秋の七草のキキョウ|花の時期や特徴、名前の由来、毒や生薬について
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秋の七草に数えられるキキョウについて、花の時期や特徴、名前や英名の由来、毒や生薬について紹介します。
目次
キキョウの特徴
- 学名:Platycodon grandiflorus
- 科名・属名:キキョウ科キキョウ属
- 分類:多年草
キキョウの特徴
キキョウは、秋の七草にも数えられるキキョウ科の多年草。華奢な草姿と星形の青紫色の花が印象的です。昔に中国から生薬として渡ってきたものが、花の美しさから観賞用に育てられるようになった花です。
キキョウは、草丈40~100cm程度、葉は卵形で縁はギザギザとしていて、葉茎を折ると白い乳液が出てきます。花は真直ぐに伸びた茎に1つ〜複数咲きます。少し横を向くように咲くのも花の特徴です。日本の日当たりの良い草原を好む花ですが、自生種が減ってしまったことから絶滅危惧種に指定されています。
自生種は絶滅が危惧されていますが、切り花としての人気の高まりを受けて、品種改良が盛んに行われた時代があったので、園芸品種が豊富です。花色は青紫の他に、白やピンクなど、咲き方も一重咲き、八重咲き、その他に草丈の低い矮性種などがあります。また、改良が進むにつれ、早咲き種が増え、秋の七草というよりは夏の花といえるくらい早くから咲く品種が増えました。
キキョウは、家紋にも用いられてきた花です。裏桔梗、割り桔梗、寄せ桔梗などバリエーションも豊か。中でも水色桔梗は明智光秀の家紋として有名です。秋の七草に家紋と、日本で古来から愛されてきた花であることを伺わせます。
キキョウの名前の由来
キキョウの名前の由来は、中国から渡来した生薬名である桔梗を日本語読みしたものだとされています。
キキョウの英名の由来
キキョウの英名は Balloon flower です。英名の由来は、風船のようにふくらんだつぼみのフォルムによるとされています。開花した花ではなく、つぼみが名前の由来になっているというのがおもしろいところです。
確かに眺めていると、ぱちんと指で押したいような衝動に駆られます。ただし、押してもぱちんとは弾けません。弾けない上に花が咲かなくなってしまうので、いたずらは避けましょう。
キキョウの学名の由来
キキョウの属名である Platycodon は、ラテン語で「広い釣鐘」という意味です。確かにキキョウの花は5枚の花びらが合着した鐘のようなフォルムをしています。
英名の由来はつぼみのフォルム、学名の由来は咲いた花のフォルムというのがおもしろいように思います。
キキョウの花言葉
キキョウの花言葉は「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」です。
キキョウの花の時期と特徴
キキョウの花の時期
キキョウの花が咲くのは6月~10月、花の見頃が盛りを迎えるのは7月~9月です。秋の七草の一つに数えられますが、実際には夏の暑い盛りに見頃を迎えます。
夏の照りつけるような太陽を浴びながら、風に揺れている花姿は涼を感じさせます。
▼秋の七草について詳しく紹介しています。
キキョウの花の特徴
キキョウの花は、風船のようにふくらんだつぼみと、星のようなフォルムが特徴です。5枚の花びらが合着していることで、星のようなフォルムを形成しています。釣鐘のような咲き方も独特です。また、花びらが薄く、日の光に透けて脈が見えるのも繊細さを想起させる魅力の一つです。
毒にも薬にもなるキキョウ
キキョウの根にはサポニンやイヌリンという成分が含まれています。キキョウは、元々は鎮咳や去痰に利用される「桔梗根」という生薬として中国から渡ってきました。桔梗根は、いまでも漢方で使用されています。
キキョウに含まれる成分の一つであるサポニンは、有毒成分で、誤って食べると中毒症状を起こす恐れがあります。生薬とされている反面、有毒成分も含んでいるということ。むやみに食用にはしないように気をつけてください。切り花やガーデニングで花を楽しむ分には問題ありませんが、葉茎から出る白い乳液でかぶれる心配があるので、肌が弱い方や、抵抗力が落ちているときは触れないように気をつけてください。
キキョウの育て方
キキョウは多年草なので植えっぱなしで何年も楽しめるのが魅力。本来日本の風土でよく育つ花です。蒸れと風通しに注意すれば、毎年よく咲いてくれます。
場所・用土
日当たりと水はけの良い場所を好みます。高温多湿が苦手なので、風通しの良い場所を選ぶとよいでしょう。鉢植えのキキョウは市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
水やり
地植えは、根付いてからは降雨に任せます。乾燥が続くようなときは水やりをしましょう。
鉢植えは、表土が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。
肥料
花付きが悪くなってきたら、緩効性肥料を与えます。
病害虫と対処法
乾燥が続くとハダニが発生することがあります。水やりの際に葉茎まで水をかけるようにしましょう。
花を長く楽しむ剪定
初夏の花が一通り咲き終わったら、半分ほどに切り戻すと秋にまた花を楽しめます。また、花がらをこまめに摘み取ることで、次の開花を促し、10月頃まで長く花を咲かせることができます。秋以降は自然に枯れて地上部がなくなっていくので、地際で切り詰めます。
注意すること
直根性の植物なので、根を触られることが嫌いです。植え替えの際には根を傷つけないように扱うようにしましょう。
花色も草姿も楚々として美しいキキョウ。秋の七草にも数えられる、和の花らしい風情があります。盛夏から初秋にかけて咲き続けるキキョウを愛でて、季節の移ろいを感じてみませんか。
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