ヒオウギ
- ヒオウギは、アヤメ科アヤメ属の多年草。日本を始め、中国や朝鮮半島に自生しています。以前はヒオウギ1種のみのヒオウギ属に分類されていましたが、DNA系統解析によりアヤメ属とされました。それに伴って学名も Belamcanda chinensis から、Iris domestica に変更されました。 ヒオウギという名は、宮中で官位のある人が用いた「檜」の薄板を重ねて作った檜扇に由来しています。何枚も重なり合って並ぶ厚みのある葉が、檜扇を開いたときの様子に似ていることから付けられたといわれています。力強く端正な草姿で、古くから庭植えや生け花の花材として親しまれてきました。 ヒオウギの花は日中に咲き夕方に閉じてしまう一日花ですが、花期の間は次々と咲き続けます。花の特徴は他のアヤメの仲間と異なり、花径5~6cm、オレンジ色に赤色の斑点のある6枚の花びらを大きく広げるように咲かせます。英名の「Leopard flower」は、この花びらの斑点が由来とされています。7月~8月の暑い夏の盛りに草丈100~120cmほどの茎の先に色鮮やかな花を咲かせる姿は見事です。 花が咲いた後、大きなさやの袋ができ、それが熟すと割れて中から黒い種子が出てきます。種子はしばらく落ちずに残るので、花材としてよく使われます。種子がブラックベリーに似ていることから「black berry lily(ブラックベリー・リリー)」と呼ばれることもあります。