ハコベ(はこべら)
- ハコベは、ナデシコ科ハコベ属の越年草。世界中におよそ120種が分布していて、日本で一般的にハコベと呼ばれているのは、コハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベの3種です。どれも農耕とともに世界中に広まったとされている帰化植物です。 日本には古くから自生していたようで、「はこべら」とも呼ばれ、春の七草の一つに数えられるほか、万葉集にも「波久倍良(はくべら)」という名で登場しています。畑や野原など、身近な場所に自生している野草で、食用や薬草にされるなど、私たちの生活のなかで有用植物として扱われてきました。ハコベは、秋に芽吹き、冬はグリーンの葉を出して越冬し、春に花が咲く越年草なので、冬の貴重な食糧の一つだったようです。1月7日に食べる七草粥のほか、おひたしや汁の実にしたり、ハコベの葉と塩で作ったハコベ塩で歯を磨いたり、鳥の餌にしたりと利用されてきました。英名の Chickweed も小鳥の餌という意味です。 ハコベの花が咲くのは2月~5月頃、その後も初夏までちらほらと花を見かけますが、花の盛りは春です。色は白、直径5~6mmの小さな花です。地面を這うように横に茎を伸ばしていくので、草丈は低く見えますが、長い茎は50cmほどまで広がっていることもあります。先が割れた5枚の花びらを広げる姿が星を連想させることから、星という意味の Stellaria という学名がつけられています。また、ハコベという名前は、万葉集の「波久倍良(はくべら)」が「はこべら」に訛り、さらにハコベに変化したのが由来だといわれていますが、諸説あるので定かではありません。