エディブルガーデン12ヵ月|1月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
今年から家庭菜園を始めようとしているみなさんと一緒に楽しいエディブルガーデン作りを始めましょう。
さあ、エディブルガーデン12か月の始まりです!
目次
■堆肥とは
二十四節気〜1月は小寒・大寒
〜小寒〜
小寒(しょうかん)は大寒(だいかん)まで続く寒の入りです。新しい1年が始まりましたが、ゆっくりお正月は過ごせましたか?
北国では毎日のように雪が降り積もり、あたり一面雪景色です。温暖地といわれる関東地方では雪は積らないものの、冷たい空っ風が吹き付けます。
〜大寒〜
1月にはゆっくり生長する秋冬野菜の収穫もほとんど終る頃です。そろそろ今年の春から始める家庭菜園の計画を練りましょう。何を作るか今から楽しみですね。
12月のおさらい
・冬の育て方
・干し野菜を作る時のポイント
・干し野菜の作り方〜生野菜
・干し野菜の作り方〜干し野菜
家庭菜園〜1月の作業
1月の家庭菜園の作業は自家製堆肥を作ります。以前から生ごみを使ったコンポストは、エコ活動の一環として取り組んでみたいと思いながらも、面倒くさい…という気持ちの方が強くて、着手しないでここまできました。
しかし、実際に作ってみた素直な感想は…「あら、簡単!」この一言に尽きます。シンプルなことって、そんなに大変なことではないんですね。
どんな時に堆肥を使うの?
実際に自家製堆肥を作る前に、そもそも堆肥をどんな時に使うのか考えてみましょう。
初心者が家庭菜園を始めるとき、最初は市販されている野菜専用の「培養土」を用意します。その培養土を何のメンテナンスもしないで毎年野菜を作り2、3年も経過すると土もやせ細り、作物の生育も悪くなります。そうならないために、やせた悪い土を良い土に変えてあげる土壌改良が必要になってきます。そんな時、積極的に取り入れたいものが「堆肥」なのです。
堆肥とは
堆肥とは、樹木の皮、藁(わら)、草、家畜の糞(ふん)を積み重ね、微生物によって分解、発酵したものです。この堆肥は、使用する目的で「土壌改良」と「肥料」の2つの使い方ができます。目的に合った堆肥を使って、作物が育つ良い環境を作りましょう。
土壌改良としての堆肥(植物質堆肥)
植物質堆肥とは、植物を積み重ね微生物によって時間をかけて分解、発酵させたものです。肥料成分というよりも土壌改良効果が高いのが特徴です。排水性、保水性など作物が良く育つ環境に改良します。
バーク堆肥
多孔質なので軽く、通気性と保水性に優れています。使用することで土をふかふかにさせ、土の通気性や保水性、排水性が改善されます。保肥力がアップする効果もあり土壌改良によく使用される資材です。
もみ殻堆肥
もみ殻とは玄米を守っている固い殻の部分で、通気性や水はけを良くし、あらゆる土質に向く堆肥です。特に粘土質の畑で使うと土壌改良が進みます。完熟したものは保水性があるため、水持ちを良くすることもできます。
腐葉土
ケヤキやコナラ、ブナなどの広葉樹の落ち葉を、土を間に挟んで積み重ね、水を加えて長期間発酵させ土状になったものです。腐葉土というように「土」という字が付いていますが、作物を育てる土を改善するための堆肥の一つです。植物の繊維分が多く含まれ、ミネラルも豊富に含まれています。保水性・排水性に優れ、保肥力もあり、土をふかふかにする効果に優れています。
肥料としての堆肥(動物質堆肥)
動物質堆肥は、主に動物の排せつ物を微生物に分解、発酵させたものをさします。土壌改良というよりもどちらかというと肥料としての側面が強いかもしれません。堆肥の中に窒素、リン酸、カリウムなどの植物の生長に必要な栄養素が含まれているため、元肥として利用することができます。
牛糞堆肥(ぎゅうふんたいひ)
完熟発酵した牛糞堆肥には、有効微生物により植物が吸収しやすいよう有機物を分解してくれるため、土の 団粒化を進め良質な土壌にしてくれます。豊富な繊維分があるため、土壌の通気性や排水性、保水性が改善される性質を持っています。
馬糞堆肥(ばふんたいひ)
牛糞堆肥同様、豊富な繊維分があるため、土壌の通気性や排水性、保水性が改善される性質を持っています。
豚糞堆肥(とんぷんたいひ)
豚糞を堆積発酵させたもので肥料分を多く含み、繊維分は他のものに比べやや少なめになります。
発酵鶏糞(はっこうけいふん)
鶏糞を堆積発酵させたもので鶏糞堆肥とも言いますが、おもに発酵鶏糞と呼ばれることの方が多いかもしれません。堆肥というよりも化成肥料並みの速効性のある肥料です。窒素・リン酸・カリの三要素を多く含みます。
腐葉土と米ぬか、野菜くずで手作り堆肥を作ろう!
土壌改良を目的にした、段ボールを使って簡単にできる堆肥を作りましょう。完成までに時間はかかりますが、コバエも発生しずらいので、寒い季節は堆肥を作るのに最適です。
「量は少なく・匂いも最小限・清潔な堆肥」この3つに注意して作りたいと思います。
・作る量は段ボールサイズ
・投入する生ごみは野菜、茶殻等のみ
・匂いや虫が気になるので、動物性の生ごみは入れない
以上のことに注意して作っていきましょう!
how to 自家製堆肥!
〜材料〜
・腐葉土 600g位
野菜作りにも安心して使えるものを選びましょう。
・米ぬか 400g位
お米屋さんや精米所などで取り扱いがあります。
・野菜くず 一握りほど
野菜の皮や果物の芯などでかまいません。匂い防止のため、魚肉類は控えましょう。
・水 500cc位
・段ボール 30×20×20cm
・ガムテープ
用意する米ぬかや腐葉土の量はだいたいの目安でかまいません。野菜くずや水は最初に用意する量です。発酵を進めるために、野菜くずや水は随時追加していきましょう。
自家製堆肥の作り方
1. 段ボールを作ります。
2. 虫が入らないように、隙間をガムテープで埋めます。
3. 段ボールの中に腐葉土を入れます。
4. 3の中に米ぬかを入れます。
5. よく混ぜ合わせましょう。
6. 水を入れます。
7. 握った後ほぐれるほどの固さを目安に水を加えます。先ほどの分量で足りない場合は、水を追加しましょう。
8. 7に一握りの野菜くずを入れ、しっかり混ぜます。
9. 最後にしっかりと混ぜ合わせましょう。
10. 段ボールのフタをします。
11. 通気を良くするために、すのこなどの上に段ボールをのせて雨の当たらない戸外で管理します。
その後のお手入れ
自家製堆肥は完成まで発酵させ続けますので、その後の野菜くずと水の加減が重要になってきます。
次の日から1週間ほど
毎日一握り程の野菜くずを入れ、よく混ぜます。週1ペースで発酵に必要な水を追加します。
1週間経過以降から完成まで
段ボールの2/3まできたら、野菜くずを入れるのをストップします。水を追加しても、発酵の温度が上がらなくなったら完成です。
完成するまで暑い季節で1か月、寒い季節で3か月程くらいかかります。
〜注意点〜
発酵に必要なのは「水」ですが、入れすぎると腐敗してしまいます。水が多いときは米ぬかを加え、少ないときは水を随時加えましょう。
好気性菌
白いカビのようなものは、好気性菌といって無害な白いカビです。このまましっかり混ぜ込んでいきますが、青カビのような腐敗した悪臭がある場合は迷わず燃えるゴミで廃棄しましょう。
暖かい時期に堆肥を作ると、発酵の温度が上がり完成するまでの日数が短縮されますが、寒い時期に作ると外気の寒さで発酵の温度があまり上がりません。そのため、日数が3倍ほどかかります。発酵の温度を上げたい場合には、少々匂いが気になりますが、室内に取り込むと堆肥の温度が上がっているのが分かります。
年間の栽培スケジュールを立てましょう
外は寒いけれど、お家の中は温かい♪こたつに入りながら、昨年のエディブルガーデンを振り返ってみましょう。
育てられるものと育てられないもの
どんなに教科書通りの育て方をしていても、作物の環境が合わなければ上手に育つことはできません。みなさんが育てた作物は、元気に育ちましたか?そういえば…ズッキーニがあまり育たなかったなぁ、ラディッシュが綺麗に育たなかったなぁなど思い当たる節があるかもしれませんね。
日当たり
・日当たりはどうでしたか?
北側の陽ざしは、10月になるとベランダの端の方だけしか当たらなくなり、11月にはほとんど日陰になってしまったなぁとか、南側の陽ざしは強すぎたのでピーマンが日焼けしてしまったなぁなど、日当たりに合わせて植物の配置する位置を考えていきましょう。
時期
・種をまいた時期、苗を植え付けた時期について考えてみましょう。
コールラビの種を一昨年は9月にまいたらあまり大きく育たなかったけれど、昨年は8月にまいてみたら上手に育ったなぁとか、秋冬野菜を9月の上旬に植えつけたけれど、北側のベランダではあっという間に日が当たらなくなるので、8月中に植えつけておけばよかったなぁなど、今年の家庭菜園に生かせる情報をしっかり把握しましょう。
育てる野菜の種類
・上手に育った野菜、育たなかった野菜
例えば、北側で育てた秋冬野菜の生長が思わしくなかったなぁとか、その中でもカリフラワーは順調に生長したなぁ。南側で育てたトマトは大きく生長し、甘くて美味しかったなぁなど…。気付いたことがあれば、メモして来年に生かしましょう。
また、手がかかり過ぎて育てるのが大変な野菜はありませんでしたか?反対に簡単すぎて物足りない野菜はありませんでしたか?ご自身のライフスタイルに合った作物を選んで、身の丈に合う家庭菜園を楽しみましょう。
栽培記録を付けてみましょう。
昨年は無我夢中で育てた家庭菜園でしたが、今年は少し余裕をもってスケジュール帳やスマホに栽培記録を付けてみましょう。
野菜の種まきや植え付けの日にちから、開花した日、実が着いた日、収穫した日などを記入するとより1年の予定が立ちやすくなります。
おすすめ野菜〜春夏野菜編
・じっくり育てる野菜
~水やり重視、2~3日に1度はお手入れが必要な野菜
ミニトマト・きゅうり・ナス・ズッキーニ・オクラ・葉物野菜など
・あまり手がかからない野菜
~1~2週間に1度くらいのお手入れで充分な野菜
枝豆・落花生・トウモロコシ・にんじん・じゃがいも・さつまいも・ショウガ・ハーブ類など
いかがでしたか?
手作り自家製堆肥は捨てられていた野菜くずを利用するため、ごみの量も減らせるエコな堆肥です。みなさんも地球に良いこと始めましょう。
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