切り戻しとは?植物を元気にして花をたくさん楽しむテクニック!
山田智美
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切り戻しとは?摘心との違いは?切り戻しと剪定の違いは?わかるようでわからない切り戻しについてご紹介します。さらに、切り戻しの有効性や、切り戻しのタイミング、植物ごとの切り戻し方法まで。切り戻しのことがよくわかります!
目次
切り戻しとは?
切り戻しとは、伸びすぎた茎や枝を短く切り詰めて、植物を若返らせるテクニックです。開花期間の長い草花や生長し過ぎてしまった植物に対して行います。
具体的には、春から秋まで咲き続けるような花は咲き続けているうちに段々と元気がなくなって、花数も減ってきます。そんな草花を一度思い切って切り戻すと、切ったところから元気のよいわき芽が出てきてまたきれいな花を楽しめるようになります。
切り戻す位置は、必ず芽や葉の少し上にしましょう。新しい枝が出てきやすくなります。切り戻した箇所から出てくるわき芽は、Y字になって伸びてくるので枝の数が増え、花数や実や種の数も増えるという仕組みです。
切り戻しの注意
切り戻しはよいこと尽くめのように思えますが、すべての植物に有効というわけではありません。開花期間が長いものや、生長の早い草花には切り戻しが有効ですが、一季しか花が咲かない草花類や、生長の遅い植物、樹木などには向きません。切り戻してから後悔することのないように、図鑑などで確認しましょう。
切り戻しと剪定、摘心の違いは?
切り戻し、剪定、摘心、この違いは何でしょうか。違いをわかりやすく説明します。
切り戻しと剪定の違い
剪定とは、景観を整えるためや、植物の生長を調整するために庭木や草花の枝を切って整えることをいいます。
切り戻しも草花の生長を調整するために行います。つまり、切り戻しは剪定方法の一つということになります。
切り戻しと摘心の違い
摘心は生長中の植物の芽の先端を切ることで、わき芽の生長を促すことをいいます。摘心を行うことで枝数が増えるので、花や果実の数が増える上に株も大きくこんもりと仕立てることができます。
切り戻しと摘心の違いは、切り戻しは短く切り詰めて株を若返らせること、摘心は芽の先端を切ってわき芽の生長を促すことを指します。切り戻しと摘心は似ているようですが、目的が少し違います。
▼摘心についてもっと詳しく!
切り花の切り戻しとは?
前項までは園芸用語の切り戻しの説明でした。切り戻しという言葉は、切り花を生けるときにも使います。
切り花の切り戻しとは、茎の最下部を1~2㎝切ることで断面の鮮度を上げて、水の吸い上げをよくするの作業です。
切り花は茎の切断面から水を吸い上げますが、この切断面の鮮度が悪いと吸水する力が落ちる他、バクテリアも発生しやすくなります。切り花を生ける時にはこまめに切り戻しを行うと、花を長く楽しめるようになります。
切り戻しのタイミング
切り戻しで植物を元気にするためのタイミングを3つ紹介します。
花が咲き終わったら
開花期間の長い草花は花後早めに切り戻しを行うと、すぐに次の花が楽しめます。切り戻しを行うことで枝分かれして花数も増えるというメリットもあります。
元気が無いとき、花が咲かないとき
開花期間の長い花は途中で株が疲れてしまって、花数が減ってくることがあります。そんな時は思い切って大きく切り戻しを行うと、株全体が若返って新しい花を楽しめるようになります。
梅雨前の季節
春から秋まで咲くような草花は梅雨前に大きく切り戻すと、夏が終わった頃にたくさんの花を咲かせてくれます。梅雨の時期は病害虫の被害にもあいやすいので、風通しをよくして株を健康に保つ効果もあります。
花の切り戻しの方法
ビオラ、パンジーの切り戻し
ビオラ、パンジーは秋から春まで咲く一年草です。植え付けてすぐに咲いた花が終わった頃や、厳寒期の花数が少なくなってきた頃に切戻しを行います。ビオラ、パンジーは切り戻してから2~3週間で次の花が楽しめます。枝数が増えて、株がこんもりと大きくなるメリットもあります。
ただし冬から春にかけてが開花期のパンジー、ビオラは、必ず切り戻しをしなくてはならない草花ではありません。最近では10月ごろから流通が始まるパンジー、ビオラ。気温が高い時期に育てると、ヒョロヒョロと徒長することがあります。一度徒長した茎が元に戻ることはないので、徒長してきたら半分程度に切り戻しをするようにしましょう。
ラベンダーの切り戻し
ラベンダーの切り戻しは、春の開花後から梅雨前と秋に行います。
ラベンダーは高温多湿が苦手です。梅雨の前には半分くらいまで切り戻しを行い、風通しよく管理しましょう。また秋に再度切り戻しをすることで、株がコンパクトになる上、翌春の花数を増やせます。
ペチュニアの切り戻し
ペチュニアは夏から秋まで咲き続ける花です。ペチュニアの切り戻しは、花数が減ってきたと感じたら行います。
ペチュニアは生長すると草姿が乱れていきます。思い切って大きく切り戻すようにしましょう。1/3くらいまで切り戻してもすぐにわき芽が生長してきます。
マーガレットの切り戻し
マーガレットは梅雨前と、秋の花後に半分くらいまで切り戻します。梅雨前に切り戻しを行うことで、秋の花数を増やします。また、秋の花後に切り戻しをすると枝数が増えるので、翌春にたくさんの花を楽しめます。
ダリアの切り戻し
ダリアの切り戻しは初夏の花が終わったら行います。地上部を40㎝残す程度まで切り戻すと、秋にたくさんの花を楽しめます。
カーネーションの切り戻し
カーネーションは四季咲き性の植物です。カーネーションの切り戻しは季節問わず、花後と花が咲かなくなってしまった時に行います。地際から3~4節のところで切り戻すと2~3ヶ月で新しい花が咲き始めます。
観葉植物の切り戻しの方法
モンステラの切り戻し
モンステラの切り戻し適期は5~7月です。モンステラの生長期は夏です。初夏に切り戻しを行うと次の芽が生長しやすくなります。葉の付け根から切り取るようにしましょう。モンステラの切り口から垂れてくる液体が皮膚に触れるとかぶれることがあるので、注意してください。
パキラの切り戻し
パキラは夏に大きく生長するので、切り戻しは春から初夏に行います。枝の途中の節のようになっているところが生長点です。生長点の少し上で切り戻します。2~3週間で新芽が出てきます。
ウンベラータの切り戻し
ウンベラータは切り戻して好みの高さにすることができます。さらに分枝させて横に樹形を広げる効果もあります。ウンベラータの生長期は夏なので、初夏に切り戻します。好みの位置を決めて、枝の途中の生長点の少し上で切り戻します。2~3週間で新芽がでてきます。
ハーブの切り戻し
ミントの切り戻し
ミントはこまめに切り戻しをすると柔らかく香りのいい葉を楽しむことができます。特に梅雨前に切り戻しを行うことで病害虫の発生を防ぐ効果もあります。
ミントの切り戻しは地上部1~2節を残す程度まで切り詰めても問題ありません。数週間でまたこんもりと葉が茂ってきます。
レモンバームの切り戻し
レモンバームは初夏の花が咲く前に切り戻します。花芽が上がってきたら、半分くらいまで切り戻すと、香りのよい葉を長く楽しめます。
切り戻して2週間後のレモンバーム
バジルの切り戻し
バジルは春から秋まで生長する一年草です。バジルの切り戻しに特に時期はありません。葉を長く楽しむためにもこまめに切り戻しましょう。わき芽が生長するので、葉をたくさん収穫できるようになります。また、花が咲くと、バジルの葉の香りが落ちるので、花が咲く前に切り戻しましょう。バジルは地上部1~2節まで切り戻しても数週間でまた葉が茂ってきます。
庭木の切り戻し
もみじの切り戻し
もみじのような落葉樹は冬の休眠期に樹形を整えるための剪定を行います。休眠期以外に伸びすぎた枝を切り戻すのは6月頃までに行います。夏はもみじにとって生長期であり、この時期に大きく剪定を行うと樹木に負担をかけることになります。
ミモザの切り戻し
ミモザの剪定は春、花が咲き終わったら早めに行います。ミモザは花が終わるとすぐに翌年の花芽の準備に入るので、早めに剪定しましょう。徒長枝や伸びすぎた枝を切り戻す作業も夏前には済ませましょう。
植物の花数や収穫を増やすだけでなく、草姿を整えるためにも有効な切り戻し。植物と上手に付き合っていくために使いこなしたいテクニックです。切り戻しをすると、本当に生まれ変わったように植物が元気になるから不思議です。切り戻しをマスターしてもっとガーデニングを楽しんでください。
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