薬草になる雑草|身近で見られる種類一覧
山田智美
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薬草として利用される身近な雑草の種類一覧です。生薬名や、見られる場所も紹介します。ただし、薬になるものは毒になることもしばしば。使用量や具体的な使用方法は紹介していませんので、むやみに薬草として利用しないでください。
目次
薬草になる雑草|花が咲く種類
アケビ
- 生薬名:木通(もくつう)
- 生えている場所:山野の日向~明るい半日陰
アケビは、日本の山野に生えているつる植物。秋に実る果実は熟すと裂開し、甘く、生食ができます。乾燥させた茎は、木通(もくつう)という生薬にされます。
オシロイバナ
- 生薬名:紫茉莉(しまつり)、紫茉莉根(しまつりこん)
- 生えている場所:公園、道路脇など
オシロイバナは、夏になると公園、空き地、道路脇など身近な場所で見かける花。赤や黄色、白、複色の花が鮮やかです。花の後にできる黒い種子のなかに入っている白い粉が、名前の由来です。乾燥させた根は、紫茉莉や紫茉莉根という生薬にされます。
オニユリ
- 生薬名:百合(ひゃくごう)
- 生えている場所:山林、公園など
オニユリは、鮮やかな花色と斑点が特徴のユリ。人の手で植栽されたものや、自生しているのを見かけます。地下にある鱗茎を乾燥させて作る百合という生薬を、咳止めや解熱、利尿に用います。
オミナエシ
- 生薬名:敗醤(はいしょう)
- 生えている場所:山野の明るい草原など
オミナエシは、日本の山野に自生している多年草。秋の七草に数えられますが、実際には夏から咲き始めます。黄色い花には独特の臭気があり、苦手な人も多いようです。乾燥させた全草は、敗醤という生薬にされます。干している過程で、醤油が腐ったような臭いがするというのが、生薬名の由来です。
カタバミ
- 生薬名:酢漿草(さくしょうそう)
- 生えている場所:道路脇、花壇、アスファルトの割れ目など
カタバミは、とても身近な場所で見かけるなじみ深い花。花の後にできる果実を指でつまむと小さな種子がはじけ飛びます。別名はスイモノグサといって、葉茎をかじると酸味があるのが由来です。葉茎のしぼり汁から酢漿草という生薬が作られます。
クズ
- 生薬名:葛根(かっこん)
- 生えている場所:日当たりの良い山林、野原など
クズは、山野をはい回るように大きくなるつる植物。害草に指定されている国もあります。夏から秋に咲くフジに似た赤紫の香りの良い花は、秋の七草にも数えられています。根を乾燥させた葛根という生薬を、発汗解熱、風邪などに用います。また、葛餅などの和菓子の材料や、葛湯としても利用されています。
スイカズラ
- 生薬名:忍冬(にんどう)
- 生えている場所:山林の明るい半日陰や、公園など
スイカズラは、晩春に白と黄色の香りの良い花を咲かせるつる植物。山林や空き地、公園で繁茂している姿を見かけます。花には甘い蜜があり、蜜を吸うかずら(つる植物)だからというのが名前の由来です。乾燥させた葉茎は、忍冬という生薬にされます。また、花を乾燥させたものは金銀花と呼ばれ、お茶として流通しています。
タンポポ
- 生薬名:蒲公英(ほこうえい)
- 生えている場所:道路脇、花壇、公園、野原、空き地など
タンポポは、春にお日様のような黄色の花を咲かせる多年草。花の後にできる綿毛も人気があります。公園や野原、アスファルトの割れ目のような、身近な場所で見かけます。タンポポの全草を乾燥させたものは、蒲公英という生薬にされます。
ツリガネニンジン
- 生薬名:沙参(しゃじん)
- 生えている場所:山野の明るい半日陰
ツリガネニンジンは、うつむくように咲く花がかわいらしい多年草。山野の明るい半日陰などで見かけます。乾燥させた根は、沙参という生薬にされます。
ドクダミ
- 生薬名:十薬(じゅうやく)
- 生えている場所:庭や公園、空き地などの日陰~半日陰
ドクダミは、初夏に白い花を咲かせる多年草。全草に独特の臭気があります。縦横無尽に根を張り、地下茎で増えるので、身近な場所で繁茂している姿を見かけます。害草のように扱われますが、多くの効能のある生薬として、十薬という名前で親しまれています。
ノイバラ
- 生薬名:営実(えいじつ)
- 生えている場所:山林や草原の明るい開けた場所
ノイバラは、日本に自生している野生のバラ。春に白く香りの良い花を咲かせ、秋に赤い小さな果実を実らせます。山林や草原の日当たりの良い場所で見かけます。ノイバラの果実は、営実という生薬として利用されます。
ヒオウギ
- 生薬名:射干(やかん)
- 生えている場所:山野の明るく開けた場所、公園、花壇
ヒオウギは、夏にオレンジ色に斑点のある花を咲かせる多年草。人為的に植えられた公園や花壇、山野の明るく開けた場所で見かけます。ヒオウギという名前は、葉が扇のように広がることに由来します。乾燥させた根は射干という生薬にされます。
ワレモコウ
- 生薬名:地楡(ちゆ)
- 生えている場所:山野の日当たりの良い開けた場所
ワレモコウは、山野の日当たりの良い場所に自生している多年草。秋に赤茶色のボールのような花を咲かせ、切り花としても流通しています。根を乾燥させて作る生薬の地楡は、止血や消炎に用います。
薬草になる雑草|多年草
オオバコ
- 生薬名:車前子(しゃぜんし)、車前草(しゃぜんそう)
- 生えている場所:野原、河原、空き地の明るい開けた場所
オオバコは、地面に張り付くように葉を展開させる多年草。葉の繊維が太く丈夫なので、葉と葉を絡ませて引っ張り合う、オオバコ相撲のような遊びができる野草です。種子は水分を含むと粘液を出し、人や動物にくっついて遠くに運ばれます。生や煎じたものを生薬にします。
カラスウリ
- 生薬名:王瓜根(おうがこん)
- 生えている場所:山林
カラスウリは、秋にオレンジや赤に熟す果実が美しいつる植物。山林など、人の手があまり入っていないような場所で見かけます。中に入っている種子は、金運が上がるお守りになるといわれています。熟した果実は王瓜根という生薬にされます。
キンミズヒキ
- 生薬名:龍牙草(りゅうげそう)、仙鶴草(せんかくそう)
- 生えている場所:山林の明るい場所~半日陰
キンミズヒキは、黄色い小花を茎に縦に連ねるように咲かせる多年草。山林の明るい半日陰~日向で見かけます。全草を乾燥させて作る生薬は、龍牙草(りゅうげそう)、仙鶴草(せんかくそう)という名前で流通しています。
クコ
- 生薬名:地骨皮(じこつび)、枸杞子(くこし)
- 生えている場所:野原、河原などの明るい場所
クコは、紫色の小さな花を咲かせ、秋に赤い果実を実らせる、多年草のような落葉低木。果実はゴジベリーという名前で、ドライフルーツとしても流通しています。乾燥させた根は地骨皮、果実は枸杞子という生薬にされます。
クサノオウ
- 生薬名:白屈菜(はっくつさい)
- 生えている場所:日当たりの良い開けた野原や道端
クサノオウは、初夏に黄色い花を咲かせる多年草。葉茎を折ると乳液が出ますが、これは有毒なので触れないようにしてください。乾燥させたものが白屈菜という生薬で流通しています。
チガヤ
- 生薬名:茅根(ぼうこん)
- 生えている場所:日当たりの良い開けた野原や河原
チガヤは、開けた河原や野原に自生している多年草。昔は茅葺屋根の材料に利用されるなどしていました。乾燥させた根は茅根という生薬にされます。
ヒヨドリジョウゴ
- 生薬名:白英(はくえい)
- 生えている場所:山林や藪の明るい場所
ヒヨドリジョウゴは、秋に小さな赤い実を実らせるつる性の多年草。山林や藪の明るい場所で見かけます。全草に毒のある有毒植物なので、むやみに口に入れないようにしてください。酢漬けしたものが白英という生薬として利用されます。
ヨモギ
- 生薬名:艾葉(がいよう)
- 生えている場所:野原や河原などの開けた場所
ヨモギは、草餅に使用される野草。柔らかい春の若芽を食用にします。お灸のもぐさの原料であることも有名です。乾燥させた葉茎は、艾葉という生薬にされます。
薬草になる雑草|一年草
ツユクサ
- 生薬名:鴨跖草(おうせきそう)
- 生えている場所:山林や野原の湿った明るい半日陰
ツユクサは、夏の午前中に、明るいブルーの花を咲かせる一年草。湿った明るい半日陰を好み、朝開いて昼過ぎには萎れてしまう一日花を咲かせます。乾燥させた全草を、鴨跖草という生薬として使用します。
ハハコグサ
- 生薬名:鼠麹草(そきくそう)
- 生えている場所:日当たりの良い野原や道路脇、花壇
ハハコグサは、黄色いフェルトのような質感の小さな花を咲かせる越年草(一、二年草)。春に開けた野原や道端のような、身近な場所で見かけます。春の七草の一つです。全草を乾燥させて鼠麹草という生薬にします。
ナズナ
- 生薬名:斉(さい)
- 生えている場所:道路脇、公園、野原、河原
ナズナは、春に白く小さな花を咲かせる越年草(一、二年草)。春の七草の一つで、ぺんぺん草という別名でも有名です。全草を乾燥させて、斉という生薬にします。
薬草になる雑草|常緑
サネカズラ
- 生薬名:南五味子(なんごみし)
- 生えている場所:山野の明るい場所~半日陰
サネカズラは、別名ビナンカズラとも呼ばれる、常緑つる性木本。つる植物ですが、株元は木質化します。秋に真赤な宝石のような果実を実らせます。果実を乾燥させて、南五味子という生薬にします。
ムベ
- 生薬名:野木瓜(やもくか)
- 生えている場所:山林、公園
ムベは、秋に赤紫色の卵型の果実を実らせる常緑つる性木本。山林や、人為的に植えられた公園などで見かけます。常緑なのでトキワアケビという別名でも呼ばれますが、アケビのように果実は裂開しません。葉茎を乾燥させて作る野木瓜という生薬を、利尿やむくみに用います。
ユキノシタ
- 生薬名:虎耳草(こじそう)
- 生えている場所:公園や庭、山林の湿った日陰から半日陰
ユキノシタは、山林や渓流の近く、または人為的に植えられた公園や庭の、湿った場所を好む常緑の多年草。昔から山菜として親しまれ、天ぷらやお浸しなどにして食べられてきた植物です。生薬名を虎耳草といい、かぶれやただれ、しもやけに用います。
薬草になる雑草は、こんなにありました。使用量や詳しい煎じ方は記載していないので、むやみに服用しないようにしてください。身近な場所で見かける野草の底力を見直してあげてください。
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