ブラックベリーの育て方|実つきをよくする誘引の仕方、剪定、収穫のコツ
金子三保子
このライターの記事一覧
ブラックベリーの育て方や生長の様子をご紹介します。
ブラックベリーは日本では果物としての出回りはあまりなく、育てないと食べることのできない果樹です。とても丈夫で無農薬でも簡単に育てられるブラックベリーを育ててみませんか?
目次
ブラックベリーとは?
- 学名Rubus fruticosus
- バラ科キイチゴ属の落葉性つる植物
- 花の時期5月、実の収穫時期6月~7月(品種や地域によって若干違います)
ブラックベリーの流通
ブラックベリーは、バラ科の落葉性のつる性植物で、最近は様々な品種が流通しています。ブラックベリーの大きな特徴として、とげあり・とげなしの品種があり、最近流通しているブラックベリーはとげのないタイプがほとんどです。
品種によって味や実の大きさに違いがあるので、こだわりのある方は多品種を扱うお店で購入するとよいと思いますが、市場に出回っているブラックベリーは品種が書いていないことの方が多く、私も10年以上前に品種にこだわらず、とげなしのタイプのブラックベリーを購入して地植えで育てています。
味覚は人によって個人差があるので、それぞれが決めた方がよいと思いますが、とげあり・とげなしについては、毎年の必須の誘引作業の手間を考えると、とげなしのタイプブラックベリーが断然おすすめです。
ブラックベリーは鉢植えで育てられる?
ブラックベリーの育て方は、地植えと鉢植えに大きな違いはありません。ただし、鉢植えは水やり、肥料などの手間をかける必要があります。
鉢で育てる場合は、少しずつ大きな鉢に植え替えていきます。植え替えは数年に1回、12月~2月の落葉中に行います。大きめな鉢だと鉢植えでもたくさん実が楽しめます。つる性なので、行灯仕立てにするか、オベリスク、トレリス、フェンスの近くに鉢を置き、つるを誘引して栽培します。
ブラックベリーの育て方
ブラックベリーの植え付け場所や鉢の置き場所
ブラックベリーは、日当たりと風通しの良い場所で育てます。日当たりによって、花数がかなり違います。花数が違うということは、花の後に実がなることから、ワンシーズンで収穫できる実の数にかなりの違いがあります。
ブラックベリーの土
ブラックベリーを鉢植えで育てる場合は、果樹や野菜用の土、もしくは赤玉7~8割、腐葉土2~3割の配合で土を作りましょう。
ブラックベリーの植え付け
12月~2月の落葉期がブラックベリーの植え付け適時です。
今の鉢のサイズより一回り大きめな穴を掘って植え付けます。品種によっても差はありますが、生長がとても早い植物です。複数の株を植える場合は、隣との株間は、1.5~2mはあけましょう。
水やり
地植えのブラックベリーは根付いてからは水やりの必要はありません。鉢植えのブラックベリーは乾いたらたっぷりとを目安に水やりをします。
ブラックベリーの肥料
鉢植えのブラックベリーは、限られた土で育てているので肥料は必要です。油粕などの有機肥料か花や野菜の緩効性肥料を芽が動き出す前の2月後半~3月上旬、実ができる前の5月終わりごろ、実がすべてなったあとの9月ごろに与えます。
地植えのブラックベリーは、肥えた土なら肥料をやらなくても栽培可能です。花が咲かないなどの問題があるようなら、落葉中の2月と収穫が終わったあとに与えましょう。
病害虫
ブラックベリーは、病害虫の害は少ない植物です。
ただし新芽が出始めた時期に、つぼみが急に黒くなって枯れたら「バラゾウムシ」に食べられている可能性があります。 「バラゾウムシ」は黒くて小さな虫で、とてもすばしこく、片手でつまもうとすると死んだふりをしたように落下して姿をくらまします。落下することを想定して、片手をつぼみの下に配置して、片手で虫に近づくと手に落ちてくるので捕殺します。食べるものなので薬剤はおすすめできません。
その他、多湿で風通しの悪い環境だと、カイガラムシがつく場合があります。
ブラックベリーの剪定
ブラックベリーの実がなる仕組み
ブラックベリーは、今年伸びたつる(枝)に来年実がなるというリズムで実がなるので、実がなるまでに1年かかります。今年の実は去年伸びたつるにつき、実がついたつるは冬に枯死していきます。
ブラックベリーの剪定
実がなったブラックベリーのつる(枝)
すべての実を収穫し終わったつるはその都度剪定しても構いませんが、もし剪定が今ひとつわからない場合は、そのままにしておいても大丈夫です。冬になると、今年実がついたつるは自然に枯れて茶色くなってくるので地際で剪定しましょう。
今年に新しく伸びたつる(枝)
新しく伸びたつるが旺盛に伸びていたら、12月~2月までに全体的に剪定して脇枝を増やして実つきをよくします。つるの本数があまりにも多い場合は、細い枝、弱々しいつるは根元から剪定します。また、初夏から秋の間に旺盛に伸びると、茎の先が枯れてしまっているつるもあるので、枯れているものは必ずハサミを入れて脇枝を出させるようにします。
ブラックベリーの誘引
ブラックベリーの誘引の方法
ひもかワイヤーでくくりつけて誘引します。ブラックベリーは、日当たりが良いほうが花付きがよくなります。(=実がたくさんつく)
冬の寒さにあたって花芽が作られるので、夏場に多少折れてしまったりしても気にしなくて大丈夫。折れたところから分枝して生長します。
誘引のポイントは、1.5m~2mは直立させ、その後は地面に対して平行につるを誘引していきます。直立させると茎の頂点にしか花が咲きませんが、平行に誘引することによって、つるの節からたくさんの枝が出て、その頂点に花が咲くのでたくさんの実がなります。
ブラックベリーは、メインの茎から春に実のなる茎が伸びて、茎先につぼみがつきます。脇枝は20~30cmの短いものもあれば、伸びるものは50cm以上伸びます。
茎が伸びることを計算して、地面から最低でも50cm以上、実を摘み取る作業を考えると1m程度の高さ以上の所に誘引します。あまり低いところに誘引すると、そこから茎が伸びて重たい実がつくと実が地面についてしまい、泥はねなどで傷んでしまいます。せっかくの実が食べられないのはもったいないので、余裕を持った高さに誘引しましょう。また、毎日収穫することを考えると、手を伸ばして届く高さに誘引した方が収穫しやすいです。
ブラックベリー増やし方
ブラックベリーの取り木
土に接地させたブラックベリーのつる。簡単に発根します。
ブラックベリーは、簡単に増やすことができます。ブラックベリーの根は、葉の下から出てくるので、伸びたつるを土につけておくと、そこから発根します。増やしたくない場合は、夏場に旺盛に伸びるつるが地面についてしまわないように、誘引はまめにしましょう。
ブラックベリーの収穫
ブラックベリーは、品種にもよりますが、地植えにすると東京で7月上旬から実が黒くなりだして、8月の上旬くらいまでの約1か月間、ほぼ毎日実を収穫することができます。
生食でも甘くておいしいベリーですが、収穫のタイミングが早いと、とても酸っぱいので注意しましょう。数日でこんなに違うのかと思うほど甘さが変わります。また、ブラックベリーは房がいっぺんに色づくのではなく、バラバラに黒くなっていきます。生で食べてもおいしいと思うタイミングは、黒い実を触って「自然にぽろっととれる頃」です。触っても実が取れず、茎にしっかりとついている時は、まだまだ早いのです。逆に収穫が遅すぎると地面に落ちてしまうので、夏の朝は黒く色づいたベリーを触るという作業が日課となります。
ブラックベリーを収穫する上でいくつか気をつけたいことがあります。
1.収穫した実は洗わずにストック
すぐに食べる時は、ひと洗いして食べます。冷蔵庫にストックする場合は、洗わずに保存容器に入れて野菜室に保管します。イチゴもそうですが、ベリー類は水で洗うと傷みやすいのが難点。洗ってストックするとカビやすいので、食べるときに洗うようにします。また、保存できるのは1~2日です。できれば収穫したらすぐに洗って食べるのがベストです。もし、ジャムなど大量に使いたい時は、冷凍庫で必要な量がたまるまでストックします。
2.雨の日は収穫しない
上記の理由から雨の中、ブラックベリーを収穫すると、実が濡れているので傷みやすくなります。その場で食べるのなら構いませんが、できれば収穫は晴れた日にします。ブラックベリーに限らず、果樹の収穫は晴れた日にすることをおすすめします。
3.雨上がりは実をチェック
雨が続くと収穫時の黒い実がカビることがあります。雨上がりはカビているブラックベリーがないかをチェックして、見つけたら取り去って他の実に伝染しないようにします。
ブラックベリーの食べ方
ブラックベリーは、生でもとてもおいしく食べることのできるベリーです。もし、酸っぱい場合は、収穫するのが数日早い可能性があります。
・ジャムやお菓子を作るなど、大量にブラックベリーが必要な場合は、冷凍庫で必要量がたまるまでストックしましょう。
・梅雨の時期と実りの時期が重なるので、実が取れずに落ちてしまうことがあります。何日も雨が続きそうな時は、無理やりでも実を収穫してしまうこともあります。
そんな時は、サイダーなど甘みのあるソーダでフルーツポンチ風にすると彩りがきれいでブラックベリーを美味しく食べることができるのでおすすめです。サイダーの他、手作りのフルーツシロップやジャムなどと炭酸水でわってもおいしいデザートになります。
ブラックベリーの生長の様子
ブラックベリーの1年の生長の様子をご紹介します。
冬のブラックベリー
ブラックベリーは落葉中で、動きがあまりない時期ですが、年が明けると少しずつ芽が動き始めます。去年実がなったつるを剪定していない場合は地際で切ります。
5月のブラックベリー
ピンクの花が開花します。ブラックベリーはたくさんの品種があり、品種によって花の色は違います。花びらが落ちると、中心部分がぷっくりと実になっていきます。
花びらが落ちた状態のブラックベリー
6月のブラックベリー
緑の実が少しずつ膨らんでくるとともに、赤みがさしてきます。
緑~くすんだ赤~赤へと変化していきます。
ブラックベリーの食べごろは実が真っ黒になってから!
ブラックベリーは、生で食べてもおいしいベリーです。ただし、実を触っても取れない時はまだ食べごろではありません。すっぱいと感じた場合は、収穫するのが少し早かったのかもしれません。実を触って自然にぽろっと取れるくらいが甘くておいしい食べごろです。
ブラックベリーの実はいっぺんに色づきません
6月ごろからブラックベリーの実は徐々に色づき始めます。最初の実が黒くなるのが6月下旬ごろ。そこから1か月間くらいが収穫期間です。ブラックベリーの品種によっても若干、収穫の時期が違います。同じ房につく実でもいっぺんに真っ黒にはなりません。ベリー類は色づいてからは日持ちがする果物ではないので、ジャムにしたい場合は冷凍庫で保存して、一定量ができるまでストックするとよいでしょう。
6月ごろ、新しいシュートが出てきます
初夏になると、実がなるのと同時に株元から新しいシュートが出てきます。このシュートが来年の実がなる茎なので大切に育てます。左側の緑の茎が新しいブラックベリーのシュートです。
7月~8月のブラックベリー
夏場のブラックベリーは、新しいシュートがぐんぐんと生長します。1.5m~2mは直立で伸ばして、その後は地面に対して平行につるを誘引していきます。
ブラックベリーは、つるが元気が良すぎて伸びすぎで茎先が枯れたりすることがあるので、伸びすぎたらカットします。カットするとそこから脇芽がでてきます。とにかく丈夫な植物なので茎が折れてしまっても心配しなくても大丈夫です。そこから脇芽がでてきます。ブラックベリーはおおらかに育てることのできる果樹です。
ブラックベリーのつるが伸びてほしい方向に誘引して、ひもやワイヤーで所々を固定します。
すべての実が収穫できたブラックベリーのつるは、いつ剪定しても構いません。新しく伸びたつるに翌年実がなる仕組みなので、実がついたつるに再度実がなるということはありません。実がなり終わったつるは、徐々に枯死するので根元から剪定します。
11月~12月のブラックベリー
ブラックベリーは、紅葉も美しいベリーです。葉の色づき方は、その年の気温の上がり下がりで色合いが違います。ブラックベリーは紅葉の後に落葉しますが、東京だと落葉しないで若干葉が残っている場合もあります。
なかなか果物として流通しないブラックベリー。初夏に実つきの鉢物が出回ります。おうちで育ててみませんか?
▼ブラックベリーの関連記事
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「ブラックベリーの育て方|実つきをよくする誘引の仕方、剪定、収穫のコツ」の記事をみんなにも教えてあげよう♪