ムベ(郁子)とは?花咲く季節、花や実の特徴、アケビとの違いや見分け方

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山田智美

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ムベ(郁子)を知っていますか?花の特徴や季節、実の特徴や食べ方、アケビとの違いと見分け方、育て方など、ムベ(郁子)について、詳しく紹介します。

目次

ムベ(郁子)とは?基本情報

郁子(ムベ)とは?基本情報

  • 学名:Stauntonia hexaphylla
  • 科名・属名:アケビ科ムベ属
  • 分類:常緑つる性木本
  • 和名:トキワアケビ

ムベ(郁子)の特徴

郁子(ムベ)

ムベは、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本。トキワアケビという別名の通り、アケビに似た食べられる実をつけます。常緑なので冬でも葉が落ちず、生長すると幹が木質化するのが特徴です。

ムベ属の仲間は、アジアの温帯から亜熱帯地域におよそ15種がありますが、日本に自生しているのは、このムベ(Stauntonia hexaphylla)のみです。

光沢のあるグリーンの葉には厚みがあり、手のひらを広げたようなフォルムをしています。新芽は柔らかいつる性で、つるを伸ばしながら周囲のものに絡みついて大きくなっていきます。パーゴラやアーチ、フェンスなどに絡めて楽しむことができます。常緑なので目隠しにも利用できます。

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ムベ(郁子)の花の季節と特徴

郁子(ムベ)の花の咲く季節と特徴

ムベ(郁子)の花の季節

  • 開花期:4月~5月

ムベ(郁子)の花の特徴

ムベの花が咲くのは、4月~5月前半頃です。ソメイヨシノが散り始めたころ、ムベの花は咲き始めます。それほど開花期間の長い花ではないので、うっかりしていると見逃してしまうこともあります。

郁子(ムベ)

ムベの花は、大きな葉の陰に隠れるように咲いています。花の大きさは1.5~2cm程度、花びらは6つに裂け、外側に反り返るようなフォルムをしています。ムベの花びらのように見える部分は、ガク片が変化したもの。便宜上これを花びらと呼んでいます。ムベの花はうつむくようなベル咲きで、花びらに厚みがあり、花の外側は白っぽいクリーム色で、花のなかに赤紫色の筋があるのが特徴です。

雌雄同株で、雌花と雄花を咲かせます。雄花にはおしべが6つ、雌花にはめしべが3つあります。雄花と雌花の見分け方は、なかを覗き込んでしべの数を数えればわかります。

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ムベ(郁子)の木の特徴

郁子(ムベ)の木の特徴

ムベの木は、常緑つる性木本。始めは細いつるを伸ばし、周囲のものに絡みついて生長していき、やがては硬く木質化します。藤のような様子です。ムベの木の幹はざらざらとしていて、白っぽいグレーと暗いグレーがまだらになったような色をしています。

ムベ(郁子)は縁起木?

郁子(ムベ)は縁起木?

ムベの葉は幼木のころは3枚、生長するにしたがって5枚、7枚と増えていくので、七五三の縁起木と言われています。

また、その昔は不老長寿の果物とされ、毎年秋になるとムベの果実が皇室へ献上されていました。今でもその習慣は続いていて、縁起の良い果物とされています。

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ムベ(郁子)の実の特徴、季節、食べ方

郁子(ムベ)の実の特徴

ムベ(郁子)の実のなる季節

ムベの実がなるのは、10月~11月です。秋もだいぶ深まってから、卵型の暗い赤紫色の果実を実らせます。

ムベ(郁子)の実の特徴

ムベの実はツヤのある卵型で、ちょっとパッションフルーツに似ています。果皮は硬く厚みがあるのが特徴です。硬い果皮のなかにはゼリー状の白っぽい果肉が入っています。果肉は甘く、生食ができます。ムベの果肉に含まれる小さな黒い種は飲み込んでも問題はありませんが、ゼリー状の甘い果肉を楽しみ、種は吐き出します。

ムベ(郁子)の実の食べ方

ムベの実は、アケビのように自然に裂開しません。食べるときは刃物で半分にカットし、なかの甘い果肉部分を取り出します。また、硬い果皮も加熱調理して食べることができます。

ムベ(郁子)を生で食べる

ムベの実の果皮を割って、なかの果肉部分をスプーンなどですくって食べます。果肉部分は小さな種がたくさん入っているので、食べながら吐き出します。

ムベ(郁子)をジャムにして食べる

ムベの実は、ジャムなどに加工することもできます。ただし、ムベの果肉自体には香りや酸味がほとんどないので、他の果物と混ぜたほうが香りの良いジャムに仕上がります。

作り方は、一般的な果物のジャムの作り方と同じ。ムベの果肉を鍋で煮て、細かい種をザルで漉し、他の果物や砂糖、レモン果汁と一緒に煮詰めます。

ムベ(郁子)の皮の食べ方

ムベの実は、皮も食べられます。なかのゼリー状の果肉を取り出した後に残った、肉厚な皮を調理します。おすすめの食べ方はみそ炒めです。

ムベの皮のみそ炒めの作り方は、よく洗ったムベの皮をさっと湯がいて、食べやすいサイズに切り、豚肉と一緒に炒め、酒、みりん、みそ、しょうゆを合わせたもので味付けします。ショウガや鷹の爪を入れたり、ショウガを加えたり、お好みで調整してください。おかずにもお酒のおつまみにもなる一品です。

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ムベ(郁子)の名前の由来

郁子(ムベ)の名前の由来

その昔、天智天皇が狩猟で滋賀県の地方を訪れた際に、長生きの老夫婦に秘訣を訊いたところ、ムベの果実をすすめられたそうです。ムベの果実を食べた天智天皇が「むべなるかな(なるほどな)」と言ったのが名前の由来だとされています。

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ムベ(郁子)とアケビの違いと見分け方

郁子(ムベ)とアケビの違い

アケビの花は花びらが3枚

ムベとアケビは、同じアケビ科のつる植物です。一番の違いは、ムベは常緑性なのに対し、アケビは落葉性だというところ。他にもムベとアケビは、花や実、葉が違います。ムベとアケビは、春なら花で、秋なら実で、それ以外の季節は葉で見分けられます。

ムベ(郁子)とアケビの花の違い

ムベとアケビは花の咲く時期、花のフォルム、花の色が違います。

ムベの花が咲くのは4月~5月前半頃、アケビの花が咲くのは3月~4月です。ムベの花のフォルムは花びらが6枚のベル型の花、アケビの花のフォルムは花びらが3枚でふっくらとふくらみがあり、大きな雌花1つと小さな雄花数個が集まって咲きます。ムベの花色は白っぽいクリーム色で内側に赤紫色の筋、アケビの花色は薄紫からピンクをしています。

ムベ(郁子)とアケビの実の違いと特徴

熟しても裂開しないムベの実

熟しても裂開しないムベの実

ムベとアケビの実の違いは、裂開するかしないかです。ムベの実は熟しても裂開しませんが、アケビの実は裂開します。秋に実が割れてなかの果肉が見えていたら、それはアケビです。

さらに、ムベの実とアケビの実は色が違います。ムベの実は卵型で暗い赤紫色、アケビの実は楕円形で茶色かくすんだピンクや赤紫色をしています。

ムベ(郁子)とアケビの実の収穫時期の違い

ムベとアケビの実は、収穫できる時期に少し違いがあります。ムベの実は10月~11月、アケビの実は9月~10月です。

ムベ(郁子)とアケビの葉の違い

ムベの葉は常緑で、厚みと光沢があり3~7枚です。アケビの葉は落葉で、ムベに比べて厚みはなく、品種によって違いがありますが3~5枚です。また、ムベは常緑なので冬でも葉が残りますが、アケビの葉は落葉します。

ムベ(郁子)とアケビの見分け方

ムベとアケビの見分け方は、春なら花の色とフォルム、秋なら実の色とフォルム、裂開しているかどうか、それ以外の季節は葉のフォルムと落葉しているかどうかを確認します。春はベル型の花が咲いていればムベ、秋は実が裂開していればアケビというふうに見分けることができます。

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ムベ(郁子)の育て方、実をたくさん収穫するコツ

郁子(ムベ)の育て方

場所・用土

日当たり、水はけが良い土壌を好みます。鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。

水やり

庭植えのムベは、根付いてからは水やりの必要はありません。降雨に任せます。鉢植えのムベは、表土が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりします。

肥料

初春と秋に緩効性肥料を与えます。

病害虫と対処法

特に目立った病害虫の被害はありません。

剪定

樹形を整える剪定は、冬から初春に行います。混みあった枝をすいたり、全体の樹形を整えるようにしましょう。花後の5月~6月頃に伸びすぎたつるを整えるように切り詰めます。この時、花が咲いていた枝は切らないように注意しましょう。実を収穫できなくなってしまいます。

実をたくさん収穫するコツ

ムベは自家受粉しづらいので、2株以上を植えるとよいと言われています。人工的に授粉も行えば、さらに収穫を期待できます。人工授粉の方法は、柔らかい絵筆などで異株の花粉をめしべに付けます。同株でも問題ありませんが、異株の花粉の方が結実しやすくなるようです。

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ムベは春に花を楽しみ、秋には甘い果実を楽しめる常緑のつる性木本。日本に自生している植物なので、育て方もそんなに難しくありません。春には優しい色の花を、秋には実を楽しめて、フェンスやアーチに絡ませれば目隠しにもなります。ムベの魅力を知って育ててみませんか。

 

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植物が好きで好きで、植栽設計、ガーデナー、生花店勤務を経て現在は、フリーランスの花屋「花や蜜」として活動中。「てのひらに森を」がテーマの花屋です。森の中にいるような、見ているだけで力が抜けていくようなお花を作り続けたいと思ってます。街中で突然お花を配る、「花ゲリラ棘」というゲリラ的花配り活動も不定期決行しています。

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