10月が旬の野菜、果物、魚、花44種。秋の恵みを五感で味わう

山田智美
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10月に旬を迎える野菜、魚、果物、花を44種。ほかにも旬の食材を使ったレシピや季語、行事など、どんな時期かについても紹介します。
目次
10月とは?二十四節気や季語、行事、事柄
- 和名:神無月(かんなづき)
- 英名:October
10月とは
10月は本格的な秋が始まるころ。朝夕の風は冷え込み、日中との気温差から羽織るものが必要になってきます。夏草は急に勢いを失い、風の中に秋の香りを感じるようになります。湿気が少なく、からりとした晴天が多い月でもあります。
10月に使われる季語
秋高し(あきたかし)
秋になり空気が澄んで、空が高く感じられるようになることを指す季語です。
稲雀(いなすずめ)
稲が実ったころ雀が群れをなして稲をついばみにやってくることを指します。
薄紅葉(うすもみじ)
真赤に紅葉する前の、薄っすらと赤や黄色に葉の色が変わり始めた、紅葉の始まりのころを表現する言葉です。
10月に迎える二十四節気
寒露(かんろ)
寒露は二十四節気の第17節目、毎年10月8日ごろです。年によって1日程度前後します。また、10月8日から次の二十四節気の次の第18節、霜降までの15日間ぐらいを指します。寒露は朝晩の空気が冷え込むようになり、草花に冷たい露がつくころです。
霜降(そうこう)
霜降は二十四節気の第18節目、毎年10月23日ごろです。年によって1日程度前後します。また、10月23日から次の二十四節気の次の第19節、立冬までの15日間ぐらいを指します。霜降は夜はずいぶんと冷え込むようになり、霜が降りるころです。
10月の行事や事柄
衣替え
秋の衣替えは10月1日。必ずこの日とは決められているわけではありませんが、夏服から冬服へと制服や衣類を整理する目安とされている日です。
スポーツの日
国が定めた国民の祝日の一つ。毎年10月の第2月曜と決まっています。
「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」日とされています。
十三夜
十三夜は旧暦の9月13日ごろ。新月から数えて13日目の月を眺め、その年の収穫に感謝する日です。特に祝日ではありません。
9月のお月見が十五夜(満月)を愛でるのに対して、10月は十三夜なので満月になる少し前の月を眺めます。
ハロウィン
ハロウィンは毎年10月31日。特に祝日ではありません。元はケルト民族の収穫祭だったものがキリスト教と結びついて現在の形になりました。この日は悪霊にいたずらをされないように仮装をしたり、秋の収穫を祝ってご馳走を食べたりします。
10月が旬の野菜12種
新米
何と言っても秋は新米の季節。取れたてのお米は水分が多くおいしいとされています。
新そば
その年収穫した実で作ったそばを新そばと言います。新そばは10月下旬ごろから11月にかけて出回ります。食べ逃したくない秋の味覚です。
マツタケ(松茸)
マツタケは香りが良いことで有名なキノコ。日本でもっとも高級なキノコの一つです。炊き込みご飯や土瓶蒸し、お吸い物などにして楽しみます。
シメジ
一年中流通しているシメジですが、天然のブナシメジやホンシメジの旬は秋です。香りが良いので、炊き込ごはんやお吸い物、あえ物などにして楽しみます。
マイタケ(舞茸)
マイタケも一年中流通していますが、天然のものは秋が旬です。煮ても炒めても楽しめます。鍋料理にも活躍します。
食用菊
食用菊は名前の通り、食用の菊の花です。指でつまむようにして花びらだけを取り、酢を入れたお湯で茹で、お浸しにして食べます。花色は黄色や薄紫色があります。
チンゲンサイ
チンゲンサイは夏から冬にかけて収穫できる青菜。葉野菜が少なくなってくる秋から冬にかけて活躍します。
チンゲンサイ(青梗菜・チンゲン菜)
- 1年のうち3/4以上の種まき期間があるチンゲンサイは、非常に育てやすいため家庭菜園でも定番の野菜です。夏の暑さにも強いですが、生育適温が20℃位なので、春か秋に種をまいて育てると状態良く育ちます。 種をまいてから収穫まで50日ほどで収穫できますが、チンゲンサイは株ごと収穫するだけでなく、外葉からも順次収穫できるので長い間収穫を楽しめます。 原産地である中国では、結球しない菜類を「小白菜」といいます。チンゲンサイは「小白菜」の一種で、中でも葉柄部(軸)が緑色になっていることから「緑白菜」ともいわれ、「小白菜」と区別されています。 アブラナ科の野菜のため、冬の寒さで春にとう立ちし黄色い花を咲かせます。花が咲くころには葉の筋が硬くなるため食味は落ちます。葉の柔らかいうちに収穫しましょう。
ナス
ナスはナス科の野菜です。一年中出回っていますが旬は夏から秋です。油と相性が良く、揚げたり炒めたりする調理方法が人気です。
ナス(茄子)
- ナスの原産はインドです。日本には奈良時代に中国から伝わり、古くから日本人に親しまれた野菜のひとつです。ナスの形は、丸や卵、中長、長形など様々な品種が栽培されています。幅広く料理にも使えるので和洋中問わず、味を楽しむことができます。 みなさんがよくご存じの縁起の良い初夢の順番「一富士、二鷹、三茄子」ですが、江戸時代の初物のナスは1個がなんと1両。そのため庶民が正月に初物のナスを食べることは、夢のまた夢…叶わぬ夢でした。初夢にナスが登場すると縁起が良いとされるのもこのことからうかがえます。 現在のようにハウス栽培がない江戸時代で、冬に高温作物のナスを作るためには、油紙障子でハウスのようなものを作り、馬糞や麻屑(あさくず)などを踏み込んだ発酵材でエコに温度を上げるなどして、手間暇かけて栽培していたそうです。
サトイモ(里芋)
サトイモは肥大した地下茎を食用にする野菜。ぬめりと歯ごたえが魅力です。煮物のほか、茹でておつまみにしたり、揚げたり炒めたりして楽しみます。
レンコン(蓮根)
レンコンは食用のハス(蓮)の肥大した地下茎です。加熱時間や調理方法でシャキシャキとした歯ごたえとほくほくとした食感の両方を楽しめるのも魅力です。煮たり炒めたりして楽しめます。
カボチャ
カボチャの収穫期は晩夏ですが、長く保存ができるので野菜の少なくなる秋から冬に多く流通するようになりました。特に10月はハロウィンにちなんでカボチャ料理が盛んに作られます。
カボチャ(南瓜)
- カボチャ(南瓜)の葉は大きて丸く、つるは土を這うように伸びて生長します。カボチャ(南瓜)の雌花は、下が膨らんだ形をしており、雄花と受粉することで実がなります。 日本カボチャは、割ると見た目が菊の花のような形をしており、表面はごつごつしています。 カボチャ(南瓜)の関東での収穫時期といえば夏が旬ですが、冬至にカボチャ(南瓜)を食べる風習があります。夏とは正反対の冬至の時期にカボチャ(南瓜)を食べる習慣となったのは、カボチャ(南瓜)の優れた保存性のおかげです。夏に収穫したカボチャ(南瓜)を、冬まで保存しておくことが可能だったため、緑黄色野菜が無くなる冬の時期にカボチャ(南瓜)を食す文化ができたというわけです。 ▼冬至のカボチャ(南瓜)についてはこちらをどうぞ 冬至とは|2023年はいつ? なぜ冬至にかぼちゃとゆず湯なの? 2023年の冬至(とうじ)は12月22日。 夕方になるとあっという間に真っ暗になって日が短くなったなぁと感じ… 持永久美子 2022.11.25 ボタニカルライフ
ムカゴ
ムカゴはヤマイモの仲間のつるに実ります。秋になるとつるの途中にムカゴが実っているのを見かけます。ごはんと一緒に炊くほか、揚げたり炒めたりして楽しめます。
10月が旬の果物(フルーツ)7種
ブドウ
ブドウはつる性の果樹。旬は品種によって違いはありますが、晩夏から秋です。甘く水分の多い果実が魅力の果物です。
イチジク(無花果)
イチジクはゴム科の落葉低木。晩夏から秋にかけて旬を迎える果物です。花を咲かせずに結実するのが特徴です。甘くねっとりとした果肉が特徴です。
ザクロ(柘榴、石榴)
ザクロはミソハギ科の落葉高木。秋に実る果実を食用にします。ザクロの果実は熟すと果皮が割れて、半透明で赤紫色をした宝石のような果肉が見える、とても美しい果物です。
ザクロ(石榴・柘榴・ざくろ)
- ザクロはミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。夏に咲くオレンジ色の花も、秋に熟す果実も観賞用とされています。果実は食用にもなります。生食ができる他、ジュース果実酒にして楽しめます。 私たちがよく見かけるザクロの実は、直径5~10cmほどのオレンジ色のボールのような果実ですが、これは熟れる直前のものです。木に実るザクロは熟すと果実がはじけ、果皮が裂けて果肉が見えるようになります。中には小さな種子を包む半透明で赤紫色の果肉がたくさん入っています。この小さな果肉は一つの果実に多いと800粒も含まれていると言われています。 果実ばかりが注目されますが、ザクロの花も観賞価値があります。花は緋色のようなオレンジ色で一重咲きから八重咲まであります。また、淡い黄色がかった白い花が咲く品種もあります。 ザクロは落葉性小高木に分類されますが、大きなものは5m以上にもなります。反対にヒメザクロや一才ザクロのように、小さなままで開花、結実する品種もあります。 意外と知られていないことですが、ザクロの木には鋭いトゲがあります。枝に触れるときには気を付けるようにしてください。
アケビ
アケビはアケビ科のつる植物の果実。硬い果皮の内側に白いゼリー状の果肉が入っています。この甘い果肉を楽しみ、中の小さなタネは吐き出します。
アケビ(木通)
- アケビは日本の山野に自生する落葉ツル性木本です。花がとてもかわいらしく、葉の色も明るく美しいことから、最近はツル植物として庭の植栽としても用いられるようになっています。 花は雄花と雌花で分かれて咲き、花の色は紫色や薄紫色、白色などがあります。三枚の花びらは実は萼片で、半透明で厚みがあり、蝋細工のような光沢があります。近づくと、ほんのりと芳香がするのも特徴です。 雄花と雌花の見分け方は、3枚の花びらの中心部が球状に包まるようについていれば雄花であり、花自体が大きく、中心部が放射状に広がっているのであれば雌花になります。 果実は薄紫色や紫色で、10cm程度の瓜の様な形をしており、熟すと果皮が割けて白色のゼリー状の果肉を覗かせます。果肉の中にある無数の黒いものは種です。果肉には甘みがあります。果実が実るまでは、一般的には3年と言われています。この甘い果肉を鳥が食べて、中の小さな種を吐き出すことから、遠くまで子孫を残すことに成功しているといわれています。 アケビは1本では結実しにくいという特徴があり、公園や山野で、花や葉は見かけるのに果実にはお目にかかれないということがよくあります。 アケビの仲間にはミツバアケビ(A. trifoliata)があり、こちらはが少葉が3枚で、雄花がブドウのように縦に連なって咲きます。他にもゴヨウアケビという種類は、アケビとミツバアケビの雑種と言われています。
キウイ
キウイはマタタビ科のつる植物。一年中流通していますが、日本では秋に収穫できます。果実は甘く瑞々しいのが特徴です。
キウイフルーツ
- キウイフルーツは、中国の長江沿岸地方が原産のつる性の落葉果樹で5~8メートルの高さまで伸び100年以上の樹齢にもなります。雌雄異株で、雌雄ともに6枚の花弁をもつ黄白色の花を5月頃につけます。葉は長さ10~15センチのだ円形。細長い球形で表面に毛が生えた褐色の果実は晩秋に成熟し、収穫から20~30日ほど追熟させれば食用になります。果肉は緑色で香りが良くほのかな酸味と甘みがあります。 キウイフルーツは、耐寒性があり冬場-10度程度の地域でも栽培が可能です。ニュージーランドやアメリカが主産国ですが日本での栽培も広まっています。栽培には棚が必要ですが実がつきやすいので家庭果樹としても人気があります。
栗(クリ)
栗は秋の味覚の代表のような果物です。加熱すると甘くほくほくとした食感を楽しめます。栗ご飯のほか、焼き栗や甘露煮など、楽しみ方がいっぱいです。
- クリ(栗)は、果実が秋の味覚として有名な落葉高木です。アジアからヨーロッパ、北米まで、多くの品種が分布しています。主に日本で流通しているのは、日本原産の和栗(ワグリ)とも呼ばれる柴栗(シバグリ)の改良品種で、その種類は数十種類から百種類を超えるとも言われています。 クリ(栗)は雌雄同株で、初夏5~6月くらいに開花します。雄花はクリーム色の花穂を房状に咲かせます。雌花は、雄花の付け根辺りに小さな花を咲かせます。雄花が開花したクリ(栗)の木は、遠くからみると白く樹木全体が煙るようで、見ごたえがあります。クリ(栗)の花には独特の芳香があり、初夏の開花の時期になるとどこからともなく風に乗って漂ってきます。 クリ(栗)は雌雄同株ですが、自家受粉し辛いので違う品種の木を近くに植え付けるなどの工夫が必要です。クリ(栗)の果実は、無数の針のようなイガに包まれていて、最初は緑色ですが熟すと茶色に変わり、イガが弾けて中からクリ(栗)の果実が現れます。
柿
秋にオレンジ色に色づく柿は日本の秋を象徴するような果物です。瑞々しく、独特の歯ごたえが魅力です。
柿(カキ)
- 橙色の柿(カキ)の実がたわわに実る光景や、軒下につるされている干し柿は、昔から日本の秋の風景として親しまれています。また秋の柿(カキ)を季語として多くの俳人が俳句を読んでいますが、正岡子規の「柿くへば 鐘がなるなり 法隆寺」という句はとくに有名です。ことわざにも「柿(カキ)が赤くなれば医者が青くなる」というものがあるくらいに、柿(カキ)は古くから日本人にとってなじみ深い果物です。春に若葉が芽吹き、初夏に控えめな淡い黄色の花を咲かせます。その花は壷のような形で花びらは肉厚ですが、葉に隠れて見落としてしまうほどに大人しい花です。柿(カキ)は雌花と雄花があるのですが、ほとんどの品種は雄花をつけていません。それでも受粉しなくても果実が実る単偽結果性という性質をもっているので、1本でも実がなります。しかし、生理落果しやすく良い実がなりにくいため、2品種植えることをおすすめします。果実には甘柿と渋柿がありますが、甘柿は国内で品種改良されたものです。
10月が旬の魚(魚介)7種
サンマ
日本の秋を代表するようなサンマの旬は9月~10月です。塩焼きのほか、煮たり揚げたりして楽しめます。
タチウオ(太刀魚)
長く平たい姿が特徴のタチウオ。夏から秋にかけての産卵期が脂が乗っておいしい時期だと言われています。淡白な味わいの魚で、シンプルに塩焼きのほか、煮たり揚げたりして楽しめます。
秋鮭(アキザケ、アキジャケ)
秋に産卵のために川に戻ってきたサケを秋鮭と言います。産卵前なので身がしまっているのが特徴。塩焼きのほか、煮たり焼いたりして楽しめます。
サバ
サバは秋から冬が旬の魚。秋のサバは脂がのっておいしいと言われています。焼き魚、煮魚、フライなどさまざまな調理法で楽しめます。
ニシン
秋のニシンは身がしまり脂がのっていておいしいと言われています。塩焼きのほか、ニシン鍋などにして楽しめます。
カレイ
秋のカレイは冬の産卵を控えているので、身がしまっていておいしいと言われています。カレイは煮魚のほか、揚げてもおいしくいただけます。
スルメイカ
一年中流通しているスルメイカですが、夏から秋にかけてが旬。夏イカ、秋イカという呼び名もあるくらいです。特に秋イカは夏の間に成長しているので、脂が乗って肝までおいしいと言われています。
10月が旬の花や木18種
キク(菊)
菊の花の咲く季節は秋、9月~11月です。特に秋も深まり周囲の木々が紅葉し始めたころ、菊も美しく咲き誇ります。
キク(菊)
- キクは皇室の紋にも使われている日本を象徴する花のひとつです。中国から奈良時代に伝わり、江戸時代に入ってから盛んに品種改良されるようになりました。こうしたキクを「古典菊」と呼び、「江戸菊」「嵯峨菊」「美濃菊」など地名を冠してカテゴリー分けされています。スプレーギク、ピンポンマムなど、イギリスを中心に欧米で生み出された小輪でたくさんの花をつけるキクは「洋菊」と呼ばれています。花弁の形状は様々。伝統的な白、黄色にはじまり赤、ピンク、オレンジ、複数の色を合わせたものなど数多くの品種があります。古典菊、洋菊どちらも丈夫で育てやすいのが特長。品評会を目指すもよし、色とりどりの寄せ植えにしてもよし、様々な楽しみ方ができます。
オミナエシ
オミナエシ(女郎花)は黄色い小花を集合させたような花を咲かせるスイカズラ科の多年草。秋の七草の一つです。独特の香りが苦手と言う人も多いようですが、群生する姿が美しい花です。
オミナエシ(女郎花)
- オミナエシ(女郎花)は、秋の七草の1つとして古くから愛されてきた多年草です。日当たりの良い草地に群生し、小さな黄色の花が夏から秋にかけて開花します。 オミナエシ(女郎花)の名前は、「女」という意味の「オミナ」と、古語の 「圧(へし)」が変化した「エシ」が合わさってつけられたと言われています。女性の美しさが負けてしまうほど美しい花(女性を圧倒するほど美しい花)という意味が込められています。 また、オミナエシ(女郎花)の黄色い小さな花が集まって咲いている様子が穀物の粟に似ていることから、「粟花」や「粟米花」とも呼ばれることもあります。昔は、男性は白い飯を食べ、女性は黄色い粟の飯を食べていたため、粟飯が女飯(オミナメシ)と呼ばれていたこともあり、黄色い粟飯(オミナメシ)の見た目にオミナエシの花が似ていることから、「オミナメシ」→「オミナエシ」と言われるようになったという説もあります。 オミナエシ(女郎花)の根を乾燥させて煎じたものは生薬となり、生薬名は「敗醤(ハイショウ)」と言う名で呼ばれています。
リンドウ
リンドウは秋に青紫色の花を咲かせる多年草。花色はほかに、ピンクや白などがあります。9月ごろから咲き始め、秋も深まる11月ごろまで花を楽しめます。
リンドウ(竜胆)
- リンドウ(竜胆)は「枕草子」でも記述がある程、日本で古くから親しまれている植物(多年草)です。寒さに強く、本州、四国、九州の山野を中心に自生しています。春に細い葉の新芽を出し、秋の始まりと共に花芽をつけてベル形の花を咲かせます。寒くなる頃には地上部が枯れて休眠し、春に芽吹きます。根に薬効があり、乾燥させたものが漢方で使われます。 花色は青、紫、水色などの寒色系が主流ですが、赤紫、ピンク、白、複色など様々な色があります。花の直径は3~5cm程で、釣鐘形で先が5つに分かれ、尖った裂片があります。花は日が当たると開き、曇りの日は閉じます。渦状に巻いた蕾の状態も可愛らしいです。咲き終わるときは、花を閉じて茶色くなります。草丈は品種・種類によって差があり、10~100cmと幅があります。 リンドウ(竜胆)は日当たりを好みますが、高温や強い直射日光が苦手なため、真夏は半日陰程度の風通しの良い場所で管理するか、寒冷紗などで日よけをする必要があります。品種改良が盛んで多くの品種が見られ、鉢花や切り花などでも流通しています。高貴な印象があり、敬老の日にプレゼントする花としても人気があります。
コスモス
コスモスは色のバリエーションが豊富なキク科の一年草。秋を代表するような花ですが、最近は夏から開花する品種も流通しています。
アメジストセージ
アメジストセージはシソ科の多年草。ベルベットのような質感の紫色の花が美しいセージの仲間です。
アメジストセージ(サルビア・レウカンサ)
- アメジストセージはメキシコから中米原産の観賞用のセージの一種です。学名はSalvia leucantha(サルビア・レウカンサ)ですが、アメジストセージの名前で流通しています。 とても丈夫で植えっぱなしで年々大株になります。花は秋から開花し、大株になると紫色の長い花穂が株一面を覆うように咲き誇り、秋の庭を美しく彩ります。 花に見えるベルベットのような肌触りの部分はガクで、花はガクから突き出すように咲き、色は白や紫、ピンクなどがあります。暑さにもとても強く、春に植え付けると一年目からたくさんの花が楽しめるため、秋の庭に植えておきたい一株です。 アメジストセージ(サルビア・レウカンサ)は、とても生長が早く、株元は次第に木化します。あまり大きくしないためには春から初夏に剪定して仕立てるとよいでしょう。また、株はまっすぐ上には伸びず、広がるように生長します。強風で倒れてしまうこともあるので、必要に応じて支柱を立てましょう。
スカビオサ(マツムシソウ)
スカビオサ(マツムシソウ)は和名をマツムシソウと呼ばれる、淡い紫色がきれいな多年草。春と秋に開花します。
ツリフネソウ
ツリフネソウは夏から秋に咲く、ツリフネソウ科の一年草。ふっくらとした花のフォルムとピンク色が鮮やかな花です。
シュウメイギク
シュウメイギクは秋に白やピンクの花を咲かせる、キンポウゲ科の多年草。菊の仲間ではありません。風に揺れる楚々とした姿が美しい花です。
シュウメイギク(秋明菊)
- シュウメイギクは、秋に白やピンクの花が開花するキンポウゲ科の宿根草です。名前に菊とありますが、学名からもわかるように菊ではありません。英名ではJapanese anemoneと呼ばれていますが、中国が原産となる帰化植物で野山に多く自生しています。秋の風情を感じる花は、欧米ではボーダーガーデンや日本風のガーデンには欠かせない植物となっています。 生育旺盛な宿根草で、年々大株になりたくさんの花が開花します。優し気な花の表情は風情があり、秋の落ち着いた光の中でたくさんの花が咲き誇る姿は目を引きます。半日陰程度の環境でも開花するため、シェードガーデンの素材としても利用されています。 花弁に見える部分はがくが花弁化したもので実際には花弁はありません。華道の素材としてや秋の茶花としても親しまれ、切り花として流通しています。
トリカブト
トリカブトはキンポウゲ科の多年草。有毒植物として有名です。花色は紫のほかに白などがあります。独特のフォルムの花が美しく、切り花としても人気があります。
トリカブト(鳥兜)
- トリカブトはキンポウゲ科トリカブト属に分類される北半球の温帯~亜寒帯原産の植物です。日本には約30種類ほどのトリカブトがあり、いずれも有毒です。 トリカブトは日本三大毒草(トリカブト、ドクゼリ、ドクウツギ)の一つで、根を始めとした全草に毒があります。 このように毒を持つ植物の代表格として知られるトリカブトですが、実は生け花で広く用いられる、ポピュラーで育てやすい園芸種でもあります。 そのため、毒草と聞いて栽培できるの?と思う方もいらっしゃると思いますが、トリカブトは花や葉の美しさから園芸品種が多くあり、売買も育てるのも問題ありません。 漢方では附子(ぶし)としてトリカブトの根が使われています。 開花時期は8月~10月で、湿度が高い森に主に生えています。 多年草で、冬は地上部を枯らして越冬します。20cmほどの矮性種から1mを超えるものまで、種によって草丈は様々です。 名前の由来にもなったように、兜のように見える独特の袋状をした花を咲かせます。 これはミツバチなど虫たちが奥まで入り込むことで効率的に授粉できるようにした工夫です。 ただし、花粉にも毒があるので、トリカブトが咲く季節になると養蜂家たちはミツバチを巣箱から出さないようにするそうです。
ススキ
ススキはイネ科の多年草。秋の七草にも数えられています。風に揺れ、金色に輝く花穂が美しい、風情ある草花です。
薄(ススキ)
- 薄(ススキ)は、日本の秋を代表するイネ科の多年草です。中秋の名月にも薄(ススキ)を飾るのが習わしとなっている他、秋の七草のひとつである尾花(オバナ)とは薄(ススキ)のことを指します。 薄(ススキ)は、草丈1~2mほどにもなります。晩夏から秋にかけてすっとした細い葉と茎の間から、穂を出します。そのまま、秋の終わりになると種子を風に乗せて周囲に飛ばします。この種子でも増えると同時に地下茎でも増えます。さらに痩せ地でも良く育つため、あまり土壌を選びません。 薄(ススキ)は、日当たりの良い場所を好み群生します。秋になると河原や線路わきの土手など日当たりの良い場所で薄(ススキ)が群になって生えているのを見かけます。秋が終わり、冬になってもそのままドライフラワーのようになるので、その姿を枯れ薄(ススキ)と呼び、季語として使われます。 園芸品種で葉に斑の入ったものや、あまり大きくならない種などもあります。
パンパスグラス
パンパスグラスは、イネ科の多年草。夏の終わりから秋に、真直ぐに伸びた茎の先に魔女の箒のような穂を咲かせます。草丈3mくらいまで生長する品種から1m程度の矮性種もあります。
クランベリー
クランベリーはツツジ科の低木。果実は酸味が強く生食できないので、主に観賞用として育てられます。9月~10月にかけて赤く色づく果実がかわいらしい花木です。
クランベリー
- うつむき加減に咲く白い花のあとに、丸くてつややかな可愛らしい赤い果実を実らせます。樹高が20cmほどの常緑低木です。本来は湿地や沼地に自生することから、乾燥を嫌い湿気を好みます。暑さにも弱いです。また酸性土を好むので用土に気をつける事がポイントです。暑さに弱いですが、寒さには非常に強く、-40℃でも耐えられるといわれています。それゆえ、暖地では生育が悪く、果実も本来の味になりません。 果実は酸味がとても強いので生食よりも、ジャム、ケーキ、シャーベット、果実酒、料理のソースに利用されています。果実は安息香酸を含有しているため注意が必要です。自家結実性があるので1本だけでも結実します。 果実はほとんど流通しておらず加工品がほとんどです。苗は年中手に入りますが、夏や実が付いている時期のみというところも多いようです。
金木犀(キンモクセイ)
金木犀(キンモクセイ)は香りが良いことで人気のあるモクセイ科の花木です。秋に一斉に開花し、甘い香りを周囲に漂わせたかと思うと、数日で散ってしまう儚い花です。
- 金木犀(キンモクセイ)は、秋に甘い香りを漂わせながらオレンジ色の小花が開花するモクセイ科の常緑樹です。庭木としての他、公園や街路樹としても利用され、甘い香りのする花は秋の訪れを知らせてくれるような存在です。金木犀(キンモクセイ)のオレンジ色の小花をいっぱいにつけた姿は、日差しを受けると名前の通り金色に輝いて見え、秋の風物詩となっています。 金木犀(キンモクセイ)の名付け親は、植物学の父と呼ばれ、NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者の牧野富太郎博士で、学名にもMakinoの名があります。また、遠くまで香りが届くことから古くは「千里香」とも呼ばれていました。 金木犀(キンモクセイ)の花は食用にもなり、原産地・中国では花を砂糖漬けやシロップ、リキュールなどに利用します。中国茶の桂花茶(けいかちゃ)は、金木犀(キンモクセイ)の花を乾燥させたお茶です。
カンボク
カンボクはガマズミの仲間の落葉低木。春に白い花を咲かせ、秋に真赤な果実を実らせます。宝石のような赤い果実は見るからにおいしそうですが、食用にはできません。
ナツハゼ
ナツハゼはツツジ科の落葉低木。秋に紅葉する葉と黒く色づく果実が美しい花木です。紅葉したナツハゼの葉はブルーベリーの葉を思わせます。黒く熟した果実は酸味が強く、食用にはなりません。
ガマズミ
ガマズミはレンプクソウ科の落葉低木。秋に宝石のような真赤な果実を実らせます。ガマズミの果実は酸味が強く生食できません。果実酒などにして楽しみます。秋の太陽を浴びて光るガマズミの果実は見とれるほどの美しさです。
ヤマボウシ
ヤマボウシはミズキ科の落葉あるいは常緑高木。春に白い花を咲かせ、秋にオレンジ色に近い赤い果実を実らせます。
- ヤマボウシは、6月~7月に白い花を咲かせる落葉高木。初夏の白い花、美しい若葉や青葉、赤い実、紅葉と四季折々の表情を楽しめる樹木です。本州から九州の山地に自生し、樹高は5~15mほどになります。白い花のように見える部分は総苞 (そうほう)と呼ばれる部分で、ハナミズキ同様、葉が変化したものです。 葉はだ円形で、やや波うっています。基本種は落葉樹ですが、常緑性の常緑ヤマボウシもあります。大きく広げた枝の先に一面に咲く花は、美しく見ごたえがあります。夏は青々とした葉が日陰を作り、常緑種を選べば、お庭の目隠しの役割も果たしてくれます。 自然樹形が美しく手間がかからないヤマボウシは、シンボルツリー、庭木、公園樹、街路樹など様々な用途で利用されています。
ムラサキシキブ
ムラサキシキブはシソ科の落葉低木。春にピンク色の小さな花を咲かせ、秋に紫色の小さな果実を実らせます。紫色の果実は珍しいことと、日光を浴びて照り輝く様子が美しいので人気の花木です。果実は鳥が好んで食べますが、人間は食用にはしません。
- ムラサキシキブ(紫式部)は、秋に実る紫の実が美しい日本原産の落葉低木です。古くから山地の湿地や森林に自生しています。葉の色は実がなりだす初秋は緑、秋が深まってくると徐々に黄色く色づき、紫色の実と葉の色合いが目を引きます。その美しい実から英名ではJapanese beautyberryとも言われています。実は葉が落葉した後もしばらくついていますが、冬に自然に落下します。 ムラサキシキブ(紫式部)の近縁にコムラサキがあり、流通上はコムラサキも含めてムラサキシキブ(紫式部)として販売されています。園芸店で販売されているムラサキシキブ(紫式部)はコムラサキの方が多いため、個人宅や公園などの公共スペースの植栽で見られるのはほとんどがコムラサキです。それぞれは樹高や実の付き方に違いがありますが(下記参照)育て方に違いはありません。
10月が旬の食材レシピ2種
手羽中と栗の煮物
材料
- 手羽中 10本くらい
- むき栗 5~6個
- 鷹の爪 1本
- 酒 大さじ2
- しょうゆ 大さじ2
- みりん
- 水 大さじ3
作り方
- 鍋で手羽中を弱火から中火で焼く
- 両面に焼き色が付いたら手羽中を取り出し、余計な油を拭き取る
- 鍋にすべての材料を入れて15分から20分程度中火で煮込む
- 煮汁がとろりと煮詰まったら出来上がり
酒、しょうゆ、みりんは1:1:1を基本として、好みで調整してください。ニンニクを加えてもおいしく仕上がります。
きのこごはん
材料
- 米 2カップ
- 好きなきのこ 150~200gくらい(ざっくり1パック程度で問題なし)
- かつお節 適宜
- しょうゆ 大さじ1
- 塩 一つまみ
- 酒 大さじ1
作り方
- 米は洗って十分に吸水させておく
- きのこは洗って石づきを取り、食べやすいサイズに切る
- 炊飯器にすべての材料を入れて、水を目盛りまで入れたら全体をざっくり混ぜる
- 炊飯器のスイッチを入れる
- 炊き上がったら全体をざっくり混ぜて出来上がり
かつお節をそのまま入れて炊くことで、出汁を取る手間を省きました。きのことかつお節から出汁が出るのでしっかりとした味の炊き込みご飯が出来上がります。ごはんにかつお節が混じるのが気になる方は、だしパックなどの小袋にかつお節を入れておくとよいでしょう。
10月は空気がひんやりし始め、体で秋を感じるころです。金木犀の花が香り、紅葉が始まり、木々の果実も色づき、視覚や嗅覚でも季節を楽しむことができます。冬の到来前の恵みの季節を五感を使って満喫してください。
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