唐辛子(トウガラシ)とは?鷹の爪との違い、種類、育て方、起源

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山田智美

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唐辛子(トウガラシ)について、種類や育て方、由来、起源、鷹の爪との違い、生と乾燥の違いなど、詳しく紹介します。知っているようで知らないことがたくさんあるかもしれません。

目次

唐辛子(トウガラシ)とは?基本情報

唐辛子(トウガラシ)とは?基本情報

  • 学名:Capsicum annuum
  • 科名・属名:ナス
  • 分類:カプシカム(トウガラシ)属

唐辛子(トウガラシ)の特徴

唐辛子の花

唐辛子はナス科の多年草。中央・南アメリカ原産の辛みが特徴の野菜です。原産地では多年草ですが、日本では一年草として栽培されています。

初夏に小さな白い花を咲かせ、夏から秋にかけて赤や黄色に熟した果実を実らせます。この果実はカプサイシンという成分を含んでいて、これが唐辛子の辛みのもととなっています。

唐辛子は世界中で数十種類存在すると言われています。さらに食用に多くの栽培品種が作られています。栽培品種には辛みの少ない品種と辛みの強い品種があります。実はピーマンは唐辛子の仲間で、辛みが少ない生食用の栽培品種です。

唐辛子は、料理に辛みと香りをつけるために欠かせないスパイス。和食を始め、中華やエスニック、ヨーロッパ、アフリカと、世界中の料理で重宝されています。

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唐辛子(トウガラシ)の由来や起源

唐辛子(トウガラシ)の由来や起源

唐辛子(トウガラシ)の起源

唐辛子は中央・南アメリカ原産。コロンブスが新大陸発見の際にスペインへ持ち帰ったと言われています。そこから東南アジアを経由して世界中に広まっていきました。

エスニック料理には欠かせない香辛料となっている唐辛子ですが、意外にも世界中に広まったのは新大陸発見後でした。

日本には1542年にポルトガル人が伝えたという説や、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に持ち帰ってきたという説などがあります。

日本でも唐辛子は人気の野菜となり、江戸時代には栽培品種が作られました。

唐辛子(トウガラシ)の名前の由来

唐辛子という名前の由来は、唐から渡ってきた辛子だから唐辛子だと言われています。唐辛子特有の辛みを辛子に例えた名前です。

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唐辛子(トウガラシ)と鷹の爪(タカノツメ)の違いは?

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  • 唐辛子(トウガラシ):植物名
  • 鷹の爪(タカノツメ):品種名

唐辛子というのは、Capsicum annuumのこと。植物名です。対して鷹の爪は、唐辛子のなかの1品種名。

鷹の爪は江戸時代に日本で作られた、辛みが特徴の栽培品種です。

唐辛子=鷹の爪ではありません。唐辛子(Capsicum annuum)のなかには鷹の爪の他、ピーマンやシシトウも含まれます。

赤唐辛子と青唐辛子の違い

青唐辛子

赤唐辛子も青唐辛子も同じ唐辛子のこと。熟す前の青い状態で収穫したものを青唐辛子、赤く熟したものを赤唐辛子と呼びます。

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唐辛子(トウガラシ)の種類

唐辛子(トウガラシ)の種類9

唐辛子(Capsicum annuum)の種類

鷹の爪(タカノツメ)

鷹の爪は日本で作られた栽培品種。辛みが強いのが特徴です。日頃見かけるのは乾燥したものですが、生の鷹の爪も流通してます。

八房(ヤツフサ)

房なりに果実をつけるので八房というのが名前の由来です。

ハラペーニョ

辛い唐辛子の代表のような品種。肉厚で辛みが強いのが特徴です。

シシトウ

辛みの少ない唐辛子の1品種。熟す前の青い果実を食用にします。揚げたり炒めたりするほか、生でも食べられます。

甘長唐辛子

辛みの少ない唐辛子の1品種。シシトウに比べて果実が長いのが特徴です。熟す前の青い果実を食用にします。

ピーマン

辛みの少ない唐辛子の1品種。その独特な苦味から苦手とする子供や大人も多い緑黄色野菜の代表種です。

明治以降にできた品種だと言われています。唐辛子の仲間であることはあまり認識されていません。

パプリカ

辛みの少ない唐辛子の1品種。色は赤や黄色、オレンジ色などがあります。果実は肉厚で加熱すると甘味が増します。

葉唐辛子

花が終った後の葉茎を刈り取ったものが葉唐辛子。つくだ煮など加熱調理して食べます。

キダチトウガラシ(Capsicum frutescens)の種類

キダチトウガラシは熱帯アメリカ原産。熱帯地域では多年草です。

タバスコ

酸味の効いた辛さが魅力のタバスコソースは、このタバスコという品種から作られたものです。

島唐辛子

大きさ3cm程度と小さいながらも辛みの強い品種。沖縄の島唐辛子を泡盛に漬け込んだ、コーレーグースという調味料が有名です。

キネンセ種(Capsicum chinense)の種類

キネンセ種は、中央アメリカからカリブ海諸島原産。熱帯地域では低木になります。和名はつけられていないようです。

ハバネロ

激辛で有名な品種。卵型の果実を実らせます。

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唐辛子(トウガラシ)生と乾燥の違い

唐辛子(トウガラシ)生と乾燥の違い

唐辛子の生と乾燥の違いは、簡単に明言できるような事柄はありません。

唐辛子の辛さや香りは品種によって異なります。一概に生の方が辛い、乾燥の方が辛いというのは難しいところです。

唐辛子の辛み成分は、胎座で作られています。胎座とは唐辛子のヘタとつながっている中心部分、タネが付いているところです。唐辛子を乾燥させると、乾燥していく過程で胎座で作られた辛み成分が全体に回り、唐辛子が辛くなると言われています。

ただ、唐辛子の辛さは品種によって違うので、生の唐辛子であっても迂闊にかじると泣きたくなるほど辛いものもあります。かじるときは覚悟をして取り掛かってください。

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唐辛子(トウガラシ)のレシピ

唐辛子(トウガラシ)のレシピ

唐辛子のオイル漬け

材料

作り方

  • 鷹の爪は輪切り
  • ニンニクはみじん切り
  • 鷹の爪とオリーブオイルを密閉容器に入れ、ひたひた強程度のオイルを注ぎ、しっかりと蓋をする

一晩寝かせて香りが移ったら出来上がり

鷹の爪とニンニクの香りが移ったオイルはオイル蒸し、料理の仕上げの香りづけ、ドレッシングと、様々な料理に使用できます。オイルは時間が経つと酸化してしまうので、保存は冷蔵庫で。固まっても常温に戻せば問題なく使用できます。

甘長唐辛子の素焼き

材料

  • 甘長唐辛子(シシトウや万願寺唐辛子でも可)
  • 醤油
  • レモン果汁

作り方

  • 甘長唐辛子はヘタを取って、切り込みを入れておく
  • フライパンに油を敷かずに甘長唐辛子を並べ、焼き目が付く程度まで焼く
  • 火を止める直前に醤油を一回しかけ、全体をさっと混ぜ合わせる
  • 器に盛り、レモン果汁を絞ったら出来上がり

たったこれだけなのにビールが止まらなくなるおいしさです。

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唐辛子(トウガラシ)の育て方

唐辛子

場所・用土

風通しと日当たりの良い場所を好みます。唐辛子は酸性土壌が苦手です。酸性に傾いているようであれば、事前に苦土石灰をすき込むなど対策を取りましょう。

鉢植えは市販の野菜用培養土で問題なく育てられます。

水やり

表土が乾いたらたっぷりとを目安に水やりします。乾燥が苦手なので、乾かさないように注意します。

肥料

植え付けから半月くらいたったら、適量追肥します。その後は2~3週間に1回くらい追肥しましょう。

病害虫と対処法

アブラムシ、ハダニ、アザミウマなどに注意します。

収穫

唐辛子の種類によって異なります。シシトウや甘長唐辛子のように青い果実を食用にするものは適切なサイズになったら、辛みがある品種は赤く熟した果実を、一つずつハサミで収穫してください。

注意すること

唐辛子は連作障害を起こしやすい野菜です。同じ土壌で繰り返し栽培することは避けましょう。また、唐辛子と同じナス科の野菜を育てた後の土壌も避けるようにしてください。

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世界中で愛されている唐辛子。辛さが魅力の品種のほか、シシトウやピーマンのように辛みがない品種まである、奥の深い野菜です。

唐辛子を育てて、観察して、食べて、違いを味わう。そんな楽しみ方もおすすめです。

 

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植物が好きで好きで、植栽設計、ガーデナー、生花店勤務を経て現在は、フリーランスの花屋「花や蜜」として活動中。「てのひらに森を」がテーマの花屋です。森の中にいるような、見ているだけで力が抜けていくようなお花を作り続けたいと思ってます。街中で突然お花を配る、「花ゲリラ棘」というゲリラ的花配り活動も不定期決行しています。

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