育ててワクワクたのしいエディブルガーデン|5月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
家庭菜園を始めようとしているみなさんと今年も一緒に楽しいエディブルガーデン作りを始めましょう。
目次
家庭菜園〜5月の作業
エディブルガーデンの5月の作業のポイントは「摘心」と日頃の「お手入れ」。
みなさんが野菜の種や苗を買ってきて育てても、思ったよりも収穫量が少なかったり、楽しみにしていたスイカなど実が甘くなかったり…そんな経験がありませんでしたか?もしかして、「摘芯」をしなかったせいかもしれませんね。
野菜作りをしていると、この「摘芯」という言葉がよく出てきます。なんだか面倒くさそうだなあと思って「摘芯」をせずに育てていた方へ、栽培を成功させるために「摘芯」の技を獲得していきましょう!
摘芯とは?
植物は種をまいてから芽が出ると、頂芽優勢といって植物の先端部分がぐんぐん生長します。この先端部分を切り取ることを「摘芯」といいます。この摘芯をすることで野菜の収穫量を増やしたり、果菜類の実を充実させることができるんです。
摘芯の目的と結果
摘芯をすることで葉物野菜やハーブ、果菜類などの生長に大きな影響を与えることができるのですが、それぞれどんな理由から摘芯をするのでしょうか。
葉菜類・ハーブ類
目的:わき芽の生長を促すため。
結果:わき芽が増えたことで収穫する部分も増える。
果菜類
目的:果菜類の実を充実させるため。
結果:余分な栄養を茎葉に与えないことで、実が大きく甘くなる。
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収穫増量・実を充実させる摘芯方法
実際に葉菜類やハーブ、果菜類の摘芯はどのようにするのか、人気のハーブ「バジル」と春夏野菜の代表格「トマト」を例に葉菜類・ハーブ類と果菜類の摘芯について具体的にご紹介します。
葉菜類・ハーブ類
葉菜類とハーブ類は(植物の性質や育ち方にもよります)、主に3~5節目くらいで主枝を摘芯します。
バジルの摘芯
illustration:小野寺 葉月
バジルが20cm以上生長したら2~3節目で摘芯します(もちろん3~5節目で摘芯してもOK!)。
illustration:小野寺 葉月
・バジルの収穫をかねたわき芽の摘芯
1枚ずつ葉を収穫するか混みあった部分を茎ごと摘芯収穫します。
イメージとして、次から次へと生長してくる新芽の生育を促すように摘芯収穫していきましょう。
illustration:小野寺 葉月
・バジルの摘花・摘蕾
葉菜類・ハーブ類は花が咲いてしまうと茎葉が固くなり、種をつけて枯れてしまいます。長く収穫できるようにバジルの花や蕾は、苗の衰えを防ぐためにも取り除きましょう。
果菜類〜トマトの摘芯
実を充実させるために余計な茎葉を増やさないように主枝を摘芯したり、わき芽を取り除いたりします。
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illustration:小野寺 葉月
主枝が支柱の高さくらいになったら、上の葉を2枚残して摘芯しましょう。
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実を充実させるトマトの摘果
大玉トマトは大きく実を充実させるために、形の悪い実や小さな実を切り取り、目安として1房に4~5個に抑えます。
摘果とは?
illustration:小野寺 葉月
トマトの着果個数を制限することで、充実した実を育て、苗の衰えを防ぎます。
作物により異なる「水やり・追肥・病害虫」のポイント
作物が好む環境に植え付けた後は、その作物が好む水と肥料を与え、病害虫を早期発見し対処することで、作物はすくすく生長してくれます。
水やりのポイント
作物が水を好むか好まないかで、水やりの回数や量は異なります。水やりもただ水をやればよいというわけではありません。メリハリが大切です。水を与えるときは、水分だけでなく新鮮な空気も与える気持ちで、鉢底から水が出てくるくらいしっかり与えましょう。
また、春から夏にかけて梅雨の時期をはさみ、その後気温がグングン上がる春夏栽培の水を与える時間について悩むことはありませんか?
梅雨前
春から梅雨前の水やりは基本的に午前中に水を与えます。日中気温が上がり、作物は水分を吸収・蒸散活動をします。
梅雨時期
梅雨時期は水分量が多いため、水やりよりも作物が蒸れないように気を付けなければなりません。密植状態の環境に置かれている作物は、梅雨時期に入る前に適度に茎葉を切り取っておきましょう。
また、作物が病気になるのは雨による泥はねが最大の原因です。畑で栽培している場合は敷きわらなどで泥ははねを防止します。プランター栽培の方は、バーク堆肥などの土壌改良材を敷いて泥はねを予防すると良いでしょう。
高温期
最難関の真夏の高温期の水やりは、気温が高くなる昼間の水やりは控えましょう。水を与えることで土が高温になり、かえって根を痛めてしまいます。水やりは、気温が上がる前の朝方と、気温が落ち着く夕方にしましょう。
追肥のポイント
育てる作物によって、適切な追肥の時期は異なります。肥料を多く与えすぎることで逆に作物が弱ってしまったり、「つるボケ」といって、いつまでも実を付けることなく葉ばかり茂ってしまうこともあります。そのため、肥料は作物ごとに与える量とタイミングが大切になります。
肥料が大好きな野菜の代表はナスです。特にナスの肥料は忘れないように気を付けましょう。反対に肥料が多すぎると実が大きくならない野菜の代表はサツマイモです。サツマイモは乾燥に強く、やせた土地でも良く育つ救荒食として多くの人を飢餓から救った作物としても有名です。江戸時代八代将軍・徳川吉宗時代の儒学者として知られていた甘藷(かんしょ)先生こと青木昆陽が江戸の人々をサツマイモで救ったことが有名ですね(甘蔗はサツマイモの意味)。
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病害虫のポイント
プチヴェール の葉を食害するアオムシ
作物ごとにつきやすい害虫やかかりやすい病気は異なります。作物ごとの病害虫の発生しやすい時期や状況を知ることで、早期に発見・対処することができるため、トラブルが起きても被害を小さいうちに抑えることできます。
▼害虫を発見するポイントはコチラ
ちなみに大きくなったらモンシロチョウになるアオムシは、カブ、大根、チンゲンサイ、白菜、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を好んで食害します。アブラナ科の野菜の葉の上のフンを見つけたら、葉の上、茎などにいるモンシロチョウの幼虫のアオムシを探して捕殺しましょう。
アオムシの仲間のアゲハやキアゲハの幼虫は、セリ科のハーブや野菜、例えばイタリアンパセリやニンジンなどを好んで食害します。同じようなアオムシ達なのに、野菜の好き嫌いがはっきりしているんですね。
病害虫の予防
病害虫については日頃からニームや木酢液などを希釈したスプレーをかけて予防を心がけることも大切です。スプレーすることで、病害虫を防ぐだけでなく葉に栄養も与えることができます。スプレー後希釈液が余ったら、土にそのまま与えても肥料代わりとなりますで、いいことづくめですね。
夏の定番トマト・キュウリ・ナスのお手入れ
次は、代表的な春夏野菜の「トマト」「キュウリ」「ナス」で具体的な日頃のお手入れについてご紹介します。
トマト
トマト栽培の醍醐味は完熟トマトの収穫です。トマトの育て方のコツをつかんで、家庭菜園でも甘みと旨味が凝縮した最高のトマトを育てましょう。
トマトの水やり
トマトは横にも縦にも根を張るので、あまり頻繁に水を与えると深くまで根が生長しません。しっかりと土に根を張らせるためにも、水の与えすぎには注意しましょう。
根張りを促進させる以外にも、トマトは水を少なめにした方が甘くなるといわれています。萎れない程度の控えめな水やりで甘いトマトを作りましょう。
トマトは雨が当たってしまうと実が割れてしまったり、病気になりやすい傾向があります。梅雨のシーズンは軒下に移動するなどして、出来るだけ雨が当たらないようにしてあげましょう。
トマトの肥料
作物に対して肥料が多すぎると、つるボケといって、葉ばかり茂って実がなかなか付かなくなります。トマトの追肥のタイミングは、トマトの実がピンポン玉くらいになった時からスタートし、その後2週間おきに追肥をしましょう。
トマトの病害虫
トマト・ミニトマトのヘタの近くに穴が1~2個でき、周りにフンがついているときは、オオタバコガ、タバコガの仕業です。オオタバコガとタバコガは、実の内部を食害するため小さな5mmほどの穴を見つけたらトマトの中に潜んでいる可能性大です。
小さい穴が1つなら、まだ果実の中にオオタバコガ、タバコガがいるかもしれません。
小さい穴が2つなら、もう別の果実を食害しているに違いありません。早急に穴が空いた果実がないか、確認しましょう。
キュウリ
夏野菜の収穫のトップバッターはキュウリです。じつは育て方によって、まっすぐなキュウリや曲がりキュウリができるんです。
キュウリの水やり
キュウリはお水を好む性質があります。キュウリの実は1日で3cm前後生育する作物です。キュウリの収穫時期である6月以降から真夏の高温期の水やりは、特に乾燥させないように管理しましょう。
キュウリの追肥
キュウリの苗に肥料が足りているか、足りていないかの見分け方をご存知ですか?
曲がりキュウリ→肥料が足りない、または水が足りない。
こんなふうに、キュウリが曲がっているかどうかなどの生育の状況から、肥料や水が足りないということを見分けることができます。
キュウリの病気
キュウリの病気で圧倒的に多いのは、うどん粉病です。日当たりが悪く風通しの悪い環境で乾燥すると発生しやすいため注意が必要です。その他の要因として、一気にキュウリに肥料を与え過ぎてもうどん粉病にかかりやすくなってしまいます。キュウリの肥料は一気に与えず控えめに施し、植え付けから2週間ごとの追肥を心がけましょう。
万が一発生してしまったら、重曹を500倍程度に希釈し葉にスプレーします。濃度が濃すぎると逆に葉を痛めてしまいますので注意しましょう。うどん粉病が全体に広がってしまう前に、この希釈した重曹水で洗い流すようにスプレーしましょう。
▼重曹スプレーの作り方ならコチラ
キュウリの害虫
キュウリの害虫で最初に穴が空き、その周りが少しずつ枯れていく様子です。8月に入りウリ科の野菜にこのような葉の食害を見つけたら、おそらくウリハムシの仕業です。
このようにウリハムシの食害を受けると、次第に葉がボロボロになっていきます。家庭菜園で育てている場合は見つけ次第捕殺することで、被害はいくぶんか収まります。
ナス
艶々のナスって見ているだけでおいしそうですよね。意外な気もしますが、ナスには水分が多く含まれていて夏野菜の中でも、特に水やりと追肥が欠かせない野菜です。
ナスの水やり
ナスはお水を好む性質があります。日頃から乾燥させないように管理しましょう。
ナスがかかりやすい病害虫のハダニは乾燥すると発生しやすいため、水やりの際葉水を与えることでかなり防ぐことができます。
ナスの追肥
ナスは、とても肥料を好む野菜です。植え付けた2週間後から追肥を始めましょう。
ナスは7月下旬ごろから更新剪定をして、秋まで長い間収穫することができる作物です。忘れずに肥料を与えて、長く育てましょう。
ナスの病害虫
ある害虫の被害に合ったナスの葉は、こんなふうに茶褐色の網の目状の跡が残ります。
その犯人はニジュウヤホシテントウ、又はテントウムシダマシといわれる虫で、ナスの病害虫の代表格です。上の画像でも大好物のナスの葉を食べているところのようですね。
多数のとげがあるニジュウヤシテントウの幼虫も、成虫と同じように葉を食害しますので、見つけ次第捕殺しましょう。
▼そのテントウムシは良い虫?悪い虫?
いかがでしたか?
3~4月に種をまいた作物は、間引きをしたり、摘芯したり、お手入れがだんだん忙しくなり、4月末から5月に植え付けた苗は、毎日のお手入れでグングン生長します。楽しい収穫に向けて頑張ってお手入れしていきましょう!
▼その他の主な春夏野菜のお手入れ方法はコチラ
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