キュウリの育て方|畑栽培の記録(初収穫まで約30日)
戸松敦子
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キュウリを畑で育てた様子(元肥と畑の土の準備、植え付け、支柱立て、摘芯、誘引、水やり、追肥、収穫など)を家庭菜園ならではの視点で詳しくレポートします!
撮影協力/アグリス成城
目次
キュウリを植える畑の準備
キュウリを植え付ける前に、土を耕す作業が必要です。
畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに植え付けができます。
耕した際にでこぼこになった土は、レーキなどで平らに整えます。畑作業する時に通り道になる場所を掘って畝を作り、再び軽く整地しましょう。
私が借りている菜園では、スタッフの方が年に一度、土のメンテナンスを行ってくれるので、自分で石灰や堆肥の混ぜ込みはせず、菜園指定の有機元肥を混ぜ込んですぐに植え付けることができます。そのあたりは貸菜園によって規則が異なるので、石灰などを混ぜ込む場合は事前に管理者に確認しましょう。
キュウリの植え付け・支柱立て
5月21日
キュウリを植えるスペースに支柱を立てた後、苗を植え付けます。今回は、育てやすくて病気に強い定番品種の「夏すずみ」の苗を使いました。実の色は濃い緑色で光沢があり、とげはそれほどないタイプです。
移植ごてでポットより少し大きい穴を掘り、苗をポットからはずして根を崩さずに植え付けます。株元にたっぷり水やりをしましょう。畑の土が乾ききっている場合は、植え付ける前に堀った穴に水をたっぷりまき、植えてからさらに水やりをします。
5月21日
写真のオレンジ色の丸で囲んだ場所にキュウリを植えています。
支柱は合掌式で立てました。合掌式とは、支柱を斜めに交差させて土に挿し、横に1本渡して固定する立て方です。支柱にネットをかけて紐で結んでいます。小さな畑なので、片面にキュウリ、片面にゴーヤを育てていきます。
5月24日
キュウリのツルが合掌式の長い支柱にまだ届かないので、別の短い仮支柱を挿して、茎と支柱を麻紐で結びます。結ぶ際、写真のように茎と支柱の間を一度八の字に交差してから結ぶと茎を無理やり引っ張ることなくやさしく結べます。
21日に植え付けてその3日後に見に行ったのですが、キュウリが、「ここに根付くスイッチが入ったよ!」と言っているような勢いを感じました。植物のそんな姿を見るのが大好きです。
キュウリの摘芯
6月7日
少しつるが伸びて背が高くなりました。
キュウリは放任しても育ちますが、つるが次々に出てくるので葉が重なって風通しが悪くなると病気が発生したり、収穫量も少なくなるため摘芯を行います。摘芯の方法は品種によって違ったり、様々な方法があります。
例えば、親づるを1本伸ばし、下から5節目くらいまではわき芽は全て摘み取り、6節目以降の子づるや孫づるは2節目で摘芯し、親づるは支柱の高さになったら摘芯するという基本的な方法があります。
わき芽は摘み取らない方法や、低い支柱で育てる場合は特に摘芯せずに放任して育てる方法もあります。
6月14日
1週間後には葉の数も増え、つるがさらに上に伸びました。
実は、私は今回ほとんど放任で育てました。1週間に1度しか畑に行けないので、大きく生長してくると、どこが何節目のつるかわからなくなってくるのが正直なところです。個人的には、家庭菜園では摘芯の作業はそんなに神経質にならずに、親づるが支柱の高さになったら摘芯することや、風通し良く育てることができたらよいのかなと思います。
キュウリの誘引と可愛いつるの話
6月21日
キュウリのつるは、自然に支柱やネットに絡むのですが、たまに隣の野菜に巻き付いてしまったり、育ってほしくない方向に伸びてしまうことがあるので、不要なつるをカットしたり、麻紐を使って誘引します。
6月21日
1か月後には写真のように背が高くなりました。
6月21日
よく見ると、こんなに可愛い形のつるを発見できます。
「つるの生長は速いので、形は常に変わっているはず。こんなに可愛い姿を見ることができる瞬間はあまり無いのでは!?」と思うと、「キュウリを育てていてよかったな。」とほっこり幸せな気持ちになります。
キュウリの追肥
6月21日
植え付けから1か月後、固形の有機肥料を10粒ほど、株周りの土に軽く埋めました。その後は20日おきぐらいに追肥して、肥料切れさせないように育てます。
生長に応じて根が徐々に株元よりも遠くに長く伸びていきます。2回目、3回目の追肥は、根の伸びている範囲を想像して施すようにしましょう。畝の真ん中に植え付けた場合は、最終的には畝の両はじに肥料を埋めるとよいです。
キュウリの花と実の収穫
6月7日
植え付けから2週間くらいすると、花が咲き出し、写真のような可愛いキュウリの赤ちゃんができてきました。
6月14日
キュウリの雌花です。雌花の最大の特徴は、花の付け根にキュウリの赤ちゃんが付いていること。花の付け根を見ることで、雌花と雄花の違いを簡単に区別できます。
6月14日
これは、キュウリの雄花。花の付け根が細く、すっとしています。
6月21日
植え付けから約1か月で、初めての収穫を迎えました。葉の陰にキュウリが実っています!
6月21日
初めての収穫は5本。この日から、キュウリの毎週の収穫が始まりました。
6月28日
先週全部収穫したはずなのに、1週間でこんなに大きなキュウリが育っています。バケツの中の一番右のキュウリのサイズが普通サイズなので、一番左のキュウリはかなりのビッグサイズです。
7月6日
1週間後に畑に行くと、みずみずしいキュウリがたくさんなっている。ワクワクして畑に向かう足取りも軽くなります。合掌式の半面でキュウリ1株、半面でゴーヤ1株を育てたのですが、両方順調に育ち、次々と収穫できています。
7月12日
今週も立派なキュウリがたくさん収穫できました。
7月12日
でも、中には写真のように曲がったキュウリができていました。土の水分や肥料が足りなくなると、曲がったキュウリができます。急いで収穫して追肥し、たっぷり水やりをしました。涼しい時間帯には、葉にも水がかかるように水やりを心がけます。
7月19日
合掌式に立てた支柱の半面が、キュウリのつるで隙間なく茂りました。この日も大小合わせて9本くらい収穫しました。
7月27日
この日の収穫が、今年一番の量と質だったように思います。形は不揃いで、ビッグサイズが多いですが、家で食べる分には上出来かなと思います。
8月2日
まだ収穫は続きます。少し、キュウリの形がポコポコする部分が出てきました。
8月9日
今年最後の収穫です。翌週から、不思議なくらい1本も実がつかなくなりました。
8月23日
花も咲かず、実もつかず、全体の葉が茶色くなってしおれてきたため、栽培を終了にして片付けることに決めました。「この夏たくさん実を付けてくれて本当にありがとう!」と感謝の気持ちでいっぱいです。
キュウリの片付け
8月23日
キュウリの栽培終了を決めたのですが、半面のゴーヤがまだ元気で収穫が続いていたので、キュウリのつるだけ片付けることに。キュウリとゴーヤのつるが絡み合っているので大変そうでしたが、キュウリの大きな葉を全部カットしてからつるを切っていくと、それほど難なく片付けられました。ゴーヤのつるを切ってしまうともったいないので、少し慎重にハサミを使いました。
キュウリを育てよう♪
キュウリのポット苗1株を植えたところ、今年は8週間続けて収穫することができました。週に1回しか畑に行けないので、ビッグサイズに育ってしまうことも多かったのですが、和え物、ぬか漬け、クリーム煮、炒め物などあれこれ作って美味しくいただきました。
大きく育つと皮が固くなったり種が大きくなってしまうので、皮を部分的にむいて種をとって食べるのが我が家の夏のキュウリの定番となっています。ビッグサイズのキュウリもみずみずしくて美味しいですよ。夏の8週間、キュウリを買わずにモリモリ食べる楽しみを味わえるのも家庭菜園ならでは。畑で育つ姿は鉢植えの何倍もダイナミックなので、一度畑で育てるとやみつきになりますよ。
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