行って良かった!北海道のガーデン|4つの森めぐり
とまつあつこ
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北海道のガーデンめぐりにおすすめの4つの森をご紹介します!「太四郎の森」「六花の森」「十勝千年の森」「大雪 森のガーデン」は、それぞれに魅力的な特徴があり見どころが満載です。広大な大地に身をゆだね、季節ごとに移り変わる草花と緑を愛でながらガーデンをゆっくりと散策してみませんか。
撮影協力/太四郎の森、六花の森、十勝千年の森、大雪 森のガーデン
目次
北海道のガーデンめぐりとは
六花の森
自然豊かな北海道の各地には、素敵なガーデンがたくさん点在していて観光スポットにもなっています。北海道の代表的なガーデンが集まっている、大雪~富良野~十勝を結ぶ約250kmの街道(北海道ガーデン街道)もあります。もちろん北海道にはガーデン街道以外にも様々な場所にガーデンや公園、花畑、丘、森などがたくさんあるので、十人十色の花めぐりの旅が楽しめます。
北海道は冬に雪が積もるため、草花が楽しめるのは春から秋までの期間となりますが、冷涼で過ごしやすく、東京のように高温多湿で植物が弱ることもなく、昼夜の寒暖差が大きいことにより花色が鮮やかになるとも言われています。
大雪 森のガーデン
今回はナチュラルな「森」をテーマに4つのガーデンを紹介します。
訪れたのは5月半ばで、樹木や草花がイキイキと育つ美しい森を散策していると、植物たちの小さな発見がたくさんあり、心が穏やかにリフレッシュされました。季節ごとに移り変わる草花の姿を春から秋まで通して見ることができたらどんなに素敵だろうと思いました。
オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)
森を訪れたときに咲いていた原生の草花を中心に、目に留まった植物を森の様子と一緒に紹介していきます。
春は植物が芽吹いて色とりどりの花が咲き進み、夏は緑が豊かで木陰の森林浴も心地良いですね。秋は紅葉や実ものが美しく、どの季節に訪れても心癒される魅力的な森です。
太四郎の森
太四郎の森は、植物を植えるという庭づくりではなく、もともと自生していた植物をよみがえらせた、清流がめぐり野の花が咲く美しい森です。花が咲くまでに10年かかると言われているオオバナノエンレイソウが一面に咲いていました。
(見学するには園主の泉さんに電話予約が必要です。電話番号090-1305-9558 8時30分~17時30分まで)
シラネアオイも群生して瑞々しく咲いていました。
約30年前に園主の泉さんがこの森を管理し始めたとき、この場所は荒れ果てた空き地で、全面がほぼササで覆われていたそうです。ササを刈り灌木を切る作業を一人で行い、そこに咲き始めた花の種を収穫してはまく作業を長年続けてきたところ、森が本来の美しさを取り戻したようによみがえりました。花や草木だけではなく、そこに住む虫や動物の命も自然に輝く森です。
泉さんはこの森を手入れしている時間が大好きで、日の出とともに起きて森に入って作業しているとおっしゃっていました。(^^)
シラネアオイ(白根葵)
シラネアオイは日本原産で1属1種が特徴の多年草。最近では自生地も減少してきている保護が必要とされている山野草です。花びらのように見えるのは萼片で、本来の花はその中心部。同じキンポウゲ科のクリスマスローズと花の特徴が似ています。
太四郎の森には清流がめぐり、カタクリやエゾノリュウキンカ、シラネアオイ、オオバナノエンレイソウなどの北海道の大自然ならではの花が咲きます。とても大きなミズバショウも見ごたえがありました。
エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)
エゾノリュウキンカはリュウキンカよりも大型で、本州北部、北海道などに分布する多年草。リュウキンカは漢字で立金花と書き、その名は茎が立ち上がって黄金色の花を咲かせることに由来します。
ヤマシャクヤク(山芍薬)
山野に自生する野生のシャクヤクです。ヤマシャクヤクは数日で花びらが落ちてしまうため、ちょうどよく咲いているタイミングに出会えることはとてもラッキーと言われています。咲き始めのタイミングで見ることができました!
ニホンサクラソウ(日本桜草)
日本に自生するサクラソウ科サクラソウ属の多年草。桜によく似た可愛い花を咲かせ、古くから春の代表的な草花として愛されてきました。
エゾノハナシノブ(蝦夷花忍)とオオバナノエンレイソウ(大花延齢草)
エゾノハナシノブは、北海道や青森県に自生するハナシノブ。 青紫色の花が爽やかで可愛らしいです。
サンカヨウ(山荷葉)
サンカヨウ(山荷葉)の花びらは、朝露や雨などの水分を含むと透明になり、乾くと白く戻るという神秘的な性質があります。
ヒトリシズカ(一人静)
ヒトリシズカは、日本では北海道、本州、四国、九州など各地の森林や山野に分布して自生している多年草です。すっとした茎を伸ばし、その先端に光沢のある4枚の葉をつけます。その4枚の葉に包まれたように白いブラシ状の花が咲きます。
太四郎の森は、泉さんが30年以上かけて原生の植物をよみがえらせた森です。泉さんの自然や植物に対する愛情と情熱に森が応えているような、まさに人と自然との共生の姿を見て感銘を受け心がふるえました。自分も自然のために何かしたいという気持ちが掻き立てられる、素敵なガーデンです。ぜひ、泉さんのお話を聞きに訪れてみてください。(^^)
六花の森
六花の森は、北海道を代表するお菓子メーカーである六花亭さんが、あの有名な包装紙の絵に描かれている「十勝六花」の花が実際に咲く庭としてオープンされたお庭です。
六花の森 花柄包装紙館
この包装紙の絵をご存知の方も多いのではないでしょうか。
描かれている花の中で、カタクリ、エゾノリュウキンカ、オオバナノエンレイソウ、ハマナシ、シラネアオイ、エゾリンドウが「十勝六花」と名付けられています。訪れたときは、六花のうち三花(エゾノリュウキンカ、オオバナノエンレイソウ、シラネアオイ)が咲いていました。
オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)
オオバナノエンレイソウが、木陰でしっとりと美しく咲いていました。
シラネアオイ
北海道のお土産として有名な六花亭の包装紙に描かれている花たちが美しく咲いている姿を見ることができてワクワクします。
エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)
エゾノリュウキンカの花びらのように見える部分はガク片で、花びらはありません。葉は大きくてつやがあり、縁には粗い鋸歯があります。水辺でキラキラと輝くように咲いていました。
もともとは原野だったという起伏に富んだ敷地には小川や丘があり、クロアチアの古民家を移築した建物(作品館)が点在していて、十勝の自然と芸術にふれることができるガーデンになっています。
クロユリ(黒百合)
北海道に生育する、ユリに似た黒い花を咲かせるクロユリ。ユリという名がついていますが、ユリはユリ科ユリ属で、クロユリはユリ科バイモ属のため、ユリとは異なる植物です。
エゾエンゴサク
エゾエンゴサクは、ケマンソウ科の多年草。ブルーの爽やかな花色と筒状のフォルムが魅力的な草花です。早春に花を咲かせ、初夏から晩夏にかけて休眠に入り、その後は翌春まで地中で過ごす草花(スプリングエフェメラル)の一つです。
ニホンスズラン(日本鈴蘭)
ニホンスズランは、北海道・東北などに自生しています。流通しているスズランのほとんどはドイツスズランと言われていて、ドイツスズランは花が葉の上まで伸びて咲き、ニホンスズランは葉と同じくらいかそれより低い位置で咲きます。花に顔を近づけてみると、とても良い香りがしました。(^^)
センダイハギ(先代萩、仙台萩、千代萩)
東北以北の自生し、ルピナスのような黄色い花を咲かせます。名前は、仙台を舞台にした歌舞伎「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」に由来するといわれています。
六花の森は洗練された美しい森のイメージでとても散策しやすく、お菓子やオリジナルグッズの販売も充実していてとても楽しかったです。
十勝千年の森
十勝千年の森は、「1000年後の未来に美しい森を遺す」ことを目指してスタートしました。
アースガーデン(大地の庭)、メドウガーデン(野の花の庭)、フォレストガーデン(森の庭)、ファームガーデン(農の庭)などそれぞれのテーマをもったガーデンが、雄大な北海道の自然の中に溶け込んでいます。
敷地が広大でどこから歩いてみるか悩みましたが、まず、アースガーデンに行ってみることにしました。
大地のうねりが山々と一体となるアースガーデン。もともとは平坦な牧草地だった場所に、丘の地形のうねりをデザインして造成したそうです。散策する人が丘の陰に消えてはまた現れるといった遊び心に満ちた風景が生まれます。
人が心身を開放し、向こう側にある自然とのつながりを感じる庭。そこには「人は自然の一部である」という十勝千年の森が庭造りに込めたメッセージが風景となって表れているそうです。
千年の丘の頂上を目指して歩き進みました。クマ出没注意!!と表示があったので、大きな声で会話しながら登っていきました。天気の良い日は、セグウェイで森を駆けめぐることもできるそうですよ!
頂上からの景色が最高でした!高木がミニチュアの木に見えたり、見渡す限り美しい緑と温かい(母なる)大地が広がっていて、心が癒され解放されます。
小雨が降ったりやんだりの天気でしたが、頑張って登って本当に良かったです。(^^)
敷地の地下には水の浄化などに使われる「麦飯石(ばくはんせき)」の地層があり、水や空気をきれいにしてくれるそうです。
広大な園内には自然の景色と一体化したアート作品が点在しています。アイヌの伝承をもとに作られた麦飯石のアート作品もありました。
ゼンテイカ(エゾカンゾウ)
黄色いラッパ状の花が可愛いゼンテイカ(エゾカンゾウ)は、ヘメロカリスの原種です。
アマドコロ
アマドコロは、山林などに自生する多年草。群生して瑞々しく咲く姿が美しく、アーチ状に横に伸びた茎にぶら下がるようにつく白い花が可愛いかったです。
他にもオオバナノエンレイソウ、ニホンスズラン、山独活、ヨブスマソウなどたくさんの草花を見ることができました。
ガーデンカフェにて
残念ながら時間が足りず、今回はフォレストガーデンを散策できなかったのですが、ミズナラを主とした森には、ミズバショウやエゾエンゴサク、ゼンテイカ、シラネアオイなどが咲き、種の採りまきや苗を作って森に返す活動など様々な取り組みが行われているそうです。
お土産に買って帰った敷地内にあるチーズ工房のナチュラルチーズも美味しかったです。次回は、セグウェイでの散策とフォレストガーデンの散歩を楽しみに行きたいと思いました。(^^)
大雪 森のガーデン
大雪 森のガーデンは、大雪山系を望む美しい丘陵に広がる森の中にあるガーデン。上野ファームの上野砂由紀さんが植栽デザインされた色彩豊かな「森の花園」、森林や山野草に癒される「森の迎賓館」、緑あふれる「遊びの森」の3つのエリアで構成されています。
▼上野ファームについてはこちら
「森の花園」では、まるでゲストを歓迎するように色とりどりの花が咲いていました。
チューリップ
大雪 森のガーデンは標高が高い場所にあるため、他のガーデンとは草花の見頃が違います。他のガーデンはチューリップが満開でそろそろ終わりを迎える時期でしたが、ここではまだ咲き始めの状態でこれから咲く蕾もたくさんありました。
スイセン(水仙)
大雪 森のガーデンを訪れたのは5月中旬。数種類のスイセンがとても瑞々しくきれいに咲いている姿を見ることができました。スイセンは東京では早春に春の訪れを知らせてくれる花のイメージがありますが、5月にスイセンが美しく咲くのは北海道ならではですね。
ムスカリ
入口へのアプローチには、ちょうど見頃の可愛いムスカリがたくさん咲いていました。
クリスマスローズ
クリスマスローズは東京では冬から早春に咲くイメージですが、満開で美しく咲き誇っていました。
フリチラリア・メレアグリス
フリチラリア・メレアグリスは、すっとした茎の先に釣鐘型の花を咲かせます。花が赤紫色で、市松模様のような模様が入っていておしゃれでとても気になりました。
シラネアオイ
「森の迎賓館」は、自然の樹木や草花を活かして造り上げています。訪れる人をくつろぎのひとときへいざなう、森のおもてなしエリアです。シラネアオイも木陰で美しく咲いていました。
エンレイソウ(延齢草)
エンレイソウの葉には葉柄がなく、茎から直接葉が生えて広がっています。葉に対しての花の大きさはとても小さく、大きな葉がドレスのように見えるため「森の貴婦人」とも呼ばれています。オオバナノエンレイソウはエンレイソウの種類で、大きな花が咲きます。オオバナノエンレイソウなど、この地ならではの花がいくつも咲いていました。
ギボウシ
ギボウシの春の芽吹きの様子です。内巻きに巻いている葉がいっせいに芽吹いている姿があちこちで見られて微笑ましかったです。
大雪 森のガーデンは、のんびりリラックスして自然の植物を愛でながら森林浴を楽しめるとびきり素敵な場所でした。おしゃれなカフェやガーデンショップもあり、地元の新鮮な牛乳を使ったジェラートを美味しくいただきました。(^^)/
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