ナンテン(南天)とは?種類と特徴、縁起物の理由、育て方や剪定方法
山田智美
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ナンテン(南天)について、縁起物と言われる理由、種類、花や葉、実の特徴、育て方や剪定方法などを詳しく紹介します。
目次
- ナンテン(南天)とは?基本情報
- ナンテン(南天)の花言葉
- ナンテン(南天)は縁起物?
- ナンテン(南天)の種類
- ナンテン(南天)の実、花、葉の特徴
- ナンテン(南天)の育て方
- ナンテン(南天)の剪定のコツ
ナンテン(南天)とは?基本情報
- 学名:Nandina domestica
- 科名・属名:メギ科ナンテン属
- 分類:常緑低木
ナンテン(南天)の特徴
ナンテン(南天)は、メギ科ナンテン属の樹高1.5m程の常緑低木。生長がゆっくりであまり大きくならない庭木ですが、まれに4mを超すこともあります。
ナンテン(南天)という名前の由来は、南天竹(なんてんちく)や南天燭(なんてんしょく)という中国名に由来すると言われています。漢方では、ナンテン(南天)の実を乾燥させたものは「南天実」と呼び、咳止めなどに利用するそうです。
日本ではナンテン(南天)という名前が「難を転ずる」を連想させるとして、昔から縁起物とされてきました。常緑で育てやすいこともあって、昔から好まれてきた庭木です。
ナンテン(南天)の花言葉
ナンテン(南天)の花言葉は「良い家庭」「福をなす」
縁起の良い木と言われるナンテン(南天)らしい花言葉です。
ナンテン(南天)は縁起物?
ナンテン(南天)は、その名前が「難を転ずる」を連想させること、常緑で冬に真赤な実を実らせるため永遠や富を連想させることが縁起物として好まれてきた理由です。
ナンテン(南天)の木をトイレの近くに植えると良い、トイレの帰りに転んだらナンテン(南天)の枝をつかむと良いなどという俗信もあります。
また、ナンテン(南天)の葉には毒消し作用があると信じられ、ご飯やお赤飯を差し出すときにはナンテン(南天)の葉に乗せると良いとか、よそへ食べ物を配るときにはナンテン(南天)の葉に乗せて配ると良いなどのいい伝えも残っています。
さらにナンテン(南天)の葉は常緑で、冬には赤い実を実らせることからも縁起が良いと言われ、お正月飾りにも使用されます。
ナンテン(南天)は、木そのものから枝葉、実まで縁起物として重宝されてきました。
ナンテン(南天)の種類
ナンテン(南天)の種類を紹介します。赤い実を実らせるナンテン(南天)だけではありません。葉を観賞するものなど、ナンテン(南天)にはいくつかの種類があります。
オタフクナンテン(お多福南天)
- 学名:Nandina domestica cv. Otafukunanten
オタフクナンテンは、ナンテン(南天)から作出された改良種。矮性で特に手入れをしなくても、樹高低く、こんもりと丸い樹形を形成するのが特徴です。
葉はナンテン(南天)に比べて丸みを帯びています。ナンテン(南天)と違って実が実ることはほとんどありません。
キンシナンテン(錦糸南天)
- 学名:Nandina domestica var.capillaris
キンシナンテンは、葉が糸のように細いのが特徴のナンテン(南天)の変種。生長が遅く、あまり大きくなりません。ナンテン(南天)の品種改良が盛んだった江戸時代に作られたとされています。
シロナンテン(白南天)
- 学名:Nandina domestica var.leucocarpa
シロナンテンは、シロミナンテンとも呼ばれるナンテン(南天)の変種。黄味を帯びた白い実を実らせます。生薬の南天実はシロナンテンの実が人気のようです。
ナンテン(南天)の実、花、葉の特徴
ナンテン(南天)の実の特徴
ナンテン(南天)の実が実るのは、11月~2月頃です。晩秋から赤く色づき始め、2月頃には風雨で落ちたり、鳥に食べられたりで、ほとんどが枝に残っていないような状態になります。
ナンテン(南天)の実は、乾燥しにくいことから長くツヤのある赤い状態を楽しめるので、縁起が良いことも相まって、お正月飾りや花生けに重宝されます。
また、ナンテン(南天)の実にはナンテニン等のアルカロイドが含まれています。ナンテン(南天)の実を乾燥させたものは「南天実」という生薬として、咳止め等に利用されます。ただし、アルカロイドは有毒成分でもあるので、むやみに食用にしないようにしましょう。
ナンテン(南天)の花の特徴
ナンテン(南天)の花が咲くのは、5月~6月です。青々と茂る葉の間から白い花を咲かせます。花は、大型の円錐花序、一つ一つの花は直径1cm足らずと小さく、花びらは白で中心は黄色をしています。
ナンテン(南天)の花が咲く頃は他の花も咲き乱れる季節であることから、この白く小さな花はあまり注目を集めないようです。よく見ると涼し気で、楚々とした控えめな魅力があります。
ナンテン(南天)の葉の特徴
ナンテン(南天)の葉は常緑で、秋から冬には真赤に紅葉することもあります。
葉は菱型で、奇数羽状複葉、先端に大きな一枚、それに繋がるように数枚の小葉が付きます。
ナンテン(南天)の葉にはマグノフロリンなどのアルカロイドが含まれます。このため、防腐や毒消し作用があると信じられ、かいしき*や添えたりと利用されてきました。
また、ナンテン(南天)の葉は「南天葉」という生薬にも利用されています。南天葉は胃のトラブルや解熱に効果があると言われています。ただし、アルカロイドは有毒成分でもあるので、むやみに食用にしないようにしましょう。
*かいしき 料理の下に引く葉のこと
ナンテン(南天)の育て方
場所・用土
ナンテン(南天)は半日陰程度の日当たりと風通しの良い場所を好みます。西日が強く当たるような場所は避け、明るい半日陰に植え付けるとよいでしょう。鉢植えのナンテン(南天)は、市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
水やり
根付いてからは特に水やりの必要はありません。降雨に任せます。鉢植えのナンテン(南天)は、表土が乾いて白っぽくなったら、鉢底から流れ出てくるくらいたっぷりと水やりします。
肥料
冬に緩効性肥料を根から少し離した場所に与えます。
ナンテン(南天)の剪定のコツ
株立ち状に生長するナンテン(南天)
ナンテン(南天)の剪定時期
ナンテン(南天)の剪定時期は、3月~4月に行うようにしましょう。5月頃から花を咲かせるため、花芽の付いた枝を切ってしまうことのないように、遅くても4月には剪定をするようにしてください。
ナンテン(南天)の剪定のコツ
ナンテン(南天)は、実を実らせた枝は翌年は花を咲かせないという特徴があります。冬の赤い果実を楽しんだあと、実が実っていた枝を整理するように剪定するのがコツです。不要枝や古い枝は株元で剪定するようにしましょう。
ナンテン(南天)について、理解を深めていただけましたか。お正月には欠かせないナンテン(南天)。実ばかり注目されがちですが、葉も生薬にされていたり、花もかわいらしかったりと魅力がいっぱい。常緑で育てやすく、さらに縁起物のナンテン(南天)を自宅で育ててみませんか。
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