蝋梅(ロウバイ)|花の季節や特徴、実の特徴と毒性、香りの魅力まで
更新
公開

蝋梅(ロウバイ)の花咲く季節や特徴、実の特徴や毒性、種類、名前の由来、香りの魅力、英語の名前まで紹介します。
目次
蝋梅(ロウバイ)とは?基本情報
- 学名:Chimonanthus praecox
- 科名・属名:ロウバイ科ロウバイ属
- 分類:落葉低木
蝋梅(ロウバイ)の特徴
蝋梅は、中国原産の落葉低木。寒い季節に淡いクリーム色の香りの良い花を咲かせます。花びらにはツヤと厚みがあり、枝に数個固まって下向きに咲きます。葉は花の後から展開するので、開花中は枝に花だけが群れるように咲く、美しい様子を眺めることができます。花が終わってから出てくる葉は、楕円形で大きく、ツヤはありません。
蝋梅(ロウバイ)の種類
蝋梅(ロウバイ)
蝋梅の基本種。花の中をのぞくと、中心が赤紫色をしています。
素心蝋梅(ソシンロウバイ)
素心蝋梅は、改良種。花の中心部が黄色や白で明るい印象の花を咲かせます。香りが良く花も大きいことや、花芯まで黄色で美しいことから人気があります。
蝋梅(ロウバイ)の名前の由来
蝋梅の花の質感が、蝋でコーティングしたようにつやがあってしっとりしていることから「蝋梅」という名前が付けられました。
また別の説では、花の咲く時期が臘月(ろうげつ)と呼ばれる太陰暦12月の頃だから、臘月の臘の字と梅を併せて「臘梅」と呼ばれるようになったともいわれています。
蝋梅(ロウバイ)と梅の違い
梅
蝋梅はロウバイ科ロウバイ属の落葉低木、梅はバラ科サクラ属の落葉低木です。蝋梅と梅の違いは、まったく違う植物であるということ。
蝋梅は梅の花が咲く頃に香りの良い花を咲かせること、花が蝋を塗ったような質感であることから「梅」に例えられて蝋梅と名が付いたと言われています。
蝋梅(ロウバイ)と黒花蝋梅(クロバナロウバイ)の違いとは?
- 植物名:クロバナロウバイ
- 学名:Calycanthus floridus
- 科名・属名:ロウバイ科クロバナロウバイ属
- 分類:落葉低木
蝋梅と名の付く植物に黒花蝋梅(クロバナロウバイ)という植物があります。北アメリカ原産のロウバイ科クロバナロウバイ属の落葉低木。初夏にチョコレート色の香りの良い花を咲かせます。蝋梅はロウバイ科ロウバイ属なので、近いけれど厳密には違う植物です。
蝋梅(ロウバイ)の花言葉
蠟梅の花言葉は「慈愛」
ふわりとした花姿と香りに似合った優しい花言葉です。
蝋梅(ロウバイ)の花咲く季節と特徴
蝋梅の花咲く季節は、1月~2月。まだ鼻の先が赤くなるくらい寒い時期に花は咲き始めます。冬の寒いさなかに目の覚めるような優しい香りの花を咲かせます。
蝋梅(ロウバイ)の花の特徴
蝋梅の花は、カスタードクリームのような柔らかく明るい黄色をしています。名前の通り、蝋でコーティングしたような半透明の質感が魅力です。
蝋梅は、切り花でも楽しめます。花き市場では、12月頃から花の咲いた枝が流通し始めます。水あげが良く、長く花を楽しめる枝物として人気があります。玄関に飾ると、帰宅時にうっとりするほどの芳香を楽しめ、来客を迎える際にも香りでもてなすことができます。
蝋梅(ロウバイ)の実の特徴と毒性
初春の花が終わり、楕円形の大きな葉が青々と繁っている夏に、葉の間をかき分けるように探すと蝋梅の実を見つけられます。楕円形でラグビーボールのような楕円形で、表面にはうっすらと毛があり、キウイを小さくしたような見た目をしています。
蝋梅の実を割ると中に数個の種子が入っています。種子は発芽率が高く、土にまいておくと割と容易に発芽してくれます。ただし、この発芽したものが木になって花を楽しめるようになるには、数年の時間がかかるようです。
蝋梅の実の毒性
蝋梅の実は食用にできません。アルカロイドを含んでいるので、中毒症状を起こす心配があります。興味本位で口にすることのないように注意してください。
蝋梅(ロウバイ)の花の香り
蝋梅の花には、何とも言えない香りがあります。梅と同じ時期に開花し、同じように香りの良い花を咲かせることから「梅」と名前に付きますが、梅とはまったく違う香りです。蝋梅の香りは、梅のように目の覚めるような爽やかな香りではなく、もっと甘く優しい香りです。水仙のすっきりとした香りとも違います。風に乗ってどこからともなく優しい香りがしてきたら、周囲を見回してみてください。クリーム色の蝋梅の花が咲いているかもしれません。
学名 Chimonanthus(カリカントゥス)の名前で流通している香水もあります。興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。
蝋梅(ロウバイ)の育て方
場所・用土
日当たりと水はけの良い場所を好みます。鉢植えは、市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
水やり
庭植えは、根付いてからは特に水やりの必要はありません。降雨に任せます。鉢植えは表土が乾いて白っぽくなったら、鉢底から流れ出てくるくらいたっぷりと水やりしましょう。
肥料
寒肥として12月に緩効性肥料を施します。
剪定
花後の3月に剪定を行います。横に枝を広げるので暴れた枝や込み合った枝を整理します。またこの時に植えている場所に応じてサイズを整えるようにしましょう。
挿し木
接ぎ木か種まきで増やします。挿し木では根付きにくいと言われています。
接ぎ木を自宅で行うのは少し難しいので種まきで増やす方法がおすすめです。蠟梅は発芽率が高く、種まきで容易に増やせます。ただし、成木になり花を楽しめるようになるには5~7年の辛抱が必要です。
蝋梅(ロウバイ)の英語の名前
蝋梅の英語の名前を紹介します。
- winter sweet(ウィンタースウィート)
- Chimonanthus(カリカントゥス)
winter sweet(ウィンタースウィート)という英名は、寒いさなかに甘く優しい香りの花を咲かせる、蝋梅にぴったりの名前です。学名のChimonanthus はギリシャ語で冬を意味するcheimonと、花を意味するanthosに因んでいるそうで、そのまま英名として使用されています。
蝋梅は、お庭に植えればたくさんの花を咲かせてくれ、切り花にしても長く楽しめる花木です。冬の乾燥した青い空の下で明るいクリーム色の花を咲かせる蝋梅の魅力を知って、もっと身近に感じてください。
▼編集部のおすすめ