イングリッシュガーデンとは?デザインや作り方、おすすめ植物30種

山田智美
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イングリッシュガーデンを自宅で作ってみませんか?イングリッシュガーデンの起源やタイプ、デザインや作り方をお話します。さらにイングリッシュガーデンにおすすめの植物を30種類紹介します。
目次
- イングリッシュガーデンとは?
- イングリッシュガーデンのタイプ
- イングリッシュガーデンによく使われる用語
- イングリッシュガーデンのデザイン
- イングリッシュガーデンの作り方
- ベランダでできるイングリッシュガーデン
- イングリッシュガーデンに欠かせない花11種
- イングリッシュガーデンにおすすめの宿根草4種
- イングリッシュガーデンにおすすめの庭木5種
- イングリッシュガーデンにおすすめの香りの良い花5種
イングリッシュガーデンとは?
イングリッシュガーデンとは、グリーンをたくさん使った自然の景色そのもののような庭のこと。イングリッシュガーデン(English garden)は、直訳すると英国式庭園、英国式庭園は風景式庭園とも呼ばれます。言葉の通り、風景画のように木々が風に揺れ、水が流れ、花が咲き誇る、自然あふれる庭園です。
ヨーロッパの庭の起源
ルネッサンスの頃にイタリアで、傾斜や噴水、トピアリーを使った整形された美しさが特徴のイタリア式庭園ができました。
17世紀になって、さらに平坦で花壇がシンメトリー(左右対称)に整えられたフランス式庭園ができました。
そして18世紀に入り、イギリスでグリーンをたくさん使った風景式庭園が作られるようになりました。その後19世紀に入ってから、農家などの小さな庭で自分たちが楽しむためのコテージガーデンが作られるようになりました
現在のイングリッシュガーデンは?
現在のイングリッシュガーデンは、風景式庭園からコテージガーデンまで、自然美を特徴とした庭を指します。風景式庭園のように、お城やお屋敷があり、川や池などの水、高木や低木と咲き乱れる花といった風景画のような庭園から、自宅で楽しむグリーン溢れる庭までイングリッシュガーデンと呼んでいます。
イングリッシュガーデンのタイプ
イングリッシュガーデンは、全体が美しい眺めとして調和されていることが大切です。庭のスペース、建物との調和を考えるためにもタイプを知っておきましょう。
インフォーマルガーデン
インフォーマルガーデンは、フォーマルガーデンの反対にあるスタイルです。自然の景色と調和するような庭、野趣あふれる庭を指します。
インフォーマルガーデンでは人工的なマテリアルを避け、木材やアンティークレンガなどを使って自然に溶け込んでゆくように意識します。
コテージガーデン
コテージ(cottage)とは、小屋や田舎家を意味する単語です。コテージガーデンはその名の通り田舎家の小さな庭のような、植物溢れる庭のイメージです。
コテージガーデンには、果樹や花、ハーブなどが色彩溢れるように植えられています。親密で心地よいクローズドな空間、新しいものと古いものの調和がとれた庭です。
ボーダーガーデン
ボーダーガーデンは、イングリッシュガーデンの代表的なスタイル。植物を背の高いものから低いものへと高低差をつけて、帯のように植えていく手法です。狭いスペースでも奥行きと自然感を演出できます。
イングリッシュガーデンによく使われる用語
イングリッシュガーデンを作る際によく使われる用語を説明しましょう。
フォーカルポイント
フォーカルポイント(Focal point)は、日本語に訳すと焦点。庭の中で一番目線を集める場所を意味します。この場所にシンボルツリーや印象的な要素のものを配置します。
グランドカバー
グランドカバーあるいはグラウンドカバーは、地表を覆い隠す要素のことです。グランドカバープランツで代表的なものは、芝生やクローバーなど。表土がむき出しになっている状態よりも柔らかな印象になります。また、雑草対策としてグランドカバープランツを植えることもあります。
シェード
シェードとは日陰のことです。庭に設置する日除けを指して、シェードと呼ぶことがあります。また、日が当たりにくい庭をシェードガーデンと呼ぶこともあります。
イングリッシュガーデンのデザイン
イングリッシュガーデンをデザインする際の注意点です。
レイアウト
庭を作る前にレイアウトきちんと計画しておくことはとても重要です。デザインのほとんどはここで決まります。レイアウトは平面で行いましょう。
上空から庭を見たような気持ちになって、どこに何を植えるか、どんな風に配置するかを考えます。
縦の要素
平面でのレイアウトと同時に縦の要素も重要です。手前に背の高い樹木を植えてしまうと、奥の植物たちが見えなくなってしまいます。
高木の足元には背の低い草花を植えたり、草花の中でも高低差をつけるようにしたり、景色が平坦にならないように工夫をしましょう。
イングリッシュガーデンの作り方
実際に植物を植えて、イングリッシュガーデンを作りましょう。
日当たりを確認
日当たりは、植物にとって、とても重要です。強い陽射しが一日中当たるのか、午前か午後のどちらかしか日が当たらないのか、落葉樹の下などで秋から春までは日当たりが良くなるのかなどを確認しましょう。
植物によって日当たりの好みは違います。それぞれの特性に合った場所に植え付けるようにしましょう。
生長を想像する
植え付ける前に植物の生長した姿を想像しましょう。購入時には小さな苗でも、生長すると大きくなる植物もあります。
植え付け時の華やかさばかり意識してしまうと、生長してから窮屈になることもあります。
一年草と多年草の違いを知る
植物には、大きく分けて一年草と多年草があります。一年草は、花を咲かせて一年で枯れてしまう植物です。知らずに育てて「枯れてしまった!」とならないように、植え付け前に確認しましょう。
何年も育て続ける多年草と、毎年植え替える一年草を上手に組み合わせることで、飽きのこないイングリッシュガーデンが作れます。
ベランダでできるイングリッシュガーデン
ベランダでも少しの工夫でイングリッシュガーデンの雰囲気を楽しめます。
アンティークのガーデンチェアやレンガを置いたり、使い古した感のあるアイアン素材のフェンスやシェルフを設置して雰囲気を作ることはできます。
鉢植えで育てられる花
ベランダをイングリッシュガーデンにするなら、鉢植えで育てられる植物を選ぶことが重要です。鉢植えで育てられて、イングリッシュガーデンの雰囲気に近づけることのできる植物を一部ですが紹介します。
バラ
バラは地植えでも鉢植えでも育てられます。大きめの鉢にオベリスクをセットしてつるバラを育てるだけで、美しい景色ができあがります。
クレマチス
春咲き種、四季咲き種、冬咲き種など種類が豊富にあるクレマチスは、品種を選べば、鉢植えでも育てられる植物です。フェンスやトレリスに大きく絡ませることができます。
シダ類
放射状に葉を広げるシダは、オーナメントのような役割を果たしてくれる植物です。高さのある鉢に植えこむと独特の雰囲気を演出できます。
ギボウシ
庭植えにするとどんどん大きな株に生長していくギボウシは、鉢植えで管理すれば大きくなり過ぎることもなく、ベランダで楽しめます。イングリッシュガーデンで好まれる植物の一つです。
イングリッシュガーデンに欠かせない花11種
バラ
- 分類:落葉低木
- 花期:4月~5月、9月~10月
イングリッシュガーデンに欠かせない花と言えばバラです。野花のような雰囲気の一重咲きから豪華な八重咲き、オールドローズなどのカップ咲き、色も咲き方も多様です。さらに品種によって香りも違います。
クライミング・ローズ(つるバラ)
- バラ科・バラ属の落葉性の低木・花木で、その多くは葉や茎にトゲを持ちます。樹形からブッシュローズ(木立ち性)、シュラブローズ(半つる性)、クライミング・ローズ(つる性、つるバラ)の3タイプに分けられています。つるバラ(クライミング・ローズ)は茎の節間が長く伸び、支柱に寄りかかって生育するか地面をはう特徴があります。 朝顔のなど他のつる性の植物とは違ってアーチやパーゴラ、ポール、オベリスク、フェンス、トレリスに誘引して育成し、鑑賞します。花は小輪から大輪まであり、咲き方は一季咲きから繰り返し咲き、四季咲きがあります。また花色もさまざまで、香りも品種によって色々あります。枝は品種によって2m〜10m以上になるものもあります。庭や住まいを立体的に演出できる魅力的な薔薇です。
ムスカリ
- 分類:多年草(球根植物)
- 花期:3月~4月
ブドウを逆さにしたようなブルーの花を咲かせる球根植物です。ムスカリの可愛らしさは小さなつぶつぶとした花です。庭植えにしておくと勝手に分球して増えてくれます。
チューリップ
- 分類:多年草(球根植物)
- 花期:4月~5月
春を代表するような花、チューリップ。原種系の野花のような雰囲気のものから、花びらがたっぷりとした豪華な園芸種まで、たくさんの種類があります。
チューリップ
- チューリップは春に花咲く球根植物です。チューリップの球根は直径3cmほどのものが多く、玉ねぎのような形をしています。この球根を地面に植え育てるのです。球根の先はとがっていて、その先端から花茎や葉を伸ばします。花茎の背丈は種類にもよりますが、15cmよりも下のものはありません。おおよそ15cm~60cmのものまでが主に出回っています。花びらの色は皆さんも良くご存知の様に赤、白、黄色をはじめ、ピンク、紫、複色などさまざま。咲き方も、ユリ咲き、パーロット咲き、フリンジ咲き、八重咲きなどいろいろな咲き方があります。チューリップの開花時期は、大きく分けると、早咲き、普通咲き、遅咲きの3時期があります。同じチューリップでも開花の時期がかなり違うので、違う開花時期のものを一緒に寄せ植えすると、開花時期がずれてしまい見栄えが悪いので、鉢植えに植える場合は単一種を植え付ける方が一般的です。 チューリップの育て方で大切なことは 1.よい球根を選ぶこと 2.適切な場所に植えて、適量の水やりをすること 3.寒さに当てること です。
ヒヤシンソイデス(シラーカンパニュラータ)
- 分類:多年草(球根植物)
- 花期:4月~5月
うつむくように咲く姿が美しい、ヒヤシンソイデス。イングリッシュ・ブルーベルと呼ばれる淡いブルーの花が有名ですが、他にヒヤシンソイデスの花色は、白、ピンクなどがあります。
ルピナス
- 分類:一年草(多年草)
- 花期:4月~6月
ノボリフジという和名を持つルピナスは、その名の通り藤を逆さにしたような花を咲かせるマメ科の植物です。草丈1mを越す大きなものから30㎝程度の矮性種まであります。花色は白、ピンク、青紫、紫、黄色などがあります。
ルピナス
- ルピナスは秋に種をまき、翌年または翌々年の春に花を楽しむ一、二年草です。ルピナスの花色は赤、ピンク、オレンジ、黄、青、紫、白など様々。冷涼で乾燥した気候を好むので、蒸し暑い日本ではほんとんどが一年草になりますが、原産地など気候があう場所では多年草とされています。日本でも冷涼な北海道ではルピナスの群生が観光名所となっているも場所もあります。 品種によっては1m以上に育つこともあり、空に向かって長く伸ばした花茎に鈴なりの花をつけます。ルピナスは、藤(ふじ)に似た花が上向きに咲くことから、「ノボリフジ(登り藤)」「サカサフジ(逆さ藤)」の別名もあります。また、葉の形がうちわに似ているので「ハウチワマメ(葉団扇豆)」と呼ばれることも。ルピナスはマメ科の植物なので、花の後は枝豆によく似たサヤが育ちます。同じくマメ科の植物特有の根粒菌を根に付着させているので土壌が肥沃になります。
クレマチス
- 分類:多年草
- 花期:4月~7月、9月~10月、12月~2月
つる植物の女王との異名を持つクレマチスは、花色、咲き方ともバリエーション豊富です。花付きもよく、毎年よく咲いてくれます。春だけ開花する一季咲き、四季咲き、冬咲きなどがあります。
カンパニュラ・パツラ
- 分類:多年草
- 花期:5月~6月
カンパニュラの仲間で、草丈は50㎝以上、群生する姿は美しく見応えがあります。冷涼な気候を好むため、寒冷地向けの植物です。
ジギタリス
- 分類:多年草
- 花期:5月~6月
ジギタリスは、草丈高く50㎝程度から2m近くまで生長するボーダーガーデンに欠かせない花です。釣り鐘型の花を下向きにたくさん咲かせます。花色のバリエーションも豊富で見応えがあります。
ジギタリス
- ジキタリスはイングリッシュガーデンの定番として人気の花です。ベル状の花が穂状についた花穂がすっと伸びて咲く姿は存在感抜群です。ジギタリスはバラと開花時期が同じなので、バラに合わせる草花としてもよく使われます。花の色は紫を中心に、白、ピンク、イエローなどがあり、次々に新色が登場しています。ジギタリスは本来は宿根草ですが、日本では暑さに弱いため春まきの二年草として扱われます。夏越ししやすい東北から北では、秋に種まきして2年越しで立派に生長させることができます。丈夫なので環境に合えば毎年、こぼれ種が発芽して開花します。 ジギタリスは品種がとても豊富で、品種によって背丈も様々です。高性のものは2m近く、矮性のものは30cm程度と品種によって背丈が様々です。ジギタリスと言えば、花にブロッチ(斑点、斑紋)があるものが一般的ですが、最近はブロッチがない品種も登場しています。
アストランティア
- 分類:多年草
- 花期:5月~7月
小花が風に揺れるように咲くアストランティアは、イングリッシュガーデンで好まれる植物です。花色はピンク、白、赤などがあります。
アストランティア
- アストランティアは、セリ科アストランティア属の植物で、別名「マスターウォート」と呼ばれています。アストランティアは、ヨーロッパ中部から東部が原産で、花の開花は5月~7月位です。アストランティアの背丈は40~80cm程度になり、星のような形をした花びらの花を咲かせます。学名の「Astrantia」は、ギリシャ語で星を意味する「Astra」が語源となっています。 アストランティアの花は、独特なフォルムをしています。半球状で花びらに見える部分は「総苞」です。その中心に小さな小花が密集しています。素朴で野趣あふれる草姿がナチュラルな雰囲気のため、欧米のガーデンにはとてもよく植栽されています。アストランティアは高温多湿が苦手なため、真夏の気候が厳しい日本の平野部ではなかなか夏越しが難しい草花ですが、寒冷地ではこぼれ種で発芽することもあります。 流通としては、苗ものより切り花としての流通量の方が多雰囲気い植物です。アストランティアの花は、主役級の花ではありませんが、フォルムのユニークさからアレンジのわき役の素材としてフローリストには人気の草花です。
アスチルベ
- 分類:多年草
- 花期:5月~7月
アスチルベは、シェードガーデンでよく育ちます。ふわふわとした綿菓子のような花が可愛らしい植物です。アスチルベの花色は、ピンク、白、赤などがあります。
アスチルベ
- アスチルベは日本の山野にも自生する多年草です。円錐形の花茎を伸ばし、ふわりとした小さな白やピンクの花をいっぱいに咲かせます。花壇でたくさんの花穂が風にゆれる姿はとても可憐です。 梅雨の時期から咲き始めますが、雨に当たっても花が傷みません。多湿に強いのはアスチルベの大きな特長。根腐れに気をつかう園芸品種が多い中、日本の気候にぴったり合ったアスチルベは育てやすさ抜群です。 寒さにも強く、多少日当たりのよくない場所でも花を咲かせてくれる丈夫な植物です。 耐陰性があるので、シェードガーデンに彩りを添えてくれる他、花が終わった後も冬まで葉をよく茂らせてくれるので、グランドカバーとしても使えます。
セージ
分類:多年草
花期:5月~11月
セージにはたくさんの種類があります。セージとサルビアは呼び名が違うだけで同じ植物を指します。草丈高く、草姿が華奢なため、風を感じる植物としてイングリッシュガーデンで好まれます。線状に咲く姿から、ボーダーガーデンの中段~後方に植栽する植物としても利用されています。
アナベル
- 分類:多年草
- 花期:6月~7月
アメリカアジサイ、セイヨウアジサイなどとも呼ばれるアナベル。真白なボールのような花を咲かせるアジサイです。剪定時期に神経質になる必要もないので育てやすい植物です。
アナベル
- アメリカアジサイやセイヨウアジサイの別名を持つアナベルは、アジサイの仲間の落葉性低木です。 初夏に20~30cmの大きな花が開花します。花色は、咲き始めはグリーン、咲き進むにしたがって白くなり、夏を過ぎると再び秋色グリーンに変化します。大きな花ですが主張しすぎることがなく、周囲の草花と調和するため、庭木として人気があります。暑さ寒さに強く育て方も容易で剪定も簡単なので、植物園やガーデンなど、さまざまな場所にも植えられています。 最近は、基本種のほか、矮性種や花が大きい品種、ピンクのアナベルなど、年々品種が増えています。 アナベルは鉢ものの他、切り花としても出回っていて、切り花やドライフラワーとしても利用されています。
エキナセア
- 分類:多年草
- 花期:6月~8月
夏に可愛らしい花を咲かせてくれるエキナセアは、暑い季節の庭の味方です。草丈も高く、庭の雰囲気づくりに一役買ってくれます。
モナルダ
- 分類:多年草
- 花期:6月~9月
タイマツバナ、ビーバーム、ベルガモットなどの名前を持つモナルダは、ハーブとしても有名です。全草に爽やかな香りがあります。
モナルダ
- モナルダは、夏の開花期間の長い宿根草のハーブです。和名が「タイマツバナ」と言われるのは、もともとの種が赤い花でタイマツのような形に見えることからきています。最近は、品種改良が進み、赤の他、白、ピンク、パープル(紫)など、たくさんの品種があります。 暑さ、寒さに強く、花丈も高い宿根草なので、夏の花壇の後方に植栽すると見栄えがします。性質が強く、植えっぱなしでどんどん大株になります。 モナルダは、ミカン科の柑橘のベルガモットと香りが似ていることから、ベルガモットとも呼ばれます。アロマオイルのベルガモットは柑橘のベルガモットで、モナルダとは別になります。 花は切り花としても出回っていて、生花の他、ドライフラワーにすることもできます。
ガイラルディア
- 分類:多年草
- 花期:6月~10月
ガイラルディアは、鮮やかな色と大きな花が印象的なキク科の多年草です。庭のなかで色のアクセントのような役割を果たしてくれます。
イングリッシュガーデンにおすすめの宿根草4種
ギボウシ
- 分類:多年草
- 花期:7月~8月
ギボウシは、日本原産ながらイギリスで多くの園芸種が作出され、逆輸入されてきた植物です。グリーンの濃淡や斑入りの美しさを楽しめます。ギボウシは半日陰を好むので、シェードガーデンや日当たりが悪いような場所を明るく彩ってくれます。
ビンカ(ツルニチニチソウ)
ヒメツルニチニチソウ
- 分類:多年草
- 花期:3月~7月
ビンカとは、ツルニチニチソウの学名です。ニチニチソウとは別種の植物になります。上に伸びるよりも横に這うように伸びていくので、グランドカバーとして人気があります。
ツルニチニチソウ
- ツルニチニチソウは株元から多数の茎をのばしてツル状に生長する多年草です。3月~5月頃に淡い紫色の花が開花します。ツルニチニチソウの他に一回り葉が小さめなヒメツルニチニチソウもあります。 花は一斉に咲くわけではなく、長い期間次から次へと開花します。傾斜地や半日陰地、常緑樹の足元などグラウンドカバーに使われることが多く、性質は非常に強健です。ツルニチニチソウは、寒さや乾燥にも耐え、半日陰でも良く育ち繁殖も株分けで容易にできます。耐寒性にやや劣りますが美しいクリーム色の斑が入る品種が多く栽培されています。 寒冷地では葉が一回り小さいヒメツルニチニチソウの方が若干耐寒性に優れるためよく用いられます。
アジュガ
- 分類:多年草
- 花期:4月~6月
アジュガは、草丈低く地下茎で広がっていくので、グランドカバーとして人気の植物です。春から初夏にかけて小さな花も楽しめます。
アジュガ
- アジュガはシソ科の植物で、寒さに強く、子株のついたランナーを旺盛に伸ばし、日当たりのよくない場所でもよく増えます。アジュガは地面を覆うように生長する「匍匐(ほふく)性」なのでグランドカバーにうってつけです。春になると低く茂った葉の間から花茎を直立させ、紫やピンクの小花をいっせいに咲かせます。日本では「ジュウニヒトエ(十二単)」が自生しています。丈夫な反面、意図しないところまでアジュガで覆われてしまった…ということも。庭植えの場合、どこまでアジュガを使うのかイメージし、伸びてくるランナーを適宜誘導しながら調整していくと美しく仕上がります。 アジュガは耐陰性のある常緑多年草なので、シェードガーデン(日陰の庭)のグランドカバーに利用できます。花の色、葉の色など多品種があるので、花の咲く時期と花がない葉っぱのみの時期の色を考えた場所に植え付けると、見栄えのする植栽となります。
ラムズイヤー
- 分類:多年草
- 花期:5月~7月
ラムズイヤーは、ふわふわとした産毛が生えたような草姿が可愛らしい植物です。名前の由来は、葉が子羊の耳に似ているから。初夏に咲く淡い紫色の花も可愛らしく魅力があります。
イングリッシュガーデンにおすすめの庭木5種
マグノリア
- 分類:落葉高木
- 花期:3月~4月
マグノリアは、モクレンの仲間の総称です。春に高木の上に白やピンク、紫の爽やかな香りの花を咲かせます。
- モクレン(木蓮)は早春に鮮やかな紫やピンクの花を咲かせるモクレン科の落葉樹です。その花が蓮を連想させることから「木蓮」と書かれるようになりました。 一般的にモクレン(木蓮)というと、紫色の木蓮(モクレン)をさすことが多く、樹高が10~20mになる白いモクレン(木蓮)はハクモクレンと呼ばれています。花びらの枚数はモクレン(木蓮)は6枚、ハクモクレンは9枚の違いがあります。 開花中に出てくる葉は、花の終わりごろには花を隠してしまうくらいになります。樹丈は5m前後位で横に広がりやすい樹形です。 モクレン(木蓮)は生長が早いので、植え付けをしてから数年で4~5m位まで生長します。暑さ、寒さに強いので育てやすく、園芸種も多数あります。 木蓮(モクレン)は、マグノリアという名前で流通していることがあります。マグノリアとは、モクレン類の学名で、シモクレン、ハクモクレン、コブシ、シデコブシ、キモクレン、タイサンボクなどを含んだ総称です。
クラブアップル
- 分類:落葉高木
- 花期:4月
クラブアップルは、春に桜のような花を咲かせ、秋から冬に小さなリンゴのような実を付けます。
藤
- 分類:落葉高木(つる性木本)
- 花期:4月
藤はつる性の落葉樹です。房飾りのような花を枝から下げるように咲かせます。アーチやパーゴラに絡ませると、満開の季節にはとても見事な景色になります。
- フジ(藤)はマメ科の落葉性のつる植物です。春になると薄紫や白の花を咲かせます。庭園や公園で目にする藤棚のイメージが強く、自宅での育て方は難しいように言われていますが、実は鉢植えでも楽しめます。根の生長が制限されることから、むしろ鉢植えの方が花付きがよくなるほどです。 フジ(藤)には大きく分けて2種類あり、ノダフジ(野田藤) Wisteria floribunda はつるが右巻き、ヤマフジ(山藤)Wisteria brachybotrysは左巻きという特徴があります。 「ノダフジ(野田藤)」の由来となった大阪市福島区の野田はフジ(藤)の名所として有名。毎年4月には「のだふじめぐり(ふじ祭り)」が開催されます。樹齢1200年を越え、天然記念物に指定されている埼玉県春日部市の「牛島の藤」もよく知られています。
ライラック
- 分類:落葉高木
- 花期:4月~5月
ライラックは、優しい香りの花を咲かせる落葉高木です。花色は、薄紫、ピンク、白などがあります。
- ライラックは4月~6月に開花する落葉小高木で、葉はハート形、花は円錐形に小花が房咲きになります。ライラックの花は、紫色、薄紫色、ピンク色、白色などの一重や八重の花をつけます。香りがよいので、世界中で愛されている花木です。 ライラックはフランス語でリラ、和名は紫丁香花(ムラサキハシドイ)といい、ハシドイは日本に自生する近縁種の落葉小高木のことです。ライラックは冷涼な気候を好み、特に夏の夜温が下がるところを好みます。日本では東北北部や北海道、本州の高原地帯が適地といえます。ライラックは風通しがよく、湿気の少ない環境を好みます。暖地に植える場合は西日が当たらない日当たりのよい場所を選んで植えましょう。 ライラックの属名のSyringa(シリンガ)はギリシア語で笛やパイプを意味するsyrinxに由来し、枝の髄の部分をくりぬいて管にし笛をつくって古代ギリシャでは羊飼いたちがライラックの笛を吹いていたそうです。トルコではこれをパイプにしていたそうです。
ブッドレア
分類:落葉低木
花期:7月~10月
ブッドレアは、甘い香りの房状の花を咲かせる低木です。花色は紫、白、ピンク、複色などがあります。
ブッドレア
- ブッドレアは、初夏から秋にかけて小さな花が集まって円錐状の花を咲かせる落葉低木です。香りと蜜に誘われ蝶が集まることから、欧米では「バタフライブッシュ」の名でも呼ばれています。 ブッドレアは、生長すると花穂の長さが30cm以上になることもあるので、庭に植栽するととても見栄えがします。小さな花の集合体なので圧迫感がないのも人気のひとつです。 園芸種として流通しているブッドレアの花の色は、紫色、白、ピンクなどの他、最近では品種改良が進み、複色のもあります。花丈も矮性種が登場しています。 ポット苗で購入しても1年で1mを超えるほど生長のスピードは速く、花がらをこまめに刈り取れば、初夏から秋まで長く開花し、ナチュラルガーデンが流行っている昨今、庭に植え付ける夏の花木として人気があります。
イングリッシュガーデンにおすすめの香りの良い花5種
スイセン
- 分類:多年草(球根植物)
- 花期:11月~4月
スイセンの花は、歩いていても足を止めてしまうくらい、爽やかで優しい香りがします。冬に咲き始める早咲き種から春に開花する品種まであります。
水仙(スイセン)
- 水仙(スイセン)は、早春に花を咲かせる春を告げる球根植物のひとつです。白と黄色以外にピンクや緑、オレンジなど、色とりどりの花が咲きます。水仙(スイセン)の園芸品種の数は数万品種もあり、とても種類が豊富です。品種によって一本の茎から一本の花が咲く種もあれば、日本水仙のような房咲き種もあります。最近では八重咲種など、新品種の水仙(スイセン)が毎年のように登場します。水仙(スイセン)は、主に冬咲きと春咲きの品種が多いですが、中には秋に咲く品種もあります。 水仙(スイセン)は、数年間は植えっぱなしで管理でき、環境が合えば球根が年々増えていくのでガーデニング初心者にはおすすめの球根の花です。球根をまとめて植え付けておくと、年々分球し、とても見事な空間となります。日本全国には、たくさんの水仙(スイセン)の群生スポットが存在します。
モッコウバラ
- 分類:落葉低木
- 花期:4月
カスタードクリームのような淡い黄色が印象的なモッコウバラは、原種のバラです。満開の季節には優しい香りを思いっきり楽しめます。花色は黄色の他に白があります。
▼モッコウバラ(木香薔薇)について詳しくご紹介しています
シャクヤク
- 分類:多年草
- 花期:5月~6月
シャクヤクはピオニーとも呼ばれ、香水もあるくらい香りの良い花です。たっぷりと幾重にも重なった花びらが豪華な美しい花で、似たような花木にボタンがあります。
芍薬(シャクヤク)
- 芍薬(シャクヤク)は、アジア原産のボタン科の多年草。春になると地面から新芽を出し、伸びた茎から大きな花を咲かせるのが特徴です。 芍薬(シャクヤク)は中国北部、シベリア南東部、朝鮮半島などに自生し、中国では古くから栽培されてました。薬用植物としても知られ、花から根まで余すことなく使用され、江戸時代からは「茶花」として観賞用としても親しまれてきました。その後、改良され、現在では数多くの品種が作られ、初夏の切り花としても人気の高い植物です。 球状のつぼみはさほど大きくありませんが、開くと手のひらより大きな大輪の花になります。 見分けがつきにくい、よく似た花を咲かせる牡丹(ボタン)とは全く違う植物です。牡丹(ボタン)は落葉低木で「木」、芍薬(シャクヤク)は「草」として分類されます。 左:ハイブリッドシャクヤク 右:芍薬(シャクヤク) 最近では、芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)を掛け合わせたハイブリッドシャクヤクも登場し、以前はなかった黄色の芍薬(シャクヤク)も流通しています。
スイカズラ(ハニーサックル)
- 分類:多年草
- 花期:4月~5月
スイカズラはハニーサックルとも呼ばれ、香水の原料としても人気のつる植物です。病害虫の被害も少なく、育てやすい植物です。
スイカズラ(ハニーサックル)
- スイカズラ(ハニーサックル)は英名をHoneysuckle(ハニーサックル)とも言い、春に香りの良い花を咲かせる半落葉性つる植物です。 スイカズラ(ハニーサックル)の花は、咲き始めは白、次第に黄色と変化します。色が変化するので1本の株に白花と黄花が咲いているようにみえることから、「金銀花」という別名を持ちます。また、冬も緑の葉を絶やさないので「忍冬(ニントウ)」という別名もあります。 スイカズラ(ハニーサックル)は花の蜜を吸うと甘いことから「吸葛(すいかずら)」という名前が付きました。花の形が特徴的で、上下に大きく分かれた花びらの真ん中から雌しべと雄しべが飛び出すように付いています。日本原産の植物ですがヨーロッパで品種改良され、香りの良さから人気が出た植物です。非常に繁殖力が強いため、一部の国では害草として指定されています。 丸みを帯びた卵型の葉が茎に対し二枚両側に付き、葉の付け根から花が咲きます。花後2つの小さな実が付きます。夏の間は濃いグリーンをしていて、熟すと光沢のある黒に変化します。
テイカカズラ
- 分類:常緑高木(つる性木本)
- 花期:5月~7月
テイカカズラは常緑のつる植物で、フェンスなどに巻き付きながら生長します。花は中心がややクリーム色で全体は白、甘くうっとりするほど優しい香りがします。
- テイカカズラは、日本原産のつる性常緑低木です。テイカカズラの名前は、能楽「定家」の式子内親王と藤原定家の悲恋の物語が由来とされています。式子内親王へ恋焦がれた藤原定家は、彼女の死後、テイカカズラとなってその墓にまとわりつき墓石を覆ってしまったことにちなみます。 テイカカズラは、初夏に直径2cm程度の芳香のある花をたわわに咲かせます。全体がクリーム色で中心に近づくにつれて黄色が強くなる花は、プルメリアを小ぶりにしたようで南国を思わせる雰囲気があります。 葉は光沢のある明るいグリーンで、茎の途中からも気根を出して塀や他の樹木に張り付くように伸びていきます。生長力を生かしてフェンスなどに這わせて広い空間を覆う植物として使われるほか、刈り込みに耐えるため生垣としても使われています。若い苗は、寄せ植えの素材にもなり、ハツユキカズラという葉を観賞する目的で作られた園芸種もあります。 キョウチクトウ科は有毒物質を含むと言われているので、口に入れないように注意しましょう。また樹液で肌がかぶれる方もいるので、触れるときは気を付けるようにしましょう。
イングリッシュガーデンは、自然の中に身を置いているような優しい気分になれる庭です。様式美にとらわれ過ぎず、心地よさを優先させることが大切です。植物を上手に育てて、素敵な雰囲気のイングリッシュガーデンを作ってください。
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