お榊にされるサカキ|神棚に飾る理由や特徴、種類と見分け方
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サカキの花咲く季節や特徴、種類と見分け方、神事に使用される理由などを紹介します。
目次
サカキの特徴
- 植物名:サカキ
- 学名:Cleyera japonica
- 科名・属名:サカキ科・サカキ属
- 分類:常緑高木
- 別名:ホンサカキ、マサカキ
サカキの特徴
サカキは、光沢のあるグリーンの葉が特徴の常緑高木。枝葉を玉串やお榊など神事に使用することが多いことから、神社に植えられているのを見かけます。半日陰にも強く、木々が鬱蒼と生えているような場所で大きく枝葉を伸ばして生長していきます。
サカキの樹高は通常4~5m、大きなものでは10mを越すものもあります。6月~7月に目立たない小さな白い花を咲かせ、11月~12月に光沢のある黒い実を付けます。葉は、先の尖ったきれいな楕円形で、長さは5~8cm程度。表面は濃いグリーンで光沢があり、裏は白っぽいくすんだグリーンをしています。
サカキの花
サカキの花が咲くのは、6月~7月です。花は、チャノキの花に似ています。色は白、直径5mm足らずで花びらは5枚、外側に開くように反ったフォルムの花を、葉の脇に数個咲かせます。
ヒサカキの花
よく似た植物にヒサカキがありますが、ヒサカキの花は、3月~4月に開花します。サカキの花は花びらの縁が少し反っているのが特徴で、ヒサカキの花はつぼ型です。また、ヒサカキの花には何とも例えがたい独特の香りがあります。サカキの花にはそれほど強い香りはありません。また、サカキの花が咲くのは初夏なので、春に漂ってくる独特の香りは、ヒサカキの花の香りです。
お榊とは?神棚に飾る理由
お榊とは
お榊とは、神棚や神事の際に神前に捧げる一対の榊の枝葉のことです。
「榊立て」という器に入れて、左右対称に飾ります。作り榊(つくりさかき)と呼ばれる、数本のサカキの枝を組み、2束セットにされたものも販売されています。左右対称であれば1本ずつでも問題ありません。
神棚に飾る理由
サカキを神棚に飾る理由は、神様の依代、つまり神様に滞在していただくためです。古来より冬でも緑の葉を絶やさない常緑樹は、霊力がある、あるいは神様が宿ると信じられ、神聖視されてきました。昔は、サカキが手に入らない地方では、ヒサカキやツバキやシキミなど、他の常緑樹を榊と呼び、神棚にお供えしたり、神事に使用したりしていたそうです。
お榊の生け方
お榊は毎月1日と15日に取り替えます。1日と15日なのは、神道で縁起の良い日とされていることに由来しています。ただし、次の取り替えの日までに枯れてしまったら、新しいものに交換してください。神様に供えるものですから、失礼のないようにしましょう。なお、途中で枯れてしまったからといって、罰が当たるようなことはありません。落ち着いて新しいものを買いに行きましょう。
お榊を枯らさないためには、水をこまめに交換することがコツ。特に榊立てはサイズも小さく、あまりたくさん水を入れておくことができないので、気が付くと水がなくなっていたというようなこともあります。できれば、毎日水を交換して、榊立ての中も洗うようにしましょう。また、夏や梅雨のような湿度が高い季節も、水が腐りやすいので注意しましょう。神前に供えるものですから、清潔に鮮度良く管理しましょう。
お榊の生け方のコツ
お榊は輸入のものが多く出回っています。長時間の輸送のためか元気がないのが気になるところ。買ってきたら流水で洗ったり、葉裏まで水に浸けるなどして、しっかりと水を吸わせるようにしましょう。
また、お榊として流通しているものの多くはヒサカキであることが多く、春から初夏のお榊には小さな花がついています。この花にはあまり好ましくない独特の臭いがあります。ゴミ箱の上ではたくようにして花を落とすと、臭いが室内に広がるのを防げます。
サカキは仏壇に飾る?
サカキを仏壇に飾ることは、あまりありません。ただし、仏壇に飾ってはいけないとか、罰が当たるというようなこともありません。通常、仏壇やお墓には、仏花と呼ばれる2束一対の花束を飾ります。サカキの枝を仏花の束の入れたとしても問題はありませんが、神棚のお榊のように、サカキの枝だけを供えるということはしません。神道や仏教、それぞれの慣わしや風習がありますので、それに倣うのが良いでしょう。
サカキの種類|違いや見分け方
サカキと呼ばれている樹木には2種類あります。一つはサカキ、もう一つはヒサカキです。昔、サカキの枝が手に入らない地方で、ヒサカキなどの他の常緑樹をサカキと呼び、神事に使用していたことに由来します。このため、本来のサカキをホンサカキと呼び、区別するために葉の小ぶりな方をヒサカキと呼ぶようになったといわれています。
一般的に生花店などでお榊として販売されているものは、ヒサカキであることがほとんどです。また、輸入のヒサカキも多く流通しています。
ヒサカキ
- 学名:Eurya japonica
- 科名・属名:サカキ科・ヒサカキ属
特徴
ヒサカキは、樹高2~5m程度の常緑低木。漢字では姫榊と書きます。サカキとして流通しているものや、植えられているものは、ヒサカキであることが多く、判別が難しいようです。
ハマヒサカキ
- 学名:Eurya emarginata
- 科名・属名:サカキ科・ヒサカキ属
特徴
ハマヒサカキはヒサカキの近縁種で、漢字では浜姫榊と書きます。こちらは葉の先端が丸みを帯びていて、常緑であること以外はサカキとは似ていません。公園などの植栽、生垣に利用されているのを見かけます。
サカキとヒサカキの違いや見分け方
サカキとヒサカキは、どちらも半日陰でよく育つ常緑樹で、植えられている場所も似ています。サカキとヒサカキの違いと見分け方について説明します。一番わかりやすいのは、葉のフォルムの違いです。
1. サカキはサカキ科サカキ属、ヒサカキはサカキ科ヒサカキ属なので、分類が違います。
2. サカキの樹高は4~10m程度、ヒサカキの樹高は2~5m程度なので、樹高が5m以上あればサカキだとわかります。
3. サカキの葉は長さ5~8cm程度、ヒサカキの葉は4~7cm程度なので、葉の大きさが違います。
4. サカキの葉は縁にギザギザとして鋸歯がない、ヒサカキの葉は縁に鋸歯があるので、葉のフォルムで見分けることができます。
サカキはお榊や玉串など神事に欠かせない、神様の依代となる神聖な木。だからと言ってそんなに珍しいものではなく、意外と身近なところで見かけることの多い木です。近所の神社にも植えられているかもしれません。サカキを探しに行ってみませんか。木の葉をじっくり観察してみるのも楽しいですよ。
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