キュウリ(胡瓜)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- キュウリ(胡瓜)
- 学名
Cucumis sativus
- 英名
- Cucumber
- 和名
- 胡瓜
- 別名・流通名
- 唐瓜(からうり)
- 科名
- ウリ科
- 属名
- キュウリ属
- 原産地
- インド北部のヒマラヤ山麓
キュウリ(胡瓜)の特徴
キュウリはつる性の植物で、そばにあるものに巻き付くように伸びて生長していきます。未熟果を収穫する野菜のため、関東地方では5月初旬に植えつけると、6月には収穫時期を迎え、代表的な春夏野菜の中では一番最初に収穫できる野菜です。種から育てても、収穫するまでの日数は2か月間位しかかかりません。果実の生長は著しく、1日で3cm以上も大きくなるため、採り遅れると巨大化してしまいます。
キュウリの外側の表面の白い粉のようなものは、ブルームといって乾燥や雨などからキュウリを守るために自然にできた物質です。最近のキュウリの品種は、このブルームがあまりない、艶々のキュウリが市場に多く出回っています。
キュウリの歴史は3000年ほど前と言われており、日本では1000年前から栽培されていたとされています。そんな歴史あるキュウリも、切り口が徳川家の葵の紋に似ていたことから江戸時代には大変不人気の野菜だったそうです。
キュウリ(胡瓜)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
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耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | やや強い |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 6月~8月 |
キュウリ(胡瓜)の種類
夏すずみ
実の色は濃い緑色で光沢があります。とげはそれほどありません。
フリーダム
トゲやしわが全くなく、光沢があります。一般的なキュウリより少し長さが短めです。青臭みが無く、甘味を感じます。
半白節成(ハンシロフシナリ)
上部が緑色で、下に向かってグラデーションのように白くなっていく特徴があります。
キュウリ(胡瓜)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
収穫 |
キュウリ(胡瓜)の栽培環境
日当たり・置き場所
キュウリは日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。
温度
キュウリの生育適温は20~25℃です。
用土
キュウリは酸性土壌を嫌うので、しっかり調整しておいてください。
プランター栽培のキュウリは、野菜用の培養土で育てましょう。
畑栽培のキュウリは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ耕しましょう。その1週間後に堆肥と元肥を入れ土になじませます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。そのため、石灰と肥料を合わせて使用する際は最低でも1~2週間ほど日数をあけて投入することをおすすめします。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても堆肥と石灰を使用するために必要な日数がない場合は「有機石灰」の使用をおすすめします。
キュウリ(胡瓜)の育て方のポイント
水やり
キュウリは水を好む性質があります。日頃から乾燥させないように管理しましょう。通常畑で栽培する際は、雨のはね返りによる病害虫を防いだり、夏の乾燥を防ぐために敷きわらを敷きます。
春夏のプランター栽培のキュウリは、バーク堆肥などを敷いて梅雨時期の雨のはね返り・乾燥を予防することをおすすめします。
肥料
追肥は植え付け2週間後からスタートしましょう。
キュウリに肥料が必要かの目安
キュウリの苗に肥料が足りているか、足りていないかの見分け方をご存知ですか?
例えば…
曲がりキュウリ➡肥料が足りない、水が足りない。
こんなふうに、キュウリが曲がっているかどうか等の生育の状況から、肥料や水が足りないということを見分けることができます。
しかし、そこで焦って肥料を多く与えてはいけません。一気にキュウリに肥料を与えすぎると、今度はうどん粉病にかかりやすくなってしまいます。したがって、キュウリの肥料は一気に与え過ぎないように注意が必要です。
病害虫
キュウリを栽培するうえで、うどん粉病とべと病は必ず登場すると言っても過言ではありません。
うどんこ病
比較的乾燥気味で茎葉が茂りすぎると発生しやすくなります。葉の表面に白いうどん粉状のカビが生じ、病気がさらに進むとカビは葉全体に広がります。こうならないためにも、日頃からつるの密植を避け、木酢液やニームなど虫予防も含めて葉面にたっぷり散布してやるとうどん粉病も防ぐことができます。なってしまったら、病気の葉や果実は早めに取り除いて下さい。
べと病
梅雨時などの多湿時で、肥料切れや株の生育が衰えた時に多発します。葉の表側から見ると葉脈に区切られた黄色い角形の斑紋が見え、症状が進むと葉全体に広がります。うどん粉病と同様に密植を避け、草勢が衰えないように肥料切れに注意しましょう。
ハダニ
キュウリの葉裏に寄生して汁を吸うため、葉の表面から見ると、吸われた部分の葉緑素が抜けて、針先でつついたような白い小斑点ができます。ハダニは水に弱いため、定期的に葉裏に散水して寄生数を減らすことはできますので、うどんこ病やべと病と同様に木酢などを日頃から散布してハダニを防ぎましょう。
ウリハムシ
最初に気付くのはこんなふうに穴が空き、その周りが少しずつ枯れていく様子です。8月に入り、ウリ科の野菜にこのような葉の食害を見つけたら、おそらくウリハムシの仕業です。
このようにウリハムシの食害を受けると、次第に葉がボロボロになっていきます。
ウリハムシとは、別名「ウリバエ」ともいわれる甲虫類(こうちゅうるい)の一種です。
ウリハムシの成虫は、浅い土中で越冬し、4月下旬から7月上旬ごろまで、大好物であるキュウリやズッキーニなどのウリ科の苗に飛んできて、土の表面や浅い土中に卵を産みます。
その孵化してから3週間~5週間の間、ウリハムシの幼虫はキュウリやズッキーニなどの根を食害し、また地中に戻り、今度は蛹(さなぎ)となります。1週間~2週間後、蛹(さなぎ)から成虫となって8月頃に多発します。そして、9月下頃に草むらなどに移動して越冬します。
つまり、8月が成虫のウリハムシの大発生の季節となります。
こちらはキュウリの葉の裏に隠れたウリハムシ。
このウリハムシの体の色は全体的に茶色です。
同じウリ科のズッキーニの葉を食害するクロウリハムシ。この種類は、頭が黄色、体が黒色をしています。
ウリハムシモドキ
ウリハムシにとても良く似たウリハムシモドキ。体の色は、全体的に黄色いか、お尻の部分が黒くなっているもの、黒色など様々な種類がいます。ウリハムシよりも広食性のため、マメ科やアブラナ科の野菜等も食害します。
ウリハムシの対策
家庭菜園で育てている場合は見つけ次第捕殺することで、被害はいくぶんか収まります。
ウリハムシが私たちに攻撃してくることはないので、お子様と一緒に安心して捕獲してください。カブトムシなどの甲虫類の仲間ですから、見た目もそんなに怖くはありません。
寄せ付けない対策
害虫を防ぐ手段として、キラキラした光を反射するものを嫌う害虫の特性を使い、シルバーマルチを敷いておく方法があります。ご家庭でのプランター栽培なら、簡単にアルミホイルなどで苗の根元を覆うことも一つの方法です。
もう一つは、ウリハムシの侵入を防ぐために、苗を寒冷紗などに入れておき、成虫が卵を産みつけないようにする方法も効果的です。
ウリハムシの苦手な植物
ハムシ類は好きな匂いを嗅ぎ分けて、好みの野菜を食害する性質を持っています。そのため、キュウリなどウリハムシの好物の野菜の周りに、香りの強いバジルやパセリなどのハーブを植えることで、ウリハムシの食害を減らすことが期待できます。
バジル
イタリアンパセリ
キュウリ(胡瓜)の詳しい育て方
選び方
良いキュウリの苗の見分け方|葉の緑が濃く、厚みがある
キュウリの葉には、細かい産毛のような毛が生えています。触って確認したいところですが、葉の厚みは見た目で判断しましょう。実際にホームセンターや園芸店で、葉をやみくもに触るのはキュウリが傷んでしまいます。お店への配慮のある対応を心がけましょう。
良いキュウリの苗の見分け方|節間がしまっている
ヒョロヒョロと間延びしていない苗を選びましょう。
良いキュウリの苗の見分け方|大きい子葉が付いている
こちらのキュウリの苗に、子葉が二つあることをお気づきですか?
これは接ぎ木苗といって、連作や病害虫に強い台木(だいぎ)の上に、美味しい品種の穂木(ほぎ)を接いで作るひと手間かけた苗なのです。少し値段は高めですが、通常の苗よりも丈夫に育つので初心者の方でも安心して育てられます。
良いキュウリの苗の見分け方|病害虫が付いていない
葉の裏もしっかりチェックしましょう。
良いキュウリの苗の見分け方|苗の先端に勢いがある
先端の葉は、ピンと上を向いて勢いがあるものを選びましょう。
種まき
キュウリの発芽地温は25~30℃です。12cmのポットに4~5粒、人差し指の第一関節くらいの深さに種を植えていきます。
植え付け
キュウリの生育適期は18~25℃なので、関東地方での植えつけは5月の連休前後が最適です。暖地では4月~5月、中間地では5月~6月、冷涼地では6月~7月が適期です。
1.苗に充分水分を与える。
バケツに水を用意し、そこに苗を入れ水に浸します。もしくは、ジョウロでたっぷり苗に水を与えて下さい。
2.プランターに苗と同じくらいの穴を開け、苗を軽く手で押さえ根鉢を崩さないように植え付けます。
お花と違って野菜の根鉢は崩しません。根を傷つけないように気を付けましょう。
3.苗の周りを少し凹まして、苗にしっかり水が浸透するように植え付けましょう。
こうすることでこの部分に水が集まり、植え付けた苗に水が浸透しやすくなります。
4.箸又は小さめの支柱を立てて、麻ひもで誘引します。
強風で茎が折れたり倒れたりしないように麻ひもで誘引します。あまりきつく縛ることのないように八の字にして緩めに括り付けましょう。苗を傷めないように、支柱のところで結びましょう。
5.最後は水をしっかり与えます。
植えたばかりの苗は土に活着するまでに少し時間がかかります。その際根が乾燥してしまわないためにも、植え付けから1週間位はしっかりと水を与えます。水の代わりに病害虫予防のためにニームを希釈したものをかけてもいいでしょう。
6.まだ苗が小さいので、寒冷紗に入るうちは出来るだけ中に入れて育てましょう。
昼間は暖かくても夜は意外とまだ寒いので、寒さ対策・害虫予防のためにも寒冷紗をかけましょう。
仕立て方
キュウリは、周りにあるものに巻き付いて生長するので、フェンスのそばに植えたり、長めの支柱を立てたり栽培ネットを設置して育てます。
摘芯(摘心)・摘果
一番果は若採り
一番果は8cm位で若採りしましょう。もったいないような気がしますが、苗に負担をかけないために大切なポイントです。苗が疲れないよう元気な株に育てて、長く収穫しましょう。
一番果以外にも、苗の草勢(そうせい)が衰えているようでしたら、小さいうちにキュウリを収穫して、勢いが出てから通常の収穫を開始するなど、様子を見守りながら、適宜摘果収穫をしましょう。
花
雌花
小さいミニキュウリがついているのが目印です。黄色い花が開花してから7日間で長さ18~20cm程度の実に育ちます。
雄花
花の根元に、ミニキュウリがついていないものが雄花になります。
このように、キュウリには一つの株に雌花と雄花がついています。
同じウリ科のズッキーニやスイカは、雌花と雄花を受粉させて実を作りますが、キュウリの花は受粉しなくても、実が大きくなる性質があります。
キュウリのように受粉せずに実をつけることを単為結果性(たんいけっかせい)といいます。
※単為結果性(たんいけっかせい)…一般的に、受精せずに実ができることを単為結果性(たんいけっかせい)といいます。キュウリは自動的に実ができる性質があります。
収穫
キュウリの収穫は、主に関東地方では梅雨時から梅雨明け頃が最盛期です。暖地では6月~7月、中間地では7月~8月、冷涼地では8月~9月が適期です。キュウリの実は生長が早く、開花から7日で長さ18~20cm程度の収穫できる大きさまで育ちます。ミニキュウリは10~12cm位が収穫適期です。
キュウリの支柱・誘引(ゆういん)
あんどん型、タワー型、合掌型に支柱を組み、つるを支柱に巻き付けるように育てましょう。グリーンカーテン栽培用のネットも使うことができます。
キュウリ整枝方法
キュウリの品種によって雌花の付き方が違うため、整枝の方法が変わります。
(市場に出ているキュウリは、節なりキュウリが多いようです。)
1.節なり~1本立ち(春キュウリ)
親づるを1本伸ばし、下から5節目くらいまではわき芽は全て摘み取ります。
6節目以降の子づるや孫づるは2節目で摘芯し、親づるは支柱の高さになったら摘芯しましょう。
2.飛びなり~3本立ち(夏キュウリ)
親づるの下から4節目までわき芽を全て摘み取り、7節目で摘芯し、5、6、7節目に残した3本の子づるを伸ばします。
孫づるの1節目に雌花が付くので、2節目で摘芯しましょう。
3.中間型~(秋夏品種)
子づるは2節目で摘芯し、親づるは支柱の高さになったら摘芯します。