アザミ|花の季節や特徴、たくさんある種類の見分け方
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アザミの花咲く季節や特徴、たくさんある種類の特徴や見分け方、名前にアザミと付くけれどアザミではない種類を紹介します。
目次
アザミの花の季節や特徴
アザミは、キク科アザミ属の総称。ただの「アザミ」という植物名はなく、それぞれの品種にノアザミやフジアザミという名前が付いています。
アザミは、多年草、あるいは二年草の草花で、花が咲く季節は主に秋と春ですが、春に咲く品種はあまり多くありません。花色は、赤紫や紫、まれに白花を咲かせることもあります。葉に鋸歯やトゲがあるものが多く、花の下にある総苞片がウロコになっているのが特徴です。
日本には60種類以上が自生していて、日本原産のものも多くあり、ちょっとしたアザミ大国です。こんなにたくさん種類があるのに、人為的に作出された園芸種というのは少なく、多くが野花であることもアザミの特徴です。
アザミの種類と特徴や見分け方
アザミは自然交雑しやすい花であること、同じ品種でも個体差があることなどから、特定が難しいといわれています。
見分けるポイントは、開花時に根出葉があるかないか、葉の基部が茎を抱くように付いているかどうか、総苞片の形や粘つき、開花時期、花の咲く向きなど。
それぞれ種類の特徴を紹介するので、見分けるときの参考にしてください。身近なところに新しい品種が潜んでいるかもしれません。
▼根出葉とは
ノアザミ
- 学名:Cirsium japonicum
- 開花時期:4月~6月
ノアザミは、数少ない春に咲くアザミです。開花時に根出葉が残っていて、葉の基部は茎を抱きます。総苞片は閉じていて、触れると粘つきがあります。花は茎に対して上向きに咲き、花色は赤紫がかったピンクで、まれに白花もあります。
ノハラアザミ
- 学名:Cirsium oligophyllum
- 開花時期:8月~10月
ノハラアザミは、ノアザミに似ていますが、秋に咲く品種で、総苞片に粘つきがありません。ノハラアザミは、開花時に根出葉が残っていて、葉の基部は茎を抱きます。総苞片は斜め上に開いているので、トゲトゲした印象で、粘つきはありません。花色は赤紫がかったピンクで、上向きか横向き、茎の上に2~3個固まって咲きます。
ノハラアザミの白花
ノハラアザミは、まれに白花を見かけることもあります。
トネアザミ
- 学名:Cirsium nipponicum
- 開花時期:9月~11月
トネアザミは、草丈1.5~2m程の大型のアザミで、タイアザミという名前でも呼ばれます。開花時に根出葉はなく、葉の基部は茎を抱きません。葉は細く、切れ込みが深いのが特徴です。花色は赤紫がかったピンク、総苞片は大きく反り返っていて、粘つきはありません。よく分枝し、たくさんの花を咲かせます。
ハチジョウアザミ
- 学名:Cirsium hachijoense
- 開花時期:9月~11月
ハチジョウアザミは、八丈島や伊豆諸島に分布するアザミです。開花時期は9月~11月ですが、環境が合えば四季咲きになることもあります。開花時の根出葉は、あるものとないものがあり、個体差が見られます。葉は大きく、トゲがないのが特徴です。総苞片は斜め上に開いていて、粘つきはありません。花色は赤紫がかったピンクで、横向きか少し下向きに咲きます。
ナンブアザミ
- 学名:Cirsium makinoi
- 開花時期:8月~10月
ナンブアザミは、東北地方でよく見られるアザミです。開花時に根出葉はなく、葉は基部を抱きません。葉のフォルムには個体差があり、切れ込みがあるものとないものがあります。総苞片は反り返り、少し粘つきがあります。草丈1~2mほどで、よく分枝し、たくさんの花を下向きに咲かせます。
フジアザミ
- 学名:Cirsium purpuratum
- 開花時期:8月~10月
フジアザミは、富士山周辺で見られるアザミ。日本固有種で、花の大きさは直径10cmもあり、世界でも最大級といわれています。開花時に根出葉があり、葉は基部を抱きます。大きな葉と太くしっかりとした茎が特徴的で、分枝した先に直径10cm程度の大きな花を下向きに咲かせます。総苞片は反り返っていて、粘つきはありません。草丈は個体差があり、20~100cm程度、葉を広げた株の直径は100cmを優に超す、大型のアザミです。
アザミと付くけどアザミではない花
アザミと名に付く花は数多くありますが、アザミ属ではないものも多くあります。学名に Cirsium と付いているのがアザミ属なので、区別する時の参考にしてください。
アーティチョーク(チョウセンアザミ)
- 学名:Cynara scolymus
アーティチョークは、キク科チョウセンアザミ属の多年草。つぼみを食用にすることで有名なハーブの1種です。チョウセンアザミという和名でも流通しています。草丈150cm程度と大型の草本で、草姿がアザミに似ていますが、アザミ属ではありません。
ルリタマアザミ
- 学名:Echinops ritro
ルリタマアザミは、キク科ヒゴダイ属の多年草。吸い込まれるよな深いブルーの花が印象的で、ルリタマアザミという和名は、この花の色とフォルムに由来しています。葉のフォルムや草姿がアザミに似ていますが、アザミ属ではなく、ヒゴダイ属です。
カッコウアザミ(アゲラタム)
- 学名:Ageratum
カッコウアザミは、アゲラタムという名前でも流通している、キク科アゲラタム属の多年草、あるいは一年草。夏に青紫色の花をたくさん咲かせる様子が美しく、夏の花壇の強い味方として人気があります。花の様子からアザミと名付けられたようですが、アザミ属ではありません。
オオアザミ(マリアアザミ)
- 学名:Silybum marianum
オオアザミは、キク科オオアザミ属の二年草。マリアアザミという名前でも流通しています。また、葉に白い模様があることから、milk thistle(ミルクシスル)という英名を持ちます。総苞片や葉にトゲがあるのが特徴です。原産地のヨーロッパでは、古くから薬草とされてきました。
日本は60種以上が自生するアザミ大国。春や秋に野山に出かけたら、アザミの花を観察して、見分けて、楽しんでみませんか。
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