毒のある花や植物|身近にある有毒植物一覧
山田智美
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毒のある植物を23種紹介します。身近な場所で見られるもの、食べてはいけないものや誤食の注意点、花が美しいもの、日本ではあまり見ることのできない海外のものなど。毒のある植物がわかっていれば安心です。
目次
毒のある植物とは
毒のある植物、有毒植物とは、人間や動物の健康や生命に害を有する成分を持った植物のことです。触れたり、食べたりすることで、具合が悪くなり、最悪の場合は命に危険が及ぶようなこともあります。
ただし、これらの成分は人間にとっては毒であっても、植物にとっては自らの生命維持のためなどに必要なものだと理解しておきましょう。
毒のある植物は決して恐ろしく危険なものばかりではありません。美しい花を育てて、楽しむのは自由です。毒性や扱い方を理解しておけば問題なく付き合えます。
日本で見られる、身近にある毒のある植物5種
日本の身近な場所で見られる毒のある植物を、花言葉とともに紹介します。
スズラン(鈴蘭)
- 学名:Convallaria majalis
- 科名:キジカクシ科
- 花言葉:再び幸せが訪れる、純粋
スズラン(鈴蘭)の毒性
春に香りの良い真白な花を咲かせるスズラン(鈴蘭)。
このかわいらしい花は全草に毒を持っています。有毒成分はコンバラトキシンなど、強心作用のあるもの。
過去にはスズラン(鈴蘭)の切り花が生けてあったコップの水を飲んだ子供の死亡例もあります。注意すべきはスズラン(鈴蘭)を口にしないことです。眺めて、香りを楽しむ分には何の問題もありません。
アジサイ
- 学名:Hydrangea
- 科名:アジサイ科
- 花言葉:一家団欒、冷酷
アジサイの毒性
アジサイの毒性ははっきりわかっていません。ただし、アジサイの葉を食べて中毒症状を起こしたとされる事故が発生しています。飲食店で料理の皿に飾りとして添えられていたアジサイの葉を食べたことが原因だそうです。
アジサイの葉は大葉に少し似ています。誤食や飾りつけに使用しないように注意してください。
キョウチクトウ(夾竹桃)
- 学名:Nerium oleander
- 科名:キョウチクトウ科
- 花言葉:注意、危険、用心
キョウチクトウ(夾竹桃)の毒性
夏になると高木に色鮮やかな花を咲かせるキョウチクトウ(夾竹桃)。強健な植物で、庭木の他、公園や街路樹などにも多用されています。
キョウチクトウ(夾竹桃)は花を含む樹木全体にオレアンドリンという強い毒を持っています。海外では、バーベキューでキョウチクトウ(夾竹桃)の枝を串代わりに使用し、中毒症状を起こした事例もあります。眺めて楽しむだけにしておきましょう。
ダチュラ(チョウセンアサガオ)
- 学名:Datura
- 科名:ナス科
- 花言葉:偽りの魅力
ダチュラ(チョウセンアサガオ)の毒性
ダチュラ(チョウセンアサガオ)は昔に薬草として渡ってきたもので、現在は園芸植物として栽培されています。ダチュラ(チョウセンアサガオ)の毒性はトロパンアルカロイドなど。食べると強い中毒症状を起こします。
ダチュラ(チョウセンアサガオ)は実がオクラに、根はゴボウに似ているという理由で、間違って食べてしまうことがあるようです。中毒症状の事例があるので、間違って食べることのないように気をつけてください。
クリスマスローズ
- 学名:Helleborus
- 科名:キンポウゲ科
- 花言葉:いたわり、慰め、追憶、私を忘れないで
クリスマスローズの毒性
クリスマスローズは冬から早春に可憐な花を咲かせる植物。冬のガーデニングの強い味方です。クリスマスローズはヘレボレインを始めとする有毒成分を持っています。全草に毒があり、特に強いのは根です。
クリスマスローズの毒は口にしなければ問題ないので、植え替え等で神経質になる必要はないでしょう。気になる場合は手袋をして作業してください。
誤食に注意!食べちゃいけない毒のある植物9種
スイセン(水仙)
- 学名:Narcissus
- 科名:ヒガンバナ科
- 花言葉:自己愛、神秘
スイセン(水仙)の毒性
スイセン(水仙)は冬から春に香りの良い花を咲かせる球根植物。庭や公園など様々な場所に植えられています。
スイセン(水仙)は全草にリコリンなどの有毒成分を含みます。花が咲いていないときの水仙の葉をニラや、球根を玉ねぎと間違えて誤食し、中毒症状を起こした事例が多くあります。花と香りを楽しむだけにしましょう。
スノーフレーク
- 学名:Leucojum aestivum
- 科名:ヒガンバナ科
- 花言葉:純潔、汚れなき心
スノーフレークの毒性
スノーフレークは春に白い花を咲かせる球根植物。スノーフレークの毒性はリコリンなどです。スイセン(水仙)と同じく花が咲いていない時期にニラと間違えて食べてしまうケースがあるようです。ニラとスイセン(水仙)やスノーフレークを近くに植えないようにしましょう。
フクジュソウ(福寿草)
- 学名:Adonis amurensis
- 科名:キンポウゲ科
- 花言葉:幸せを招く、永久の幸福
フクジュソウ(福寿草)の毒性
フクジュソウ(福寿草)は春に黄色い花を咲かせる多年草。フクジュソウ(福寿草)にはシマリンなどの有毒成分が含まれます。特に早春のフクジュソウ(福寿草)の新芽をフキノトウと間違えての誤食の心配があります。むやみに食べないようにしましょう。
コンフリー
- 学名:Symphytum officinale
- 科名:ムラサキ科
- 花言葉:保護、修復、安全
コンフリーの毒性
コンフリーはムラサキ科の多年草。淡紫色の花を咲かせるハーブです。
以前は健康に良いとされ、健康食品に使用されたり、コンフリーの花を天ぷらにして食べたりしていた時期もありました。現在ではコンフリーには若干の毒があり、健康被害が生じるおそれがあることから、厚生労働省では摂取を控えるように促しています。誤食ではありませんが、食べないようにしましょう。
グロリオサ
- 学名:Gloriosa
- 科名:イヌサフラン科
- 花言葉:栄光、勇敢
グロリオサの毒性
グロリオサは独特のフォルムが美しく、切り花として人気の植物。
全草にコルヒチンという有毒成分を含みます。グロリオサの球根が山芋に似ていることから誤食による中毒症状の事例があります。切り花や観賞目的で楽しむ分には問題ありません。
シキミ
- 学名:Illicium anisatum
- 科名:マツブサ科
- 花言葉:猛毒、援助、甘い誘惑
シキミの毒性
シキミはマツブサ科の常緑高木。秋に実る果実はスパイスの八角(スターアニス)に似ています。
シキミは花や葉から根まで全草にアニサチンなどの有毒成分を含みます。特に八角(スターアニス)に似ている果実は猛毒とされていますので、誤食に注意してください。シキミは庭木、公園、神社やお寺に植えてあることがあります。むやみに摘んで食べないようにしましょう。
コルチカム(イヌサフラン)
- 学名:Colchicum autumnale
- 科名:イヌサフラン科
- 花言葉:私の最良の日々は過ぎ去った、危険な美しさ
コルチカム(イヌサフラン)の毒性
イヌサフランは秋にサフランに似た淡紫色の花を咲かせる球根植物。
花が咲いていない葉をギョウジャニンニクなどと間違えたり、球根を食べてしまったりして中毒症状を起こした事例があります。食用となるものの近くに植えないようにしましょう。
ヨウシュヤマゴボウ
- 学名:Phytolacca decandra
- 科名:ヤマゴボウ科
- 花言葉:野生、元気、内縁の妻
ヨウシュヤマゴボウの毒性
ヨウシュヤマゴボウは秋に黒いブドウのような果実をつける多年草。雑草としてあちこちに生えているのを見かけます。
ヨウシュヤマゴボウは根と果実にサポニンなどの有毒成分を含みます。漬物として販売されている「ヤマゴボウ」は、モリアザミの根です。モリアザミの根と誤解して食べた結果中毒症状を起こした事例があります。ヨウシュヤマゴボウは食用にはなりません。
ヒガンバナ
- 学名:Lycoris
- 科名:ヒガンバナ科
- 花言葉:あきらめ、独立
ヒガンバナの毒性
ヒガンバナは秋に印象的な花を咲かせる球根植物。
全草に有毒成分であるリコリンが含まれます。花の後に出てくる葉はニラと間違えやすいので、誤食に注意してください。
花が美しい毒のある植物7種
ジキタリス
- 学名:Digitalis
- 科名:ゴマノハグサ科
- 花言葉:不誠実、隠されぬ愛
ジキタリスの毒性
ジキタリスはキツネノテブクロという愛らしい和名を持つ二年草。春にすっと伸びた茎に縦に連なるように花を咲かせます。
ジキタリスはジキトキシンなどの有毒成分を含みます。ジキタリスの毒は猛毒で、強い中毒症状、最悪の場合は死に至ることもあると言われています。花を観賞したり、育てたりして楽しむようにしましょう。
トリカブト
- 学名:Aconitum
- 科名:キンポウゲ科
- 花言葉:騎士道、栄光
トリカブトの毒性
トリカブトは秋に紫色の独特のフォルムの花を咲かせるキンポウゲ科の多年草。
トリカブトは根のアコニチンを始め、全草に有毒成分を含みます。トリカブトの毒は食べたり、飲んだりしなければ問題ありません。
キケマン
- 学名:Corydalis heterocarpa var. japonica
- 科名:ケシ科
- 花言葉:祈りある生活
キケマンの毒性
キケマンは春に黄色の花を咲かせる越年草。葉茎を傷つけると独特の臭いがします。
全草にアルカロイドを含む毒草です。花を観賞するだけにしておきましょう。
ムラサキケマン
- 学名:Corydalis incisa
- 科名:ケシ科
- 花言葉:喜び、あなたの助けになる
ムラサキケマンの毒性
ムラサキケマンは春に紫色の花を咲かせるケシ科の越年草。
キケマンと同じく全草に有毒のアルカロイドを含みます。ムラサキケマンの毒は口に入れなければ問題ありません。
カロライナジャスミン
- 学名:Gelsemium sempervirens
- 科名:ゲルセミウム科
- 花言葉:素直、気立てのよさ、甘い囁き
カロライナジャスミンの毒性
カロライナジャスミンは春に香りの良い花を咲かせるつる植物。明るい黄色と香りの良さが人気で、庭や公園など様々な場所に植栽されています。
このカロライナジャスミンは全草に有毒のアルカロイドを含んでいます。ジャスミンと名前につきますが、ジャスミン茶のジャスミンとはまったくの別種。カロライナジャスミンを飲用するようなことはしないでください。かわいらしい花と香りを楽しむ植物です。
エンジェルストランペット
- 学名:Brugmansia
- 科名:ナス科
- 花言葉:愛敬、愛嬌
エンジェルストランペットの毒性
エンジェルストランペットはキダチチョウセンアサガオという和名もある、ナス科の花木。ラッパ上の大きな香りの良い花を咲かせます。
エンジェルストランペットはダチュラと同じ、有毒のアルカロイドを全草に含んでいます。エンジェルストランペットを口に入れないようにしてください。手入れの際に気になるようであれば、手袋を着用してください。
キキョウ
- 学名:Platycodon grandiflorus
- 科名:キキョウ科
- 花言葉:永遠の愛、変わらぬ愛、気品、誠実
キキョウの毒性
キキョウは秋に青紫色の花を咲かせる多年草。秋の七草に数えられる和の花ですが、絶滅危惧種に指定されています。
キキョウは全草にサポニンなどの有毒成分を含みます。むやみに食用にしないようにしましょう。
世界の毒のある植物2種
マンドレイク
- 学名:Mandragora officinarum
- 科名:ナス科
- 花言葉:珍しいこと、希少性、恐怖
マンドレイクの毒性
マンドレイクはヒマラヤから中国を原産とするナス科の多年草。聖書や伝承に多く登場する架空の植物のように思われていますが実在します。
実際のマンドレイクは、グリーンの葉をロゼット状に広げ、その中心から複数の花を咲かせます。引き抜いても悲鳴も上げなければ、根も人間の形はしていません。
マンドレイクは有毒成分であるアルカロイドを含みます。昔はマンドレイクを媚薬としたり、魔女や錬金術師と結び付けられていたようです。
ベラドンナ
- 学名:Atropa belladonna
- 科名:ナス科
- 花言葉:虚偽、静けさ、孤独、沈黙、警告
ベラドンナの毒性
ベラドンナは紫色の花を咲かせるナス科の多年草。「ベラ・ドンナ」とはイタリア語で美しい女性を意味します。
その昔、瞳を大きく輝かせて見せるためにベラドンナの抽出液を目に塗ったことが由来とされています。ベラドンナはアトロピンなどの有毒成分を含有しています。間違っても目に塗ったりしないでください。
毒のある植物と一口に言っても、食用にしなければ人体に害をなすことはありません。ケガをしているときは手袋するなどの注意をすれば、ガーデニングだってできます。
植物の持つ個性を理解して、見て、触れて、香りを楽しんで、上手に付き合っていきましょう。
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