ヒイラギ|花の季節や香り、赤い実のなるヒイラギとの違い
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ヒイラギとは?花の咲く季節や香り、育て方、混同されている種類、クリスマスの飾りに使われるヒイラギと節分に飾るヒイラギの違い、英語の名前などを紹介します。
目次
ヒイラギの特徴や英語の名前
- 学名:Osmanthus heterophyllus
- 科名、属名:モクセイ科モクセイ属
- 分類:常緑高木
ヒイラギの特徴
ヒイラギは、ノコギリの歯のようにギザギザしている葉が特徴の常緑高木。原産地は日本や中国です。耐寒性があり丈夫な樹木で、山野に自生する他、公園や庭園の植栽としても人気があります。
葉は濃いグリーンで光沢があり、肉厚で対生します。ヒイラギの特徴ともいえる葉の縁のギザギザは、老木になると無くなっていきます。
ヒイラギの英語の名前
- Holly Osmanthus(ホーリーオスマンサス)
- Chinese Holly(チャイニーズホーリー)
Holly Osmanthus(ホーリーオスマンサス)は、Holly(ホーリー)がセイヨウヒイラギのこと、Osmanthus(オスマンサス)はモクセイ属のことなので、モクセイ科のヒイラギという意味のようです。Chinese Holly(チャイニーズホーリー)は、中国原産のヒイラギということ。英語圏でも、ヒイラギとセイヨウヒイラギは似ていると思われているようです。
ヒイラギの花の季節や特徴、香り
ヒイラギの花の季節
ヒイラギの花の季節は、11月~12月の寒い時期です。濃いグリーンの葉の脇から白く香りの良い小花を数個まとめて咲かせます。花の後、翌年の初夏に黒に近い紫色の果実を実らせることがあります。
ヒイラギの花の特徴
ヒイラギの花は、ギンモクセイによく似ています。それもそのはず、ヒイラギはギンモクセイと同じモクセイ科モクセイ属の樹木です。花びらは4裂し、花びらの先が反り返っているのが特徴です。花びらが反り返って、しべが飛び出している様子が、ギンモクセイとは違います。
ヒイラギの花の香り
ヒイラギの花には芳香があります。その香りは顔を近づけてやっと確認できるくらいの香りです。キンモクセイの花のように強くは香りません。どちらかというとギンモクセイの香りににています。冬の始めにヒイラギの白い花を見つけたら、ぜひ香りを確認してみてください。ハッとするような優しい香りを楽しめます。
赤い実がなるヒイラギとは?
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赤い実のヒイラギは、正しくはセイヨウヒイラギといって、日本に自生するヒイラギとはまったく違う種類の植物です。
- 学名:Ilex aquifolium
- 別名:イングリッシュホーリー、クリスマスホーリー
- 科名・属名:モチノキ科モチノキ属
- 分類:常緑高木
ヒイラギとセイヨウヒイラギは、どちらも葉に鋸歯がある、常緑高木ですが、日本に自生するヒイラギはモクセイ科、セイヨウヒイラギはモチノキ科なので、分類上違う植物です。セイヨウヒイラギという名前は、ヒイラギと同じように葉の縁にギザギザがあることと、海外から入ってきたという理由で名付けられました。イングリッシュホーリーやクリスマスホーリーという別名でも流通しています。
ヒイラギとセイヨウヒイラギの見分け方
ヒイラギは冬に白い花を咲かせますが、セイヨウヒイラギは春に開花し、初冬に赤い果実を実らせます。冬に白い花が咲いていればヒイラギ、赤い実がついていればセイヨウヒイラギという風に見分けることができます。
クリスマスのヒイラギと節分のヒイラギの違いは?
クリスマスの頃に出回る赤い実の付いたヒイラギは、モチノキ科のセイヨウヒイラギです。節分に飾るヒイラギは、モクセイ科のヒイラギです。西洋のイベントでは西洋のヒイラギを、日本のイベントでは日本のヒイラギを飾りましょう。
ヒイラギを節分に飾る理由は、尖った葉の縁が鬼の目に刺さることから、鬼が嫌がるという言い伝えに由来します。同じく鬼が嫌うといわれている、イワシの頭と合わせて、魔除けとして飾ります。
セイヨウヒイラギは、常緑の葉が永遠、赤い実がキリストの血を象徴しているという理由から、クリスマスに飾られるようになったといわれています。
ヒイラギの仲間?名前にヒイラギと付く種類
ヒイラギナンテン
- 学名:Berberis japonica
- 科名、属名:メギ科メギ属
- 分類:常緑低木
ヒイラギナンテンは南天のようなフォルム、葉の縁にはヒイラギのようなギザギザがあることから、この名前がつきました。ヒイラギとはまったく違う種類の樹木です。
ヒイラギナンテンは、春に黄色い花を咲かせ、秋には黒い実を付けます。常緑低木で非常に強健なことから、街路樹や生垣に多用されています。
ホソバヒイラギナンテン
- 学名:Berberis fortunei
- 科名、属名:メギ科メギ属
- 分類:常緑低木
ヒイラギナンテンの仲間にホソバヒイラギナンテンがあります。ヒイラギナンテンと同じく、ヒイラギとはまったく違う種類の樹木です。葉が細く縁にギザギザがあるのが特徴です。
ホソバヒイラギナンテンは、11月~1月に黄色い花が開花し、花の後に黒い果実を実らせます。
ヒイラギモクセイ
- 植物名:ヒイラギモクセイ
- 学名:Osmanthus fortunei
- 科名:モクセイ科モクセイ属
- 分類:常緑高木
ヒイラギモクセイは、ヒイラギとギンモクセイの交雑種だと言われています。葉の縁にはヒイラギの葉のようなギザギザがあり、花はキンモクセイやギンモクセイと同じ10月頃に咲きます。花には芳香があるのも特徴です。
ヒイラギとヒイラギモクセイは、見分けるのが難しいのですが、花が咲く時期の違いでわかります。ヒイラギの花が咲くのは11月~12月、ヒイラギモクセイの花が咲くのは10月です。
ヒイラギの育て方
場所、用土
日当たり、水はけ共に良い場所を好みます。水はけが悪いようであれば、植え付け前に赤玉土を混ぜ込むなどして土壌改良をするようにしましょう。鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育ちます。
寒風に弱いので、冬に強い風が当たるような場所は避けてください。冬に花を咲かせる木ですが、寒さが苦手です。植え付けは春、十分に気温が上がってから行います。
水やり
庭植えは根付くまでは表土が乾いて白っぽくなったら、たっぷりと与えます。根付いてからは降雨に任せます。
鉢植えは表土が乾いたら、鉢の下から出てくるくらいたっぷりと水やりを行います。
病害虫と対処法
風通しが悪いとカイガラムシがつきやすくなります。混み合った枝は整理して、風通しが良くなるように管理しましょう。ハモグリガの幼虫の被害にあうことがあります。見つけ次第駆除しましょう。
肥料
自然の循環ができている肥えた土ならば特に与えなくても生長します。
与える場合は、春と秋に緩効性肥料もしくは有機質肥料(園芸用として市販されている固形の油粕など)を株元に与えましょう。
剪定
ある程度放任でも育ちますが、枝が混みあいすぎると風通しが悪くなるため、混みあった枝は間引くと美しい樹形を維持することができます。若木の葉は鋭いため、作業の際は頑丈な手袋をつけて作業しましょう。
大きな剪定は3月~4月に行い、樹形を乱す枝や伸びすぎた枝、混みあった枝を付け根から切り取りましょう。その後、夏の間に伸びすぎて風通しが悪い部分が出てきた場合は、花後の秋に整える剪定を行ってもよいでしょう。
ヒイラギは木に冬と書いて柊。冬を代表するような木です。初冬に香りの良い花を咲かせるヒイラギの魅力を知って、自宅で育ててみませんか。
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