ツワブキ|花の季節や特徴、名前の由来、種類について紹介
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ツワブキの花の季節や特徴、名前の由来、種類、似た花との見分け方などを紹介します。ツワブキは、花も葉も美しく、昔から日本で愛されてきた植物です。
目次
ツワブキの特徴
- 学名:Farfugium japonicum
- 科名・属名:キク科ツワブキ科
- 分類:多年草
ツワブキは、日本や中国が原産で、フキに似た葉とキクに似た花が特徴の常緑多年草です。葉はフキに似ていますが、フキとは別種の植物です。ツワブキの葉は常緑で、フキに比べて厚みがあり、表面には光沢があります。
海岸の崖や岩場などに自生している植物ですが、海岸だけでなく庭でも容易に育てられます。斑入り種などの観賞価値の高い品種も多く、強健で育てやすいので園芸植物としても人気です。
ツワブキは食べられる?
ツワブキの若い葉は柔らかく、昔から食用にされてきました。九州では食用としても生産されています。特にキャラブキといって、ツワブキの葉柄(ようへい)を佃煮にした料理が有名です。あくが強いので、調理前にしっかりとあく抜きをしましょう。
食用の他、昔は薬草としても重宝されていたというほど、私たちにとって身近で有用な植物です。
ツワブキの花言葉
ツワブキの花言葉は「謙遜」「困難に負けない」
秋から冬にかけて明るい黄色の花を咲かせ、寒い冬でも常緑の葉を絶やさない、ツワブキらしい花言葉です。
ツワブキの花の時期と特徴
ツワブキの花の時期
ツワブキの花の時期は、10月~12月初旬。花が少なくなる秋から冬にかけて鮮やかな黄色の花を咲かせます。光沢のある葉と、明るい黄色の花のコントラストが美しく、庭の中でアクセントのような役割を果たしてくれます。
花の色は黄色が主流ですが、白花もあります。また、黄色の中でもオレンジ色に近い黄色や、淡い黄色など、品種によって濃淡の違いがあります。
ツワブキの花の特徴
ツワブキは30~40cm伸ばした茎の先に、直径3~5cm程度の一重咲きのキクに似た花を咲かせます。周囲に広がる花びらのように見える部分は舌状花(ぜつじょうか)、中心には筒状花(とうじょうか)が存在し、1つの花を形成しています。これは、キク科の花によく見られる構造です。
ツワブキの名前の由来や季語
ツワブキの名前の由来
ツワブキの名前の由来は、葉にツヤがあることから、ツヤブキが訛ってツワブキになったとされています。また、漢字の「石蕗」の由来は、草姿がフキに似ていて、海岸の岩場などに自生していることにちなんでいます。
ツワブキが季語となる季節
ツワブキは、俳句では石蕗と書いて「つわ」とも読まれます。「石蕗の花(つわのはな)」は冬の季語です。
ツワブキに似た花とは?
メタカラコウ
メタカラコウは、6月~9月黄色いツワブキによく似た花を咲かせるキク科の多年草です。主に湿った山林に自生します。草丈20~30cm、葉に光沢はありません。花が咲く季節が違うので見分けがつきます。
ヨメナ
ヨメナは、秋に薄紫色のキクに似た花を咲かせる野草です。ツワブキと花が咲く季節が近いので、混同されやすいようです。ツワブキの花は黄色なのに対し、ヨメナの花は薄紫色なので、花色で見分けがつきます。
フキ
フキは、ツワブキに似た葉を持つキク科の多年草です。フキに似ていることからツワブキと名づけられたというくらい葉が似ています。見分け方は、ツワブキは葉に厚みと光沢があり、秋から冬に黄色の花を咲かせます。フキは葉に光沢がなく、春にフキノトウを出します。
▼ツワブキとフキの違いについて詳しく紹介しています。
こんなにある! ツワブキの種類
ツワブキには自生種、園芸種共にたくさんの種類があります。一時期は観賞用に斑入り葉の園芸品種が多く作出されました。昔から日本で愛されてきた観葉植物です。また斑入り葉ばかりが注目されて、花は黄色の一重咲きからほとんど改良されておらず、八重咲きの品種は稀であることもおもしろい特徴です。
リュウキュウツワブキ
リュウキュウツワブキは沖縄本島、奄美大島、西表島の海岸に自生する品種。葉が扇形なのが特徴。草丈1mにまで生長する大型のツワブキです。
オオツワブキ
オオツワブキは九州の海岸に自生するツワブキです。食用として栽培もされます。
カンツワブキ
カンツワブキは屋久島や種子島に自生する品種です。他のツワブキと違い、主に山林に自生します。葉のふちにギザギザがあるのが特徴です。
キフツワブキ
キフツワブキは葉に明るい黄色の斑が入ったツワブキです。まるで木漏れ日が当たっているかのような明るい雰囲気が特徴です。
牡丹獅子(ぼたんじし)
牡丹獅子は葉の縁が縮れたように波打っているのが特徴の園芸品種です。
浮雲錦(うきぐもにしき)
浮雲錦は葉に大きな白斑が入った園芸品種です。半日陰を好みます。
ツワブキの育て方
場所・用土
日向から明るい半日陰の排水性の良い場所を好みます。特に斑入り種は直射日光で葉焼けを起こすことがあるので、落葉樹の下のような場所に植えるようにしましょう。鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
水やり
庭植えは根付いてからは、特に水やりの必要はありません。鉢植えは表土が乾いて白っぽくなったら、たっぷりと水やりしましょう。
肥料
特に追肥の必要はありません。植え付け時にしっかりと元肥を与えるようにしましょう。
病害虫と対処法
キクスイカミキリの被害があります。茎の中を伝って地下で食害するので見つけにくく、被害の疑われる株を引き抜く程度しか対策がありません。予防として周辺に同じキク科の雑草を生やさないようにします。
植え替え
植え替えは、真夏と真冬を避けた気候のいい時に行います。
株分け
ツワブキの株分けは春か秋の植え替えのタイミングで行いましょう。根を掘り上げて、手で割れそうな部分からハサミやナイフでカットして分けます。株分けしたものの植え付け後は、根付くまで水切れを起こさないように管理しましょう。
ツワブキは増え過ぎる?
ツワブキは地下茎で増えていきます。増え過ぎて困るというほど広範囲に増えていくことはありませんが、株が大きくなってスペースを占めるようになってきたら、適宜株分けを行うようにしましょう。
ツワブキはとても強健で育てやすい植物。秋には明るい黄色の花で庭の景色を明るくしてくれて、冬は緑を絶やしません。春の新芽は食用にもなります。何より昔からたくさんの園芸品種が作出されてきたくらい美しい葉が魅力。日陰のお庭の強い味方として、迎え入れてみませんか。
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