名前がわかる!花が可愛い雑草を色別にご紹介|夏編
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花屋さんでは売っていない、雑草と呼ばれている植物も可愛いお花を咲かせます。道端で見かけて名前がわからずにいるお花はありませんか?調べたくても調べ方がわからないお花も多いのではないでしょうか。
夏に可愛い花や果実をつける雑草を、わかりやすく色別にご紹介します。気になる雑草の名前と種類がわかるかも!
目次
- 花が可愛い夏の雑草|ピンク
- 花が可愛い夏の雑草|ミックスカラー(オレンジ~ピンク)
- 花が可愛い夏の雑草|黄色
- 花が可愛い夏の雑草|白
- 花が可愛い夏の雑草|ブルー
- 花が可愛い夏の雑草|グリーン
- 果実が可愛い夏の雑草
花が可愛い夏の雑草|ピンク
濃いピンクから淡いピンクまで。ピンク色の花が可愛い雑草の名前をご紹介します。
ネジバナ
- 学名:Spiranthes sinensis
- 科名:ラン科
- 分類:多年草
- 花期:6~7月
ネジバナは別名を「モジズリ」とも言い、日本に昔から自生する野生のランです。ランというと花屋さんで売られているような高価なイメージがあるかもしれません。ネジバナは、およそランとは思えない楚々とした野花のような姿をしていますが、立派なランの仲間です。
草丈15~20cmくらいのすっと真直ぐに伸びた花茎に、らせん状にピンクの小花を巻きつけるように咲かせます。ネジバナの咲き方は右巻きと左巻きに分かれますが、どちらでも特に違いはないそうです。
花色は個体によって様々で、薄いピンクのものから濃いはっきりとしたピンクまであります。
道端や公園、空き地など、様々な場所で見かけます。特に芝生の中から飛び出すように生えていることが多いので、芝生の広場で探してみると見つかりやすいかもしれません。
ヒルザキツキミソウ
- 学名:Oenothera speciosa
- 科名:アカバナ科
- 分類:多年草
- 花期:5~7月
初夏から夏の間に花を咲かせます。直径3~4cmのお椀型の花で、花びらは4枚、花色は白からピンク、透けるような質感が可憐な印象的です。
マツヨイグサ属ですが昼から花を咲かせるので、ヒルザキツキミソウというのが名前の由来と言われています。
道端や野原、公園、駐車場の脇など、身近な場所で見かける雑草です。雑草として扱うにはあまりに可憐な姿をしているので、庭先などで見かけるとそのままにしておく人も多いような花です。ただ、花が咲くまでその価値に気付かない人も多く、雑草として抜かれてしまうことが多いようです。
ユウゲショウ
- 学名:Oenothera rosea
- 科名:アカバナ科
- 分類:多年草
- 花期:5~7月
ヒルザキツキミソウを小さくしたようなピンク色の花を咲かせます。花びらは4枚で咲き始めからピンク色をしています。花の直径は2~3cm程度、野原や芝生などで固まって咲いているのを見かけます。人が入らないような空き地では群生していることもあります。
春の花が終わって初夏の花が咲き始めた頃、近くの公園の芝生のなかに、このユウゲショウが群生しているのを見かけました。毎日この前を通ることを楽しみにしていたのですが、ある日芝刈りが入り、きれいさっぱりユウゲショウたちは姿を消してしまいました。雑草ゆえの運命ですが、少し寂しいですね。
アメリカオニアザミ
- 学名:Cirsium vulgare
- 科名:キク科
- 分類:多年草
- 花期:5~9月
紫がかったピンク色の花が可愛らしいアザミの仲間です。花はノアザミによく似ていますが、ノアザミよりも葉のトゲが鋭いのが特徴です。素手で触れると肌を傷つけることがあるので注意しましょう。道端や公園、野原、駐車場の脇など身近な場所で見かけます。
外来種で繁殖力が強く、要注意外来生物にも指定されています。タンポポの綿毛のような種子で広範囲に広がります。自宅のお庭で見かけたら、必要の無い場合は早めに駆除しましょう。
花が可愛い夏の雑草|ミックスカラー(オレンジ~ピンク)
ちょっと珍しいミックスカラーの花を咲かせる雑草の名前です。
ヤブガラシ
- 学名:Cayratia japonica
- 科名:ブドウ科
- 分類:つる性多年草
- 花期:6~8月
ヤブガラシの名前は、藪も枯らしてしまうほどの繁殖力の強さが由来と言われています。その名の通り、公園や道端、民家の庭先など、様々な場所でヤブガラシが繁っているのを見かけます。
繁殖力の強い雑草と敬遠されがちなヤブガラシですが、夏に咲く花が可愛らしいという特徴があります。花は非常に小さく、直径2~3㎜くらいの小花を集合させて咲きます。ヤブガラシの花は咲き始めはピンク、咲き進むに従ってオレンジ色に変化していくので、ミックスカラーの花が咲いているような可愛らしさがあります。
さらに蜜が豊潤なのでしょうか。蝶や蜂といった昆虫が訪れているのも度々見かけます。雑草と言って抜いてしまう前に、その可愛さも見直してみてください。
花が可愛い夏の雑草|黄色
黄色からクリーム色まで。イエロー系の花が可愛い雑草の名前です。
マツヨイグサの仲間
- 学名:Oenothera
- 科名:アカバナ科
- 分類:越年草
- 花期:5~9月
初夏から晩夏まで長期間花を咲かせる越年草です。夕方から花が開くのでマツヨイグサ(待つ宵草)と呼ばれるようになりました。マツヨイグサの仲間は数種類あって、本来のマツヨイグサからコマツヨイグサやオオマツヨイグサ、メマツヨイグサなどがあります。さらに交雑種まであるのですから、容易に判別出来ません。
マツヨイグサの仲間の共通点は夜開性の一日花だというところ。日が暮れて本当に夜が来てから花が咲き始め、朝が来る頃にはしぼんでしまう花です。夜開性の花というのは何だかミステリアスな印象を受けます。
住宅街の道端、公園、空き地など、身近な場所で見かける雑草です。夜、マツヨイグサの仲間が咲いているのを見かけたら、そっと鼻を近づけて香りを確かめてみてください。ふわりとほのかに優しい芳香がします。
花が可愛い夏の雑草|白
暑い季節に目から涼を与えてくれる色、白。白い花を咲かせる雑草の名前を紹介します。
ヤブジラミ
- 学名:Torilis japonica
- 科名:セリ科
- 分類:越年草
- 花期:5~7月
初夏から夏にかけて、白いレース編みのような繊細な花を咲かせます。風の無い暑い日でもヤブジラミの花を見かけると、ふわりと風を感じるような、そんな軽やかな花です。
切花で流通しているレースフラワーと良く似ています。レースフラワーもセリ科なので似ているのも合点がいきます。花が終わった後にはきれいに放射状に広がった種子をつけます。この種子もまた可愛らしく、ヤブジラミの魅力の一つです。
ヤブジラミという名前の由来は、この種子が衣服に着くと、虱(しらみ)のように小さく取れなかったからだとか。せっかく可愛らしい花が咲くのに、残念な名前です。
ヤブジラミは日当たりの良い山野や、公園、人があまり入らない空き地などでよく見かけます。
ヘクソカズラ
- 学名:Paederia foetida
- 科名:アカネ科
- 分類:つる性多年草
- 花期:5~8月
花は釣鐘型で、花びらは白く花の中心がボルドーカラーをした小花を咲かせるつる植物です。花の直径は1~1.5cm程度と小さく、ふわふわとした花びらの質感は砂糖菓子を思わせるような可愛らしさです。さらに秋から冬にかけて黄金色に色づく果実は、リースやスワッグにしても可愛らしく、とっても優秀なつる植物です。
こんなに可愛く優秀なヘクソカズラですが、その名前の由来はこの植物の持つ独特な悪臭にあります。茎を切ったり折ったりすると、がっかりするような悪臭を放ちます。この匂いは乾いていくにつれて薄れるので、ドライフラワーとして扱う分には問題ありません。それにしたって、もう少し可愛い名前に変えてあげられないものでしょうか。
ヘクソカズラはとても身近な雑草です。街路樹、民家の庭木、線路わきのフェンス、様々な場所に自生しています。目立たない花ですが、ちょっと目が慣れてくると、すぐに見つけられるようになります。
ニワゼキショウ
- 学名:Commelina communis
- 科名:アヤメ科
- 分類:一年草
- 花期:5~7月
ニワゼキショウは初夏から夏にかけて咲きます。芝生の中、花壇の中、少し湿り気があるような場所を好みます。アスファルトの割れ目から飛び出しているような逞しい姿はあまり見かけません。雑草という扱いをされ、抜かれてしまうことの多い花ですが、その姿はとても可憐で、愛らしく観賞価値があります。
直径1~2cm程度の小さな花をすっと顔を植えに向けるように咲きます。画像は白花ですが、赤紫色の花もあります。花の中心部は黄色、そこから濃い赤紫、白へとのグラデーションが非常に美しい花です。ニワゼキショウの花は一日で萎れてしまいます。その儚さもニワゼキショウの可憐な印象を強くする要因かもしれません。
花が可愛い夏の雑草|青
暑い夏に似合う爽やかなブルーの花です。青と言う色は自然界に少ないと言われています。青い花も種類が少ないので、道端で出会えると余計に嬉しくなります。
ツユクサ
- 学名:Commelina communis
- 科名:ツユクサ科
- 分類:一年草
- 花期:6~9月
梅雨が明けた頃、草むらに繁茂するツユクサ、漢字では露草と書きます。花は2~3cmくらいの小さなものですが、少しだけ紫がかった青の美しさに、目を奪われます。草むらの中で他の葉の陰に隠れるように咲いているツユクサを見つける喜びは、ちょっと表現し難いものです。
ツユクサの花は朝咲いて昼過ぎには萎れてしまうので、見たいと思ったら、午前中のうちにお散歩に出るのがいいでしょう。特に雨上がりの水滴が付いている花は早起きのご褒美に十分なくらいの美しさです。
花が可愛い夏の雑草|グリーン
葉っぱと同化してわかり辛いけど、良く見ると可愛いグリーンの花。そんなグリーンの花を咲かせる夏の雑草の名前を紹介します。
ヨウシュヤマゴボウ
- 学名:Phytolacca americana
- 科名:ナデシコ科
- 分類:多年草
- 花期:5~7月
ヨウシュヤマゴボウは、グリーンから薄いピンク色のグラデーションが可愛らしい花を咲かせる雑草です。花はあまり目立たず、秋に熟して黒く色づく果実の方が印象深いかもしれません。
多年草ですが低木のように大きくなります。横にも枝を広げて生長していくので、自宅の庭で見付けたら、他の植物の邪魔にならないように気をつけましょう。気を付けると言っても気付いた時には大きくなっていることが多いので、邪魔であれば適宜剪定をしましょう。
このヨウシュヤマゴボウは、初夏のグリーンの花も秋に色づく実も可愛らしく、ちょっと切ってきて花瓶などに生けておくと一輪でも絵になります。花と実は生けて楽しめるのですが、葉は水が下がりやすいので、切花として生ける時は葉っぱは取ってください。
ヨウシュヤマゴボウもあらゆるところで見かけます。住宅街の道路脇、駐車場、民家の庭先、ダイナミックな場合はアスファルトを割って伸びていることもあります。
さらにヨウシュヤマゴボウは有毒植物と言われているので、根も果実も間違っても食用にはしないでください。
ノブドウ
- 学名:Ampelopsis glandulosa
- 科名:ブドウ科
- 分類:つる性落葉低木
- 花期:5~7月
初夏から夏にかけて花を咲かせ、秋に実がなるブドウの仲間です。青や紫色のその種子は宝石のような美しさですが、これは虫が寄生している種子で、正常な種子は白っぽい地味な色をしています。ブドウの仲間ですが食用には出来ません。
自由に湾曲するつるは、切ってすぐ柔らかいうちにに丸く輪を作って吊るしておけば、きれいなドライのリースが出来上がります。
山野から公園、住宅街など、身近な場所で樹木やフェンスに絡みついているのを見かけます。
エノコログサ(ネコジャラシ)
- 学名:Setaria viridis
- 科名:イネ科
- 分類:一年草
- 花期:5~7月
ほぼ四季咲きと言ってもいいくらい一年中咲いている雑草です。道端、駐車場の隅、空き地、公園の花壇、あらゆるところで見かけます。全体がグリーンなので、いかにも草といった見た目ですが、先端のグリーンのふわふわした部分は花穂です。梅雨が始まる頃には繁茂をし始め、夏には草丈30~40cm程度にまで生長します。エノコログサという名前の由来は、この花穂を犬の尻尾に見立てたところから付いたそうです。「犬ころ」が「えのころ」に変化してしまったんですね。
別名のネコジャラシは、エノコログサの花穂に猫がじゃれつくから。子供の頃、自宅の裏でエノコログサに子猫がじゃれついているのを見かけたことがあります。本当にじゃれるんだなあ、と感心しました。イヌとかネコとか色んな名前があるものです。
果実が可愛い夏の雑草
花ではありませんが、果実の可愛さがたまらない雑草の名前を紹介します。
ナワシロイチゴ
- 学名:Rubus parvifolius
- 科名:バラ科
- 分類:多年草
- 花期:4月
- 果実:6~7月
野生のイチゴは総称として野イチゴとまとめられてしまうことが多いのですが、このナワシロイチゴは他の野イチゴとは分けて扱いたい存在です。
透き通るように赤く光る果実は、一粒一粒が大きく、まるで宝石のようです。葉もイチゴの葉ならではの3~5枚葉ですが、葉の先端が丸みを帯びていて、柔らかく可愛らしい印象を受けます。他のモミジイチゴなどは葉の先端がきゅっと尖っているので、葉だけでも印象がまったく違います。
ナワシロイチゴは食べてみると種が大きく、口の中で違和感を覚えますが、食用よりも観賞目的で見付けると嬉しくなってしまう植物です。
日本の山野やあまり人が入り込まない野原、公園の隅などに自生しています。
身近な場所で見かける、花が可愛い夏の雑草をご紹介しました。気になっていた植物は見つかったでしょうか。雑草と言われている植物も、可愛らしい花や実をつける種類がたくさんあります。
これを機に雑草をもっと身近に感じていただけるといいな、と思います。道を歩く際の楽しみが増えますように。
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