寒肥とは?庭木への肥料のやり方や時期、お礼肥との違い

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山田智美

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「寒肥って何?」という疑問にお答えします。読み方、意味、やり方、時期、鉢植えの寒肥、お礼肥との違い、おすすめの肥料や施したい庭木など、詳しく紹介します。

目次

寒肥とは?読み方と意味

寒肥とは?読み方と意味

寒肥とは、文字通り寒い時期に庭木に施す肥料のこと。読み方は「かんごえ」です。「かんぴ」と読まれることもあります。

寒肥は冬に休眠する果樹や花木に施すもの。常緑樹には施しません。一般的にゆっくり分解されて、緩やかに土に吸収されていく有機質肥料を使用します。

寒肥を施す意味

寒肥を施すのは、翌春以降の生育に向けたエネルギー補給のため。

庭木は同じ土で何年も生育をするので、土の中の養分が減り、生育が悪くなってしまう心配があります。これを補うために施すのが寒肥です。

落葉樹は冬の間、葉を落として休眠します。休眠中はもちろん根も休んでいます。この時期にゆっくりと馴染んでいく肥料を施しておけば、春に根が目覚めて活動を始めた時に吸収して力強く生育する糧となります。

特に果樹や花木は花を咲かせ、果実を実らせるために、たくさんのエネルギーを使います。寒肥はその後の生育に影響するので、できるだけ施したい肥料です。

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お礼肥とは?寒肥との違い

お礼肥とは?寒肥との違い

お礼肥とは

お礼肥とは、果樹や花木に施す肥料のこと。「おれいごえ」と読みます。

果実の収穫後や開花後にエネルギーの消耗を抑え、翌年に供えてもらおうという目的で施します。季節に決まりはありません。それぞれの樹木の収穫後や開花後です。

寒肥とお礼肥の違い

寒肥とお礼肥は、時期と目的が違います。寒肥は、次の春に向けてのエネルギー補給であり、冬に施すものです。お礼肥は、樹木の回復のためのエネルギー補給であり、季節に決まりはありません。

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寒肥の時期

寒肥の時期

寒肥を施す時期は、11月~2月が良いと言われています。理由は、落葉樹が休眠している時期に施して、翌春までにゆっくりと分解され吸収されていくのを待つためです。春になって芽吹く直前に与えても分解されず、寒肥としての役割を果たせなくなってしまいます。積雪する地域では、雪の前か後で問題ありません。

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寒肥のやり方

寒肥のやり方

寒肥のやり方は、2通りあります。株の周囲に大きく円を描くようにぐるっと穴を掘る方法、あるいは株の周囲に数か所穴を掘る方法です。円を描くように1周掘るのは大変なので、数か所穴を掘る方法で問題ありません。どちらも深く掘る必要はありません。5~10cm程度の深さで十分です。

掘る場所は、吸収されやすいように根の先端に当たる位置。樹木の根は多くの場合、枝と同じように広がっています。枝先を見て、おおよその根の先端の位置を決めたら、そこに穴を掘って肥料を入れます。土をかけて馴染ませたら出来上がりです。時間をかけてゆっくりと分解され馴染んでいきます。

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寒肥におすすめの肥料

寒肥におすすめの肥料

寒肥におすすめの肥料は、有機質肥料です。有機質肥料とは、植物や動物由来の肥料。土の中の微生物に分解されてふかふかの肥沃な土壌を作ってくれるなど、長く緩やかな効果が期待できます。

油かす

油かすは、植物性油を作った後の搾りかすからできた肥料。菜種や大豆などが原料とされています。窒素、リン酸、カリウムを含みます。固形と粉末があるので使いやすい方を選びましょう。

鶏糞(けいふん)

鶏糞は、鶏の糞からできた肥料。発酵、乾燥させて作られています。植物の生育に必須と言われる窒素、リン酸、カリウムの他にマグネシウム、カルシウム、マンガンなどを含みます。特有の臭いがあります。

骨粉(こっぷん)

骨粉は、家畜の骨からできた肥料。鶏や牛、豚などの骨を乾燥させて作られています。リン酸と窒素を含みます。特に開花や結実を促すリン酸が多いのが特徴です。

化成肥料(化学肥料)は寒肥に向かない?

化成肥料は寒肥には向きません。

化成肥料とは、天然成分から抽出あるいは合成された肥料で、含有濃度が正確です。即効性のものと緩効性のものがあります。有機質肥料に比べて早く効果が出るのが特徴です。

寒肥はゆっくりと時間をかけて馴染ませることが目的なので、早く効く化成肥料は不向きです。また、休眠期の休んでいる根には負担がかかってしまう心配もあります。化成肥料を使うなら、根が活発に活動している生育期に施しましょう。

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鉢植えへの寒肥は?

鉢植えへの寒肥は?

鉢植えには寒肥は必要ありません。地植えと鉢植えでは生育条件が違うので、同じような効果は期待できません。絶対に施してはいけないということはありませんが、他の効果的な方法を選択した方が良策です。

鉢植えには、秋に土壌改良剤を混ぜ込むか、春になって芽吹き始めてから緩効性肥料を施すとよいでしょう。

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寒肥を施す庭木の例

寒肥を施す庭木の例

庭木の中でも果樹や花木は、花や果実を付けるためにたくさんのエネルギーを必要とします。寒肥を施したい代表的な庭木を紹介します。

果樹

ウメ(梅)

梅は、花も実も楽しめる庭木。花を観賞する花梅も、果実の収穫を目的とする実梅も寒肥を施すようにしましょう。果実の収穫後のお礼肥も忘れないようにしてください。

カリン(花梨)

カリンは、生食には不向きですが果実酒などにして楽しめる果樹。2月くらいまでに寒肥を施しましょう。

サクランボ

サクランボは、果実を収穫する種類のサクラです。2月くらいまでに寒肥を施しましょう。果実の収穫後のお礼肥も忘れないようにしてください。

ブラックベリーやラズベリー

ブラックベリーやラズベリーはキイチゴの仲間の果樹。落葉が始まった11月頃から2月くらいまでに寒肥を施しましょう。

ブルーベリー

ブルーベリーは青黒く甘い果実を実らせる果樹。落葉が始まった11月頃から2月くらいまでに寒肥を施しましょう。

花木

サクラ

サクラは、日本の春を代表する花木。翌春にたくさんの花を楽しむためにも落葉期の寒肥は大切です。

ネムノキ

ネムノキは、ピンク色の羽毛のような花が魅力の花木。冬の寒肥に加えて、開花後にお礼肥えも与えるようにしましょう。

ハナミズキ

ハナミズキは、春の花、初夏の新緑、秋の紅葉と果実と、四季を通じて観賞できる花木です。冬の寒肥に加えて、花後にお礼肥も与えるようにしましょう。

バラ

バラは、花の女王とも言われる豪華な花木。冬の寒肥に加えて、春からの生育期にも緩効性肥料を与えるようにしましょう。

フジ(藤)

フジは、美しい花穂を垂れ下げるように咲かせるつる性の花木。たくさんの花を楽しむためにも落葉期に寒肥を施しましょう。

モクレン、ハクモクレン、コブシ

モクレンやハクモクレン、コブシは初春に香りの良い花を咲かせる花木。11月頃から2月くらいまでに寒肥を施しましょう。

 

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寒肥は、庭木を健やかに育てるために必要な肥料です。ゆっくりと効いていくので、根への負担も少なくすみます。毎年たくさんの花や果実を楽しめるように、適切に肥料を施すようにしましょう。

 

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植物が好きで好きで、植栽設計、ガーデナー、生花店勤務を経て現在は、フリーランスの花屋「花や蜜」として活動中。「てのひらに森を」がテーマの花屋です。森の中にいるような、見ているだけで力が抜けていくようなお花を作り続けたいと思ってます。街中で突然お花を配る、「花ゲリラ棘」というゲリラ的花配り活動も不定期決行しています。

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