花が咲くグランドカバー26選~花のカーペットを作ろう!
金子三保子
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グランドカバーは花壇や通路の土が見えているスペースを埋めてくれる植物。上手に取り入れると、夏の雑草防止になったり見た目の植栽のレベルもぐんとアップします。今回は花が咲くグランドカバーとグランドカバー選びのポイントをご紹介します。
目次
グランドカバーとは?
グランドカバーとは「地面(グランド)を覆う(カバー)」植物のこと。
一般的にグランドカバーに使われる植物は、上に生長するタイプの植物ではなく、這性、匍匐性(ほふくせい)の性質を持つ植物が適しています。
グランドカバーを植えるメリットは?
グランドカバーを植えるメリット|雑草が生えにくくなる(管理が楽になる)
こちらは春に家を建て壊して空地になったスペース。初夏になったとたん、一気に様々な草が生えてきてあっという間に緑色に!夏の植物の生長のエネルギーはものすごいですね。真夏には人が入れないほどの背丈になることでしょう。
上の写真のようにむき出しの地面にしていると、ひと夏を超えるとびっくりするほど雑草が生えてきます。通り抜けない土地ならそのままでもよいかもしれませんが、通り抜けをするような場所ならばなんらかの手は打たないとなりません。そんな時に取り入れたいのがグランドカバーです。
グランドカバーを植えるメリット|ほこり、泥はねの防止
土をむき出しにしていると、風の強い日は砂埃、雨の日は泥はねなどの影響が出てきますが、グランドカバーを植えることによって無駄な埃がたちにくくなったり、雨の日にそのスペースを通ると泥だらけになる……などが軽減されます。
また、花壇などの草花が植栽されている空間では、雨の日の泥はねで葉に泥がつくと病害虫の発生原因にもなります。このようなことから野菜を育てるときは、グランドカバーを植栽する代わりにマルチングをします。野菜への泥はねを防止し、無駄な害が野菜に起きないようにする効果もマルチングをする理由のひとつです。
グランドカバーを植えるメリット|見栄えがおしゃれになる
土をむき出しにしているよりは、こだわったグランドカバーを植栽すると、お庭の見た目がランクアップしておしゃれな空間に。植物だけでなくレンガや石などと組み合わせるのも一つの手です。
また、一種類の植物だけでなく複数の植物を組み合わせたグランドカバーにすると、緑のグラデーションがとても美しい空間になります。基本的には常緑の強いグランドカバーを選びつつ、隙間に一年草を植えこんで毎年少しずつ色合わせを変えてみるのもおすすめ!うまく根付けば花の咲く頃は花のカーペットのような美しい光景になるはずです。
グランドカバーは花壇やハンギング、寄せ植えの縁取りにも使える!
アジュガ
グランドカバーは土を隠す目的だけでなく、花壇のフロントに植栽すると花壇のレンガや石などと草花のつなぎ役になってくれて見た目が洗練された植栽に!
ハンギングバスケットの縁取りに使った斑入りアラビス
這うタイプの植物は、寄せ植えの広がりを見せる素敵な役割をしてくれます。
うちに合うグランドカバーって?
植える環境(日当たりと水はけ)
グランドカバーを植えたい場合、その空間の環境にあった植物を選びましょう。
日当たりが良いのか、半日陰なのか、日陰なのかを調べて、その空間にあったグランドカバープランツを選ぶことが大切です。環境にあわないグランドカバープランツを植えても、効果的なグランドカバーとして増えるのは難しいからです。
グランドカバー、いくらでも増えてよい?それとも?
グランドカバーとしてよくおすすめされるミント。地下茎とランナー両方で増えるタイプの植物で、環境に合うとあっという間に広がります。そのため、おすすめされる反面、爆殖植物と表現されることもあります。
いくらでも増えても(広がっても)まったく構わない、数年間は足を踏み入れないスペースの雑草対策ならいわゆる「爆殖植物」を選ぶとよいと思うのですが、限られたスペース以上は増えてほしくないという場合は、整理しやすい植物を選ぶと管理が楽です。
同じ植物でも「おすすめ」という方と「絶対にやめた方がいい。増えすぎるから」という方が存在するのは目的や土地の広さが違うから。それぞれの状況が違うので、数年後にどうなるか?をイメージしながら我が家に合ったグランドカバーを選びましょう。
限られたスペースのグランドカバーなら根が深く張るタイプ、地下茎で増えるタイプはおすすめできません。将来、広がりすぎたら整理することも考えた根が浅く張るタイプの草花を選ぶことをおすすめします。
花も楽しめるグランドカバー26選
今回は数あるグランドカバーに向く植物の中で、花も楽しめるものをご紹介します。花の季節は地面一面が緑と花の彩でとても美しい光景になります。
生長力が強い植物は広いスペースのグランドカバーに、生長がゆっくりな植物は複数を組み合わせてみてはいかがでしょうか。
1.クラピア
季節によって「可愛い小花のフラワーカーペット」と「グリーンカーペット」2つの景観が楽しめるのが「クラピア」です。芝生の10倍のスピードで広がる生長スピードで、生長期(4月~8月)に1㎡あたり4ポット苗を植えると、おおよそ2~3か月で地面を覆い、5月~9月頃には1cmほどの可愛らしい花も咲かせてくれますよ。
2.タピアン
タピアンの魅力は、なんといっても存在感のあるお花!庭でお花のカーペットを楽しみながら、雑草を防ぐことができます。また、雑草よりも早く生長するスピードも魅力。例えば秋にお庭の雑草が生えやすい場所などに植えれば、雑草よりも早く広がり、春の雑草防止に役立ちます。さらに、虫や病気にも強く丈夫なので、ほぼ植えっぱなしでOK!手間なくグランドカバーを庭に取り入れることができますよ♪
3.アジュガ
アジュガは、シソ科の植物で耐寒性、耐暑性があり、元株からランナーを旺盛に伸ばし、日当たりが悪い場所でもよく広がります。花のない時期の葉は、地べたにくっついているような見た目ですが、春になると株元から花茎を直立させ、ピンク、紫、白の小花をいっせいに咲かせます。斑入りやチョコレート色など葉の色のバリエーションも豊富です。
4.ベロニカ・オックスフォードブルー
ベロニカ・オックスフォードブルーは、ゴマノハグサ科の宿根草。4月の終わりごろから5月に青い小さな花が無数に開花します。ベロニカと聞くと立性で穂状の花を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ベロニカ・オックスフォードブルーは這性で、地面を這うように生長するのでグランドカバーや花壇の前側に植えるのに適しています。
性質が強く、一度根付けば特に世話がいらない草花です。這うように生長していくので、うまく根付けば花のかわいいグランドカバーになります。
5.多肉植物
多肉植物の中でも耐寒性のあるセダムなどは、グランドカバーにも適しています。初夏にはそれぞれかわいい花が咲きます。生長は比較的ゆっくりです。
花の時期は、地面一面がひときわ華やかなグランドカバーに。
多品種を植えて色合わせを楽しんでもよいですね。
6.クローバー
日本で最もよく目にするシロツメクサは、3つの小葉からなる濃い緑色の葉の間からボール状の花を咲かせます。白い集合花で冬に地上部が枯れますが、春に茎葉が伸びてくると鮮やかです。牧草のほか公園や河川敷きなどで芝生の代わりに使われることもあります。
最近はこんなシックな色合いの園芸種のクローバーもあります。このタイプも花は白です。
7.ツルニチニチソウ
ツルニチニチソウは常緑半低木の植物で、株元から多数の茎をのばしてつる状になり、3月~5月頃に淡い紫色の花が開花します。傾斜地や半日陰地、常緑樹の足元などのグランドカバーに使われることが多く、性質は非常に強健です。種類はグリーンと斑入りがあります。
ヒメツルニチニチソウ
ツルニチニチソウの葉の半分くらいのヒメツルニチニチソウ。生長がツルニチニチソウよりゆっくりですが、手間いらずのグランドカバーになります。花の色は紫の他、深い紫色、白など、葉の色もグリーンの他、斑入りなど多品種があります。
8.芝桜
芝桜は、初夏に地面を覆うようにパステルカラーの花が開花します。日当たりを好み、根付けば手間いらずなので、初心者でも管理しやすいグランドカバーです。
ピンク系濃淡、紫色系濃淡、白、複色など色合いも様々なので、同じ時期に咲く近くの草花とコーディネートすると素敵なカラーハーモニーが演出できます。
9.クリーピングタイム
タイムは大きく分けると、ハーブとして料理に使うコモンタイムのような立性のタイプと這うように生長するクリーピングタイムに分けられます。グランドカバーに向いているのはクリーピングタイムです。
明るい空間にしたいなら斑入りもよいですね。
レイタータイム
最近グランドカバー用に改良されたほふく性の「レイタータイム」という品種があります。
レイタータイムは生長が速くて踏みしめにも強いのが特徴です。踏みつけに強いので、通路沿いや石、レンガや枕木の隙間に植えるのにもよいと思います。ほふく性で丈も5cm程度、立ち上がりもないので芝生のような使い方ができます。花はピンク色です。
10.ヒメツルソバ
ヒメツルソバは、タデ科の多年草。ピンクや白の花が金平糖のように丸くて愛らしく、地面を覆うように生長するのでグランドカバーにも最適な植物です。日当たりが良い所を好みますが半日陰でも育ちます。霜があたる地域では冬に地上部は枯れて無くなりますが、根が凍るほどの寒さでなければ春にまた芽吹いてきます。コンクリートの割れ目からも発芽するほどの繁殖力なので野生化して至る所に自生しています。一度植えてしまえば暑さ、寒さ、乾燥に強く放任で大丈夫な草花です。
11.ポテンティラ
ポテンティラは、バラ科の多年草。品種がたくさんあってグランドカバーに向くタイプの品種もあります。花色豊富で、とても可愛らしい花が初夏に開花します。びっしりと地面を覆い尽くすタイプのグランドカバーとしては不向きですが、横に広がるので他のグランドカバーと組み合わせてもよいのでは。
12.メカルドニア
メカルドニアは、ゴマノハグサ科の多年草。5月~11月の長い間、小さな黄色い花をたくさん咲かせます。横に広がって生長する匍匐性の特徴があり、寄せ植え、ハンギングバスケットの素材として利用されます。日当たりと水はけの良い場所を好み、夏の暑さや乾燥にも強く丈夫なので、初夏から秋まではグランドカバーとしても使えます。耐寒性はないため一年草として扱われることもありますが、暖地では霜の当たらない軒下などで乾かし気味に育てると越冬できます。冬は立ち枯れたような見た目になりますが、越冬できた株は春になると株元から新芽が芽吹きます。
13.クラウンベッチ(コロニラ・バリア)
クラウンベッチは、マメ科の耐寒性宿根草。春から夏にかけて、レンゲに似たピンクの花を咲かせながら生長し、花にはほのかな香りがします。つる性でとても丈夫、広いスペースのグランドカバーに適しています。暑さ寒さにも強く、やせ地でも育ち、ある程度の乾燥にも耐える優れものである一方、広がりすぎて雑草扱いされることもあります。
ふんわりと優しい雰囲気で広がり、明るい緑色をした葉の形も魅力があり、花のない時期でもあたりを明るくする効果があります。多少広がりすぎるという特徴があるので、毎夏、広いスペースに雑草がはびこって困っているような敷地にとっては素敵なグランドカバーになります。
14.クスダマツメクサ
クスダマツメクサは、黄色いクスダマのようなかわいい花を咲かせるマメ科の耐寒性一年草。地面一面に小さな黄色い花が開花している光景はとても見事です。野草の部類に入る草花ですが、最近、苗としての流通量が増えて、「ラッキークローバー」という名前で春に流通しています。這うように生長するので、グラウンドカバーや花壇の縁取りとして使うことができる他、寄せ植えやハンギングの材料としても人気があります。マメ科の草花なので、肥料もさほど必要なく、水やりさえしていればよいので育て方はとても簡単です。
15.八重咲きドクダミ
おしゃれなガーデンの植栽としても見かける八重咲きのドクダミ。広いスペースのグランドカバーとしておすすめです。地下茎で増えるので、どんどん増えていきますが、根が浅く整理するのは簡単です。増えてほしくないようなら、冬の間は地下で眠っていたドクダミが目覚めて顔を覗かせた春、伸びてほしくない部分を抜き取って整理すると初夏が楽です。もしくはレンガなどで土の中で間仕切りをすれば、レンガより先には根が伸びないため、増えすぎることはありません。最近は切り花としての流通もあります。
16.ラナンキュラス・ゴールドコイン
ラナンキュラス・ゴールドコインは、キンポウゲ科の多年草。ハイキンポウゲの園芸品種で、4月~5月にラナンキュラスに似た小さな黄色い花が開花します。環境に合うと野生化するほど性質は丈夫。手入れをしなくてもランナーを出しながら広がっていきます。好む環境が半日陰~明るめの日陰で、日陰の庭のグランドカバーとしても利用できます。花の開花時はキラキラと輝くように咲き誇り、地面が黄色のカーペットのような状態になります。名前にラナンキュラスとありますが、一般的なラナンキュラスとは別種で多年草です。また、ゴールドコインと言う名のキク科の宿根草とも違う植物です。
17.ワイルドストロベリー
ハーブのワイルドストロベリーは、株元から無数のランナーを増やして広がっていきます。日当たり、風通しが良い場所の方が花つき、実つきがよくなります。生長力があるものの根の張り方は弱いので、整理したい(抜きたい)時に楽な草花です。
18.アネモネ・カナデンシス(メドウアネモネ)
アネモネ・カナデンシスは、キンポウゲ科の宿根草。原種のアネモネで、春から初夏に清楚な白い花が開花します。
地下茎で広がりながら群生するので、広いスペースのグランドカバーになります。
19.イベリス・センペルヴィレンス
イベリス・センペルヴィレンスは、アブラナ科の多年草。春に株一面に白い小花をびっしりと咲かせます。耐寒性、耐暑性もあり、花後に切り戻しをすればあとは放任で育つ丈夫な多年草です。
20.ヒナソウ
ヒナソウは、アカネ科の多年草。日当たりを好みますが水切れには弱いので、夏に強い日差しが長時間当たり土が乾燥しやすいところを避ければこぼれ種でも増えるほど性質は丈夫です。大規模なグランドカバーには向きませんが、メインのグランドカバーの隙間に植栽するとかわいい草花です。
21.ハナニラ
ハナニラは、ネギ科の球根花。桜の咲くころに無数の星型の花が開花します。「ハナニラ」という名前の通り、葉をこするとニラの香りがしますが、葉に触れない限りは匂わないので特に気になりません。秋に球根を植えて、翌春から開花し、植えっぱなしでどんどん増えます。年間を通したグランドカバーにはなりませんが、秋ごろから新しい芽が出て開花中の4月~5月までの期間限定のグランドカバーとしてあちこちに植栽しておくと、他の植物との共演で素敵な空間になります。
22.マツバギク
マツバギクは、南アフリカ原産の多肉植物。春から初夏にかけて発色の良いピンクの花が開花します。乾燥に強く這うように生長するので、花壇や石垣、ロックガーデンなどに植栽されています。
23.ペニーロイヤルミント
ペニーロイヤルミントは匍匐茎を伸ばしながら広がり、踏み付けにも強いのでグランドカバーには最適です。花は段々について、ドライフラワーにもなります。
24.ラムズイヤー
「羊の耳」という名前そのものの、ぬいぐるみのようなモフモフな触感のラムズイヤーは多年草のハーブ。株元から花茎が立ち上がり、穂状のピンクの花が開花します。
シルバーグリーンの葉の色もとても美しいラムズイヤー。日当たり、風通し、水はけが良い場所に植えると次第に広がります。
25.ローマンカモミール
一般的に知られているジャーマンカモミールはキク科の一年草のハーブですが、ローマンカモミールは多年草。横に這うように広がります。リンゴの香りがすること、踏み付けにも強いことから「香りのする芝」と表現されることもあります。花はジャーマンカモミール同様、白い花が咲きますが、花数はジャーマンよりは少なめです。
ノンフラワーカモミール
今回のテーマの花が咲くグランドカバーからは外れますが、ノンフラワーカモミールとは、花が咲かないローマンカモミールの園芸種です。香りが強く芝生の代わりに代用できるので、グランドカバーとして利用されています。
26.エリゲロン
エリゲロンは、キク科の宿根草。小菊のような小さな花が初夏から秋まで長くたくさん開花します。性質はとても丈夫で、広がるように生長していくのでグランドカバーや花壇の縁取りのような役割にもおすすめ。性質が強く、環境に合うとこぼれ種でも増えていきます。花が一通り終わったら、切り戻しをしておくと再び返り咲きます。
グランドカバーを効果的に使うと、夏の雑草の抜き取り作業が軽減します。複数の種類のグランドカバープランツを組み合わせて、花や葉の形と色合わせを楽しみながらお気に入りの空間を作ってみてはいかがでしょうか。
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