【園芸用語】一年草、多年草、宿根草とは?違いや意味、特徴を解説
山田智美
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一年草、多年草、宿根草という言葉をご存知ですか?園芸用語で、草花(草本)の生育サイクルを分類する言葉です。この分類を理解しておくと、植物を育てる際に役立ちます。一年草、二年草、多年草、宿根草、球根について、わかりやすくお話します。
目次
一年草とは
一年草とは、発芽から開花、結実、枯死までのサイクルを1年で行う草花のこと。一年生植物という言い方もします。結実することで株のエネルギーを使い果たして枯れてしまう草花です。一年草は、耐寒性と非耐寒性に分かれます。
耐寒性の一年草(秋まき)
耐寒性の一年草は、秋に種をまく一年草のこと。夏から秋に種をまいて冬を越し、春から夏に花を楽しみます。開花するために寒さを経験させる必要がある種類です。ビオラやパンジー、ワスレナグサなどが耐寒性のある一年草です。
越年草とは
越年草とは、秋に発芽して、ロゼット状に緑の葉を出したまま越冬し、翌春開花する一年草のこと。耐寒性のある一年草に含まれます。越年草という表現を使用することがあります。レンゲソウやナズナなどが越年草です。
非耐寒性の一年草(春まき)
非耐寒性の一年草は、春に種をまく一年草のこと。春に種をまいて夏から秋に花を楽しみます。寒さに弱く、冬には枯死してしまう種類です。朝顔やヒマワリなどが非耐寒性の一年草です。
代表的な一年草の5種
朝顔
- 開花期:7月~9月
- 非耐寒性
朝顔は、ヒルガオ科の一年草。早朝から昼前までしか咲かない花が魅力です。初夏に種をまいて、夏に開花します。
ネモフィラ
- 開花期:3月~5月
- 耐寒性
ネモフィラは、ムラサキ科の一年草。明るい水色のかわいらしい花を咲かせます。秋に種をまいて、春に花を楽しみます。
パンジー、ビオラ
- 開花期:10月~4月
- 耐寒性
パンジー、ビオラは、スミレ科の一年草。晩夏に種をまいて、秋から春まで花を楽しめる、冬のガーデニングの強い味方です。
ヒマワリ(向日葵)
- 開花期:7月~9月
- 非耐寒性
ヒマワリは、草丈1m以上にもなるキク科の一年草。春から初夏に種をまいて、夏に花を楽しみます。
ワスレナグサ(忘れな草)
- 開花期:4月~6月
- 耐寒性
ワスレナグサは、ムラサキ科の一年草。水色の小花の愛らしさと「わたしを忘れないで」の花言葉が魅力です。秋に種をまいて、春に花を楽しみます。
二年草とは
二年草とは、発芽から1年は株を大きく生長させて、2年目に開花、結実、枯死する草花のこと。発芽から結実、枯死までに2年かかるので二年草と言います。一、二年草とも呼ばれます。ルピナスやジギタリスなどが二年草です。
代表的な二年草の2種
ジギタリス
- 開花期:5月~6月
ジキタリスは、キツネノテブクロという愛らしい和名を持つ二年草。春にすっと伸びた茎に縦に連なるように花を咲かせます。
ルピナス
- 開花期:4月~6月
ルピナスは、マメ科の一、二年草。小さな豆の花をキュッと集めたように咲く姿が可愛らしい草花です。
多年草とは
多年草とは、発芽、生長してから数年生育を続ける草花のこと。植物の種類によって数年から十年以上と寿命に差があります。
多年草には1年中緑を絶やさない常緑性多年草と、夏や冬に休眠する多年草があります。
多年草のなかには、発芽から開花までに数年を要する種類もあります。クリスマスローズやセージなどは、ある程度まで株が大きくならないと花を咲かせません。すぐに花が咲かないからといって焦らずに様子を見ましょう。
代表的な多年草の5種
オダマキ
- 開花期:5月~6月
- 非耐寒性
オダマキは、キンポウゲ科の多年草。晩春から初夏にかけて色とりどりの花を咲かせます。耐寒性は弱く、冬は地上部が枯れたようになって越冬します。
ギボウシ
- 開花期:7月~8月
- 非耐寒性
ギボウシは、ユリ科の多年草。葉の斑の入り方や模様、大きさなどバリエーションが豊富で、オーナメンタルプランツとして人気があります。夏に咲く花も可憐です。耐寒性は弱く、冬は地上部が枯れたようになって越冬します。
クリスマスローズ
- 開花期:1月~4月
- 常緑性
クリスマスローズは、キンポウゲ科の多年草。寒い季節に色とりどりの美しい花を俯くように咲かせます。
クレマチス
- 開花期:品種により異なる
- 耐寒性:品種により異なる
クレマチスは、キンポウゲ科の多年草。非常に種類が豊富で、次々と新しいものが作出されるので、追い付けないほどです。花は大輪から小さなものや、一重咲き、八重咲き、ベル咲き、色も青以外はほとんど揃っているくらいです。耐寒性の弱いものから常緑種まで品種により異なります。
セージ
- 開花期:5月~11月(品種による)
- 常緑性(品種により非耐寒性もある)
セージは、シソ科の多年草。ハーブとして食用になるものから観賞用まで、たくさんの種類があります。品種や地域により冬に葉を落とすこともあります。
宿根草とは
宿根草とは、冬や夏に地上部を枯らして休眠し、気候が良くなるとまた芽を出して生長を始める草花のこと。宿根草は多年草に含まれます。地上部が枯れても根が土中に残るので宿根草と呼ばれます。
球根とは
球根とは、栄養を蓄えて塊状に肥大した根や地下茎、またはそれらを持つ植物のこと。球根は多年草に含まれます。
球根植物は、球根に栄養を与えて太らせれば何年も楽しめます。ただし、園芸種のチューリップなど、翌年は咲きにくい種類もあります。
代表的な球根の4種
シラー
- 開花期:3月~5月
シラーは、キジカクシ科の球根植物。春に紫やピンク、白の小花を咲かせます。
スイセン
- 開花期:11月~4月頃(品種による)
スイセンは、ヒガンバナ科の球根植物。冬から春に香りの良い花を咲かせます。
チューリップ
- 開花期:3月~5月(品種による)
チューリップは、ユリ科の球根植物。春を代表するような花です。チューリップの球根は、翌年は咲きにくい種類もあります。
ムスカリ
- 開花期:3月~5月
ムスカリは、キジカクシ科の球根植物。春にブドウを逆さにしたようなかわいらしい花を咲かせます。
一年草と二年草の違い
一年草と二年草の違いは、発芽から枯死までの期間です。一年草は発芽から1年で結実して枯死、二年草は発芽から1~2年で結実して枯死します。
どちらも植えっぱなしで何年も楽しめる花ではないということを理解しておくと、育てる際に役立ちます。
一年草と多年草の違い
一年草と多年草の違いは、1年で枯れてしまうか、何年も楽しめるかです。
植えてすぐに花を楽しめ、後腐れなく枯死していく一年草は、季節ごとの着替えのような楽しみになります。
一度植えつけたら、何年も花を楽しめる多年草はガーデニングの強い味方。かと言って毎年同じ花ばかりでは見飽きてしまうかもしれません。一年草と多年草をバランスよく植え付けると、眺める楽しみと育てる楽しみの両方を味わえます。
多年草と宿根草の違い
多年草と宿根草の違いはありません。宿根草は多年草に含まれます。
常緑の多年草と区別して、冬や夏に地上部を枯らす種類のことを宿根草と呼んだりします。多年草のなかでも宿根草であることを理解しておけば、休眠期に入ったときに「枯れてしまった」と慌てずに済みます。
多年草と球根の違い
多年草と球根の違いはありません。球根は多年草に含まれます。
塊状に肥大した根や地下茎を持つ種類を、他の多年草と区別して球根あるいは球根植物と呼びます。
一年草、二年草、多年草、宿根草、球根まで、園芸上の分類についてお話しました。草花の生長の仕方を理解しておけば、「枯れてしまった」と慌てることもありません。それぞれの特性を知って、植物のある暮らしを楽しんでください。
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