フェンネル|特徴やディルとの違い、食べ方、フェンネルシードについて
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甘い香りが魅力のフェンネル。特徴やディルとの違い、フェンネルシード、使い方や食べ方について紹介します。
目次
フェンネルとは?基本情報
- 植物名:フェンネル
- 学名:Foeniculum vulgare
- 科名:セリ科
- 属名:ウイキョウ属
- 英名:fennel
- 和名:ウイキョウ
- 分類:多年草
フェンネルの特徴
フェンネルは、糸状に細かく裂けた明るいグリーンの葉を持ち、全草に甘く独特な香りを持つセリ科の多年草です。フェンネルの開花期は6月~8月、黄色の小花を放射状に散らすように咲かせます。草丈は1~2mほどで、茎は真っ直ぐに伸びて枝分かれします。
フェンネルの果実は0.7~1cm程度と小さく、この果実を乾燥させたものが生薬の茴香(ウイキョウ)です。フェンネルは、ウイキョウという和名でも流通しています。
フェンネルの種類|フローレンスフェンネル
株元が肥大したフローレンスフェンネルという種類があります。フェンネルは多年草ですが、フローレンスフェンネルは一年草で、草丈が低いのが特徴です。
生長過程で株元に土を寄せて軟白肥大化させます。香りはフェンネルと同じ甘い香りです。肥大化した柔らかい茎を煮込んでシチューにしたり、葉をサラダやマリネにして食べます。
フェンネルシードって何?
フェンネルシードとは、フェンネルの果実を乾燥させたハーブのこと。フェンネルのタネだからフェンネルシード(Fennel seed)と呼ばれています。
正確にはタネではなく、その周囲の果皮ごと乾燥させているので、フェンネルの果実です。生薬の茴香もフェンネルシードです。
フェンネルシードはフェンネルの花が終わった後にできる果実で、0.7~1㎝の楕円形をしています。フェンネルシードには甘い香りがあり、フェンネルティーの他、パンやクッキーなどのお菓子作りに使用されます。整腸効果があるといわれ、海外では食事の後に数粒噛んだり、お茶にして飲む習慣もあるそうです。
フェンネルとディルの違い
ディルの花
フェンネルによく似たハーブにディルがあります。フェンネルとディルは同じセリ科のハーブで、見た目もよく似ています。さらにフェンネルとディルは近くに植えておくと交雑してしまうというややこしさもあります。フェンネルとディルの違いをまとめたので、見分け方の参考にしてください。
フェンネル
- 学名:Foeniculum vulgare
- 科名・属名:セリ科・ウイキョウ属
- 分類:多年草
- 草丈:1.5~2m
ディル
- 学名:Anethum graveolens
- 科名・属名:セリ科・イノンド(アネツム)属
- 分類:一年草
- 草丈:30~50㎝
フェンネルは多年草ですが、ディルは一年草です。フェンネルの草丈は1.5~2mと大きくなりますが、ディルは30~50㎝程度と小ぶりです。わからなくなったら、1年待って、翌年も芽吹いてきたらフェンネルという風に見分けましょう。ディルも、フェンネルと同じように甘い香りがあり、料理に使用されるものなので、間違えても問題はありません。
自宅で栽培する際には交雑しやすいので、近くに植えないように気を付けましょう。交雑したからといって、食べられなくなるようなことはありませんのでご安心ください。
フェンネルの使い方と食べ方
フェンネルの使い方
フェンネルは地中海料理には欠かせないスパイスとして有名です。ピクルスの香り付けには必ずといっていいほど使用されています。
若い葉や茎を摘み取って、そのままサラダやマリネ、スープの香り付けや彩りに使用します。甘い香りのフェンネルシードは、パンやお菓子に利用されます。フェンネルは、葉も茎もシードも、余すところなく料理に利用できるハーブです。
以前、ニシンの酢漬けを手土産に持って、友人宅へ遊びに行ったときのこと。お皿に盛り付けたニシンの酢漬けに、友人の庭で摘んだフェンネルの葉をさっと散らして出してくれました。来客の手土産に、自宅で採れたハーブで香りと彩りを添えて。さりげなくて美しいもてなしだなあ、と感心させられたものです。
フェンネルのドレッシングのレシピ
材料
- フェンネルの柔らかい葉と茎
- レモン
- 黒オリーブ
- 塩 少々
- 白ワインビネガー 少々
- オリーブオイル
作り方
- レモンを粗いみじん切りにして塩を振ってボウルに入れ、ざっくりと混ぜ合わせておく
- フェンネル、黒オリーブは粗いみじん切りにする
- レモンの入ったボウルにフェンネルと黒オリーブを入れ、白ワインビネガーを軽く振りかける
- オリーブオイルを垂らして混ぜ合わせたら出来上がり
サラダの他に、サバやアジなどの焼き魚にかけても楽しめます。ちょっと変わったアレンジで、水気を切った木綿豆腐にかければ、さっぱりしたお豆腐サラダとして食べられます。
フェンネルシードを使ったクッキーのレシピ
見るからにおいしそうなクッキーのレシピ。ナッツを入れたアレンジレシピも魅力的です。
フェンネルの育て方
フェンネルはとても育てやすいハーブです。自宅でフェンネルを育てて、楽しんでみませんか。フェンネルの育て方を紹介します。
フェンネルの植え付け、用土
日当たり、水はけ、風通しの良い場所を好みます。鉢植えのフェンネルは市販のハーブ用培養土で問題なく育ちます。庭植えのフェンネルは事前に赤玉土をすき込むなどして、水はけの良い土にしておきましょう。
フェンネルの種まき
フェンネルの種まきの適期は春か秋です。フェンネルは移植を嫌う直根性のハーブです。植え替えの必要がないように、鉢や庭に直まきします。植え付け後は種が流れないように注意しながら水やりを行います。
フェンネルを苗から育てる
フェンネルは移植を嫌う直根性のハーブです。庭植えにするなら植え替えの必要がないように場所を決めてから植え付けましょう。
複数株を植え付ける場合は大きくなることを想定して、株の間を50㎝以上は離すようにしましょう。植え付け後はたっぷりと水やりを行います。
フェンネルの水やり
フェンネルは加湿を嫌います。植え付け後はたっぷりと水やりを行いますが、根付いて株がしっかりしてきたら乾燥気味に管理しましょう。
フェンネルの植え替え
鉢植えのフェンネルは鉢が小さいと生長が止まってしまいます。最初から大きめの鉢に植え付けるようしましょう。株が大きくなり植え替えの必要ができたら、鉢から出し根鉢を崩さないように植え替えます。フェンネルは移植を嫌う直根性なので、くれぐれも根を傷めないように注意して作業してください。
フェンネルが被害にあいやすい病害虫と対処法
フェンネルは病気の少ないハーブですが、害虫の被害にあうことがあります。こまめに葉裏や茎を観察してください。
アブラムシや青虫がつくことがあります。見つけ次第捕殺しましょう。ナメクジの食害にあうこともあります。株元を確認し、見つけ次第捕殺します。
フェンネルの育て方のコツ
- 移植を嫌うので、植え替えの必要がないように場所に植え付けましょう
- フェンネルは乾燥気味を好みます。加湿にならないように注意しましょう
- 花や種を収穫する際に少し切り戻すと、また柔らかい葉や茎が伸びてきて楽しめます
▼移植を嫌う直根性のについて詳しくはこちら
ちょっと馴染みが薄いハーブのフェンネル。使い方や楽しみ方がわからないという方も多いのではないでしょうか。フェンネルはその甘い香りが特徴のハーブです。フェンネルは葉も茎もシードも余すところなく料理に利用できます。1株育ててみませんか。
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