一重咲きから八重咲きまであり、花の大きさもコクチナシのような小さなサイズもあります。非常に強健で、育てやすい植物です。クチナシの香りは、濃く甘ったるく記憶に残りながら、何故かすっきりとした後味の良さを感じさせる不思議な香りです。
クチナシが使われている香水
- グッチ:フローラ バイ グッチ ゴージャスガーデニア
- ベルサーチ:クリスタルノワール
- クチナシは常緑低木で、葉は光沢のある長い楕円で濃緑色で葉脈がはっきりとしています。クチナシはの花は6月~7月に白色の花を咲かせます。花弁はフェルトのような優しい風合いをしています。香りが特徴的で甘い香りを周囲に漂わせます。 花の形は八重咲と一重咲きがあり、一重咲きの品種は秋になると橙色の実をつけ、熟しても口を開かない事から「クチナシ」の名が付いたと言われています。 お庭に植えられる方も多いクチナシですがだいたい1m~2mにほどになります。枝が詰まって葉が育つ為、垣根としてに好まれます。また、『山吹の 花色衣 主や誰 問へど答へず くちなしにして(秋が過ぎ、冬が来ても一向に口を開けない)』という歌が由来の原点ともいわれています。
甘く可愛らしい香りのピオニー(芍薬)
- 学名:Paeonia lactiflora
- 科名:ボタン科
- 分類:多年草
正確には「ピオニー」とは、シャクヤク、ボタン両方の総称である英語です。初夏に咲く芍薬は、花びらをたっぷりと幾重にも纏い、優しく甘い香りをさせながら咲きます。散るときは、ばさりと一気に花びらを落とします。その散り際には頽廃美すら感じます。
ピオニーの香りは優しい香りです。決して強い香りではありません。ふわりと届いてくるピオニーの甘く優しい香りは、きちんと身支度を整えた美しいお嬢さんをイメージさせます。
ピオニーが使われている香水
- ディオール:ミス ディオール ブルーミング ブーケ
- クロエ:クロエ オードパルファム
芍薬(シャクヤク)
- 芍薬(シャクヤク)は、アジア原産のボタン科の多年草。春になると地面から新芽を出し、伸びた茎から大きな花を咲かせるのが特徴です。 芍薬(シャクヤク)は中国北部、シベリア南東部、朝鮮半島などに自生し、中国では古くから栽培されてました。薬用植物としても知られ、花から根まで余すことなく使用され、江戸時代からは「茶花」として観賞用としても親しまれてきました。その後、改良され、現在では数多くの品種が作られ、初夏の切り花としても人気の高い植物です。 球状のつぼみはさほど大きくありませんが、開くと手のひらより大きな大輪の花になります。 見分けがつきにくい、よく似た花を咲かせる牡丹(ボタン)とは全く違う植物です。牡丹(ボタン)は落葉低木で「木」、芍薬(シャクヤク)は「草」として分類されます。 左:ハイブリッドシャクヤク 右:芍薬(シャクヤク) 最近では、芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)を掛け合わせたハイブリッドシャクヤクも登場し、以前はなかった黄色の芍薬(シャクヤク)も流通しています。
花姿も香りも圧倒的なユリ
- 学名:Lilium
- 科名:ユリ科
- 分類:球根植物
ユリは一年中出回っていますが、本来の花期は夏です。夏、山道を散歩していると上の方の斜面にヤマユリやテッポウユリが咲いているのを見かけます。風に乗って甘い香りが漂ってくるので、見上げたら急な斜面にちょっと無理をするような姿勢でユリが咲いていた、なんてこともあります。
ユリはその芳醇な甘い香りだけではなく、姿も美しい花です。華奢な茎の先に、とても支えきれないんじゃないかというくらいの大きな花を咲かせます。その美しさと気高さには、やせ我慢のような健気さすら感じます。
ユリが使われている香水
- アンティカ ファルマシスタ :カサブランカリリー
- カルバンクライン:ビューティー
- ゲラン:アクアアレゴリア リスソレイア
花の香りを纏う楽しみ
香水の原料にもなっている夏の香りの良いお花の紹介でした。夏には夏の花の香りを纏ってみるのもおしゃれではないでしょうか。香りの良いお花を部屋に飾るだけも、お部屋いっぱいに甘い香りが広がって幸せな気持ちになれますよ。
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