- 椿(ツバキ)は、ツバキ科ツバキ属の常緑高木あるいは低木で、ヤブツバキやユキツバキ、その他園芸品種の総称です。日本を代表する花木の一つで、寒い季節に色鮮やかで華やかな花を咲かせることや、常緑でつやのある葉の美しさから、寺社、庭園や公園、庭木、生垣と様々場面で利用されています。椿(ツバキ)の中でも日本に自生しているのは、ヤブツバキとユキツバキです。ヤブツバキは、常緑高木で本州から九州まで、ユキツバキは、常緑低木で東北地方で見られます。 椿(ツバキ)は、先の尖った卵型のつやと厚みのある葉を持ち、密度高く葉を茂らせた枝の先に杯状の花を咲かせます。花色は、赤、ピンク、白、複色。花びらには厚みがあり、花芯にはこんもりと黄色のしべ類が集まっています。椿(ツバキ)の花びらは傷つきやすく、自らの葉に触れても茶色く変色してしまうほどです。雪が降るような寒い季節には、霜よけ葉と呼ばれる葉が花を覆うようにして寒さから守っています。葉が花を守りながら、時にはその葉が花びらを傷つけてしまうこともあるのだから、皮肉なものです。 椿(ツバキ)は、古くから日本人に愛されてきた花木で、江戸時代には盛んに園芸品種が作出されました。その後18世紀にはヨーロッパに渡り、東洋からやってきた美しい花として珍重され、19世紀には流行の花となったといわれています。デュマ・フィスの小説「椿姫」に登場するマルグリットは、劇場の自分の席に赤い椿と白い椿を飾っていたことから、椿姫と呼ばれるようになりました。また、シャネルのモチーフとして有名なカメリアは、八重咲きの椿(ツバキ)の花です。ココ・シャネルは、カメリアの花を最も愛したといわれています。