摘心(摘芯/ピンチ/芯止め)って何?切り戻しとの違いは?

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金子三保子

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摘心や切り戻しの方法やタイミングを覚えると、長くたくさんの花を咲かせることができるようになります。草花は自然に生長させていくと、草丈は伸びますが、茎の先にしか花がつかなかったり、株元が乱れてきたりします。”緑の指”になる魔法の作業!草花の摘心、切り戻しの方法をご紹介します。

目次

摘心(摘芯)とは?

摘心とは、草花や野菜の茎の先をカットすることによって、脇芽の成長を促すことを言います。摘心のことをピンチ、芯止めと表現することもあります。

摘心とは、草花や野菜の茎の先をカットすることによって、脇芽の生長を促すことを言います。摘心のことをピンチ、芯止めと表現することもあります。

摘心、摘芯の表記は園芸上は摘心と書くことが多いようですが、今のところ統一されていないようです。

一般的に草花の多くは頂芽優勢(ちょうがゆうせい)と言って、茎の一番頂点の芽を優先的に生長させ、それより下の脇芽の生長を抑えようとする性質があります。そのため、自然に育てると茎の頂点にしか花が咲かなくなりますが、摘心をすることによって頂点の茎が切られると、脇芽の生長が始まります。

切った部分からは枝分かれして脇芽が2つできるので、1本が2本、2本が4本、4本が8本・・・と、摘心をすることによって倍の脇芽ができるので、丈がしっかりとしたボリューム感のある苗に仕上がります。摘心をすることによって、草花はワンシーズンでたくさんの花が楽しめ、野菜やハーブは実や葉がたくさん収穫できる効果があります。

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摘心(摘芯)と切り戻しの違いは?

どちらも茎を切る作業ですが、摘心は茎先を切ること、切り戻しは株の途中で全体的に剪定していくことです。

どちらも茎を切る作業ですが、摘心は茎先を切ること、切り戻しは株の途中で全体的に剪定していく方法です。

切り戻しは、株元に葉がなくなったり、ひょろひょろと伸びてしまったりと、植物が生長したことによって姿が乱れたときに、株を全体的に剪定して再生する方法です。初夏から夏の開花期間の長い花は、一度も切り戻さず猛暑の時期も花を咲かせていると、秋にお疲れ気味な株姿になってしまうことが多いですが、梅雨や猛暑の時期に切り戻しを行うと、すっきりと短めで風通しの良い株になるので、一時的に花はなくなりますが、秋にきれいに返り咲きます。結果的に秋以降、切り戻しの効果を実感することができます。

ただし、すべての草花が摘心や切り戻しができるかというと、そうではありません。もともと摘心に向かない草花もあります。摘心や切り戻しに向く草花なのか、そうでないのかは図鑑などで確認しましょう。

また、摘心や切り戻しは主に開花期間が長い草花にしかできない剪定の方法です。理由は、どんな花でも切り戻しをした後、20~30日くらいは花が咲かなくなるためです。花の開花期間が1か月弱というような短期間開花する草花は、花がら摘みのみの作業をするのが一般的です。また、開花期間が長い草花も、切り戻しは開花期間の前半にするようにします。

例えば、5月~11月開花する草花を10月に切り戻したとすると、花が美しく返り咲く秋に花がなく、再び咲き始める頃に寒さで花が開花するのに必要な温度にならず、終わってしまうということになるからです。

1.草花の開花期間

2.摘心、切り戻しをしたほうがよい植物か

この2点を調べて、摘心、切り戻しをすることが大切です。

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実際に摘心(摘芯)をしてみた!

秋に種を蒔いた1年草のフロックス・チェリーブランデー。ポット苗に直播したものです。

秋に種を蒔いた一年草のフロックス・チェリーブランデー。ポット苗に直ましたものです。花が咲いているのは、1本だけ摘心しなかった茎です。残りの茎は、茎が10cm程度伸びてきたときに摘心をしました。摘心をしないと花が開き始めるのは早いという利点がありますが、ひょろひょろと生長してしまうので、最終的にはワンシーズンで楽しめる花の数は少なくなります。

一方、摘心をしたものは、今現在ポット苗付近にしか茎が伸びていませんが、株元にぎっしりと葉が充実しています。開花はまだまだこれからですが、たくさん枝別れして脇芽が出ているので、多くの花芽がつくのが想像できます。

 

摘心したところから枝分かれして脇芽がたくさん出ています。きっとたくさんの花が咲くはず!

摘心したところから枝分かれして脇芽がたくさん出ています。きっとたくさんの花が咲くはず!

 

フロックス・チェリーキャラメル

フロックス・チェリーキャラメル

一番花の次に咲いた2番花。個体差がある品種なので最初の花とはまた違った色合いでした。

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摘心(摘芯)・切り戻しってどんな草花でもできる?

草花によって摘心や切り戻しをした方が1年で花数が違うものもあれば、摘心をしてはいけない植物もあります。これは事前に図鑑などで調べましょう。

今回のフロックスをはじめ、ペチュニア、サフィニア、インパチェンス、ニチニチソウ、アメリカンブルー、ジニア、朝顔、ハーブのバジル、野菜のトマトやナス、ゴーヤ・・・摘心したほうがいい植物はまだまだたくさんあります。

摘心のやり方

一般的な草花の摘心は、株が若いうちに全部の茎先にはさみを入れます。最初はもったいないとか、かわいそうな気がするかもしれませんが、最終的にはボリュームのある立派な株になります。ただし、例えばシソなどの葉を収穫するものは、あまり早い段階で摘心をすると株姿が不格好になってしますものもあります。それぞれの植物にあった時期、位置を心がけましょう。

摘心には清潔なハサミを使いましょう。夏場に入ってからの作業の場合は、晴れた日に行った方が病気になりにくいでしょう。特に立ち枯れ病になりやすい草花は要注意です。

摘心や切り戻しをすると、ワンシーズンでたくさんの花が楽しめたり、株の姿がよくなったり、切ることによって風通しの良い株になるので苗が健康になったりと良いことづくめです。特に切り戻しは、梅雨から夏を超える夏の草花にはとても効果があるものが多いのでトライしてみてください。

摘心や切り戻しの効果がある草花やハーブ、野菜の記事です。参考にしてみてください。

▼バジルやシソは摘心や切り戻しをすると、しないのでは収穫できる葉にかなり違いがあるハーブです。

 

▼ペチュニアの切り戻しは長く花を楽しむには必須作業です。

 

▼サフィニアの摘心・若い苗を植え付けてすぐの摘心は参考になります。

 

▼ジニアの切り戻し

 

▼朝顔の摘心

 

▼ミニトマトの摘心

 

▼キュウリの摘心

 

▼ナスの更新剪定

 

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金子三保子

フラワーコーディネーター、フォトグラファー、ライター。 2022年6月、日東書院本社より「植物のきもち ~がんばりすぎないガーデニング」出版。 ギフトや装花などのフラワーコーディネート、自身でコーディネートした作品の撮影、雑誌や会員情報誌への提案など幅広く活動中。現在は植物に関する記事の執筆にも携わる。庭仕事はライフワーク。映画「余命1ヶ月の花嫁」ブーケ製作。

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