カッティングガーデンとは|切り花になる花22種。収穫、生け方、飾り方のコツ【夏~秋編】
金子三保子
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庭やベランダにカッティングガーデンを作って、育てた花を部屋にも飾って楽しみませんか。カッティングガーデンに向く花や、収穫のコツ、切り花の扱い方をご紹介します。
目次
- カッティングガーデンとは?
- カッティングガーデン向きの花とは|収穫のポイントと切り花の扱い方
- 素敵に見えて手入れが簡単な花あしらいにするには?
- カッティングガーデンにおすすめの花|初夏~秋編
- グリーンも育てよう!
カッティングガーデンとは?
エキナセア
カッティングガーデン Cutting gardenとは、切り花用の庭や花壇のこと。切り花として収穫するために育てるスペースは、庭だけでなく、ベランダでも作ることができます。
私自身、園芸に夢中になったのは、「育てた花を生けたいな」と思ったことがきっかけでした。庭で育てて眺めるだけでなく、部屋に飾って楽しむことを目的で育てると、植物のフォルムや色の見方が変わってきます。
すべて育てた花でなくても、花屋さんで買った花と育てた花を合わせたり……。脇役になる葉ものや草花が身近にあると、花あしらいのバリエーションが豊かになります。
カッティングガーデン向きの花とは|収穫のポイントと切り花の扱い方
ルドベキア・ヒルタ サハラ
カッティングガーデン向きの花
①ワンシーズンでたくさん咲く
1本の茎に1つの花が咲く花(例・チューリップ)よりも、枝分かれして、ワンシーズンでたくさんの花が咲く花は、惜しみなくカットすることができます。
②数日間、開花し続ける
一日花は、生けた翌日には花がしぼんでしまうため、切り花向きではありません。最低でも数日、同じ花が開花し続ける花が切り花向きです。
③花もちが良く、水が下がりにくい
「土に植わっているときは数日咲き続けるのに、水に生けると日持ちしない」もしくは「水が落ちやすい花」があります。
①~③に関して、後述のおすすめの花の中で、それぞれの特徴や扱い方を紹介します。
収穫のポイント
収穫の時間帯
植物には、水分を蓄える時間帯と蒸散する時間帯があります。植物の多くは、昼間は水分を発散する時間帯です。収穫するなら、朝か夕方にしましょう。それだけで水の上がりや日持ちに違いが出ます。
収穫する位置
株元から茎が立ち上がり、頂点に花を咲かせるような花は、その茎の付け根でカット。1本の茎が枝分かれしている花は、これから咲くつぼみまで切らないように注意しましょう。
花数が多い大株ならどこで切っても問題ありませんが、「庭も美しく、部屋にも飾りたい」なら、次のつぼみを切るか、切らないかは重要です。
水あげは必要?
私の場合
市場で仕入れる花は、購入したらまず「水あげ処理」を行います。最もスタンダードな水あげは、余分な葉を取り除き、茎を斜めに切ってから新聞紙で花をくるみ、たっぷり水を入れたバケツの中で数時間、吸水させる方法です。
一方、育てた花は、収穫したらすぐに水をいれたバケツに入れて、しばらく給水させてから生けています。水が下がっていないため、新聞紙を使った水あげはしなくても大丈夫。収穫に適した時間帯にカットすれば、ほとんどの草花はすぐに生けることができます。
素敵に見えて手入れが簡単な花あしらいにするには?
花瓶選び
花瓶だけが、花を生ける器ではありません。水漏れの心配がないものなら、なんでも花瓶にできます。ワインやジャムのボトル、コップ、コーヒーカップ、ピッチャー、カフェオレボウル……。暮らしの花は、自由にいろいろな器に生けて楽しみましょう。
まずは一輪ずつ生けてみよう
花を組み合わせて生けるのは、最初はハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。難しいなと感じたら、ひとつの器に1種ずつ生けて、複数の花瓶を並べて楽しむのもおすすめ。複数を組み合わせると、枯れてきた花から抜いて、生けなおす必要があります。1種生けは、枯れた花だけを処分して次の花に交換しやすいため、メンテナンスが楽。並べてみたり、前後に配置したり、花瓶の置く位置を変えるだけで、見え方が変わります。忙しい毎日でも、1種生けなら手軽に花のある暮らしを楽しめます。
はじめて花瓶を買うなら、口の狭い花瓶の方が少ない本数でも花が安定しやすいので、おすすめです。
慣れてきたら色合わせ、花合わせを意識しよう
同じ品種でも少しずつ違うニュアンスカラーのジニア
少し慣れてきたら、色に注目してみましょう。例えばオレンジでも、鮮やかなオレンジもあれば、落ち着いてシックなトーンのオレンジなどさまざま。多くの花は、花びらの中心にしべがある構造なので、しべの色によっても見え方が違います。
また、花は丸い形のものもあれば、穂状の花もあります。組み合わせ次第で見え方はまったく変わります。主役、脇役など、配役を決めて組み合わせるのもよいでしょう。
好みの色合いの苗を選んだり、色合わせを考えながら生けるのも楽しいひとときになるはずです。
カッティングガーデンにおすすめの花|初夏~秋編
アジサイ
梅雨のころに美しく咲くアジサイ。ガクアジサイや西洋アジサイは、翌年の花のために剪定をする位置が決まっているので、切りすぎないようご注意。6月いっぱい花を楽しんだら7月には、剪定した枝を生けて楽しみましょう。小分けにしてお皿に浮き花にしても素敵です。
▼アジサイの育て方
アナベル、ピンクアナベル
アナベル
新枝咲きのアナベルは、初夏の花をすぐに剪定する必要がなく、秋にアンティークカラーになるまでゆっくりと楽しむことができます。花あしらいに使うなら、アンティークカラーになってからの方が水が落ちにくいのでおすすめ。ドライフラワーにもしやすい花です。
▼アナベルの育て方
ピンクアナベル
アナベルより小輪のピンクアナベル。小さな花あしらいにも活躍します。初夏から秋まで数か月かけて、ピンクからシックなピンク色に変化していきます。
▼ピンクアナベルの育て方
バラ、ミニバラ、バラの実
切り花として流通する種類が最も多い花のひとつ、バラ。花屋さんで出回るバラと庭のバラは、種類がほとんど違うため、庭のバラを生けられるのは育てているならでは。
四季咲き性のバラは、同じ品種でも初夏と秋では少し色みが違うことも。それぞれの季節の草花と合わせて季節感のある花あしらいを楽しみましょう。気温が高くなってくると外だと一日花のようになってしまうので、早めに切って部屋に飾るのもおすすめです。
秋に実るバラの実もアレンジやリース、スワッグの花材に大活躍します。
▼バラの育て方
エキナセア
夏から秋までの長期間開花する宿根草のエキナセア。切り花としても流通量が多く、咲き進むとともに花びらが下向きになっていきます。品種によっても差がありますが、生長は比較的ゆっくりめ。植え付け後3年目くらいになると、花数が多くなります。花を切るときは、同じ茎の下に次の花のつぼみがあるので、つぼみまで切り落とさないようにしましょう。
▼エキナセアの育て方
ルドベキア
最近、切り花としての流通量も多くなってきたルドベキア。黄色などの鮮やかな色あいのほか、シックな花色もあります。初夏から晩秋までと開花期間が長く、生けても花ちが良い花です。
▼ルドベキアの育て方
ガイラルディア
ガイラルディアは、品種によって一年草と多年草があります。数多くの種類が流通し、毎年のように新品種が出ています。咲き方は一重、八重をはじめ、ユニークな咲き方の品種も。草丈も品種によってさまざまなので、カッティングガーデンに植えるなら草丈30cm以上の品種を選ぶとよいでしょう。
ガイラルディア ・グレープ センセーション
原種系のガイラルディアの一種、ガイラルディア ・グレープセンセーションは、花弁が落ちたあとの花芯部分も花あしらいに活躍します。
▼ガイラルディアの育て方
三尺バーベナ
丈夫で暑さに強く、真夏も休まず開花し続ける三尺バーベナ。草丈が高く多花性なので、花あしらいにも使え、主役を引き立てる脇役として活躍します。
▼三尺バーベナの育て方
ヒマワリ
夏の花と言えばヒマワリ。明るく元気な雰囲気の花は、夏の花屋さんにもたくさんの品種が並びます。定番の黄色のほか、最近は花色や咲き方が豊富です。カッティングガーデンに植えるなら、よく枝分かれする小輪~中輪程度のものがおすすめ。
ヒマワリ・サンビリーバブル
ヒマワリ・サンビリーバブルは、初夏から晩秋まで休みなく咲き続ける新しいタイプのヒマワリ。上手に育てると、1株でワンシーズンで1000輪以上の花が開花します。これなら庭と室内と両方で楽しめますね。
▼ヒマワリの育て方
ジニア
ジニアは初夏から秋までと開花期間が長いキク科の一年草。カラーバリエーションが豊富で、切り花としての流通量も年々増えています。カッティングガーデンに植えるなら、高性タイプのジニアがおすすめです。
ニュアンスカラーも多いので、シックな花あしらいにも活躍します。
▼ジニアの育て方
マリーゴールド
初夏から秋まで開花するマリーゴールドは、切り花としても流通量が多い花です。暑さに強く、花壇の花として植えられるほか、畑ではセンチュウ駆除や害虫予防の役目をするコンパニオンプランツとして活躍します。
マリーゴールド・ストロベリーブロンド
黄色、オレンジ系が多いマリーゴールドですが、ストロベリーブロンドのような咲き始めと咲き進んだときの色が変化するような新種も登場しています。
▼マリーゴールドの育て方
シュウメイギク
シュウメイギクは、秋に白やピンクの花が開花するキンポウゲ科の宿根草。名前に菊とありますが、菊ではありません。生育旺盛な宿根草で、年々大株になり、たくさんの花が開花します。優し気な花の表情は風情があり、切り花としての流通も多い花です。基本種は1m近くの草丈になるので、大きな花あしらいに利用できます。
▼シュウメイギクの育て方
アメジストセージ(サルビア・レウカンサ)
アメジストセージは、秋が開花時期のセージ。大株になると紫色の長い花穂が株一面を覆うように咲き誇り、秋の庭を美しく彩ります。ベルベットのような肌触りの花は、乾燥させても色が落ちにくいため、ドライフラワーにも向いています。
▼アメジストセージの育て方
モナルダ
モナルダは、夏から秋までの長期間、開花する多年草。全草に香りがあり、その香りは柑橘のベルガモット・オレンジに似ているため、ベルガモットとも呼ばれています。切り花としても流通し、生花の他、ドライフラワーにしても美しく色が残ります。
ピンク、白などの淡い色みもあります。
▼モナルダの育て方
エリンジウム
エリンジウムは、球状や円柱状のユニークな光沢のある花を咲かせる多年草(二年草)。花の周りをとがった苞が囲み、花と苞の色のコントラストも魅力的です。独特な造形美を感じる花は、切り花としても人気があり、エリンジューム、エリンギウムという名で流通しています。
▼エリンジウムの育て方
アキレア(セイヨウノコギリソウ)
アキレアは、初夏~秋にかけて茎の先端に小さな花が固まりのようになって開花するキク科ノコギリソウ属の多年草。カラーバリエーションが豊富で切り花としても流通し、ドライフラワーにしても色がきれいに残ります。
▼アキレア(セイヨウノコギリソウ)の育て方
ダリア
切り花としては通年流通するダリアは、夏と秋が開花時期(地域や品種によっても差があります。色や咲き方などのバリエーションが豊富です。カッティングガーデンに植えるなら、分枝性、多花性に優れた品種がおすすめです。
▼ダリアの育て方
キキョウ
秋の七草のキキョウですが、実際は初夏から秋までと開花期間が長く、暑さにも強いため、夏のガーデニングに利用されています。カッティングガーデンに植えるなら、草丈が高い品種がおすすめです。
▼キキョウの育て方
宿根フロックス
宿根フロックスは、暑さに強く性質も丈夫。真夏でも休みなく咲き続けます。カラーバリエーションが豊富で、白、ピンク、紫、赤などの単色のほか、複色カラーも多数あり、切り花の流通もあります。
▼宿根フロックスの育て方
ペンステモン
ペンステモンはとても種類が多い花で、品種によって開花時期が変わります。初夏から秋まで長く咲くのは高性のペンステモン。品種名は「ダークタワーズ」や「ハスカーレッド」などがあります。丈夫で育てやすく、ワンシーズンでたくさんの花が楽しめるので、切り花にも利用できます。
▼ペンステモンの育て方
センニチコウ
センニチコウは、初夏から秋まで真夏も休むことなく、たくさんの花が開花します。千日紅という和名の通り、ドライフラワーにしても長期間色落ちせずに楽しめます。
▼センニチコウの育て方
ヘリクリサム
ヘリクリサムは乾燥に強く、花もちも良く、夏の庭に重宝します。カサカサした花は、花もちがとても良いですが、花より葉の方が先に傷むことが多いので、生けるときは葉をある程度整理して生けるとメンテナンスが楽です。乾燥させても色落ちしないため、ドライフラワーにも向いています。
▼ヘリクリサムの育て方
クレマチス
クレマチスはとても系統が多く、それぞれの系統の中でもたくさんの品種があり、系統によって花の形や大きさ、性質、開花時期が違います。切り花としての流通量も多く、一年を通していろいろな系統のクレマチスが出回っています。大輪種は華やかなので花あしらいの主役に、壺型などの小輪はかわいらしく楚々とした雰囲気なので脇役に……花あしらいの中でさまざまな役目をしてくれます。つる性のものが多く、花あしらいの流れを出すのに重宝する花材です。
▼クレマチスの育て方
センニンソウ(仙人草)
センニンソウは、夏から秋が開花時期の生長力が旺盛なクレマチスです。
▼センニンソウの育て方
グリーンも育てよう!
花だけでなく、ハーブや葉の形や色が素敵なグリーン類は、花あしらいに大活躍。深緑、明るい緑、シルバーグリーン、斑入り。大きな葉と小さな葉。丸い葉とギザギザな葉。グリーンにこだわると花あしらいがぐんとセンスアップします。
初夏から秋に咲くカッティングガーデン向きの花をご紹介しました。庭やベランダで育てた花を飾って、部屋の中に季節感を取り入れてみませんか。
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